チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

概念アラカルト(その9)

2016-08-02 14:42:50 | 教育

 概念アラカルト(その9)


 25. 共生関係 (symbiosis)

 異種の生物が行動的・生理的な結びつきをもち、一所に生活している状態。ヤドカリとイソギンチャク、マメ科植物と根粒菌、地衣類を構成する菌類と藻類など。(広辞苑より)


 ここでは、私たちに最も関係の深い共生関係について考察します。

 1) 真核生物と共生したミトコンドリアと葉緑体

 ミトコンドリア「共生説」は、ラン藻類が登場してから酸素濃度が上昇を続け、酸素からエネルギーを生産できる好気性細菌が誕生した。

 一方、酸素のほとんどない大気に適応し、有機物をエサにしてきた嫌気性細菌は、この好気性細菌を取り込み、そのATPを利用して、酸素濃度の上昇に適用しようとした。(20億年前のことです)

 これがミトコンドリアであり、動物界の生命体にエネルギーを供給してます。

 マーギュリス(margulis)説によると、真核生物の中にミトコンドリアを取り込んだものが動物に、葉緑体を取り込んだものが植物になった。

 このミトコンドリアのプロトン駆動が、糖類のエネルギーを酸素によって、ATPをつくることによって、私たち動物界の生命体は、生体のエネルギー通貨として、利用可能なのです。

 植物は、葉緑体によって根から水分を大気中から炭酸ガスを取り込んで、太陽光のエネルギーを利用して、糖分を合成して、空気中に酸素を放出します。

 葉緑体によって合成された糖分をすべての動物と植物は、このエネルギーにより、生体の活動を行っている。ミトコンドリアも、葉緑体も、それぞれのDNAを持っている。


 2) マメ科植物と根粒菌

 多くの樹木は菌糸が根の中に入る内生菌根をもつが、熱帯雨林で優占するフタバガキ科、マメ科ジャケンイバラ亜科などでは、外生根菌をもつ樹木がある。

 外生根菌は、菌糸を根から、外の土壌中にマット状に拡げて、より広い範囲の栄養塩を吸収する。

 植物は、根から菌に光合成産物である糖を与え、菌は植物に窒素とリンを与えている。樹林の種と外生菌根菌の種の間には、ある程度特定の関係があって、ある植物には決まった菌が共生するらしい。


 3) 被子植物の昆虫に受粉

 被子植物の成功の秘密を一言でいえば、花粉の媒介を風などの物理的手段から、昆虫などの動物の送粉に切り換えたことである。

 自ら移動することのできない植物は、花粉の受け渡しを、昆虫や鳥、コウモリなどの飛翔能力のある動物に頼り、鮮やかな色や香りで動物を誘い寄せる。花粉を運ぶ動物、すなわち送粉者は、花粉や花蜜を報酬として得る。

 このような相利共生的な関係は長い進化の過程によって、生じたものであり、美しく精妙な花の機構と花に適合した送粉者の行動は、自然界に於ける適応のみごとな実例である。


 4) キーストーン(頂点捕食者)と生態系のバランス

 ○ ラッコとジャイアントケンプの海中林とウニ

  北太平洋のジャイアントケンプの海中林に於いて、ラッコは何の役にも立ってなさそうに見えるが、ラッコがキーストーンとして、ケンプとウニとラッコ自身のバランスを保っていた。

 ケンプの森のコンブをウニが食べ、そのウニをラッコが食べ、その排出物がケンプの養分となる。このジャイアントケンプの海中林は、多くの魚類や貝類の住処でもあり、ラッコがケンプの海中林の代謝を高め、ジャイアントケンプの海中林を豊かなものにしている。

 ○ コヨーテとチャパラル固有の鳥

  林にいるチャパラル固有の鳥の種の数は、林が狭くなるにつれて減っていった。しかし、コヨーテが生息する林の方が多くの種類のチャパラルの鳥を保っていた。

 コヨーテは渓谷に於ける小型捕食者(ネコを含む)の数調整に役立っており、おそらくチャパラル固有の鳥類相の維持にも貢献している。


 26. マインドフルネス (mindfulness)

  mindful : 心を配って、mindfulness : 名詞

 「あなたの「天才」の見つけ方」 エレン・ランガ—著(加藤諦三訳)によると、mindfulness 〔マインドフルネス〕とは、「いろいろな視点からものごとを捉えることができることであり、新しい情報に心が開かれている状態」である。

 活動の種類を問わず、マインドフルな活動には三つの特徴がある。すなわち、世界を認識し分類する新しいカテゴリーを常に作り出し、新しい情報に対して開かれた心を持ちつづけ、ものの見方はただ一つとは限らないことをそれとなく意識しているのだ。

 これに対して、mindlessness 〔マインドレスネス〕とは、「物事への注意を欠き、さらに柔軟性を欠き、応用力のない心の状態」をさします。


 概念アラカルトは、これを持って終りといたします。私もよく解かってない中お付き合いくださり、ありがとうございました。これらの言葉は、ある意味エンドレスで、分かれば解かるほど、ある意味泥沼にはまるように疑問が湧いてくるような気がします。

 では、最後に26の目次を再掲いたします。

 (1) セレンディピティ― (serendipity)

 (2) エントロピー (entropy)

 (3) サステイナビリティ (sustainability)

 (4) カテゴリー (categoly)

 (5) コンセプト (concept)

 (6) エコロジー (ecology)

 (7) ジレンマ (dilemma)

 (8) ストラクチャー (structure)

 (9) レスポンシビリティ (responsibility)

 (10) 微分 (differrential)

 (11) 積分 (integral)

 (12) 文化 (culuture)

 (13) 文明 (civilization)

 (14) 偽薬 (placebo)

 (15) ポテンシャル (potential)

 (16) 選択 (choice)

 (17) 資本主義 (capitalism)

 (18) 進化論 (the theory of evolution) 進化論を説明する前に

 (19) 進化論 (the theory of evolution) (たぬきの冬より)

 (20) 指数と対数 (exponet and logarithm)

 (21) 指数と対数 (音階と弦の長さと振動数 チェロの場合)

 (22) 遺伝子 (gene)

 (23) エネルギー (energy)

 (24) プレートテクトニクス (plate tectonics)

 (25) 共生関係 (symbiosis)

 (26) マインドフルネス (maindfulness)

 以上です。 (第9回)


概念アラカルト(その8)

2016-07-27 08:50:56 | 教育

 概念アラカルト(その8)

 23. エネルギー(energy)

  ○  仕事をすることのできる能力

  ○  エネルギー資源

  ○  精力、活動力

  1)  エネルギーの状態について

  運動エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー、電気エネルギー、光エネルギー、核エネルギーなどがある。

  2)  エネルギー資源の変遷

  人力 → 馬力 → 蒸気機関(石炭) → ヂーゼルエンジン(石油) → ガソリンエンジン(ガソリン) → 電気モーター(電気)


 24. プレートテクトニクス (plate tectonics)

  大陸大や大洋底の相互の位置の変動を、厚さ約百kmの剛体の板(プレート)の水平運動によって理解する学問。(広辞苑より)


  プレートテクトニクスの前段として、地球の内部構造について、説明します。(地球のしくみ 浜野洋三著より)

  地球は、半径が6,370kmのほぼ球体です。地球は、万有引力によって中心に引き付けられます。このため、中心に向かうほど、密度の高い(重いもの)が、中心付近に、表面に向かうに従って、密度の低い(軽いもの)で、構成されます。

  中心から、1,200kmまでは、内核で、固体の鉄を主成分とした密度13g/㎤の球体でできてます。

  その外側の中心から、1,200km~3,500kmの部分は、液体の鉄を主成分とした密度10~12g/㎤の球体です。

  その外側の中心から、3,500km~6,270kmの部分は、溶岩のマントル層で比重は、4~6g/㎤です。

  このマントルの外側に地殻があります。地殻の厚さは30~100kmです。直径は12,740kmですので、直径12cmの卵にたとえると殻の厚さは、0.5mmです。


 地殻の比重は、2.7~3g/㎤で、マントルの上に地殻(プレート)が浮いている感じです。プレートは、ユーラシアプレート、北アメリカプレート、アフリカプレート、南極プレート、南アメリカプレート、太平洋プレート、オーストラリアプレートなどがあります。

 プレートは、相互に地球の表面を一年間に、数cmから10cmくらいの速度(つめの伸びる速度)で動き回っており、そのためにプレートの境界では、地震や火山といった活発な活動を引き起こします。

 プレートがぶつかりあう境界が両側が海洋プレートの場合には、一方のプレートがもう一つのプレートの下に潜り込んで、沈み帯を形成します。日本列島の周辺がこの典型的な沈み込み帯を形成します。

 両方が大陸プレートである場合、ヒマラヤのような高い山ができます。大陸もプレートに乗って移動しますが、プレート運動の原動力は、いぜんとして謎です。 (第8回)


概念アラカルト(その7)

2016-07-22 15:03:36 | 教育

 概念アラカルト(その7)

 22. 遺伝子(gene)

   遺伝子 : 生物の個々の遺伝形質を発現させるもの  (人生に必要な遺伝50 マーク・ヘンダーソン著より)


 1) DNA : デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)

 DNAは、核酸の一種で、地球上の生物において、遺伝情報の継承と発現を担う高分子生体物質です。

 真核生物は、核を持ち、細胞分裂の際に染色体構造を生ずる生物。(真核生物ドメインの下に、菌界、植物界、動物界となります)

 2) 染色体(chromosome)

   DNAを束ねた状態。人には23対の染色体があり、22対の常染色体とXX及びXYの性染色体をもちます。

 3) ゲノム(genone)

  その生物が生きるために必要な染色体のセット。

 4) 染色体はどこにある?

  細胞の核の中に、染色体はあります。人の体には、約60億個の細胞があり、そのそれぞれに1個あります。


 5) 減数分裂と有糸分裂

  人体の細胞は各染色体が2本ずつある二倍体で、身体の成長や治癒の際に分裂する場合、有糸分裂というプロセスにより、それ自身のゲノムをすべて複製します。

  生殖細胞の場合、精子や卵子は別の方式の細胞分裂—―減数分裂――によってできます。減数分裂では、複製された二倍体を四つに振り分けます。男性に場合、この4つが精子になります。女性の場合、一個が卵子とまりますが、残り3個は「極体」となって捨てられます。

  受精によって、父方の精子から1つ、母方の卵子から1つを得て、この二つを交叉して、二つの染色体がDNAの断片を交換して、新しい構成の染色体をつくります。


 6) DNAの構造

  DNAは、4つの塩基アデニン(A)とチミン(T)とシトシン(C)とグアミン(G)の4つ構成され、二重螺旋をつくっています。

  DNAは、4つの塩基が同じ比で現れ、すなわちアデニン(A)とチミン(T)、シトシン(C)とグアミン(G)がそれぞれ等しいのです。そして、Aが必ずTと、CがGと結びつくのだと理解するにいたりました。二重螺旋というパズルの重要なピースがはまったのです。

  この二重螺旋構造は、遺伝情報のコードを二重に収めており、複製がとてもしやすくなっているのです。

 7) コドンの役割

  DNAの3文字の組み合わせ、つまり「トリプレット」つまり「コドン」を解読して、20種類のアミノ酸は合成されます。4種類の3文字の種類は、4の3乗=64種類ありますので、多くのアミノ酸は複数のコドンで指定されています。


 8) ドーキンスの「利己的な遺伝子」(THE  SELFISH  GENE)とは

  生命体は、遺伝子の乗り物である。生命体の命は尽きても、遺伝子は子へ、さらにその子へと、遺伝子は、種の中にある意味、永遠に、生き続ける。遺伝子は、種として自分の遺伝子を、より生き残らせるようにふるまう。

  ドーキンスは、単に進化論を遺伝子から見直したものであるが、生命体の様々な現象が、意外に説明しやすいものとなった。

  ウィルスは、ある意味において、裸の遺伝子であり、利己的に振舞う。


 9) メンデルの法則

  ダーウィンが、1859年「種の起源」で進化論をは発表し、1865年にメンデルが遺伝の法則を発表したが、1900年に再発見されるまで、還り見られることはなかった。

  生物学の二大セオリーである進化論もメンデルの法則も、遺伝子が発見されるほぼ一世紀以前である。

  メンデルの法則は、次の三つの法則で構成される。

 ① 優勢の法則

  雑種第一代には、優性形質だけが現れ、劣勢形質は潜在する。

 ② 分離の法則

  雑種第二代には、優性形質を現わすものと劣勢形質を現わすものが分離してくる。

 ③ 独立の法則

  それぞれの形質は無関係に独立して遺伝する。  (第7回)



概念アラカルト(その6)

2016-07-18 16:00:40 | 教育

  概念アラカルト(その6)

 21. 指数と対数 (exponet and logarithm)  音階と長さと振動数、チェロの場合

 1) チェロには、4本の弦が張られています。低い方から、C弦(ド)、G弦(ソ)、D弦(レ)、A弦(ラ)です。

 2) 弦の長さが半分になると振動数が2倍になり、1オクターブ音階が上がります。更に弦の長さが半分(1/4)になると、振動数は4倍になり、2オクターブ音階があがります。弦の長さが(1/8)になると、3オクターブ音階が上がり、振動数は8倍になります。

 すなわちオクターブは1づつ上がりますが、振動数は、2倍、4倍、8倍……、となり、弦の長さは、1/2、1/4、1/8……となります。

 3) 弦の長さ L と振動数 ν は、L = K/ν の関係になり、Kは、定数(弦と張力による)です。


 4) 1オクターブは、12個の半音で構成されています。長さが半分の位置(1オクターブ高い所)から、半音階づつ下がっていきます。すなわち、ある割合(R)で長くすることを、12回繰り返すと、1オクターブ下がります。

  (R)¹² = R×R×R×R…= 2 となる。実際に、12回掛け算で、何回か試行錯誤をすると、1.059が求められる。

 R = 2¹/¹² で解けるらしいのですが、なんとか展開ですので、興味のある方は、自分で研究してください。


 5) そこで、チェロの一番低いC弦で、平均律の半音階づつ上げた値と、弦の比の分数値と振動比を表示します。

   ハ調で    弦の長さ比  それを少数で   2¹/¹²を乗じた値 振動の比  振動数(ヘルツ)

   ド       1         1          0.9948      1        66

   レ       8/9      0.8888      0.8870      9/8       74.25        この間1音

   ミ       4/5       0.80        0.7909      5/4      82.5        この間1音

   ファ      3/4      0.75        0.7468      4/3       88         この間半音

   ソ       2/3      0.666       0.6659       3/2       99         この間1音

   ラ       3/5      0.600       0.5982       5/3      110        この間1音

   シ       8/15     0.5333      0.5295      15/8      123.75       この間1音

   ド       1/2        0.50         0.500        2        132        この間半音


 6) G弦(ソ)は、C弦(ハ)の2/3の位置のソに開放弦を合わせ、振動数は、1.5倍です。カッコ内は(弦の長さ、振動数)です。

    G弦(ソ)は、ソ(1、99)、ラ(8/9、110)、シ(4/5、123.75)、ド(3/4、132)、レ(2/3、148.5)、ミ(3/5、165)、ファ(4/7、176)、ソ(1/2、198)です。


 7) D弦(レ)は、G弦(ソ)の2/3の位置のレに開放弦を合わせ、振動数は、1.5倍で、C弦(ド)の2.25倍の振動数です。

    D弦(レ)は、レ(1、148.5)、ミ(8/9、165)、ファ(5/6、176)、ソ(3/4、198)、ラ(2/3、220)、シ(3/5、247.5)、ド(4/7、264)、レ(1/2、297)です。


 8) A弦(ラ)は、D弦(レ)の2/3の位置のラに開放弦を合わせ、振動数は、1.5倍で、C弦(ド)の3.375倍の振動数です。

    A弦(ラ)は、ラ(1、220)、シ(8/9、247.5)、ド(5/6、264)、レ(3/4、297)、ミ(2/3、330)、ファ(7/11、352)、ソ(4/7、396)、ラ(1/2、440)です。

 9) ここでの振動数は、A弦(ラ)の1/2の位置のラの振動数を440ヘルツ(1秒間の振動数)として、書いています。


10) 代表的な和音ドミソは、G弦で、弦の長さと振動数を表すと、ド(1、66)、ミ(4/5、82.5)、ソ(2/3、99)で倍音が共鳴します。

   さらに、和音ファラドは、ファ(3/4、88)、ラ(3/5、110)、ド(1/2、132)で倍音が共鳴します。


11) 私のチェロは、指板の右または左に、白いマジックで、印を付けています。まず弦の長さが1/2 の点です。ここは1オクターブの点ですから、重要で印が付いているので、目だけでポジショニングが可能です。

12) 次に重要な点は、3/4の点です。例えばG弦のド(3/4、132)は、隣のC弦の(1/2、132)と同じ高さで、C弦の開放弦のいオクターブの高さになり、共鳴します。この点は、開放弦から半音で5度上がった点でもあります。

13) つぎに重要な点は、2/3の点です。例えばC弦のソ(2/3、99)は、隣のG弦の解放弦の高さで、共鳴します。半音で7度上がった点でもあります。

14) さらに、A弦については、5/12の点は、ド(5/12、528)です。1/3の点は、ミ(1/3、660)です。1/4の点は、開放弦のラに対して、2オクターブ高いラ(1/4、880)です。 これらの点はチェロのハイポジションの点で、指板の左側に印を付けます。

  

    以上のことをチェロの指板上で、整理しますと、以下のようになります。〇印は間にある半音階の位置です。音階はハ調です。

              8/9  4/5    2/3  3/5  9/17 

          1    17/20 3/4    7/11 4/7  1/2   5/12      1/3         1/4            ← 弦の長さ

    A弦   ラ 〇 シ ド 〇 レ 〇 ミ ファ〇 ソ 〇 ラ 〇 シ ド 〇 レ 〇 ミ ファ〇 ソ 〇 ラ

    D弦   レ 〇 ミ ファ〇 ソ 〇 ラ 〇 シ ド 〇 レ

    G弦   ソ 〇 ラ 〇 シ ド 〇 レ 〇 ミ ファ〇 ソ                                 →  bridge

    C弦   ド 〇 レ 〇 ミ ファ〇 ソ 〇 ラ 〇 シ ド

                                         (第6回) 


概念アラカルト(その5)

2016-07-16 09:36:38 | 教育

  概念アラカルト(その5)    概念研究家   五十嵐玲二談

 20. 指数と対数 (exponet and logarithm) 大きな数を表す

 大きな数を表すために、指数を使います。(以下は佐藤敏明著「指数・対数」により)

 10 × 10 × 10 × 10 × 10 × 10 × 10 × 10 = 10⁸ = 1億 というように使っています。


 次に、地球の重さは、5.97 × 10²⁴ Kg です。(本来は10の後にゼロを23個書くべきですが、省略します)

 江戸時代の和算書の一つ吉田光由(みつよし)によって書かれた「塵劫記」(じんこうき)に、大きな数の命数法(めいすうほう)が書かれています。

 10⁴ : 万、10⁸ : 億、10¹² : 兆、10¹⁶ : 京、10²⁰ : 垓(がい)、10²⁴ : 杼(じょ) …… とあります。

 従って地球の重さは、5杼9千7百垓 Kg となります。


 次の例はちょっと面倒ですが、面倒がっていては、数学を学ぶ資格はありません。面倒なことを簡単にするのが、数学なのですから。(偉そうですが、私の意見です)

 「北半球から肉眼でも見られるただ一つの銀河系外星雲であるアンドレメダ星雲までの距離は、地球から200万光年といわれている。それでは、地球からこの星雲まで何m離れているか。」

 1光年は、光が一年間で進む距離である。光は、1秒間に 3×10⁸ m進むことがわかっている。

 一日は24時間で一時間は、3600秒で、一日は、2.4×10× 3.6×10³ = 8.64×10⁴ 秒です。

 200万年は、2×10⁶ × 3.65 × 10² = 7.3 × 10⁸ 日です。

したがって、この三つを掛け合わせると、3×10⁸ m/秒 × 8.64×10⁴ 秒/日 × 7.3 ×10⁸ 日 = 1.89 × 10²⁴ m です。

 つまり、約18.9垓Km離れていることがわかります。(ここで、指数部分の計算は足し算になって、いることが重要です)


 次の例は、西洋(世界標準)での大きな数と小さな数です。

 10、da、デカ ; 10²、h、ヘクト ; 10³、K、キロ ; 10⁶、M、メガ ; 10⁹、G、ギガ ; 10¹²、T、テラ ; 10¹⁵、P、ペタ ; 10¹⁸、E、エクサ

 このように、10の三乗ごとに、名称があるため、1,000,000というふうにカンマを打ちます。

 10⁻¹、d、デシ ; 10⁻²、c、センチ ; 10⁻³、m、ミリ ; 10⁻⁶、μ、マイクロ ; 10⁻⁹、n、ナノ ; 10⁻¹²、p、ピコ ; 10⁻¹⁵、f、フェムト ; 10⁻¹⁸、a、アト となります。  


  指数法則と対数の関係

 10² × 10⁴ = 10⁶    2³ × 2⁵ = 2⁸     これらを一般化すると 

 aのm乗 × aのn乗 = aの(m+n)乗    すなわち、指数部分は足し算になります。 

 8=2³ は log₂8=3となり、10000=10⁴ は log₁₀10000=4  これをlog、対数(ロガリズム)と呼びます。 

 これを一般化すると 

 M = a のp乗 は、logaM = p と表せます。   これを言葉にすると、Mはaの何乗か イコール p です。 

 logaM : aを底とするMの対数、M : logaMの真数 と言います。 

 

 対数の3つの性質 

 logMN = logaM+logaN   すなわち掛け算 MN が足し算 logaM+logaN になります。 

 logaM/N = logaMーlogaN    すなわち割り算 M/N が引き算 logaMーlogaN になります。 

 logaMのk乗 = k logaM     すなわちMのk乗がlogaMのk倍になります。

 

 化石の年代測定について、考えてみます。 

 発見された、マンモスの体毛に含まれる炭素のうち、放射性炭素14Cの割合は1.320×10^(-13)であった。  

 放射性炭素14Cは半減期5730年で14Nにβ崩壊する。大気中の二酸化炭素に含まれる炭素のうち、放射性炭素14Cが占める割合は1.200×10^(-12)であり、この割合は時間の経過に関わらず一定である。 

 1.32×10⁻¹³ ÷ 1.2×10⁻¹² = o.11   (Y年経過後の14Cの12Cに対する率 / マンモスが生きて時の14Cの12Cに対する率) 

 半減期は、5730年で半分に、5730×2年で1/4に、5730×3年で1/8になります。 

 すなわち、経過した半減期をN回とすると 

 log[1/2]0.11=3.184 

  したがって、マンモスが生きていたのは、 

 5730×3.184=1.82×10⁴年前、 すなわち、1万8千年前です。 (第5回)



概念アラカルト(その4)

2016-07-13 10:45:59 | 教育

  概念アラカルト(その4)    概念研究家   五十嵐玲二談

 17. 資本主義 キャピタリズム (capitalism)

    capital (資本)+-ism = 資本主義

 資本主義を辞書で引いても、資本主義を理解するのは、むずかしいと私は感じました。それで私が考えた方法は、もっとも資本主義の根幹をなすもは何か。

 それを提示することによって、資本主義とはの輪郭が浮かび上がると考えました。私が考える資本主義の根幹をなすものは、結論から言いますと、お金(資本)と株式会社と商品(サービス)と信用です。

 資本主義の社会は、基本的に株式会社(個人でも有限会社でも構いません)によって、商品、サービスを提供し、利益(お金、資本)を得ることによって成り立ちます。

 この時、株式会社は、社会が必要とするものを的確に提供して、利益と社会的信用を獲得して、資本主義社会の機能の一端を分担します。

 資本主義は資本(お金、利益)を中心にした社会活動ですが、ここでもっとも重要な要素は信用です。例えば、国家が発行した紙幣に対する信用、取引に関する様々な信用、商品やサービスに対する安全性や信頼がなければ、すべては崩壊します。

 企業が株式会社であり、上場されることによって、その企業活動の透明性が高まり、社会的信用も向上します。

 国家は、軍備を持ったり、インフラを整備したり、都市の安全を守ったりしすが、それらは、企業や個人に経済活動の基盤に於いて、徴収さた税によって賄われたものです。

 したがって、私は、資本主義の根幹は、すぐれた上場企業の活動と信用であると確信しております。


 (18)   進化論 (the theory of evolution)    (進化論を説明する前に)


 進化論を説明する前に、私と進化論のかかわりを説明いたします、従って、この部分は飛ばして結構です。次の(19)で本題に入ります。

 私は、進化論を知るには、ダーウィンの名著「種の起源」を読めば解かるだろうと考え読んでみました。でも私にはそんな名著どころかむしろ退屈な読みものでした。

 ダーウィンの「種の起源」は、15の章からなり、480ページほどの本です。第1章 飼育下での変異 第2章 自然下での変異 第3章 生存競争 第4章 自然淘汰、すなわち最適者の生存 第5章 変異の法則 第6章 この理論の難点 第7章 自然淘汰の理論に対する種々の反論 第8章 本能 第9章 雑種性 …… 。

 ダーウィンが、種の変異について考えるきっかけとなったのは、博物学者として、イギリス軍艦「ビーグル」(Beagle)に乗って、世界一周の旅に出て世界の動植物を観察したことが大きいと考えられます。

 世界一周の旅は、ダーウィンが23歳の1931年十月(出発は、12月)から、1935年十月の丸4年の期間であった。その後ダーウィンは、長い研究の後、1959年51歳のとき、種の起源を発表した。(私たちが目にするのは、1872年に発表された第6版です)

 ダーウィンのことを知るには、「ダーウィン伝」 (駒井卓著 昭和7年発行)に詳しく興味深く書かれています。


 ダーウィンは種についての、種内での変異について深く考察し、自然淘汰と最適者生存に到達しました。進化論は最初、あくまでも生物分類の延長線のものでした。

 しかし、生命科学の発展の中で、特に遺伝子に関する知見が明らかになった現在では、生命の誕生から、革命的進化についても、進化論はその任を担ってます。

 本ブログでも、取り上げましたニック・レーンの「生命の飛躍」(ブックハンター78.)に書かれています。

 「生命の飛躍」は、十の章で書かれてます。それは、生命の誕生、DNA、光合成、複雑な細胞、有性生殖、運動、視覚、温血性、意識、死の十章です。

 私が、生命進化についてもっともわかりやすいと感じたものは、本ブログでも取り上げました、石城謙吉著の「たぬきの冬」(ブックハンター74.)の中での進化論についての部分です。

 石城謙吉はおそらく生物進化について、何百、何千という書物を読んで、自分でイワナや鳥類やエゾタヌキについて観察し、考察した結果到達した結論だと思います。

 では私と一緒に、生物進化の深い森に足を踏み入れてみましょう。


 (19) 進化論 (the theory of evolution)  (たぬきの冬 石城謙吉著 1981年発行より)


 『 生物の世界の体系的把握の試みは、遠くギリシャ時代にさかのぼることができる。

 紀元前四世紀のギリシャ最大の哲学者の一人アリストテレスは、本質的に性質が似ている個体の集まりを種(eidos)とし、また互いに似た種の集まりを属(genus)として、五百種類の動物の記載を行なっている。

 しかし、広汎な生物界の分類という壮大な仕事に挑み、はじめて大きな仕事をなしとげたのは、十八世紀のスウェーデンの偉大な博物学者C.リンネである。

 彼は大著「自然の体系」(Systema Naturae)と「植物の種」(Species Plantrum)によって、一万種を超える動植物の記載を行なうとともに、界、綱、目、属の分類段階を採用してこれらを整理した。

 つまり、生物のもつ普遍性と独自性をこれらの諸段階でとりあつかうことによって、彼は複雑きわまりない生物の世界を把握しようとしたのである。

 だが、その後さまざまな分野での分類の仕事が進み、資料の集積が行われるにつれて明らかになってきたのは、あまりにも多様で普遍的な種内変異の実態であった。

 その結果、分類学者たちは、種が全生物界を組織しているという見方を捨てるか、それとも種内の多様性を許容して認めるかの選択を迫られることになった。 』


 『 生物学は種内変異の問題を直視せざるを得なくなってきたのである。そこで、この変異性の問題に真向から取り組んだのが、十九世紀のC・ダーウィンであった。

 彼はリンネとは逆に、変異性をあらゆる生物が持つ、もっとも重要な属性のひとつととらえ、この変異性とそこに働く生存競争をもとにしてこの選択(淘汰)が、生物に進化をもたらしてきたのだと考えた。これが彼の自然淘汰説である。

 生物の種が均質であるとともに恒久的なものであると考え、だからエホバの神が造り給うだけの数の種が存在するとリンネは考えていた。

 それとは逆に、ダーウィンは生命の種は基本的に不均一なものであると考え、そしてそれゆえに、少数の下等な生物から多数の高等な生物へと進化してきたと考えたのである。

 彼の進化論は、生物進化の基本単位をあくまでも種におくところから構築されたものであった。ところが、その種の輪郭がぼやけていて、そのはしはしで他の種に連続しているように見える。

 このことは、彼にとって、けっして喜ばしいことではなかったのではないかと思われる。

 生物の種が分類の便宜のための人間の思惟の産物ではなく、実在する生物界の構成単位であり、しかも多様な変異を内包しつつも明瞭な輪郭をもって互いに接し合っているものである。 』

 

 『 このことを、形態面だけでなく生態や生理や遺伝などの面をもふまえて論ずる生物学が現れてきたのは、一九四〇年代にはいってからのことである。 

 アメリカの鳥学者マイヤーは、さまざまな鳥の種類がみなそれぞれに分布の限界をもっていて、いつとはなしに他の類縁種に移行しているようなことは実際にはほとんど見られないことに気づいた。

 このことから彼は、生物の種が明瞭な輪郭をもって自然界に存在するものであり、類縁種は互いに隔離の機構によって独立してると主張した。

 隔離とは、近縁な生物の集団がお互いに交配されることのない別々の繁殖集団に分かれることである。

 この隔離には異所的隔離、つまり集団が互いに隔たった地理的分布域をもつことによる隔離と同所的隔離、すなわちお互いに同じ地域内に住みながらいろいろな機構によって交雑が妨げられるものとがある。 』 (第四回)


概念アラカルト(その3)

2016-07-08 13:25:29 | 教育

  概念アラカルト(その3)   概念研究家 五十嵐玲二談

 10. 微分 デファレンシャル(differential)

  difference (相違)+al = 区別を示す、特異な、微分の

 今、45度の角度で、ボールを投げた時、縦軸に高さを、横軸に時間をとって、グラフを書きます。すると、最初は上昇しますが、最高点に到達すると、今度は落下し、万有引力で加速され、地上に落下します。

 このグラフで、接線が高さ方向の速度です。最高点に達した時、高さ方向の速度は一瞬ゼロになり、つぎに下方向に加速されて、地上に落下します。

 万有引力を発見したニュートンは、微分積分をほぼ現代の形にしました。ニュートンは、地球の周りをまわっている月が落ちないのは、接線方向に飛び出そうとする遠心力と地球が月を引っぱる万有引力が釣り合っているためだと考えました。

 このことは、太陽の周りをまわる地球にも、地球の周りをまわる人工衛星にも適用されます。しかしながら、万有引力は、重力であることは解かっていますが、重力のなんたるかは不明です。


 11. 積分 インテグラル(integral)

  integr (整数)+al = 不可欠な、全体の、積分の

  今、走っている車の速度を縦軸に、時間を横軸にとって、車の動きを描くと、一つの曲線が描かれます。

  この曲線は、出発時点を時間軸ゼロとして、アクセルを踏んで加速していきます。すると右肩上がりの曲線になります。

  この曲線に接線を引く、(その時の速度の変化をみる、すなわち微分すると)加速度が得られます。

  この曲線の出発点から、ある時点(T)において、垂線をたらしたとき、囲まれた面積、(すなわち、0からT時点までを積分すると)走った距離が、求められます。

 速度を微分すると、加速度が得られ、速度を積分すると距離が求められます。逆もまた真なりです。私もイメージとしてしか理解してませんが、微分積分はどこまで行っても、謎のような気がします。私も勉強中のつもりです。


 12. 文化  カルチャー (culuture)

  calt-(耕された)+ -ure(もの) = 文化、教養、耕作

  文化と文明について、考えてみます。文化は言葉に対応し、文明は文字に対応します。話言葉は、すべての民族にそれぞれの言葉が存在します。文化もすべての民族、地方で独自の文化が存在します。

 一方、文字は、文明であり、数カ所の都市で発生したものが、引き継がれて発展し、現在は、アルファベット、漢字、アラビア文字、ブラーフミー文字(インド語系)などがある。(シュメールの楔形文字に触発されて生まれたとも言われている)

 文化は、人々が生活するためのすべてに於いて、引き継がれて発展しますが、文明は、大きな歴史の流れの中から、生まれ、その中で、発展します。

 

 13. 文明 シビリゼーション(civilization)

  civilize(啓蒙する) + -ation = 文明

  文字、鉄器、優れた農産物(小麦、米、トウモロコシ、大豆、ジャガイモ)、貨幣、数学、音楽、科学技術、蒸気機関、自動車、飛行機、船舶、ガソリンエンジン、ジーゼルエンジン、発電機、モーター、ジェット機、ロケット、コンピュータ、集積回路、ネットワークシステム、医薬品、兵器、株式会社、都市……などが文明の産物です。

 これらは、都市文明の中で生れ、発展し、人々を文明の流れの中に、巻き込んでいきます。文明は、水の惑星地球にとっても、私たちにとっても、もろ刃の剣でもあります。


 14. プラシーボ (placebo) 偽薬

  プラシーボ効果とは、薬効成分を含まないプラセボ(偽薬)を薬だと偽って投与された場合、患者の病状が良好に向かってしまうような、治療効果を言う。プラシーボの語源はラテン語の「喜ばせる」に由来している。

 これは、生理的にも心理学的にも、もっとも奇妙な現象で、暗示効果で痛みなどの主観的な症状には効いても、血液検査などの検査値には関係ないと思われがちだが、その検査値すら変わることもある。

 私たちは、本質的に病気は自分の力で治すことができる。単に病気は治ると信じているからだ。言い換えれば、自分に暗示をかけて健康を取り戻すことができる脳の底知れない力を証明しているのだ。

 近年、医者たちは、ハロウィンのキャンディのように抗うつ剤の処方箋をばらまいてきた。薬のおかげでうつ病が抑えられる確率が高いからだ。しかし、偽薬でも同じ効果があらわれ、有害な副作用も減らせるという研究が注目を集めている。

 当然のことながら、大手製薬会社はこの発見を重要視していない。抗うつ剤でなくてもうつ病が抑えられるとなったら、多大な損失をこうむるからだ。

 一方で、精神疾患に苦しむ人たちにとっては朗報となるかもしれない。病は気からであって、薬の助けをかりなくても、回復することができることを示しているからだ。 (パラカイヤより)


 15. ポテンシャル (potential)

  potent-(能力、力)+-ial(…関する)= 潜在力

  ここで言うポテンシャルは、可能性を秘めた 〔 力、資源、能力 〕です。

  たとえば、子供のポテンシャル(秘められた能力)を持っていますが、しかるべき時に開花させなければ、その能力は開花することなく失われます。

  緑の地球のポテンシャルは、計り知れませんが、熱帯雨林も、サンゴ礁も、マングローブの森も、豊かな草原も、豊かな海の幸も、地下水も、それぞれのサスティナビリティ(持続性)を考えて、その恩恵を享受しなければなりません。

 すなわち、ポテンシャルは秘められた力であり、資源であり、能力ですが、その可能性が失われないように、よく観察し、もし失われたら、二度と戻らないことを、よくよく考えなければなりません。

 

 16. チョイス (choice) 選択

  ここで言う選択とは、未来に対して、自分がいくつかある選択肢の中から、どれを選択するかということです。しかし、未来は誰にも分りませんが、選択する前に、それぞれを選択した時の、未来での結果を予想します。


 シーナ・アイエンガーは、「選択の科学」(The art of Choosing)の中で、選択によって道は開けると書いています。


 選択について、私は三つの課題を提示します。

 一つ目は、選択するタイミングです。選択をすべき最適な選択肢は、無論ですが、選択すべき最適な時点、すなわち、チャンスはその時点では、見えませんので、ぼやっとしているとチャンスは消えてしまいます。

 二つ目は、選択肢は自分で努力しなければ、選択の自由は得られません。

 三つ目は、窮地に立たされてからの選択肢は、前門の虎、後門の狼で、そこには選択自由はすでに残されていません。


 自分で選択肢を獲得するには、自分の得意な分野を伸ばし、自分の力を発揮する場が必要です。

 一般に、選択の時期は、ピークがあり、その後減少し消滅しますが、プラスの方向に回転し始めると、つぎにはより大きなチャンスが訪れます。


 選択に於いて、意外に重要なことは、小さな選択を積み重ねて、大きなチャンスを呼び込むことではないでしょうか。

 例えば一食一食を大切にし、こまめに働いて、よく歩き、現状をよく観察し、地道な努力をするとき、未来へのチャンスの扉が見えてくるのではないでしょうか。 (第3回)


概念アラカルト(その2)

2016-07-03 09:03:52 | 教育

 概念アラカルト(その2)   概念研究家 五十嵐玲二談

 6. エコロジー(ecology)

 生態学。生物と環境との関係や、生物相互の関係を研究する学問。

 

 生態学は自然の中での集合としての生物を対象とする生物学であると言ってもよく、その意味では非常に古い伝統を持ちます。第二次世界大戦前(1940年)まで、私たちは、地球のポテンシャル(包容力)は、無限大と考えていました。

 しかし、人類が原爆を手に入れ、フロンガスでオゾン層を破壊し、人工衛星で水の惑星地球をそのまま画像で見る時、地球温暖化が私たちの直接の問題として降りかかる時、エコロジーは単なる生物学の問題ではなく、私たち人類を含む問題となりました。

 

 人類は、産業革命以降、石炭、石油、天然ガスを使用して、船舶、車、ジェット機によって地球はますます狭くなり、さらには排出される炭酸ガスの温室効果、原子力発電所の温排水、熱帯雨林の減少、森林火災、泥炭火災によって、急激な地球温暖化が発生しました。

 その結果、山頂付近の氷河が消失し、タイガの永久凍土が融け出し、北極海の海氷が減少し、……。

 この結果、海面は上昇し、海水温は上昇し、その熱エネルギーによって、より強力な台風やハリケーンが発生し、大きな高波によって河口の肥沃なデルタ地帯は、甚大な被害を受けることになります。

 

 これからは、人間の都合に合わせるのではなく、地球環境(エコロジー)を優先させなければ、私たちの未来は失われます。過去に絶海の孤島イースター島で、森の木を伐り尽して、船さえも造ることができずに、島民が絶滅したました。

 このような悲劇が、水の惑星地球に於いて、過放牧による砂漠化、塩害、農薬汚染、地下水の枯渇、海面上昇による水没、……。これからは地球環境を最優先にして、人類の英知を結集して、未来を切りひらかなくてはなりません。 

 

 7. ジレンマ(dilemma) (ディレンマ)

 板挟み。どちらとも決めかねている状態。 難問、窮地。

 di-(2つ)+ -lemma (想定)=二つの想定を抱えている。 (ギリシャ語 dilemmatos が語源)

 

 私は、長い間ジレンマは、日本語だと思っていました、「焦れる(じれる)」と「魔がさす」が合体して。「じれんま」となったのかなと思っていました。

 

 (1) イギリスのEU脱退のジレンマ

 イギリスは、EUに加盟していることで、安い賃金で優秀な移民が流入して、経済も活性化されます。反面、自分の職が奪われる危険性を孕んでいます。

 イギリスがEUから脱退し、関税障壁により、イギリスへの企業の進出が減少し、優秀な人材が流入することで活性化していた経済が、衰退し、更に失業が増える結果になります。国民投票によって、このジレンマは、更に拡大し、混迷してます。

 

 (2) 抗生物質の耐性菌に対するジレンマ

 抗生物質は、非常に有効ですが、使う場合は、完全に治すこと。効かないときはすぐに使用を中止する。安易には使わない。

 これらのことを人間に於いても、家畜に於いても守らないと、耐性菌ができて薬が効かなくなります。抗生物質は常に、耐性菌との闘いです。

 

 (3) 女性の高学歴、高収入のジレンマ

 女性が高学歴になると、結婚年齢が遅くなり、出産適齢期が短くなり、高収入になると結婚相手の対照が減少します。このことをあらかじめ知っていれば、女性が高学歴、高収入は、歓迎すべきことです。

 

 8. ストラクチャー(structure)

   構造、構成、組織、機構、組み立て、構文

   建物   、 (生物)形態  、 化学構造  、 (地質)構造

   struct-(積み上げる)+-ure(…こと)

 

 (1) 自動車の構造

   動力発生系 ―― エンジン、燃料供給系、点火系、エンジン冷却系、排気系

   動力制御系 ―― ハンドル、アクセル、クラッチの各制御系

   快適空間系 ―― タイヤ、サスペンション、座席、窓、ワイパー、ボデー、エアコン

   電気系    ―― モーターによる可動系、発電機系、蓄電(バッテリー)系

 自動車を生産するには、これらを各パーツ(部品)に分けて、これをモジュールごとに組み立て、そのモジュールを結合して、自動車とする。この部品単数が、その機械の複雑さの一つの尺度となる。ちなみに自動車の部品点数は、2,3万点です。

 

 (2) 分子構造

   分子構造は、ベンゼン核の六角構造や遺伝子のDNA二重螺旋構造が、有名です。しかし分子構造は、分子模型のように静的なものではなく、以下のようなものです。

 分子の構造は、構成する原子の電子雲による斥力と化学結合による引力との均衡により決定づけられます。そして、分子を構成する原子は内部エネルギーにより振動しているもので、分子構造の示す位置は平均的な重心位置です。

 分子構造を調べるには、規則性のある構造を持つ試料で、波動の干渉作用によるX線回析、中性子回析、電子回析などによって、間接的に類推されます。(私も良くは理解してませんが、イメージとして捉えてください)

 

 (3) 言語の構造

  単語(言葉)が存在し、これを発音するには、音韻(読み)が必要です。言葉を書き表すには、文字が必要です。単語は、名詞、動詞、形容詞、副詞、接続詞などの品詞に分類されます。

  単語は、句や節や文をつくりますが、この時の法則が、文法です。これらによって、文は、一定の意味をもち、他者とのコミュニケーションが成立します。

  すなわち、言語は、単語(言葉)、音韻(読み)、文字(書き言葉)、品詞、文法、句、節、文章、意味(コミュニケーション)から、構成されます。

 

 9.  レスポンシビリティ(responsibility)

  義務履行能力、支払い能力、責務


 レスポンシビリティとアカウンタビリティ(宮 直史ブログより)

 かつて会計を学び始めた頃、会計の役割について「レスポンシビリティ( responsibility )」と「アカウンタビリティ( accountability )」という言葉で教えを受けました。

 いずれの言葉も「責任」や「責務」と訳されますが、レスポンシビリティが一般的な責任の意味で使用されるのに対し、アカウンタビリティは説明責任の意味で使用されます。

 しかしながら、この二つの責任は決して別々の概念ではなく、他人から依頼を受けた者はその依頼されたことに対して責任(レスポンシビリティ)を持ち、その責任を果たす過程や結果について説明する責任(アカウンタビリティ)を負うというように密接に結びついています。

 隠す、誤魔化す、騙すという行為はアカウンタビリティとは相容れないものですが、形ばかりの説明もアカウンタビリティを果たしているとはいえません。

 また、おざなりの説明を聞かされて唖然とすることがありますが、それはアカウンタビリティの前提としての責任感(レスポンシビリティ)が欠如していることを意味します。アカウンタビリティを果たしたかどうかを判断するのは、あなたではなく、相手です。


 たとえば、新たな資金を調達する場合も、相手によって関心は異なります。銀行であれば融資の回収の確実性、ベンチャービジネスなど株式公開を前提とする直接金融ならビジネスの今後の展開、ソーシャルビジネスなど株式公開を前提としない直接金融なら調達したお金の使われ方が社会的に意義あったことの確認・・・
 相手の関心に応じてアカウンタビリティを的確に果たすことが、信頼関係を深める前提です。 (第2回)


概念アラカルト(その1)

2016-06-29 10:38:21 | 教育

 概念アラカルト(その1)     概念研究家  五十嵐玲二談

 概念アラカルトとしましたのは、私が役に立つと思われる概念、それが物事の本質を捉えていると考えられる言葉を、ランダムに書いていきます。

 本当は、概念辞書としたかったのですが、思いつくままに書くためアラカルトとしました。ア・ラ・カルト〔a la carte〕フランス語で”献立表から自由に選んで注文する料理”のことだそうです。

 学問とは、名著によって、優れた概念を習得することでもあると考えてます。とにかく思いつくままに書き始めます。


 (1) セエレンディピティー(serendipity)

 思いがけない発見。 

 現在この言葉は大衆メヂィアによって、幸運、偶然、あるいは出来事の幸運な展開といったゆるい意味で使われている。しばしば知性というファクターが抜け落ちていることがある。

 セレンディピティは、準備された心によって、予期せぬ観察が、求めていなかった何かに到達すること、あるいは何かを発見し、価値あるものになることを意味する。 

 幸運な偶然(チャンス)というだけでは発見には結びつかない。判断力を伴った偶然でなくてはならない。 

 ルイ・パスツールの有名な言葉「観察において、チャンスはよく準備された心にのみ微笑む」の限りにおいては、セレンディピティはチャンスと同義に扱われている。 (セレンディピティと近代医学 モートン・マイヤーズ著より)


 (2) エントロピー (entropy)

  1) 変化した熱量を絶対温度で割ったもの

  2) 統計力学的には、乱雑さの度合いを表し、確率の大きい方に向かう

 乱雑さ、無秩序、混沌、使用不可能なエネルギー量であり、ある系に於いて、自発変化(Spontaneous change)外部から何ら仕事を加えなくても起こる変化。

 たとえば、ビーカーに入った水に水溶性のインクを1滴たらすと、インクは全体に広がり薄まる。しかし、その反対に薄まったインクが集まって1滴のインクになることはない。

 又別の例として、白い米1Lと赤い米1Lを仕切りのある箱に、それぞれを左右に入れて、仕切りをゆっくりと引き上げると左に白い米1Lと右に赤い米1Lとして存在する。

 これをゆっくりと揺するとしだいに、ピンクの米2Lとなり、白い米粒と赤い米粒は混ざり合う。いくらゆすっても元の白い米と赤い米が左右に分かれることはない。

 S=KbInW 微視的状態の数(確率)Wの自然対数に比例する
       Kbは、ボルッマン定数 1.381*10‐23JK

 ΔS=KbIn(P2(状態2の確率)/P1(状態1の確率))
 すなわち、稀な確率P1から、より大きな確率P2へすなわちエントロピーΔSは不可逆的に増大する。

 一方熱力学的なエントロピーの定義は
 ΔS=dQ/Trev >= dQ/T 系に出入りした熱QをTrev(可逆) 融解や蒸発の絶対温度で割る

 エントロピーは、本来は乱雑な、無秩序な方向に向かい、太陽からの光エネルギーを受けても、単に温度があがるだけで、秩序ある方向へは向かわないというのが、エントロピー増大の法則である。

 しかしながら、地球は、水と生物と太陽によって、熱力学の第二法則が存在しているにもかかわらず、エントロピーに逆走しているように見える。 (地球と太陽と水と生物のエントロピー逆走物語) より

 私は、エントロピーについて書いていますが、私もイメージとしては理解しているつもりですが、それ以上のことは、現在も勉強中です。


 (3) サステイナビリティ (sustainability)

 sustainable 〔形〕 ”持続可能な” から、sustainability 〔名〕となり、”環境を破壊することなく資源利用を持続することができること” とあります。

 私が以前に書いた「里山文化での地球村サステイナビリティの模索」から、サステイナビリティについて考えてみます。 

  要旨 

 近代文明は、20世紀まで石油資源、金属資源、森林資源、水資源を利用して、科学技術力によって、今日の繁栄を見た。

 21世紀に入って、人口圧、塩害圧、過放牧圧、温暖化圧が増大してきたために、地球生態系の負荷を減らす方向に科学技術及び近代文明の舵をきる必要が生じた。 

 地球生態系の負荷を減らすためには、人間社会を生態系と切り離すのではなく、人間社会を生態系の一部分と考え、生態系の恩恵を受けると共に、人間の社会が生態系に貢献しながら、より高い文化を育む道を選択すべきであろう。 

 日本の里山文化は、千数百年に渉って、地球生態系と共存してきた。 しかしながら、日本人にも忘れ去られようとしている里山文化をもう一度科学的に、生態学的に、国際社会的に再構築し、21世紀の地球村に活用する方法を模索する。

  ここで、里山文化とは何か、主要な要素について考えてみる。

 ①    里山そのものすなわち、薪、炭材、下草、落ち葉の供給源であり、奥山を含めて、水源涵養林としての里山。 

 ②    里の田、畑で作られる稲作文化、さらに麹によって加工され、味噌、醤油、米酢、日本酒を含む醗酵文化。 

 ③    里山の教育を担った寺子屋文化は読み、書き、そろばんを基本として、さらには和算や、種子島に伝来した鉄砲を見て、自力で火縄銃を開発する高い学術のレベルを持っていた。 

 つぎに、里山文化を地球村で、生かすための試案を試みる。 

 a. 日本語をあらゆる手段で、国連の公用語として承認させる。これによって、日本語を通して、世界の文化と言語を学ぶ。 

 b. 日本人及び日本の若者が里山文化を研修し直して、進化させた日本文化を武器に、世界の若者と交流しながら、世界の地球村に新しい里山文化を作る。 

 c. 寺子屋文化は、数百年間に亘って文盲とは無縁であり、日本語は、漢字、ひらがな、カタカナ、英数字という可溶性、可読性、識意性にすぐれているため地球村の識字率の向上に貢献できる。


 (4) カテゴリー(category)

 人間が物事を認識する際のもっとも根本的、一般的基本概念。

 ① 範疇、種類、区分、部門

 ② 〔哲学〕範疇、カテゴリー

 ③ 〔生物〕門、科

 たとえば、生物は、次のドメインに分類されます、真核生物、細菌、古細菌。

 さらに、真核生物ドメインは、次の界に分類されます、動物界、植物界、菌界。

 動物界は、次の門に分類されます、脊索動物門、棘皮動物門、節足動物門、輪形動物門、棘胞動物門、海綿動物門、……。

 私たちは、脊索動物門から脊椎動物亜門にさらに、哺乳綱に分類されます。私たち人類は、哺乳類であり、脊椎動物なのです。

 植物界は、被子植物門、裸子植物門、シダ植物門、マゴケ植物門、……に分類されます。

 生物は分類学で造られているわけでなく、分類学は、私たちが考えやすいように切り分けてますので、時代とともに変わりますし、生物は進化論によって、進化したのですが、地球上の種の数が何百万種なのか、年千万種なのかも、実は解かってはいません。

 

 (5) コンセプト(concept)  (発音は(kansept)でカンセプトです。)

 ① 〔哲〕概念 ② 発想、着想

 考え、着想 〔idea、conception、concept〕 の順に抽象度が高くなる。

 製品の基本理念。たとえば小型ジェットがどのような基本理念(concept)によって、着想され、設計され、製造されたか。

 名著に於いても、どのような concept (基本となる考え)によって発想され、どのような構成にするか、それに従って、content (目次)が作られます。

 concept = con (一緒に) + ceive (取り入れる) の過去分詞 (ラテン語)

 content = con (一緒に) + tent (含まれたもの) (ラテン語)

すなわち、本を書くにも、製品を造るにも、絵画を描くにも、concept (着想)を明確にして、そのコンセプトのどこにオリジナリティが存在し、そのどこがすぐれた点かを明確にしながら、具現化することによって、一つの形あるものになります。 (第1回) 


小学校と植物園(種苗&果樹園)で村の活性化

2009-06-23 10:40:29 | 教育

 小学校と植物園(種苗&果樹園)で村の活性化

 学校で、文字を通して学問(文化、文明)を教える。
学校で、小さくても植物園もどき物を作って、果樹園、山菜、苗木を育て、収穫し、加工を通して、自然を観察し、試行錯誤しながら、村を活性化する方法を模索する事を学ぶ。
これは、寺子屋での教育が、文字を教えながら、寺が新しい作物の種子と苗を供給し、その栽培方法を指導し、薬草の知識を伝えてきた。
 

アジア、アフリカの村を活性化するために、医療の活動に参加したら、健康な飲料水を確保しなければならない。さらに、健康のために、食物を確保しなくては、ならない。 水を煮沸して、飲むためには、薪を確保しなくてはならない。

 薪を確保するためにには、木を植えて、森を作らなければならない。
何かをするためには、何かをしなければならない、そのまた何かをするには、何かをしなくてはならない。 さらには、治安の悪い村では、武装解除をしなくてはいけない。

 小学校に、植物園を作るにしても、土地とその土地の地理的条件、植物の種子を手に入れ、十年単位の試行錯誤を継続することが必要である。小学校と植物園の実現のシュミレーションを少しでも前進させたい。