チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

ブックハンター「チェンジング・ブルー」 〔後〕

2016-02-28 09:35:21 | 独学

  107. チェンジング・ブルー 〔後〕  (気候変動の謎に迫る) (大河内直彦著 2008年11月)

  

 『 第10章 地球最後の秘境へ

 10-1南極ノアイスコア研究の幕開け  10-2 地球最果ての地、ボストーク基地  10-3 大気の化石  10-4 埃っぽい氷河期  10-5 さらに古い氷を求めて  10-6 キリマンジャロの雪

 

 第10章の説明

 ボストーク基地とは、世界初の有人宇宙飛行船「ボストーク」の名前を取って付けられた、南極のもっとも「奥深い」場所にあるソ連の基地である。東南極氷床のほぼ中央部、南緯87度、東経106度、標高3488メートルの地に1957年に建設された。

 年平均気温がマイナス55℃、最低気温にいたっては、なんとマイナス91℃(地球上で観測されたもっとも低い気温)という、まさしく「極寒の地」である。ドライアイスの温度がマイナス79℃だから、大気中の二酸化炭素も凍りつく想像を絶する世界だ。

 このボストーク基地は、海岸から1400キロメートルも離れていて、南極にあるどの基地からももっとも遠い、孤絶の基地でもある。この「地球最果ての地」において、氷床コアがはじめて掘削されたのは1970年のことだ。

 キャンプ・センチュリーでのダンスガードの研究に刺激を受けたソ連の古気候学者たちは、ここで長さ950メートルのアイスコアの採取に成功した。そのコアの酸素同位体比は、わずか400メートルの深さに最終氷期にできたと考えられる氷が存在することを示していた。

 この結果によい感触を得たソ連の研究者たちは、1980年からさらに長いコアの掘削プロジェクトを開始した。そして1984年10月には、ボストーク3Gと呼ばれる深さ2202メートルに達する歴史的なアイスコアの採取に成功したのだ。

 南極とグリーンランドの気候のもっとも大きな違いは、南極は降水量がグリーンランドより格段に少ないことである。南極大陸では、一年間に平均100ミリメートルほどの降水量しかない(雪量に換算すると年30センチメートル)。

 極域は下降気流が卓越するため、降雪が少なく、非常に乾燥しているが、気温の低さが幸いし、年々わずかずつだが積りつづけている。

 ただし、積雪量が少ないことは、古気候の研究にとって諸刃の剣だ。最大の短所は、南極で掘削されたアイスコアは年層が薄くて見にくいことである。

 アイスコアの年代を知るには、氷床の流動モデル、火山灰層との対比、年層のカウントなど多くのテクニックを駆使し、総合的に判断する必要がある。

 年層が見にくいことは、南極のアイスコアの年代決定をグリーンランドのそれよりもはるかに難しく不確実なものにしている。それに対して、最大の長所は、短いコアでも長期間の記録が得られることだ。

 たとえば、グリーンランドでは三キロメートル以上の氷床を掘削しても、たかだか過去十三万年程度しかさかのぼれない。ところが、南極では、同じ長さがあれば過去五十万年以上、場所によっては100万年近くさかのぼれる。

 さまざまな「天水」(自然界の水)の酸素同位体比と水素同位体比を測定していたハーモン・クレイグは、両者の間にきれにな直線関係を見出していた。

 ボストーク3Gの過去一六万年にわたる水素同位体比の記録とは少々雰囲気がことなっている。氷期と間氷期が明瞭にわかる、メリハリの効いたパターンを示すのだ。

 氷期の最中に極端に温暖化したダンスガード・-オシュガー・イベントのような、短期間の気候変動も見られない。海底堆積物の酸素同位体比カーブに見られるゆったりとしたパターンに、より近いと言ってよいだろう。

 グリーンランドは気候変動に敏感な北大西洋の北方に位置している。そのため、アイスコアには、北大西洋の大きく振動する気候を強く反映した古気象の記録が刻まれている。

 それに対して、南極のアイスコアは、同じ氷床ながらも、その記録はより「バックグランド的」な気候を反映している。したがって、地球の平均的な姿を見るにはグリーンランドより南極大陸の方が適していると言えそうだ。

 雪の中に入り込んだ空気は、ついに締め固まって氷の中に閉じ込められる、その気泡の中に含まれる空気の組成は、当時の大気の化学組成に一致する。

 この気泡の化学組成が詳細に分析されるのは、微量ガスの分析技術の発展を待たねばならなかった。この二酸化炭素の濃度を精密に測定したのは、ベルリン大学のハンス・オシュガーのグループである。

 その結果最終氷期の大気は二酸化炭素濃度が200ppm程度であったことを明らかにした。間氷期の大気中の二酸化炭素濃度がおよそ280ppmだから、氷期には30パーセントも減少していたことになる。

 ボストーク・アイスコアの二酸化炭素記録で特に興味深い点は、その時間変動のパターンが、氷の酸素同位体比、すなわち南極の気温変動にそっくりのノコギリ刃状であることだ。

 さらに二酸化炭素だけでなく、もう一つの重要な温室効果ガスであるメタンの濃度も、そっくりな時間変化をしてきたことが明らかにされた。二酸化炭素は温室効果ガスのひとつだから、それが最終氷期から後氷期にかけて増加したということは、それにともなって「地球温暖化」が起きたことを示唆する。

 しかし、二酸化炭素が増加しはじめるタイミングは、氷床が融けはじめた1万九千年前よりも後だ。しかも、氷床の大規模な融解は、気候変動を引き起こす外力に対して時間差をもって応答する。

 気象モデルを用いた計算結果も、二酸化炭素の濃度が200ppmから280ppmへと増えたくらいでは、気温として1℃程度の上昇にしかならない。

 このようなことから研究者たちは、大気中の二酸化炭素やメタンの濃度変動は、気候変動の「原因」でなく、気候変動にともなって地球環境中の炭素のサイクルが変化したことによる「結果」だと考えている。つまり、因果関係が逆なのだ。

 1980年代初頭から現在にいたるまで、この事実を説明するために多くの学説が登場した。たとえば、氷期に陸化した大陸棚から流れ込んできたり、大気を経由して運ばれてくる栄養塩が増加することで、海洋における生物生産量が増加したという生物ポンプ説や、氷期に深層水循環が変化して、アルカリ度が上昇したというアルカリポンプ説がある。

 さらに、エアロゾル粒子の量が、氷期にはグリーンランドも南極もともに、1~2桁も大きかったことを示している。現在に比べて、氷期の大気は桁違いに埃ぽかったのだ。 』

  

 『 第11章 気候が変わるには数十年で十分だ

 11-1  短期間に起こった気候変動  11-2 ヤンガー・ドリアス・イベント  11-3 アガシ湖の決壊  11-4 ダンスガード-オシュガー・イベント  11-5 ハインリッヒ・イベント  11-6 短期間の気候変動の原因


 第11章の説明

 気候変動が、天文学的な時間スケールよりもずっと短い時間スケールで起こってきたことは、じつはずいぶん以前から地質学者には広く知られていた。氷河時代から間氷期にいたる途中に見いだされる「寒の戻り」ともいうべき、「ヤンガー・ドリアス・イベント」である。

 これは元来、かって存在したフェノスカンジア氷床の周辺で見出される変動で、氷床の一時的な拡大や縮小を反映した地域的な気候変動だろうと長い間考えられてきた。

 しかし研究が進むにつれて、北ヨーロッパ以外でもほとんど同じ時期に、「寒の戻り」のあったことが報告されるようになる。1980年代になると、それに輪をかけるように、「ダンスガード-オシュガー・イベント」と「ハインリッヒ・イベント」と呼ばれる二種類の短期間の気候変動が見出された。

 短期間の気候変動は、場所によっては数十年という時間スケールで起こったことがわかっている。ヤンガー・ドリアス・イベント(一万二千九百年前から一万一千五百年前)のヤンガーは(若い)であり、オールド・ドリアス(一万三千五百年前からの200年間)である。

 ドリアスとは(Dryas Octopetala)というバラ科の植物に由来する。(日本名:チョウノスケソウという高山植物)

 スカンジナビア半島で採取された湖沼堆積物の中の花粉分析によって、フェノスカンジア氷床が融解しはじめると、縮小していく氷床のまわりには、まず最初にチョウノスケソウなどツンドラに特徴的な植生が現れた。

 更に気候が温暖化するに従って、ツンドラからカラマツ、モミ、トウヒなどの針葉樹へと変わっていった。ヤンガー・ドリアス期が終わると100年もしない間で気候変動が起きている。

 ヤンガー・ドリアス・イベントは、深海コンべアベルトが停止したために始まったとする。それはアメリカからカナダにあった日本の国土より広かったアガシ湖が決壊して、メキシコ湾に流れ込み、この淡水でフタをされ、濃い塩分の海水が氷らないため、深海コンベアベルトが停止したとする。

 ダンスーオシュガー・イベントは、最終氷期5万年前から1万年前までの間に13回の数十年~百年という短期間で起こる温暖化が発生する。これは氷期にオフであったコンベヤーベルトが、ダンスーオシュガー・イベント時にオンになった。

 そうして北部北大西洋に南から温かい表層水が供給されるようになり、北部北大西洋付近が大きく温暖化したというわけだ。

 ハインリッヒ・イベントとは、五万年前から一万年前の間に5回発生した現象で海底に堆積物に、方解石や赤鉄鉱などの粒子が含まれ、それらはおもにハドソン湾付近の岩石に起源をもつことを示していた。

おもにローレンタイド氷床のハドソン湾付近にあった氷床の一部が何らかの原因で大量に北太西洋にもたらされたイベントと解釈してよい。 』 


 『 第12章 気候変動のクロニクル(chronicle :年代記)

 12-1 安定した気候へ  12-2 中世温暖期と小氷期  12-3 夏のない年  12-4 小氷期後から現在、そして未来へ


 第12章の説明

 過去1万年のグリーンランドのアイスコアの記録を注意深く見ると、8200年前の70年間は酸素同位体比で2パーミル近く、気温に換算すると3℃ほど低下している。この変動は、南極のアイスコアからは見出されていない。

 これは当時かなり小さくなっていたローレンタイド氷床によって堰き止められていた湖が決壊し、ハドソン湾を経由して北大西洋に流入して、北大西洋深層水の形成を一時期、減少させたというシナリオである。

 オハイオ州立大学のトンプソンのグループが、ペルー・アンデス氷帽の標高5670メートルの地点のアイスコアを採取している。その記録は西暦1500年頃から1880年頃までの、およそ400年近くにわたる期間、気候が寒冷化したことを示唆している。これを「小氷期」と呼ばれている。

 この最も寒かった17世紀中頃は、太陽の表面の黒点が顕著に減少した時代とよく一致していた。このことから、太陽活動が気候寒冷化の究極的な要因ではないかという説が、一部の研究者の間で囁かれてきた。

 しかし、最近人工衛星による太陽観測の結果からすると、黒点数の変化による変動は、およそ0.1%と非常に小さい。このことから現在では、太陽の放射エネルギーの減少が小氷期に直接結びついたとは考えられていない。

 中世温暖期から小氷期へといたる気候変動は、私たちが現在直面している温暖化とは逆の寒冷化である。気候変動のスケールとしても少々小さめのサイズだ。

 とはいえ、小氷期という気候変動が人間活動にどのような影響を及ぼしたのかを知ることは、今後の地球温暖化で引き起こされる人間活動への影響を予測するうえで参考にもなるだろう。

 ヨーロッパ北東部では、中世に比べて耕作地面積が大きく減少した。オランダ、イギリス、イタリアなどでは、小麦の値段が上昇し、ライムギの価格が大幅に上昇した。またフランスではワインの原料であるブドウの収穫が大きく遅れる年が幾度となく記録されている。

 ペストも14世紀半ば以降にしばしば猛威をふるい、ヨーロッパの人口の三分の一にも及ぶ人々が感染して亡くなった。日本でも、寛永(1641~42年)、享保(1732年)、天明1781~89年)、天保(1833~38年)の飢饉は特に大きく四大飢饉と呼ばれている。

 東北地方で数十万人もの餓死者が出たといわれる天明の大飢饉は、1783年の浅間山の噴火とともに同年のアイスランド・ラキ火山のにともなう気候の寒冷化も一因だったと考えられている。

 しかし、享保の大飢饉は西日本での長雨と冷夏が原因で、天保の大飢饉も、天候不順にともなうコメの不作が原因と考えられている。これらがヨーロッパで記録されている気候の寒冷化と、どのような関係にあるのかは定かではない。

 日本の場合、エルニーニョなど、太平洋特有の現象がもたらす影響が大きい可能性がある。

 1783年に起きたアイスランドのラキ火山の巨大噴火は、その中でももっとも規模の大きなもののひとつである。この噴火は八ヵ月にわたってつづき、噴火した大量の火山灰は偏西風に乗って運ばれて、遠く中東シリアでも視界がかすんだという記録が残っている。

 グリーランドのアイスコアには、この噴火にともなって硫酸イオンの濃度が桁違いに大きくなったことを示す。キラ火山の巨大噴火から30年あまり経った1815年、さらに激烈な火山噴火が起こった。

 今度は、インドネシアのジャワ島のジャカルタから東におよそ1000キロメートル離れたスンバワ島のタンボラ火山が、過去1000年間で最大規模ともいわれる爆発的な噴火を起こしたのだ。

 この噴火は、1500キロメートル離れたスマトラ島でも、大砲を撃つような爆発音が聞こえてという。もともと標高が4200メートルあったタンボラ山は、この噴火で上部1400メートル分が吹き飛んだ。

 放出された火山灰の総量は150立方キロメートルにも及び、タンボラ山周辺のあった町々は、あっという間に火山灰に埋もれてしまった。当時、スンバワ島で暮らしていた、およそ一万二千人の住民のうち、生き残ったのはわずかに二十六人だったという。

 さらに、崩壊した山体の一部が海に流れ込み、高さ数十メートルにもおよぶ津波が近隣の島々を襲った。インドネシアでは、この噴火により計10万人近くの人が亡くなったと推定される。

 タンボラ山の噴火にともなう被害は、貿易風に乗ってハンガリーやイタリアに黄色や茶色の雪を降らせた。タンボラ山が噴火した翌年の1816年は、ヨーロッパや北米東海岸では記録的な冷夏に見舞われ、「夏のない年」として語り継がれてきた。

 フランスではこの年、ブドウの収穫が実質上ゼロにまで落ち込み、ワイン生産者を直撃した。 』


 『 第13章 気候変動のからくり

 13-1 線形性と非線形の共存  13-2 ヒステリシス  13-3 気候の屋台骨 


 第13章の説明

 ミランコビッチ・フォーシングという天文学的な要素は、過去に氷床の量を変化させて重要な原因の一つであることは間違いない。太陽から地球に入射するエネルギーの総量や分布が変わることによって、地球の徐々に、かつ、その変化に見合った分だけ変化した。

 すなわち、気候は「線形的に」変化してきたわけである。しかし、この線形的なメカニズムだけでは、過去数万年を通してもっとも大規模な気候変動である、氷期から間氷期への大規模な気候のシフトを直接的には説明できない。

 気候システムを構成する個々のピースの研究は確実に進展してきたものの、気候学者がそれらを組み合わせて形作りつつある屋台骨は、まだ綻びだらけで、線形性と非線形性とを兼ね備えたヒステリシスといえども、研究の途中段階における作業仮説にすぎない。 』


 エネルギー革命(1960年)以前は、気候変動の問題は、基本的には寒冷化が主たる課題であった。しかし、エネルギ革命(1970年)以降の気候変動の課題は地球温暖化に代り、現に平均気温は上昇し、世界の山岳地帯の氷河は急速に減少した。

 現に、キリマンジャロの氷河は2015年頃に消え、ヒマラヤの山々には、本来夏でも雪が降って、氷河となって麓で融けるのであるが、氷河が急速に減少している。さらには、北極海はほとんど氷に覆われることなく、北極グマの生態系が崩れつつある。(深層水循環も弱まる)

 その原因として、

 (1) 空気中の二酸化炭素の急激な増加による、温室効果。

 (2) 石炭、石油の消費による廃熱、原子力発電による廃熱効果。

 (3) 熱帯雨林の急激な減少と山火事による、木の葉による、蒸発効果、葉緑体による光合成の減少。

 (4) 緑の地球の急激な砂漠化。

 これらの課題を克服しながら、気象変動への効果的な手順を模索することが必要なのではないでしょうか。 (第106回)

 


ブックハンター「チェンジング・ブルー」 〔前〕

2016-02-21 10:13:29 | 独学

 106. チェンジング・ブルー 〔前〕 (気候変動の謎に迫る) (大河内直彦著 2008年11月)


 「 本書は、長期的な気候変動のメカニズムとそれを解明した科学者たちの物語である。本書は全部で13章立て。前半は酸素同位体比による海水温の分析からミランコビッチ・サイクルまで。

 中盤は気候における深層水循環と循環停止のメカニズム、後半は気候変動における変化率の話が中心となる。最終章で著者は気候変動はヒステリシスで説明することができるため、問題を放置することは劇的に短期間で気候変動をもたらす可能性があると警告する。

 巻末の人名索引で紹介されている科学者は65名。注だけで37ページ、図版出典一覧は別立てで6ページもある。ちなみに本文は344ページである。

 このように紹介すると大変難しい本のように思えるが、じつは説明の手つきがしっかりしているので高校生でも充分に理解できるであろう。しかし、日本人がこのような本格的なサイエンス本を書けるとは思っていなかった。

 英訳されれば外国でも間違いなく売れる本だ。スムーズな章立て、快適なスピード感、語り口のうまさ、膨大で正確な知識、非センセーショナリズム(sensationalism:世間をあおる)、過不足ない図版、丁寧な注釈と索引、どれをとってもすばらしいのひと言だ。

 本書は科学者たちのさまざまな逸話を紹介しながら、科学における知識の積み重ねという美学を教えれくれる。この本に触発された若い読者の中から何人もの大科学者が生まれるに違いないとすら思える、日本では稀な、世界にも求められうる秀逸な科学読み物である。 」 (「面白い本」 成毛真著より)

 

 各章と小見出しを紹介しながら、私が本文を引用した多少の説明を加える、というかたちで紹介していきます。

 『 第1章 海をめざせ!

 1-1 海の中に降る雪  1-2 海の底を突き刺せ!  1-3 泥に刻まれた暗号

 

 第1章分の説明 

  海の平均の深さは、3,800メートルである。最も深いところは、フィリピンの西方1,500キロのマリアナ海溝の1万1千メートルである。そして、太陽が到達する水深は200メートルである。太陽光が到達するのは海洋の表層5%たらずで、その下の95%は暗黒の世界だ。 

 陸地から1000キロも離れた遠洋の海底には、植物プランクトンの遺骸であるマリンスノーが降り積もっている、その降り積もる速度は、5千年で、10センチである。 

 

 第2章 暗号の解読 

 2-1 古水温計を求めて  2-2 古海洋学事始め  2-3 酸素同位体温度計  2-4 同位体質量分析計の登場  2-5 エミリアーニの古水温計  2-6 海水温をめぐる論争

 

 第2章分の説明

 この堆積物の中に過去の水温の情報である有孔虫の炭酸カルシウム(CaCO3)を含む。この中の酸素の質量数は16であるが、中性子が1つ多いO17が0.038%、さらに中性子が2つ多いO18が0.2%含まれている。 

 海水に溶けているカルシウムイオンと炭酸イオンとで、炭酸カルシュウムを生成する。  Ca + CO3 = CaCO3 となる。この反応は25℃の温度の時より、0℃の温度の時のほうが、O18の濃度が3.5%高い。 

 この酸素同位体のわずかな違いを捉えると過去の水温が推定できる。エミリアーニは、質量分析計を用いて、過去の水温を測定した。

 質量分析計の原型を開発したのは、アルフレッド・ニーアで、その原理は、試料をイオン化して磁場の中を通すと重いものほど曲りにくいというものである。

 エミリアーニは、カリブ海の海底コアの深さを酸素同位体比をグラフにした。それは、酸素同位体比が時代とともに変動し、かって氷期と間氷期が何度もノコギリ状に繰り返されていたことを示していた。

 氷期に生息する有孔虫の酸素同位体比が、現在に比べおよそ2パーミル(0.2%のこと)重かったことを示し、氷期の水温が八℃低かったことを示していた。

 そして、氷期から間氷期にいたる温暖化は一万年程度の比較的短時間で起きていた。(エミリアーニは、太平洋や大西洋など10地点での結果も同様の変化を示した) 

 

  第3章 失われた巨大氷床を求めて

 3-1 消えた巨大氷床  3-2 アイソスタシー  3-3 上下する海面  3-4 洪水伝説

 

 第3章の説明

 もし世界地図や地球儀が手元にあれば、それを眺めてみよう。南極とグリーンランドだけが、白く塗りつぶされていることだろう。南極とグリーンランドは、大きな「氷床」(ひょうしょう)に覆われているからだ。

 グリーンランドでは最大3キロメートルの厚さをもった氷床が存在し、南極では、4キロメートルの厚さの氷床で覆われている。 ところが驚くべきことに、約10万年前から2万年前までつづいた最終氷河期には、もっと巨大な氷床があったことが、地質学者による詳細な陸上調査によって明らかにされた。

 最終氷河期に北米大陸北部に形成されたローレンタイド氷床と、ヨーロッパ北部に形成された北ヨーロッパ氷床、このうち西部をフェノスカンジア氷床、東部をバレンツ・カラ氷床と呼ぶ。

 かって北米や北欧に巨大な氷床が存在していたことを示唆する証拠は、思わぬところにもある。スカンジナビア半島付近における過去100年間の隆起を調べると、10メートルに及ぶ。

 それはかって、この地に乗っていた氷床が急に融けてなくなったため、その重さから解放された反動で隆起しているというものだ。このメカニズムは「アイソスタシー」(isostasy :地殻均衡説:地殻はマントルの浮力で支えられ、地殻の重さと浮力が釣り合っているという説) という概念で説明される。

 地殻の厚さは、30kmであるが、地球の半径は6400km弱でだから、0.5パーセントにも満たない、半径15センチメートルの地球儀で考えると、1ミリメートルにも満たない計算だ。

 最終氷期に3キロメートルもの厚さの氷床で覆われていたものが融けて、すでに350メートルも隆起し、現在も隆起中であり、後450メートル隆起してバランスする。

 上下する海面の記録は、海底深くにある死んだサンゴ礁によって、過去の海面変化を知ることができる。この結果、2万年前には、約150メートルも海面が低かったことが判明した。

 四大文明が栄えはじめた時代は、例外なく六,七千年前でそろっているというのは、少し妙な気がしないだろうか?さきに述べたように、最終氷河期の海面上昇が一段落したのが、およそ七千年前のことだ。

 それ以前は、100年につき約1メートル海面の上昇が続いた。メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、黄河文明と大河川の河口の肥沃な大地に育まれた文明である。 』

 

 『 第4章 周期変動の謎

 4-1 気候変動のリズム  4-2 伸ぶ縮みする公転軌道  4-3 首振りする自転軸  4-3 グラグラする自転軸  4-4 ミラコビッチ・フォーシング  4-5 ミラコビッチ理論をめぐる闘い  4-6 気候変動のペースメーカー  4-7 未解決の問題

 

 第4章の説明

 過去100万年に氷期(11回)と間氷期(11回)ノコギリ状に入れ替わており、あるリズムを持っているように見える。現在は間氷期の始まりである。

 太陽から降り注ぐエネルギーは、地球を暖めている実質上の唯一のエネルギー源だ。そのエネルギーの総量と分布は、地球の公転軌道や自転軸の傾きのわずかに変化することこそが、気候変動の重要な原動力ではないかと、ミランコビッチは考えた。

 ミランコビッチ・フォーシングとは、太陽からの入射エネルギーの地理的分布と季節分布は、地球の自転と公転に関する三つの要素によって変化する。

 すなわち、離心率(公転軌道はわずかに楕円である)、歳差運動(コマの首振り)、自転軸の傾きのわずかな変化によって、太陽の入射エネルギーが低下した時期と氷河期は関係したとする考え。

 自転軸の傾きは一定ではなく、過去60万年についてみれば、22.1°から24.5°の間を変化してきた。

 

 第5章 気候の成り立ち

 5-1 太陽からのエネルギー  5-2 地球のエネルギーバランス 

 

 第5章の説明

 地球エネルギーバランスは、一年間に降り注ぐ太陽エネルギーの総量が、地球から宇宙空間へでていくエネルギーとバランスしている。抗体放射のエネルギーバランスで求めた地球の平均表面温度はー18℃である。

 しかし、実際の地球の平均温度は15℃で、30度ほどの差がある。その答えは、大気の温室効果が考慮されてないというものだ。

 

 第6章 悪役登場

 6-1 温室効果のからくり  6-2 先駆者アレニウス  6-3 二酸化炭素職人キーリング  6-4 二酸化炭素のゆくえ

 第6章の説明

 地球から放射する赤外線は4マイクロメートルから40マイクロメートルのもので、12マイクロメートル付近が最大である。その赤外線を吸収する性質を持っている大気の主要成分は、水蒸気、二酸化炭素、メタン、一酸化窒素、オゾンといった微量成分である。

 大気を暖める効果の大半を担っているのは、二酸化炭素ではなく実は水蒸気である。ただし、大気中の水蒸気は、人間の活動によって、ほとんど増加しない。

 二酸化炭素は、大気中に380PPMしか含まれていないが、波長15マイクロメートル付近の赤外線を効果的に吸収する。ちなみに1700年代の二酸化炭素は280PPMであった。(南極の氷の中の空気を分析した結果)

 

 第7章 放射性炭素の光と影

 7-1 マンハッタン計画  7-2 放射性炭素年代法の黎明期  7-3 落し穴 7-4 不運な研究者

 

 第7章の説明

 マンハッタン計画とは、一九四二年から一九四六年まで、原爆製造のための理論的および実験的研究と技術開発のプロジェクトで、その規模はのべ13万人以上と、現在の貨幣価値に換算して、2兆円以上といわれる。

 この計画によって、天然中にわずか1パーセント弱しか含まれていないウラン二三五を他のウラン同位体から分離・濃縮する技術は核分裂の連鎖反応を応用する原子爆弾の製造に欠かせないものだった。

そのため各種同位体を測定したり、分離する技術は大きく発展した。自然界の炭素は C12 が98.89%、C13 が1.11%(中性子が1つ多い)、C14 が百億分の1%(中性子が2つ多い)となっている。

 このうち C14 は、高度19~15kmの大気上層で、N14 (窒素原子)が高エネルギーの宇宙線によって、二次的に形成された中性子と反応して C14  が作られる。これは放射性核種であり、ベータ壊変によって時間とともに N14 戻る。

 この時、放出されるベータ線をガイガー・カウンタで測定できる。その精度は、1兆分に一の微量でも測定できる。C14 の半減期は5570年で、地球上で生きている生物炭素原子のうち C14 は平均15.3dpm/g である。すなわち、炭素1グラムにつき1分間におよそ15個の C14 原子が壊変する。

  生命活動を停止した時から半減は開始され、年代の明かな木材で、測定した結果そのことが証明された。さらにはC14の放射性同位元素とガイガーカウンタによって、植物の光合成を追跡することによって、光合成の反応プロセスのカルビン反応が解明された。 』 

 

 『 第8章 気候変動のスイッチ

 8-1 海洋深層を流れる大河  8-2 ストンメルと深層水循環  8-3 ブロッカーとコンベヤーベルト  8-4 最終氷期の深層水循環  8-5 オン・オフ・モデル

 

 第8章の説明

 冬になると、グリーンランド氷床から冷たく乾燥した風が海面から多量の熱を奪い去る。さらに海氷を形成し、海水から水だけを抜き取り、高塩分化して十分重くなった海水の塊は、数千メートル下の深海底へ雫のように「落下」していく。

 その重い海水の塊は、水深およそ二五〇〇メートルのグリーンランド海盆を満たし、そこからあふれ出て、アイスランドの東側を通って北大西洋海盆に流れ出し、南下し始める。

 このようにグリーランド沖と南極沖で海氷が作られる時の高濃度の塩分で低温の海水が、約千年の時を得て、北太平洋のベーリング海沖の表面に到達し、終点を迎える。その後、表層水となって、グリーンランド沖に到達する。これを深層水コンベアベルトと呼ぶ。

 このベーリング海沖で表面の到達した時、深海のミネラル分を豊富に含むため、急激に植物プランクトンを発生させ、此のプランクトンを求めて、ニシンなどの大群を成長させる。

 この深層水コンベアベルトは、ゆっくりした流れであるが、海水は熱容量が大きく量が多いため南北のエネルギー輸送に大きな役割をになっている。

 この流れが止まることによって、氷河期が始まるのではないかと考えたのが、オン・オフモデルである。

 

 第9章 もうひとつの探検

 9-1 ダンスガードの夢物語  9-2 白い大地、グリーンランド  9-3 氷の中の秘密基地  9-4 氷に残された気候の記録  9-5 流れる氷床  9-6 さらなる挑戦  9-7 決定版をめざして

 

 第9章の説明

 ウィリ・ダンスガードは高緯度地域で降る雪の酸素同位体比と気温が、年平均気温が高ければ、雪の酸素同位体は、O18が多く、気温が低ければ、O18が少なくなるという経験則を見出した。

 グリーンランドに於ける各地の年平均気温と降雨の年平均酸素同位体比は、1℃上がるごとに、0.7パーミル大きくなる。(O18で構成される水は通常のO16で構成される水より、10パーセント重いためと考えられる)

 このことから、ダンスガードはグリーランド氷床に残された記録から過去数百年の気象変動が復元できるかもしれないと考えた。

 アメリカとソ連が冷戦の真っ只中にあった一九五〇年代の終わり頃、グリーンランドの北西端近くにアメリカ軍の秘密の基地が氷床内部に建設された。

 基地の名は「キャンプ・センチュリー」といい、氷床の内部でありながら、とてつもない規模で、病院、教会、映画館まで持ち、移動式の原子力発電機によって、電力は供給されていた。

 氷床の構造に関する研究を行っていたが、アメリカ軍の寒冷地工学研究所のライルハンセンのグループは、その活動の一環として、この基地でアイスコアを掘削する技術開発を行っていた。

 そのアイスコアは、分析されることなく、アメリカの寒冷地工学研究所の冷蔵庫に保存されていた。そのことを知ったダンスガードは、所長のチェスター・ラングウェイに手紙を書き、アイスコアの酸素同位体比を分析させてもらえないかと申し出て、受け入れられた。

 コペンハーゲンに届いたそのサンプルの酸素同位体比の分析結果は、ダンスガードを大いに驚かせた。それは最終氷期と考えられる時代だけでなく、最終間氷期と呼ばれる、一つ前の暖かい時代まで記録していたのである。

 深さ1150メートル付近まで、時代でいうと一万年前くらいまでは、延々と安定した同位体比をもっており、その値はマイナス29パーミルという値で、現在のそれとほぼ同じである。

 ところがそれよりも深い部分になると、急に状況が変わりはじめる。酸素同位体比が急速に小さくなり、一万四五〇〇年前ごろと推定される深さ1200メートルあまりの部分では、マイナス43パーミル付近まで低下しているのだ。

 この14パーミルにおよぶ酸素同位体比の低下は、20℃以上の気温の低下に相当する。それ以外にも、このアイスコアからは興味深いシグナルをいくつも見出すことができる。

 氷期の記録の中には、気温に換算すると、七℃くらいの振れ幅をもつ、短い周期の「気候変動」が数多く見いだされる。このことは、グリーンランドにおいて氷期という時代が、単に寒いだけでなく、非常に不安定な気候をともなう時代だったことを示唆している。 』

 

 この後、10章から13章まで続きますが、それらは〔後〕として、二つに分けます。 (第105回)


ブックハンター「親子で学ぶ英語図鑑(下)」

2016-02-14 13:13:13 | 独学

  105.  親子で学ぶ英語図鑑(下)  (キャロル・ヴォーダマン著 リービン・リザーズ訳 2014年10月発行) 

     Help Yours Kids with English  by  Carol Verderman    Copyright©2013  

 本書は、小見出しを並べればいいのではと、軽い気持で始めましたが、最初のもくろみは狂いだし、(前)、(後)としましたが、(後)の方が、制限文字数を超えたために、さらに(上)、(中)、(下)の三部構成になってしまいました。

 これは、私自身が本書をよく理解してないことが、最大の原因ですが、最初に英語の全体像を探ると宣言していたために、途中で終らせることも出来ませんでした。

 でも、イギリスの親子でも、単語のつづりが誤りやすく、混乱する単語で、苦労しているために、不規則な単語のつづり(Irreguler word spelling)、例として、beautiful(美しい)など、紛らわしい単語(confusing word)、例として、device(装置)とdevise(考案する)などが紹介されてます。

このようにイギリス人にとっては国語ですが、私のような問題を生じて、それを1つ1つ克服する努力をしていることを知って、勇気をもらい、日本人である自分は漢字をもっと学ばねばと感じました。

 発音については、従来は紙の辞書の発音記号で読んでましたが、今は電子辞書で音声が得られるので、難解な発音記号から解放され、日本の英語のレベルも向上すると思います。

 

 『 第4章 コミュニケーション技能

 76. 効果的なコミュニケーション (Effective communication)

 「コミュニケートする」(communicate) とは、考えや情報を他人と交換することです。「効果的にコミュニケートする」とは、考えや情報を、それが意味するものを相手に正確に理解してもらうようにやりとりすることです。

 正しいメッセージを送るためには、調子 (tone) は、文章の目的によって、決めなければなりません。 効果的なコミュニケーションをするためには、ふさわしい言葉づかい (language) で書かなければなりません。

 レイアウト (layout) は、文字の大きさや色、文章の配置をそれぞれの形式に従います。 方法 (method)は、 eメール、手紙、はがきなど、の適切な手段を選ぶことです。

 77. 適切な単語を選ぶ (Picking the right words)

 文章の目的と受けてにふさわしい明快な単語が大切です。いつも同じ単語を使っていると、読み手は退屈してしまいます。

 例えば very (非常に):incredibly、truly、unusually、extremely、 nice (すてきな):pleasant、charming、agreeable、delightful、 lots of (多くの):countless、many、numerous、myriad などです。

 got (手に入れた):acquired、obtained、received、 great(すばらしい):wonderful、fabulous、fantastic、incredible、  then (その後):next、finally、later、 fun (楽しい):amusing、enjoyable、thrilling、entertaining などです。

 78. 関心を引く文を作る (Making sentences interesting)

 出来のよい文章とは、意味がわかるだけでなく、興味深く読める文で書かれているものです。

 例えば、単文と重文と複文を混ぜる、テンポ(pace)を変える、出だしを変える、詳細を加える、などです。

 79. 計画立案と情報収集 (Planning and research)

 優れた書き手は常に、頭の中でというよりはむしろ紙の上で作業計画を立てます。計画を練ればいろいろなアイデアが生まれ、それらをわかりやすく構造化することができます。さらに、書き忘れも避けられます。

 最初のメモ書き: 計画立案は関連するアイディアや単語や語句をすべてメモすることから始めます。これはメモを書きつけて視覚化する方法で、マインドマップ(mind map)と呼ばれます。

 書いた主題を全体的に把握するためには、情報を収集し、具体的例や引用や統計を手に入れることが大切です。そのとき情報源は書きとめます。

 計画を練る: 次の段階では、アイディアや調査結果を体系化し、段落を使って明確な構成にします。

 80. 段落分け (Paragraphing)

 段落は文章を体系化するのに使われます。エッセイや記事や手紙のような長い文章を書くときには、段落に分けて構成することが大切です。

 よい出だし : 第一段落では、文章の主題(何について書くか)を提示します。読みたくなるように、読み手の注意を惹きつけることも必要です。

 新しいアイディアは新しい段落で : 1つの段落内のすべての文は、お互いに関連していなければなりません。新しい論点には、新しい段落が必要です。

 主論文 (topic sentence) : 段落は主題文で始めると効果的です。これは、その段落の要旨を紹介する陳述(statement)のことです。そして、その段落の残りの部分で、主題文を展開したり、裏づけとなる証拠を示したりするのです。

 強い印象を残す : 結論部では、主題を要約し、その主題について最終判断を下します。最初の問題提起に答えるだけでなく、理想的には導入部で述べたすべての論点を押さえるべきです。

 81. ジャンル、目的、受け手 (Genre, purpose and audience)

 書き手は、誰に向かって何のために書いているかだけでなく、どんな種類の文章を書いているかをよく考える必要があります。表題の3要素は、表現形式や言葉づかいに影響を与えます。

 ジャンル(GENRE) : ノンフェクションの文章は、話の筋より事実に基づいた文章です。たとえば、新聞や雑誌の記事では最上部に見出しがあり、本文は段組みになります。一方、手紙では最上部には差出人の住所が盛り込まれます。

 目的 (PURPOSE) : 文章の目的とは、書く理由のことです。百科事典でパリについての記述は、読者に知識を与えることを前提にしてます。一方、パリ休暇の広告は、訪れてほしいと読み手を説得するのが目的です。

 受け手 (AUDIENCE) : ノンフェクション文章には常に、対象となる受け手がいます。大人、ティーンエージャー、子供、特定の興味や専門知識を持った人たちかもしれません。 』

 

 『 82. 文章を読んで説明する (Reading and commenting on texts)

 ある文章に関する設問に答えるときは、設問内容を理解し、文章中から適切な情報を見つけ出し、それを使って的確な解答を書かなければなりません。

 質問を理解する : 第一段階は、質問を読んで、何を聞いているかを理解することです。どんなに巧みに答えても、論点がずれてしまえば、不合格です。

 正確な情報 : 次の段階では、課題文を読んで、設問に関係する情報や文章の特色を見つけ出します。

 論拠を示す : 何かの文章について論じるときは、取り上げた論点ごとに論拠を示さなければなりません。

 83. レイアウトと表示機能 (Layout and presentational features)

 レイアウト〔割付け〕とは、文章をページ内に割り振る方法のことです。表示機能とは、図版(picture)や見出し(headline)や書体(font)や刷り色のような、文章を特徴づける個々の表現要素のことです。

 84. 情報を伝える書き方 (Writing to inform)

 リーフレット、百科事典、新聞記事、手紙といった情報伝達の文章は、ある主題についての「情報」を読み手に提供します。説明書(instruction)を使って何かやり方を教えるものもあります。

 85. 新聞記事 (Newspaper articles)

 新聞記者は読み手に情報と娯楽を提供するために、いくつかの技法を使います。刊行物のタイプや読者対象によって、記事の具体的な内容と文体が決まります。

 86. 手紙と e メール (Letters and e-mails)

 略式の手紙 : くだけた手紙は、友達や家族や年下の人など、差出人が知っている相手に出すものです。くだけた手紙はおしゃべり口調になりますが、それでも決まったレイアウトに従います。

 e メール : 友達や家族に出すe メールは、特定の規則に従う必要はありません。しかし、適切な言葉を使い、わかりやすい構成にすべきです。

 87. 影響を及ぼす書き方 (Writing to influence)

 反論したり説得したりする文章は、読み手に影響を与えることを狙っています。しかし、反論と説得には微妙に違いがあります。反論では、反対意見を受け入れつつ、それに対して十分筋の通った反論を加えるのがふつうです。説得する文章は、反論よりも一方的で、より感情に訴えるものです。

 88. 説明したり助言したりする書き方 (Writing to explain advise)

 説明や助言のための文章は、情報を伝える文書とまぎらわしいかもしれません。しかし、説明や助言には、情報だけでなく理由、感情、提案が含まれます。助言は権威を保ちながらも、友好的でなければなりません。共感のこもった肯定的な調子にすれば、読み手を励ますことができます。

 89. 分析したり論評したりする書き方 (Writing to analyse or review (米)analyze)

 分析も論評も、テーマを深く考察するものです。ただし、分析ではバランスのとれた判断をするのに対して、論評ではふつう、自説を主張して個人の信念を述べます。

 分析が客観的であるためには、三人称話法が用いられます、例えば、It is often argued…(よく言われることですが~)、It seems likely…(どうやら~のようです)、There is evidence to suggest…(~を示す証拠があります)、Many people believe…(多くの人は~を信じています)、It is sometimes stated…(時々言われることですが~)などです。 』

 

 『 90. 描写する書き方 (Writing to describe)

 物語から広告まで、多くの文書で描写技法(description)が利用されます。描写する文章では、特別な単語を使って読み手の脳裏に生き生きとしたイメージを浮びあがらせるようにします。

 比喩的な言い回し : 比喩表現(figurative language)は誇張法の一種です。より生き生きとした描写にするために、物事を対比させて類似点を示します。 

 直喩 (simile): 直喩は、as や like という単語を使って、あるものを別のもので例えることです。 隠喩 (metapher) : 隠喩は、あるものの特徴を別の単語や語句で表現するものです。  擬人法 (personnification): 物事や考えに人間の行為や感情を当てはめることを擬人法といいます。 

 91. 個人的な体験に基づく書き方 (Writing from personal experience) 

 自分の人生や個人的体験を伝えるとき、それは自伝体の文章といいます。自伝(autobiography)自体が1つのジャンルですが、スピーチ原稿やアドバイス集など別のタイプの文章でも使われ、それらに人間的な雰囲気をつけ加えます。

 最も古い記憶、困った出来事、特にうれしかった・悲しかった・恐ろしかった・誇らしかった瞬間などは、すばらしい主題です。時には、出来事を時系列に、書きだし、人生図(Life map)をつくって見たり、自分のテーマを視点として見るのも、一つの案です。

 92. 物語の書き方 (Writing a narrative)

 物語とは、いろいろな出来事を因果関係によって結びつけた話のことです。すべての物語には語り手、筋書(plot)、登場人物、場面設定が必要です。話によっては、登場人物同士の言葉のやりとりを表す対話部分も含まれます。

 誰の視点か? : 語り手とは、話を進める人のことです。語り手が作中人物で、その人の視点で出来事を語るなら、物語は一人称で書かれます。語り手がその話の外にいて、登場人物を he とか she とか they で指すときは、3人称で書かれます。

 93. ウェブ用の書き方 (Writing for the web)

 オンラインの読み手はふつう、特定の情報を探しています。あいまいなら、あるいは知りたいことが載っていなければ、そのサイト(website)から去ってしまいます。オンラインの書き手は、読み手の関心を持続させるために特別な技法を使います。

 キーワード : ウェブは巨大で、同じテーマのサイトが山ほどあります。ウェブの書き手は、利用者が検索エンジン(search engine)で調べる「キーワード」を盛り込んで、内容が簡単に見つかるようにすべきです。

 これを「検索エンジンの最適化」(SEO)といいます。つまり、見出しや小見出しを検索しやすいものにするのです。 SEO : Search Engine Optimization の略称です。より多くのウェブ利用者に読んでもらうために、そのサイトが目に触れる度合いを高める作業のことです。

 94. 台本の書き方 (Writing a script)

 ナレーションや演劇の台本は、声を出して読んだとき効果を発揮するように書くべきです。演劇の台本はストーリーを描きますが、書かれた物語とは違い、演じられるものです。演劇台本は劇場、テレビ、ラジオ、映画のために書かれます。 それぞれの表現方法は少し違いますが、共通の特徴があります。

 ト書き〔指示〕 (directions) : 台本にはト書きをいれて、舞台上の一人一人がどう行動するかを指示します。ト書きは、俳優がいつ登場し退場するか、どんな調子でせりふを言うかなどを示します。

 対話 (dialogue) : 対話とは、登場人物間の言葉のやりとりのことです。演劇では、対話と行動によって筋立てが展開していくため、せりふは起こっていることを観客に伝える働きをします。

 95. 改作 (Re-creations)

 改作に取りかかる最良の方法は、まず原作を読みこむことです。筋立てとなる出来事や主な登場人物など、原作の重要な要素を盛り込まなければなりません。さらに、その話が持っている気分や雰囲気のような点にも気を配ります。

 96. 点検と編集 (Checking and editing)

 どんな書き手でも、ミスをすることもあれば、より優れた着想を持っていることもあります。書き終えたあとは十分に時間をとって、誤りをチェックし、文章の質を高めることが大切です。

 最も重要な作業の一つは、つづりのミスをチェックすることです。手書きの文書で修正するときは、線で消して、その上に正しいつづりを書きます。

 注意すべき文法的なミスには、不完全な文、正しくない語順、動詞の数の一致ミスなどがあります。いろいろな句読点は、見た目は小さなものですが、正確に使わなければなりません。

 97. 話し言葉 (The spoken word)

 人の話しぶりは、出身地や話す相手といったさまざまな要素に影響されます。話し言葉を書いたり分析したりするときは、これらの要素をよく考えることが大切です。

 会話をしているとき、単語を省いたり不完全な文を使ったりすることがよくあります。haven't や couldn't のような短縮形は、書き言葉よりも話し言葉でよく使われます。言いやすく、会話の流れをスムースにするからです。

 98. ディベートとロールプレイ (Debates and role plays)

 ディベートとロールプレイは会話の一種ですが、どちらも前もって準備する会話です。ディベートは、ある主題をめぐる正式な話し合い、または討論のことです。 ロールプレイ〔役割演習〕とは、参加者がそれぞれの役割を演じる架空の筋書のことです。自分が持つ役柄の人間が特定の状況でどう行動するかを検討することです。

 99. スピーチ原稿の書き方 (Writing a speech)

 私たちがスピーチをする理由はさまざまですが、多いのは仕事や社交の場でのスピーチです。スピーチ原稿を書く技法は、ほかの文章の場合と似ていますが、スピーチ原稿は、声を出して読んだとき効果を発揮するものでなければなりません。

 優れたスピーチはたいてい短いものです。アブラハム・リンカーンのゲティスバーグでの演説(Gettysburg Address)は歴史上最も有名なスピーチの1つですが、3分もかかりませんでした。

 100. プレゼンテーションの技術 (Presentation skills)

 よく書かれたスピーチ原稿でも、発表の仕方がまずければ退屈なものになります。明快に話し、適切な声の調子や身振り、さらには子道具(prop)も使って聴衆を引き込むことが大切です。

 画像、グラフ、表などを使って、解かりやすく説明し、要点をまとめることも必要です。 以上でコミュニケーション技能は、終了です。 』

 

  最後に英語の全体像として、私のイメージを書きます。

 文字(letter)・アルファベット(alphabet) ……→ 単語(word) ……→ 文(sentence) ……→ 会話・物語 となります。 

最初の部分をもう少し分解しますと

 文字 → 音節(syllable) → 語根(root)・接頭辞(prefixes)・接尾辞(suffixes) → 単語 となります。

英語は基本的には表音文字ですので、英語を母国語としている人は、自然に初めての単語でも、音節(音節には、一つの母音が含まれます)で発音し、語根で意味を類推していると思います。

語根(root)・接頭辞(prefixes)・接尾辞(suffixes)の関係は、漢字の扁(へん)と旁(つくり)によって構成されていることに、似ています。次のステップを分解しますと

 単語 → 名詞・動詞・形容詞・副詞… → 句動詞・名詞句・副詞句… → 節(clauses) → 文 となります。

 単語は、文の中では品詞としての役割を受け持ちます。句動詞は、動詞に副詞、前置詞が付いて、一つの動作を表現します。節は主語と動詞を含む語群のことです。さらに最後の部分を分解しますと

 文 → 段落(文のまとまり) → 文体・構成・格調… → 会話(conversation)・詩(poem)・スピーチ(speech)・論文(article)・物語(story)・台本(script) となります。

 ここからさらに、名スピーチや名著への道は遥か彼方ですが、努力次第で誰にでも、そのチャンスはあるのではないでしょうか。 (第104回) 


ブックハンター「親子で学ぶ英語図鑑(中)」

2016-02-02 10:37:56 | 独学

104.  親子で学ぶ英語図鑑(中)  (キャロル・ヴォーダマン著 リービン・リザーズ訳 2014年10月発行)

     Help Yours Kids with English  by  Carol Verderman    Copyright©2013

 英語図鑑の(上)で58.まで来ましたが、後半は、第3章 スペリング (spelling)の途中から 、第4章 コミュニケーション技能 (communication skills) です。あと40項目ほど残りましたが、元気を出してお付き合いください。

 

 『 第3章 スペリング

 59. 文字の硬い音と軟らかい音 (Hard and soft letter sounds) 

 c や g の文字には、硬い音と軟らかい音があります。 硬い "c" 音[k]  cartoon、cow、crack、recall、uncle などです。 軟らかい "c" 音 [s]  cereal、circus、cyan、decent、pencil などです。 

 硬い "g" 音 [g]  galaxy、green、gullible、igloo、lagoon などです。 軟らかい "g" 音 [dg]  gene、ginger、gymnast、angel、allergy などです。 

 60. -e、-y で終る単語 (Words ending in -e or -y) 

 -e、-y で終る単語は、接尾辞が付くとつづりが変わることがよくあります。 単語が -e で終って、母音で始まる接尾辞が付くと -e が脱落すます。 globe + -al = global、 fame + -ous = famous などです。 

 単語が -e で終って、子音で始まる接尾辞が付くと -e が保存される。 spite + -ful = spiteful、 state + -ment = statement などです。 

 単語が(子音+y)で終る時、-ing 以外が付くと -y は i に変わる。 beauty + -ful = beautiful、 apply + -ance = appliance などです。 

 単語が(母音+y)で終る時、接尾辞が付いても -y は保存される。 annoy + -ed = annoyed、 play + -er = player などです。

  61. -tion、-sion、-ssion で終る単語 (Words ending in -tion, -sion, -ssion)

 -tion で終る単語

 -t で終る動詞は、t が並ぶのを避けるために、-ion だけを加える。 subtract + -ion = subtraction となります。

 -te で終る動詞では、e をとって -ion を加える。 complete + -ion = completion となります。

 最後の文字が脱落し、別の母音字が付くこともある。 realise + a + -tion = realisation となります。

 -sion で終る単語

 -se で終る動詞では、e をとり、s がすでにあるので、-ion を加える。 precise + -ion = precision となります。

 この接尾辞は動詞が -d、-i、-r、-s、-t で終るとき使われる。 extend + -sion = extension となります。

 62. -able、-ible で終る単語 (Words ending  in -able or -ible)

 接尾辞の -able も -ible も「~できる」の意味です。

 -able で終る単語 

 そのまま -able を付加する。 enjoy + -able = enjoyable

 -e で終る単語に付くと、-e は脱落する。 value + -able = valuable

 -y で終る単語に付くと、y が i に変わる。 rely + -able = reliable

 -ible で終る単語

 そのまま -ible を付加する。 vis + -ible = visible   (vis はラテン語の語根「見える」の意味)

 単語が母音字で終っているとき、それが脱落する。 response + -ible = responsible

 63. -le、-el、-al、-ol で終る単語 (Words ending in -le, -el, -al or -ol)

 似た音を持つ -le、-el、-al、-ol のような語尾は、きちんと区別してつづるのがやっかいです。

 -le で終る単語

 edible 、sample 、wrinkle 、dangle  は、b、k 上に伸びる文字 (stick) 、p、g 下に伸びる文字 (tail) の後に付くことが多い。

 -el、-al で終る単語

 語尾の -el、-al は、stick や tail のない文字の後に続くことが多い。 travel、camel、central、local などです。

 -al は、語根の意味を変えることがある。 person + -al = personal 、colony + -al = colonial (植民地の) などです。 』

 

 『 64. 子音字が1つの単語、重なる単語 (Single and double consonant words)

 (短母音 + 子音字) 

 depart、強勢が第2音節の part にあるのでpp とならない。 prepare 強勢が第2音節の pare にあるので pp とはならない。

 hammer 強勢が第1音節の ham にあるので mm になる。 valley 強勢が第1音節の val にあるので ll になる。

 二重の子音字と接尾辞

 -er のような母音で始まる接尾辞を、(短母音 + 子音字)で終る1音節動詞に付けると、最後の子音字は二重になる。 run + -er = runner となる。

 -ing のような母音で始まる接尾辞を、(短母音 + 子音字)で終る2音節以上の動詞に付けると、最後の子音字は二重になる。 begin + -ing = beginning となる。

 e、i、y で始まる接尾辞を c で終る動詞に付けるときは、最後の子音字は二重にならない。その代り、硬い "c" の音[k]を保存するために k の文字が加わる。 panic + -y = panicky 

 65. 「 c の後を除き、i は e の前 」という規則 (The "i before e except after c" rule)

 この規則は、ie とつづるか ei とつづるかを思い出すときに役立ちます。

 〔イー〕の音に、ie になる、 niece、belief、achieve、field。 この規則には例外も多い protein、seize、either、weird など。

 c の後が〔イー〕の音になるときは、ei になる、receive、receipt、deceit、ceillingなど。 例外として、ancient、species、policies など。

 〔エィ〕や〔アィ〕の音になるときは、ei になる、weight、height、feistyなど。 例外として、die、pie、lie、cried など。

 〔エ〕の音になるときは、ei になる、heifer、leisure。 例外として、friend など。

 66. 大文字 (Capital letters)

 大文字は、文のはじめ、人や場所の名称や曜日もような時を表す語句にも使われます。例えば、On that ……、San Francisco、River Nile、Africa、Saturday、Halloween、olivia などです。  』

 

 『 67. 黙字 (Silent letters)

 黙字とは、書かれても発音されない文字のことです。

 a 他の母音の前か後 aisle、cocoa、head など。

 b m の後 crumb、limb、thumb など。 t の前 debt、doubt、subtle など。

 c s の後 muscle、scent、scissors など。

 d n の前か後 Wednesday、handsome、landscape など。

 e 単語の終わり giraffe、humble、love など。

 g h の前 daughter、though、weigh など。 n の前 campaign、foreign、gnome など。

 h 単語のはじめ heir、honest、hour など。 ex の後 exhausting、exhibition、exhilarate など。 g の後 ghastly、ghost、ghoul など。 r の後 rhapsody、rhinoceros、rhyme など。 w の後 whale、wheel、whirlpool など。 

 k n の前 knee、knight、know など。

 l d の前 could、should、would など。 f の前 behalf、calf、half など。 m の前 almond、calm、palm など。

 n m の後 autumn、hymn、solemn など。

 p n の前 pneumatic、pneumoniia、pneumonic など。 s の前 psalm、psychiatry、psychic など。 t の前 pteranodon、pterodactyl、receipt など。

 t ch の前 catch、stretch、witch など。 s の後 castle、Christmas、listen など。

 u ほかの母音字があるとき building、court、guess など。

 w r の前 wreck、write、wrong など。 s か t が付くとき answer、sword、two など。  以上です。

 補助的な文字

 補助的な文字は黙字の一種で、あるかないかで単語の発音が変わります。

 a o の後 boat、coat、goat などです。

 b m の後 climb、comb、tomb などです。

 c t の前 indict などです。

 d g の前 badge、dodge、judge などです。

 e 単語の終わり hope、kite、site などです。

 g i と n の間 benign、design、sign などです。 i と m の間 paradigm などです。

 h c の後 ache などです。 i この1語だけ business です。

 l k の前 folk、talk、walk などです。 m の前 calm、palm などです。

 s i の後 aisle、island などです。 w h の前 who、whom、whose などです。 』

 

 『 68. 複合語 (Compound word)

 細かい情報を加える

 house + boat = housebort、 cheese + cake = cheesecake など。

 新しい意味になる

 fox + glove = foxglove (ジキタリス)、 pony + tail = ponytail など。

 69. 不規則な単語つづり (Irregular word spellings)

 どんな規則にも当てはまらないつづりもあります。

 again、because、country、disappear、enough、foreign、graffiti、height、jewel、knee、lawyer、mischievous、nuisance、ocean、people、rough、surprise、tongue、vicious、weird、yacht などですが、1つずつ身につけることが唯一の方法です。 』

 

 『 70. 同形同音異義語、異形同音異義語、同形異音異義語 (Homonyms, homophones and homographs)

 同形同音異義語は、つづりと発音が同じで意味が異なる単語です。 can、back、plane、bank、rose、long、letter、wave など。

 異形同音異義語は、発音が同じでつづりと意味が異なる語です。 read/reed、week/weak、pair/pear、knight/night、for/four、die/dye などです。

 同形異音異義語は、つづりは同じでも、発音と意味が異なる単語です。 reject、minute、tear、content、live、object、wind、bass、contract、produce、row、close、sow などです。

 71. 紛らわしい単語 (Confusing words)

 発音が似ている単語は、つづりを間違えることがよくあります。

 名詞と動詞の混同

 advice と advise、breath と breathe、ceiling と sealing、device と devise、drawer と draw、effect と affect、lesson と lessen、weight と wait などです。

 72. その他の紛らわしい単語 (Other confusing words)

 意味を混同したために、つづりを間違えることがよくあります。

 意味の混同

 adapt と adopt、conscience と conscious、disinterested と uninterested、distinct と distinctive、historic と historical,、regretful と regrettable などです。

 3つの紛らわしい単語

 though と through と thorough、quit と quiet と quite などです。

 73. 略語 (Abbreviations)

 短縮した形で書かれる単語や語句を略語といいます。よく使われる略語

 e.g. exempli gratia (Latin) ; for example 、 etc. et cetera (Latin) ; and the rest、 EU European union、 LED light-emitting diode、 p.m. post meridiem (Latin) ; after noon、 USA Unites States of America などです。 

 74. イギリス式つづりとアメリカ式つづり (British and American spellings)

 l の文字を重ねる カンセラー:counsellor (イギリス)と counseler (アメリカ)、旅行者:traveller (イギリス)と traveler (アメリカ) などです。

 -ise、-ize、-yse、-yze で終る単語

 分析する:analyse (イギリス)、analyze (アメリカ)、近代化する:modernise (イギリス)、modernize (アメリカ)、準備する:organise (イギリス)、organize (アメリカ)、それとわかる:recognise (イギリス)、recognize (アメリカ)、視覚化する:visualise (イギリス)、visualize (アメリカ) などです。

 -ce、-se で終る単語  防衛:defence (イギリス)、defense (アメリカ)、攻撃:offence (イギリス)、offense (アメリカ) などです。

 -re、-er で終る単語  中心:centre (イギリス)、center (アメリカ)、恐ろしい物:spectre (イギリス)、specter (アメリカ) などです。

 -our、-or で終る単語 

 ふるまい:behaviour (イギリス)、behavior (アメリカ)、色:colour (イギリス)、color (アメリカ)、ユーモア:humour (イギリス)、humor (アメリカ)、労働:labour (イギリス)、labor (アメリカ)、隣人:neighbour (イギリス)、neighbor (アメリカ)、精力:vigour (イギリス)、vigor (アメリカ) などです。

 75. イギリス式つづりとアメリカ式つづり(追加) (British and American spellings)

 異なる発音、異なる単語

 航空機:aeroplane (イギリス)、airplane (アメリカ)、アルミニウム:aluminium (イギリス)、aluminum (アメリカ)、歩道:pavement (イギリス)、sidewaik (アメリカ) などです。

 イギリス英語では、異なる意味を表すために、「発音が同じでつづりの異なる2語」を使うことがあります。

 storey :イギリス英語では「(建物の)階」、story :イギリス英語では「物語」。アメリカ英語では、story は両方の意味。

 enquire :イギリス英語では「情報を求める」、inquire :イギリス英語では「調査を実施する」。アメリカ英語では、inquire は両方の意味。

 metre :イギリス英語では長さの単位、「メートル」、meter :イギリス英語では測量用機器「メーター」を指す。アメリカ英語では、meter は両方の意味。

 tyre :イギリス英語では車輪のゴムの部分、「タイヤ」、tire :イギリス英語では「疲れる」。アメリカ英語では、tire は両方の意味。

 発音しない -e の保存と脱落

 確認:acknowledgement (イギリス)、acknowledgment (アメリカ)、高齢化:ageing (イギリス)、aging (アメリカ)、斧:axe (イギリス)、ax (アメリカ)、判断:judgement (イギリス)、judgment (アメリカ)、使用できる:useable (イギリス)、usable (アメリカ) などです。 』

 これで第3章のスペリングは、終了です。 (第103回)