昨年からバルト11で上映している『午前10時の映画祭~デジタルで甦る永遠の名作』は、さすが名作ばかりで『観たい、行きたい』とずっと思い続けていましたが・・・・なんせ、午前10時という開演時間は、サラリーマンにはハードルが高い。
だいたい1週間限り、せいぜい2週間という短期間上映では、さらに厳しい~。
でも『1度スクリーンで見たかった。もう一度スクリーンで見たかった』というキャッチコピーが、胸をくすぐります。なのに見逃してばかり。
これは絶対に行きたいと、春先から思い続けて、2年越しでやっと行けました。
その映画は『日の名残り』
想定外のノーベル賞を受賞したイギリス在住のカズオ・イシグロのブッカー賞受賞作の映画化です。
イギリス貴族の大邸宅で執事としての仕事に、身も心も仕事に捧げている初老男性がアンソニー・ホプキンス。本心を出さない抑えた演技は『羊たちの沈黙』のレクター博士とはベツモノです。
1930年台(第二次世界大戦前あたり)のイギリスの貴族の大邸宅の様子が、ものすごい。
部屋数から使用人数から調度品から、どれもため息もので、さすがイギリスのザ階級社会。
何が起こるというわけでもないのですが、静謐・品格・厳粛・気品そういう2文字の漢字が、じわじわぁとしみ出てくるような映画でした。
観終わったあと『いい映画みたなぁ』と、しみじみ満足。