チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

ブックハンター「ラブ・ウォーズ」

2013-02-04 10:05:45 | 独学

36. ラブ・ウォーズ (多賀幹子著 平成3年発行)

 『 日本の「結婚相手に望むこと」は、 高身長、高収入、高学歴、ババ抜、と言われている、一方、米国の女性は「どのような男性と結婚したいか」

○ 料理ができる人
○ 自分に、不得意な料理をこしらえることを強制しない人

○ 仕事から疲れて帰宅すると、「ご苦労様、コーヒーでもいれようか」と、気楽に台所に立つ人
○ 自分(女性)の上司と折り合いが良く、うまく付き合える人

○ 自分の仕事上の成功(昇進や昇給)に圧倒されてひがんだり、いじけたりしないで、素直に喜んでくれる人
○ 自分の仕事上の男性の友人に、少しばかりヤキモチを焼くけども、決して付き合いをやめるようにとは言い出さない人

○ 自分のワイシャツぐらいは自分で洗うなど、できるだけ世話を焼かせない人
○ 雨の日の犬の散歩は、いやな顔をしないで、やってくれる人

○ 夫の母親は、アメリカから遠く離れたオーストラリアあたりに定住している人
○ 自分がダイエットしている時には、目の前でこれみよがしにチョコレートをかじったりしない人

 アメリカの女性の出す条件は、男性が自覚し努力すれば出来る、日本の女性たちをみていると、これは虫のよい条件の羅列で、しかも最も良くないのは、完全な受け身ということだ。

 そして、どれもこれも見せびらかしたいものばかりである。相手に条件をつきつけるよりも、自分の生き方を確立する方が先だと、私には思えるのだが。 』


 『 あくまで理想の彼と巡り合うことエネルギーを燃やすタラは今度は、「ろうそくの光の下で」という集まりを耳にした。

 これはニューヨークに住むスザンヌ・リーという七十歳代の未亡人が、豪華な自宅を解放して、彼女の自慢の手作りのご馳走を振舞うこじんまりとしたパーティー。

 月に一度ほどだが、彼女は都会に住むシングルたちが、良き伴侶を見つけるお手伝いになればと、もう十年以上も続けている。

 参加人数が一度に男女五名ずつと限られているが、申し込みが殺到しているそうだ。
「私もさっそく申し込んできたんだけど」とタラは息を弾ませている。

 「なんと、半年先まで予約が入っているのよ」と目をむいた。

 「たった十人ほどなのに、成功する割合がきわめて高いのですって。これはリー夫人の温かい人柄と、堅い雰囲気を打ち解けさせて参加者にホンネを語らせる、絶妙の会話術のせいなんですって。私はもう楽しみで、楽しみで……」

 結婚仲人業と仰々しく看板を掲げた何万人もの会員を集めてのパーティーでは相手が見つからず、ごく少人数の夕食会で次々にカップルが誕生するとは、男女の仲とはなんと不思議なものなのだろう。

 リー夫人は実費しか受け取らず、いわば老後の生きがいと、なかばボランティアでこの夕食会を開いているそうだ。

 「私がそれはそれは幸せな結婚生活を送ったので、少しでも今の若い人のお相手探しの役に立ちたい」というのが口ぐせだそうだ。 』


 『 しかし好きになって無事婚約し、結婚式までこぎつけても、本当はそこからすべてが始まる。毎日、繰り返される日常生活こそが”結婚”なのである。

 これから先十年、二十年、いや、四十年、五十年と同じ相手と毎日生活を共にしていかなければならない。

 かっては金婚式まで迎える夫婦は、ほんの一割しかなかったが、今は五割に達する。

 半世紀を一人の人間と共に生きていくのは、容易なことではない。アメリカの夫婦と日本の夫婦で歴然と違うのは、結婚の継続のための努力を意識してやるかやらないかであろう。

 相手に愛情を感じなくなったら、離婚するのが当たり前のアメリカには、家庭内離婚は存在しない。単身赴任もあり得ない。

 二人共に働く時、転勤などになっても、月曜から金曜までは職場のある都市にいて離れて生活していても、週末になると、飛行機で飛んで行って、共に過ごすライフスタイルをとっている。

 私の友人にも一週間おきに彼が来たり、彼女が行ったりするカップルがいた。東海岸のニューヨークと西海岸のサンフランシスコだったので、ずいぶんとスケールの大きい通い婚と感心したものであった。

 たとえ二人とも忙しいエクゼクティブでも、せめて金曜日の夜だけは予定をいれないようにして、二人だけの時間を持つようにもしていた。 』


 『 ニューヨークに、ドナ・キャランという女性デザイナーがいる。彼女が会社を興そうとする女性たちの集りで講演した時、彼女は八千人の女性たちの前で、女らしさについて述べた。

 「自分に対して、物事にとらわれず自由な考え方、発想のできる人が女らしいと言えます。女性は今、大変な自信を持ち始めていますが、自信を持った女性はこの上もなく女らしい。

 結局、あるがままの自分を認め評価でき、自分らしくあろうとする人が、最も女らしいと思います」

 現在の女らしさとは、自由であり、リーダーシップがとれ、能動的であること。何より「強さ」が、この女らしさの中に付け加えられるべきだろう。 』(第37回)