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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 692 「あなたの能力は優れていると言ってはダメ」 ~社内イノベーターの取り扱い~

2020-12-03 07:48:52 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 692 「あなたの能力は優れていると言ってはダメ」 ~社内イノベーターの取り扱い~


アントレプレナーシップは「起業家精神」と訳されることが多く、スタートアップを立ち上げる人が対象だと思う人が多いかもしれません。

しかし、実際には企業内で新たな取り組みを進めるうえでも、企業で働く社員にとってアントレプレナーシップを新たな顧客や市場、事業を創出する原動力になる事から、アントレプレナーシップという言葉が想起する創造性は欠かせません。

もちろん、社員のアントレプレナーシップには個人差があります。

起業家的な気質が高い社員がいれば、言われたままの社員もいます。

よく社員は仕事ができる、普通、できないの比率が2:6:2の比率だと言われたりしますが、アントレプレーナーシップも一様ではありません。

実はアントレプレナーシップを通じて、従業員のモチベーションにも大きく関係がしてきますし、逆に問題を生じさせてしまう事もあります。

アントレプレナーシップの高い「社内イノベーター」は周囲とのギャップが大きいほど職場の環境を「ぬるま湯」と感じやすく、ギャップを感じた社内イノベーターは「自分は顧客の為にリスクを取るが、周囲の同僚はそうしない」と不満を募らせます。

結果、会社を去る事もあります。

辞めないまでも能力を発揮できないもどかしさを感じていると言います。

社内のアントレプレナーシップをめぐって、経営学では社員一人ひとりの「起業家志向性」(IEO)という指標が注目を集めています。

社員それぞれの行動を「リスクを取ろうとするか」「革新的か」「先駆的・能動的に行動しようとするか」の3要素から測定して指数化していて、アントレプレナーシップを測定する指標となります。

IEOが高い社員が増えれば当然、事業創出の機運は高まり、企業はイノベーションを起こしやすくなります。

そして、その先には成長が現出します。

欧米の経営学では社員のIEOを捉え、メカニズムを解明する取り組みが進んでいます。

ある調査結果では、年齢とIEOの関係が30代半ばを境に大きく変わることが判明しました。

どういう事かと言えば、入社後30代半ばまでは社員のアントレプレナーシップは上がりますが、それ以降はアントレプレナーシップが下がりました。

社員は、経験を積むうち自信を深めて創造的な活動にチャレンジするようになりますが、30代半ばで変節点を迎えるといえそうです。

入社してから経験した部門数で見ると、いろいろな部門を経験した社員ほどIEOを発揮しやすく、同じ仕事を繰り返すだけでは、やはり創造性は生まれにくいようです。

経験の多様性が社内イノベーターを生んでいることは、企業のキャリア形成のあり方を考える上で示唆するところが大きいですね。

注目したいのは人事考課との関係です。

ある社員を高く評価しても、それがアントレプレナーシップ向上につながるまでには、ある程度の時間が必要なことが今回判明しました。

アントレプレナーシップの観点からは、人事では1年以上の短期的な効果を期待すべきではありません。

調査の中で、社員に自分と同じ部門で働く同僚のIEOの評価をするというのがありました。

その上で社員の自己評価のIEOから同僚のIEOを引いた値を算出し、IEOのズレが生じている事がわかりました。

伝統的な日本企業は集団主義が強く、社員は同僚との比較で自分の立ち位置を捉えがちとなり、その分、IEOのズレが大きい程社員は「他者よりアントレプレナーシップを発揮している」「わが社はぬるま湯だ」と考えやすくなってしまいます。

その結果、社員のIEOの自己評価が上がり周囲とIEOのズレが大きくなると、同僚との感情的な対立が起きるという事が分かりました。

すると、組織との一体感を失い、給与に対する満足感も下がり、アントレプレナーシップは本来企業にプラスの効果を生むはずなのに、これでは企業にとって負の効果となります。

アントレプレナーシップのジレンマともいえる状況ですが、克服のヒントも分析から見えて来ます。

実はIEOの自己評価が上がった社員の中にもIEOのズレが広がらない人がいたのです。

詳しく見ると、「自分の職務に意味付けしている」社内イノベーターは、アントレプレナーシップを発揮しても社内でトラブルが起きなかったのです。

言い換えると、「仕事が会社にとってどんな意味を持つか」を知れば、自社をぬるま湯と感じることなく、アントレプレナーシップを発揮できるのです。

ここから社内イノベーターの活かし方を具体的に考えると、周囲がいくらあなたの能力は高いと伝えても、社内イノベーターは「自分は同僚と違うのだ」と思うばかりです。

むしろ「あなたの仕事には意味がある」と伝え、社内イノベーターを前向きにすることが肝要なのです。



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マーケティング研究 他社事例 691 「ヤクルトとダノンの主導権抗争」 ~あのダノンが・・・と評価された格好のヤクルト~

2020-12-02 09:02:46 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 691 「ヤクルトとダノンの主導権抗争」 ~あのダノンが・・・と評価された格好のヤクルト~


「当社とダノンは、今後も友好的な関係を維持し、プロバイオティクスの普及にともに取り組んでまいります」

10月7日にヤクルトがダノンによる株式の完全売却を発表したリリースは建前にすぎないと思います。

この関係が友好的だとヤクルトは思ったことなど一度もないからです。

ダノンによるヤクルト株取得が明らかになったのは2000年春の事です。

株式市場で5%をひそかに買い集めたダノンは、ヤクルトに提携協議を申し入れました。

原材料調達や研究開発に共同で取り組むための協議は、わずか3か月余りで決裂しました。

沈黙を保っていたダノンは2003年春に突然動き出しました。

いきなりヤクルト株を19%まで買い増し筆頭株主になったと発表し、海外売上を伸ばしつつあったアジアのヤクルトを取り込み、ライバル視していたスイスのネスレに対抗する共同戦線を張ろうとしたのでした。

また、ヤクルトが持つ乳酸菌飲料の技術も魅力的でした。

改めて交渉した両社は2004年、海外事業で提携し、同時にダノンはそこから5年間、出資比率を20%強から引き上げない協定も結び、ヤクルトはダノンから取締役も受け入れたのでした。

仕方なく結んだ提携でした。

その後は押したり引いたりの繰り返しです。

出資比率を上げない期間を2012年まで3年延長し、期限切れが迫るとダノンは拒否権がある35%程度の株の買い増しをヤクルトに要求しました。

独立経営を望むヤクルトが猛反発するとダノンは3割弱へと要求をトーンダウンさせました。

それでもヤクルトは「経営への介入は望まない」と抵抗し、ダノンは敵対的TOB(株式公開買い付け)もちらつかせながらの交渉でした。

この後、ホクレン農業協同組合連合会がヤクルト株を買い増すなど買収防衛のアシストと受け取れる動きもあり、提携を2013年に解消しましたが、ダノンは株を手放さず、不気味な存在であり続けました。

その後、ヤクルトに追い風が吹きました。

ダノンが2017年、アメリカ有機食品大手を1兆円以上で買収し、巨額の借金を抱えたのでした。

アメリカのアクティビスト(モノ言う株主)、コーベックス・マネジメントがダノンの株主となり、借金返済のためヤクルト株を売るように圧力をかけたのです。

ところが、買い手がいませんでした。

15%程度のヤクルト株を売ろうと複数の事業会社や投資ファンドに持ちかけたものの、「あのダノンが言う事を聞かせられなかったのだから買いたくないという声ばかりだった」(投資関係者)

国内ではキリンフォールディングスなども話に応じていません。

結局ダノンは2018年、証券会社を通じて市場に株を放出することを決めました。

仮に第三者に15%程度の株が渡っていたら、ダノンに代わる新たな筆頭株主としてヤクルト買収を狙ったかもしれません。

ひるまず徹底抗戦し続けたことが、最終局面で吉と出た格好です。

残る株式も全て手放したとダノンがヤクルトに連絡したのは10月7日で、ダノンが20年かけてもヤクルトを呑み込めなかった事実は、長期にわたって一度も甘い所を見せなかったヤクルトの粘り勝ちとしか言いようがありませんね。


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マーケティング研究 他社事例 690 「デジタルシフトの急先鋒3」 ~スピードでスタートアップ口説く~

2020-12-01 08:56:52 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 690 「デジタルシフトの急先鋒3」 ~スピードでスタートアップ口説く~


5年間の改革で、大手保険会社にありがちで、同社にも少なからずあった保守・前例踏襲型の社風は変わりつつあるようです。

「最も評価したのはスピードの速さ」

SOMPOと自動車の自動運転事業で提携し、出資も受けているスタートアップ企業、ティアフォー(名古屋市)の創業者兼CTO(最高技術責任者)、加藤氏は言います。

同社は自動運転の中核システムを開発しオープンソースで公開し、トヨタ自動車が手掛ける自動運転バスにも同社のシステムが搭載されるなど注目を集めています。

加藤氏は東京大学准教授も務める研究者で、SOMPOとは2017年頃からお付き合いはありましたが、実際には他の大手損保の方が先にアプローチして来ました。

しかし、SOMPOホールディングスでは損保ジャパンの西澤社長がスタートアップとの交渉を直轄し、熱心に働きかけてきたと言います。

「自動運転で事故が起きた際のリスクなどはまだ社会が認めていない。SOMPOは社会が今どこまでリスクを容認しているかといった分析まで取り組んでいる。投資も含め、速さは我々にとって極めて重要なものだった」と加藤氏は振り返ります。

SOMPO側は既に、自己発生時に対応するサポートセンターなどの実験にも入っており、事業化への準備をさらに加速させています。

もう一つの変化は、事業を生もうとする動きが社内全体に広がりつつあることです。

事故車市場のプラットフォームや自動運転関連以外にも、SOMPOホールディングスは数多くのデジタル系事業に取り掛かっています。

例えばアメリカのスタートアップ、ワン・コンサーンが開発した防災予測システムの販売に乗り出し、昨年3月には導入を予定する熊本市で実証実験も実施しました。

このシステムは、豪雨や地震など災害の際に地域内で数日先にどのような被害が発生するかを予測するものです。

従来は、過去の災害データから地域ごとに災害の危険度を示す政府のハザードマップを使うほかありませんでしたが、このシステムは、その時々の降雨量などに応じて、被害が実際にどのように変化するかを予測できるため、住民の避難や防災対策に効果が大きいと期待されています。

日本ではほとんど知られていなかった同社をSOMPOホールディングスに紹介したのは、アメリカの有力ベンチャーキャピタルの投資家、ジョン・ルース氏だったと言います。

ルース氏は元駐日大使で、日本の災害事情などの知識がある上に、SOMPOホールディングスのシリコンバレーラボなどを通じて同社が技術系有力企業を探していることを聞いて両社をつないだようです。

グルーバルな人脈作りが効いたという訳ですね。

一方でSOMPOホールディングスは、全国に支社網を持ち、地元自治体と多様なつながりを持っています。

熊本市との連携でも、地元支社が最初の仲介役を務めたのでした。

組織や従来の役割の壁を越え、シリコンバレーと東京、支社のつながりで案件をものにしたのでした。

ワン・コンサーン日本は「地域の地形、建造物やその位置、築年数など多様なデータを収集し、我々のシステムをカスタマイズする必要があるが、熊本市の案件ではそこで助けてもらえた事が大きかった」と話します。

単発の保険契約を支社・代理店など1つの組織が獲得し、それを積み重ねて収益を伸ばす営業スタイルは基本の業界の中では、新しい「一体経営」への変化と言えるでしょう。

デジタルの力を駆使して生産性を向上させるだけでなく、次々に新たな事業や取り組みを生んでいるSOMPOホールディングスの当面の課題は、デジタル化が将来どれだけの利益を生むのかが尚見えない事です。

SOMPOホールディングスの2020年3月期決算では、一般企業の最終利益に近い概念の修正連結利益(1508億円)のうち、国内損保事業は約40.3%(608億円)、介護・ヘルスケア事業は5.1%(77億円)となりました。

修正連結利益はここ数年、頭打ちの状態です。

損保と介護の両分野を中心に利益率を引き上げ、並行して新事業で利益を積み上げていくシナリオを描いているとみられますが、収穫はまさにこれからと言えます。

重要なのは改革の持続力ですが、大企業の改革は、経営者が代わると後継者が異なる方向に進み始めることが少なくなく、不況など環境変化もありますが、改革の重さに耐えられなくなったため、そのような方向転換をする事があります。

桜田改革は伝統的損保の体質も変えつつありますが、それを持続できるのかどうかは、これからの課題と言えそうです。



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R35コースで、PDCA、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、ファシリテート、チームビルディング、イノベーションの9種類でR29コースよりも上級編の内容となっております。

最後に、R43コースが最上位クラスで設定されており、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、イノベーションの6種類となっております。

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