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政府「ワクチン打って死んだら4000万円支払います!」⇒接種後に28人死亡⇒政府「うーん、28人ともワクチンとの因果関係は評価不能!

2021年05月16日 23時15分10秒 | 感染症のこと 新型コロナウイルス

新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要

1.報告状況

○前回の合同部会(4月 30 日)以降、副反応疑い報告において、医療機関又は製造販売業者から死亡として報告された事例が新たに9件あり、令和3年2月 17 日から令和3年5月2日までに報告された死亡事例は計 28 件となった。

○なお、上記に加え、令和3年5月3日から令和3年5月7日までに、医療機関又は製造販売業者から死亡として報告された事例が 11 件あった。

2.専門家の評価
○令和3年2月 17 日から令和3年5月2日までに報告された 28 事例を対象に、専門家の評価を実施(別紙1、2)。
○評価結果は、以下のとおり。

因果関係評価結果(公表記号) 件数
α(ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの) 0件
β(ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの) 0件
γ(情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの) 28 件

○追加の報告がなされた場合及び今後の事例についても、引き続き、専門家の評価を進める。 


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おおたわ史絵氏がジェネリックの死亡事故に言及「医師はこんな事故が起こると不安に思っていた

2021年05月16日 23時00分44秒 | 医療のこと
医師のおおたわ史絵氏(57)が12日、ブログでジェネリック(後発医薬品)の死亡事故に言及した。皮膚治療薬(経口薬)も睡眠導入剤の成分が混入し、この薬を服用していた患者1人が死亡した。薬を製造した製薬会社が11日発表した。

 皮膚治療薬に向精神薬に使用されるベンゾジアゼピンが混入されていた問題についておおたわ氏は「水虫の薬でまさかベンゾジアゼピンが混入しているとは誰も予想しないです」と驚きを隠せない様子だ。

 その上で「患者さんが命を落とすとは…ジェネリックと言う選択肢がこの国に現れてから ずっと不安でした。多数の工場やメーカーが参入するほど、監視の目が行き届かなくなるからです。『全く同じ成分ですよ』と思わせた宣伝文句にも大きな問題があったと思う」とジェネリックの問題点を指摘した。

 ジェネリックは先発医薬品と全く同じものだと認識している人も多いが「私は患者さんに聞かれたときは必ず『有効成分は同じ配合ですが、材料も工場もそれぞれ異なるところで作られています。だから厳密には効き目や副作用には違いがあると思います。いいものもあれば、そうでない面もあるかもしれません』と説明しています」と必ずしも同じものではないことを解説。

 価格が安いのも事実だが「お金を払う患者さんにとっては値段は重要ですから、ジェネリックを選ぶ自由はあります。ただこの自由が問題です」という。

 最大の問題は「1つの薬に対してジェネリックは5つも10も存在することがあります。そのどれを選ぶか?選択権は患者さんにはありません。実は我々医者にもありません。選択権を持っているのは薬局です。どこのメーカーのジェネリックを採用するかは薬局の裁量にかかっています」という点だという。

 続けて「薬剤師さん達もそれぞれ情報を吟味しながらジェネリックの採用に踏み切っていることと思いますが、今回のような工場側の不正があると薬局側も大変困惑するでしょう」と今回の問題の影響を懸念している

 その上で「みんな被害者です。ジェネリックと言うお財布に優しい自由。聞こえはいいけれど、医者も患者も選択権を持っていない それが本当に自由なんだろうか?我々医師はみんな いつかこんな事故、事件が起きると不安に思っていました。これ以上、不幸が続きませんように」と結んでいる。




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外へ出たネコはどこへ行く? 大規模調査の結果がついに判明!

2021年05月16日 22時30分18秒 | 生き物のこと
外へ出たネコはどこへ行く? 大規模調査の結果がついに判明!

6カ国900匹超の飼いネコをGPSで追跡、野生動物を襲うことや事故への懸念も
 
「キャット・トラッカー」という大規模な国際プロジェクトの目的はシンプルだった。ペットのネコが、家の外でどこに行っているのかを調べることだ。

ギャラリー:スイスで発見、ネコ専用はしご 写真12点

 研究者たちは過去にも、自らの足で追跡するか(ご苦労さま!)、ネコの首輪に無線送信機を付けるかして、この難問に挑んできた。しかし、キャット・トラッカーはその規模において際立っていた。6カ国で900匹を超えるネコにGPS装置を1週間装着させ、彼らがどこへ行き、どのくらい広い範囲を動き回っているかを調査したのだ。

 調査開始から6年が経ち、ついに結果が2020年3月11日付けで学術誌「Animal Conservation」に発表された。そこで明らかになったのは、ほとんどのネコにとっては自宅の近くが一番らしい、ということだ。

「ネコがあまりにも狭い範囲でしか動いていなかったことに驚きました」と話すのは、論文の筆頭著者で米ノースカロライナ自然科学博物館のローランド・ケイズ氏だ。「大半のネコが、全ての時間を自宅の庭から100メートル以内で過ごしていました」

 ほとんどのネコが自然の中に足を延ばしていないとわかったのは良いことだ。それでも今回の調査では、飼いネコが生態系に混乱をもたらし、自分たちの身も危険にさらす可能性があることが判明した。

  米スミソニアン保全生物学研究所のネコ専門家で、フロリダキーズ諸島で絶滅が危惧されている小型哺乳類に野良ネコが及ぼす影響を調査したマイケル・コーブ氏は、今回の調査を「大変な功績です」と称賛した。「これほど多くのイエネコに対して、個体ごとに空間生態学的な調査をした研究は他にないと思います。それどころか、どの家畜化された動物種でも、こんな研究は見当たりません」
 基本は「なまけ者」
 
 米ノースカロライナ州ダーラム市にすむ長毛で青い目をした1歳のネコ、カットニス・エバディーンは、調査に参加したネコの中では典型的だった。彼女は他の多くのネコと同様、ほとんどの時間を家と、家の裏にある林の中で過ごした。とはいえ、両隣にあるアパート群を何度も訪れたり、家の前にある2車線道路を3回渡ったりもしていた。140メートルほど離れた駐車場まで歩いて行ったことも1度あった。首輪に付けられたGPS装置が3分ごとに記録した位置情報から、彼女の行動範囲がおよそ1.6ヘクタールであることがわかった。

 実のところ、カットニスの行動範囲は、ほとんどのネコよりも少し広い。半数以上のネコは、およそ1ヘクタール以内の行動範囲にとどまっていた。

 だが、すべてのネコがなまけ者だったわけではない。全体の7%は10ヘクタール以上の範囲を動き回っており、広大な行動範囲をもつ個体も何匹かいた。最高記録の保持者は、ニュージーランドのウェリントン郊外にすむ若いメス、ペニーだ。彼女は家の裏にある丘陵地帯を歩き回り、なんと860ヘクタールもの行動範囲をもっていた。

 ペニーの他に際立っていたのは、英イングランド南西部にすむ去勢済みのオス、マックスだ。彼は他のどのネコとも違う動きをした。セント・ニューリン・イーストの村からトレビルソンまでの道路を1.6キロメートル以上も歩き、そして来た道を戻ったのだ。6日間の追跡期間中、なぜ2回もこのような往復をしたのかは不明だ。

 こうした大胆な冒険家もいたとはいえ、大多数の飼いネコは、オセロットのような野生のネコ科動物や野良ネコよりも、はるかに行動範囲が狭いことがわかった。理由は明らかだろう。家でエサをもらうので、食べ物を探しに遠くまで探検をする必要がないからだ。また、多くのペットは去勢または避妊手術を受けているので、交尾相手を探す欲求もない。

「食べ物や交尾という動機がないために、ほとんどの飼いネコは自宅の近くで満足のようです」。ケイズ氏はそう話す。

 研究者たちは、国によってネコの行動に違いがあるのではないかと予想していた。例えば、米国ではコヨーテが広く生息しているので、ネコは安全な場所からあまり離れないのではないかと推測された。ところが、実際にはどの国でも、ネコはたいてい自宅の近くで過ごしていた。ただ、オーストラリアのネコの行動範囲は、他の国々よりも小さかった。「ネコは世界中どこにいてもなまけ者なんです」とケイズ氏は結論づけた。

  他にも、オスの方がメスよりも行動範囲が広いことがわかった。また、去勢や避妊手術を受けていないネコの方が受けているネコよりも、若いネコのほうが老齢のネコよりも、そして地方のネコの方が都市部のネコよりも広い範囲を移動する傾向があった。

外出先でハンターに
 
 近年、ネコが爬虫類や鳥類などの野生生物を減らすことに対して、懸念が高まっている。GPSのデータは、ネコがどれくらい遠くまで行っているかだけでなく、どんな場所を訪れているかを知る上でも役立つ。

 国を問わず、約75%のネコはほとんどの時間を、人の手が入った庭などの場所で過ごしていた。一見すると、これは良いことのように思える。テラスと花壇で過ごしているだけのベラちゃんが、どんな問題を起こすと言うのだろう。

 しかし、狩りが特定のエリアで集中して行われることで、地域の野生生物の生息数に桁外れの影響が及ぶ可能性があると、論文は指摘する。最新の調査によれば、米国には約1億匹もの飼いネコがいるという。そのことを考えると、こうした地域的な影響が積み重なることで、全体では甚大になる可能性がある。

「都市部には、開発と生息地の分断化によって、すでに影響を受けている野生生物がいます」。そう話すのは、論文の著者の一人で、米ノースカロライナ州立大学の学部生だった頃に米国でのデータ収集を統括したトロイ・パーキンズ氏だ。

 「外にいる飼いネコが増えるほど、地域の野生生物にとってはストレスや殺される可能性が大きくなります」と氏は言う。「絶滅の恐れがある野生生物が近くに生息している場合、ペットのネコが戸外を歩き回ることによる生態学的な影響は、さらに大きなものとなります」
 戸外で何をしているのか
 
 飼いネコの約10%が家の庭を出て、ほとんどの時間を自然の中で過ごしていた。森林や湿地をぶらつくネコは、人間が多く住む地域には生息していない生物を狩ることがあるだけでなく、自らが狩られる側にもなりうる。コヨーテやディンゴはネコを食べることで知られている。

 調査によって、ネコにとってのもう1つの危険も改めて浮き彫りになった。車だ。ネコたちは6日間の追跡中に平均4.5回、道路を渡っていた。「データを受け取った飼い主の多くは、野生生物への影響よりも、道路を渡っていることについて心配していました」。そう話すのは、ニュージーランドチームのリーダーを務めたハイディ・キキルス氏だ。氏が調査の数カ月後に飼い主たちに連絡を取ったところ、実際に何匹ものネコが車にひかれたとのことだった。

 キャット・トラッカーによって、飼いネコたちの外での生活がわかってきたものの、研究者たちが言うには、まだ調べなければならないことは多い。ネコたちが訪れている場所がわかったのは重要な進歩だが、環境への影響やネコ自身にとっての危険性を真に理解するためには、実際に彼らが何をしているのかを知らなければならない。

 ネコ目線で動画を撮ることができる「キティカム」(ネコカメラ)を使うのも1つの手だ。チーターが狩りをするときの走行スピードを調べるために開発された技術を借用する手もある。

 「現在、ネコの行動、特に狩りの頻度と場所をもっと正確に知るため、より精度の高いGPSと加速度センサーを組み合わせた技術を開発しているところです」とケイズ氏は話した。


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2020・3・25>」東京五輪が「1年延期でも安心できない」これだけの理由

2021年05月16日 22時15分10秒 | 国際情勢のことなど
東京五輪が「1年延期でも安心できない」これだけの理由


倍首相が、ついに東京オリンピックの延期を決断した。IOCとは「1年程度の延期、遅くとも来年夏までには開催すること」で合意したと報道されている。安倍首相は「新型コロナウイルスに打ち勝った証明としてのオリンピック」を強調し、「完全な形での開催」を望んでいるようだ。

【写真】一目瞭然!マスクが新型コロナ予防にならない理由



 1年の延期にほっと胸をなで下ろした人も多いかもしれないが、果たして「約1年後の延期」は本当に十分であり安全なのだろうか。医師である筆者は、「2年後に延期したほうがよかったのではないか」と感じた。その理由について解説していきたい。
厚労省での専門家会議で使われた図(厚生労働省HPより)        
 


都市封鎖や休校で「長期化」する
 
 現在、多くの先進国が都市をシャットダウンするなどの封じ込めを行っている。小池都知事も先日の23日、これから3週間のあいだに感染者の爆発的増加(オーバーシュート)が起こった場合は首都を封鎖することも検討していると述べ、さらに25日の会見では、「感染爆発 重要局面」と宣言し、今週末の自粛要請を出した。それにならい、神奈川、千葉、埼玉など隣接する県も自粛の要請に踏み切っている。

 東京都は26日、新たな感染者が47人と過去最高を更新。いま、まさに「感染爆発」が懸念される状態であり、首都封鎖も近いかもしれない。

 こうした自粛要請などの「社会隔離政策」により、一時的な患者数の急増を防ぐことでピークを後ろにズラし、医療のキャパシティを超えないようにすることは先進国共通の戦略だ。ただ、この戦略は感染終息までの時間が長期化する。

厚生労働省は下の図で、発症数が辿るであろう経過を説明しているが、ピークが何月頃になるなどの具体的な記載はなされていない。しかし、封じ込めがうまくいくほどピークは低く、後ろにズレることになる可能性が高い。ヨーロッパCDCは25日、「夏に終息する公算は低い」という見通しを示している※1

1918年、アメリカのミズーリ州で担架をもつ看護師たち〔PHOTO〕Getty Images        
 


今年の冬以降に感染の「第2波・第3波」の可能性も
 
 感染症は一旦流行が治まっても、ときにはシーズンをまたいで第2、第3の波が来ることがある。有名なのがスペイン風邪だ。1918年のスペイン風邪は、3月にアメリカとヨーロッパで始まり、春から夏にかけて第1波を形成した。

 第1波の致死率はそれほど高くはなかったが、フランスやアメリカなどで秋に発生した第2波は致死率も高く、世界的流行を引き起こし、1919年および1920年にも流行が起こった。スペイン風邪による全世界の死者は4000万人(WHO)にのぼり、日本でも38万人が亡くなっている。

 また、1968年に流行した香港インフルエンザも、シーズンをまたいでの流行があり、翌年の第2波のほうが規模が大きかったとされる。

 ただ、2009年の新型インフルエンザのような例もある。パンデミックが起こった翌シーズン冬の第2波が心配され、日本感染症学会も啓発をしていたが、予防が功を奏したのか日本では大きな第2波は見られず、季節性インフルエンザとなった。

  自粛により予防が行き届いているうちはいい。今は各国が自粛・封鎖しているが、自粛・封鎖が解かれ、人の往来が活発になったときに、再び大きな波がやってくる可能性がある。

医療崩壊」と「第2・3波」の間で 
 昨日、新型コロナウイルスに感染したことを発表したイギリスのジョンソン首相は当初、「集団免疫論」を唱え物議を醸した。これは計算上、新型コロナウイルス感染症は人口の60%程度が感染して抗体を持てば感染は終息するという考えに基づいている。当初は厳しい隔離・封鎖方針を示さなかったジョンソン首相だが、集団免疫論を発表した3日後の3月16日に、封じ込め路線に方針転換した。

これは、集団免疫を実践した場合のシミュレーションを、ニール・ファーガソン博士を中心とするインペリアル・カレッジ・ロンドンのCOVID-19対策チームが行ったところ、封じ込めをしなければ医療崩壊が起こり、膨大な死者数が出ることがわかったためだ※2


 ただ、封じ込めにもリスクが伴う。感染の封じ込めをするほど感染したことのある人口が少なくなり、自粛や封鎖を解いたときに新たに感染する人が多くなり、第2や第3波を形成する可能性があるのだ。1918年のスペイン風邪でも、封鎖が解かれることで再燃が起こっている。

 インペリアル・カレッジ・ロンドンの報告書でも、「封じ込めがうまくいくほど、次に来る波が大きくなることがある」と指摘されている。また、同報告書は、「ワクチンができるまでの期間の3分の2は隔離などの政策を続けなければならないこと」「封鎖の解除と再導入を終息までに何度か行わなければならない可能性」にも言及している。

  また、国内での感染が終息したとしても、他国でもそうとは限らない。現在、アメリカなどの貧富の差が激しく医療アクセスの悪い国や、南米やアフリカなどの医療資源の少ない国での流行が始まっているが、これらの国々で一旦流行が始まると、なかなか終息しない可能性がある。自粛や封鎖が終わり、オリンピックでこれらの国からの入国があると、再度の流行のきっかけになり得る。
     
写真はイメージです〔PHOTO〕iStock        
 


ワクチン開発には1年以上かかる
 
 ワクチンの開発に1年以上かかることも、2年延期のほうがいいと思う理由のひとつだ。先日、アメリカのNIH(国立衛生研究所)は、ワクチンの第1相試験を行うと発表した。ワクチンが実用化されるためには、少なくとも1~1年半かかるのではないかと言われている。

 ワクチンの開発段階では、人への副作用や効果を確かめるために第1~第3相の臨床試験が行われる。第1相では、開発されたワクチン候補となる薬剤を少数の人に投与し、副作用などが出ないかをみる。続く第2相で投与量や投与スケジュールなどを確定し、第3相で大規模な安全性、有効性を確かめる臨床試験を行った上で、初めてワクチンは承認され、使用できるようになる。この過程に、一般的に1年半ほどかかるのだ。

 また、ワクチン開発が成功するとは限らない。開発をしても免疫がつかないことはあり得、同じコロナウイルス感染症であるSARSやMERSにおいても、ワクチン開発が試みられたものの成功していない。SARSの流行は2002~2003年にかけて起きたが、15年以上経過した今もまだワクチンは開発されていない(SARSはワクチンが開発される前に終息したので、開発が進まなかったという背景もある)。

 また、一般的な風邪を引き起こすコロナウイルスには長期的な免疫がつかないことが知られている。

 SARSやMERSに関しては、有効な治療薬も未だに存在しない(「ワクチン」は抗体をつけて感染を未然に防ぐ・あるいは重症化を防ぐものであり、「治療薬」は感染後にウイルスの増殖を抑える役割を果たす)。新型コロナウイルスの治療薬候補として、インフルエンザ治療薬として開発された「アビガン」、エボラ出血熱に使用される「レムデシビル」、膵炎の治療薬「ナファモスタット」などが挙げられ、臨床試験が進行中だが、劇的な効果が得られる薬が出てくるのかは現段階では不明だ。

先日結果が公表されたHIV治療薬である「カレトラ」は、無治療群に比べて有意な効果がなかったとされている※3
。また、アビガンに関しては、カレトラと比較した80人規模の臨床試験が行われたが、カレトラに比べてCTで診たときの肺炎像の改善やウイルス消失までの時間がやや短いという結果が出たものの※4
、「特効薬」といえるほどのものではなさそうだ。もちろん、今後もっと大規模な研究での検証は必要だが。

再流行で「東京医療崩壊」のリスクも
 
 そもそも、「8割の人が軽症とされる風邪のような病気に対して、どうして世界はこんなに困っているの?」という疑問をもつ人もいるだろう。新しい未知のウイルスであり、誰も免疫をもたず、予防接種や治療法がないというのも世界が困るひとつの理由だが、この感染症のもっとも困った点は、無症状者や軽症者が多く、感染の自覚がなく接触して他の人を感染させてしまうことだ。

 無症状あるいは軽症のまま海外に渡航したり、外国から帰国したりすると、そこでまた第三者への感染が起こる。ひとつの国で終息したように見えても、外国との行き来が盛んな現代においては、再び持ち込まれて流行が起こることは十分考えられる。

 ほぼ全員が軽症であるのなら問題ないが、20%は重症化し、5%は重篤となり人工呼吸器などが必要になる。この20%および5%という数字は、感染者の爆発的増加(オーバーシュート)が起これば、病院の感染対策可能な重症者用ベッドから患者が溢れ、医療崩壊を起こすには十分な数字だといえる。感染者増加に伴うマスクやガウンなどの物資の欠乏も、院内感染対策を不十分にさせ、さらなる医療崩壊を促進する。

 風邪や季節性インフルエンザでは、医療崩壊が起こるほどの頻度で重症化はしない。これは新型コロナウイルスならではの特性だ。

 また、前述したように、日本で流行が一旦終息しても、オリンピックで外国から人が入ってくることにより、再び流行が再燃することがあり得る。東京で集中的に患者数が増えれば、医療崩壊を引き起こす可能性もある。そもそも、現在不足している病院の物資が来年までに回復しているのかも、今のところ見通しは立っていない。

 グローバル化が進んでいる今、新型コロナウイルス感染症のコントロールは非常に難しい。もちろん、経済的なことや選手側の事情もオリンピックを考えるうえでは重要であり、医学方面からのみ考えることはできないが、オリンピックが1年後に安全に行えるのかは現段階では非常に不透明であると言える。

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※1 https://www.nytimes.com/reuters/2020/03/25/us/25reuters-health-coronavirus-eu-ecdc.html

※2 https://www.imperial.ac.uk/media/imperial-college/medicine/sph/ide/gida-fellowships/Imperial-College-COVID19-NPI-modelling-16-03-2020.pdf

※3 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2001282? query=featured_home

※4 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2095809920300631#f0010
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松村 むつみ(放射線科医、医療ライター)

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かつて日本に存在した“暴力専門家” 「誰を殴ったか」「どこを殴打したか」で報酬額が決まっていた

2021年05月16日 22時00分59秒 | 事件と事故
1936年1月、元衆議院議員吉田磯吉が亡くなると、内務大臣から位階の追賜が申請された。理由は「仁侠」を以て名を知られた「廉直」の人物で、弱者救済ほか幾多の社会的貢献があったから。

なかでも特筆すべきは、1921年の日本郵船紛擾事件(政友会が同社を資金源にするため壮士を送り込んで株主総会を妨害しようとした事件)での活躍だという。

吉田は地元九州から「決死的壮士三百人」を上京させ、事態を無事「調停」した。国立公文書館蔵『叙位裁可書』添付の「事蹟調書」にそう書かれている。 

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対立政党の謀略を挫いた功績はたしかに大きい。それにしても、荒くれ男たちを大動員した“磯吉大親分”の暴力団組長顔負けの蛮行が手放しで賞讃されているとは。乱暴者と政治のあまりの親密さに、十数年前に右の公文書を閲覧した私はただ驚くばかりだった。  

本書は、近代日本政治における暴力許容(あるいは賛美)の実態と背景を入念な文献調査と東西にわたる豊富な知識をもとに解説した学術書である。「暴力は近代日本政治史において恒久的な原動力であった」とする著者は、政治と親密に関わった無頼漢の類を「暴力専門家」と呼び、彼らが「なぜ、どのようにして、これほど政治と密接に結びつくことになったのか。この問いこそが筆者を荒々しい政治世界の探求」に向かわせた、と研究の動機を熱く語っている。  


幕末維新期から戦後の安保闘争や三池炭鉱争議に至るまで、本書に登場する主役たちは様々だ。志士、博徒、壮士、院外団、大陸浪人、国粋会・正義団等の国家主義右翼団体、そして戦後の暴力団や児玉誉士夫のようなフィクサーたち。

彼らの暴力の実態も詳しく紹介されている。たとえば壮士や院外団の場合、対立政党や候補者の集会での“ひと暴れ”や投票者への脅迫は当たり前。標的の政治家を襲うこともしばしばで、護身のために仕込み杖を所持し、包帯姿で登院する議員も少なくなかったとか。

院外団では誰を殴ったか身体のどこを殴打したかで報酬額が決まっていたという大野伴睦の回想も興味深い。政治の世界では日常茶飯事のように暴力が横行、まさに常在戦場だった。  


著者が強調するのは、今日多くの歴史学者が民主主義の繁栄期とする大正デモクラシー期に、暴力専門家が政党の院外団に正式に組み込まれ「堂々と制度化」されたという、残念な史実である。吉田磯吉が衆議院議員に初当選したのも大正4年。ヤクザ社会に通じた有力な実業家として、憲政会の武闘派議員となった。  

魅惑的なテーマで日本近代政治史のもう一つの通史を書き上げた著者だが、注文も。エリートである政治家たちはなぜ無頼の徒と親密な関係を結んだのか。党利党略のために金目当ての彼らを利用しただけなのか。政治家と無頼。両者の間の心情的共鳴にもう一歩踏み込んでもらいたかった。

 Eiko Maruko Siniawer/1975年、米カリフォルニア州生まれ。ウィリアムズ大学歴史学部教授。専門は日本近代史。97年ウィリアムズ大学卒業、2003年ハーバード大学で博士号(歴史学)取得。本書は、博士論文を大幅改稿して単著にしたもの。 うじいえみきと/1954年、福島県生まれ。歴史学者(日本近世史)。著書に『武士道とエロス』『サムライとヤクザ』など。




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