ドイツで《ナチスそっくり》の極右政党、ここへきて支持を集める理由…背景に国民が揺らいだ「2つの事件」が起こっていた(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

>9月1日と言えば、85年前の1939年のこの日に、ヒトラーがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった日である。その記念すべき日、ナチスの蛮行を反省すべき日に行われた選挙で、ナチスに親近感を持つAfDが大躍進したことは大きな皮肉である。アウシュビッツも遠い歴史の彼方に追いやられたような感じである

ドイツで《ナチスそっくり》の極右政党、ここへきて支持を集める理由…背景に国民が揺らいだ「2つの事件」が起こっていた
9/4(水) 7:00配信
現代ビジネス
Photo by GettyImages
9月1日に行われたドイツの地方選挙で、極右政党が躍進し、遂に第一党となった。その背景には何があるのか。そして、ドイツの今後はどうなるのか。
2つの州議会選挙で第一党に
Photo by GettyImages
旧東ドイツのチューリンゲン州とザクソン州で、9月1日に州議会選挙が行われた。移民や難民の排斥を主張する極右のAfD(ドイツのための選択肢)が躍進し、チューリンゲン州では、投票率32.8%で第一党となった。極右が主な選挙で第一党になるのは初めてである。
AfDのチューリンゲン州党支部長のビョルン・ヘッケは、大勝した選挙結果を受けて、「人々は変化を望んでいる」と述べた。30代以下の若者の36%がAfDに投票している。
ザクセン州では、AfDは30.6%を得票し、トップの中道右派で野党のCDU(キリスト教民主同盟)に僅差で2位につけた。
今のショルツ政権は、SPD(社会民主党)、緑の党、FDP(自由民主党)の連立政権であるが、全く振るわず、SPDはチューリンゲン州では6.1%しか得票できず、過去最低の記録であった。
そして、もう一つ注目すべきは、テレビなどで活躍するザーラ・ヴァーゲンクネヒトが左派党を離党して立ち上げた左派新党のBSW(ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟)の支持の拡大である。
BSWはウクライナへの武器供与の即時停止とロシアとの停戦交渉を要求しているが、それはAfDの主張と同じである。ウクライナ戦争の長期化で経済に悪影響が及び、生活が苦しくなっている人々がその主張に共鳴している。
BSWは、チューリンゲン州では15.8%、ザクセン州では11.8%で、第3位にのし上がった。
選挙結果をまとめると、チューリンゲン州では、AfDが32.8(+9.4)%、CDUが23.6(+1.9)%、BSWが15.8%、左派党が13.1(-17.9)%、SPDが6.1(-2.1)%、緑の党が3.2(-2.0)%、FDPが1.2(-3.9)%であった。()内は、前回2019年選挙との比較である。
ドイツでは5%条項があり、5%以上得票しないと議席を得ることができない。
ザクセン州では、AfDが30.6(+3.1)%、CDUが31.9(-0.2)%、BSWが11.8%、左派党が4.5(-5.9)%、SPDが7.3(-0.4)%、緑の党が5.1(-3.5)%、FDPが0.9(-3.6)%である。
与党連合の劣勢が目立つ。
9/4(水) 7:00配信
現代ビジネス
Photo by GettyImages
9月1日に行われたドイツの地方選挙で、極右政党が躍進し、遂に第一党となった。その背景には何があるのか。そして、ドイツの今後はどうなるのか。
2つの州議会選挙で第一党に
Photo by GettyImages
旧東ドイツのチューリンゲン州とザクソン州で、9月1日に州議会選挙が行われた。移民や難民の排斥を主張する極右のAfD(ドイツのための選択肢)が躍進し、チューリンゲン州では、投票率32.8%で第一党となった。極右が主な選挙で第一党になるのは初めてである。
AfDのチューリンゲン州党支部長のビョルン・ヘッケは、大勝した選挙結果を受けて、「人々は変化を望んでいる」と述べた。30代以下の若者の36%がAfDに投票している。
ザクセン州では、AfDは30.6%を得票し、トップの中道右派で野党のCDU(キリスト教民主同盟)に僅差で2位につけた。
今のショルツ政権は、SPD(社会民主党)、緑の党、FDP(自由民主党)の連立政権であるが、全く振るわず、SPDはチューリンゲン州では6.1%しか得票できず、過去最低の記録であった。
そして、もう一つ注目すべきは、テレビなどで活躍するザーラ・ヴァーゲンクネヒトが左派党を離党して立ち上げた左派新党のBSW(ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟)の支持の拡大である。
BSWはウクライナへの武器供与の即時停止とロシアとの停戦交渉を要求しているが、それはAfDの主張と同じである。ウクライナ戦争の長期化で経済に悪影響が及び、生活が苦しくなっている人々がその主張に共鳴している。
BSWは、チューリンゲン州では15.8%、ザクセン州では11.8%で、第3位にのし上がった。
選挙結果をまとめると、チューリンゲン州では、AfDが32.8(+9.4)%、CDUが23.6(+1.9)%、BSWが15.8%、左派党が13.1(-17.9)%、SPDが6.1(-2.1)%、緑の党が3.2(-2.0)%、FDPが1.2(-3.9)%であった。()内は、前回2019年選挙との比較である。
ドイツでは5%条項があり、5%以上得票しないと議席を得ることができない。
ザクセン州では、AfDが30.6(+3.1)%、CDUが31.9(-0.2)%、BSWが11.8%、左派党が4.5(-5.9)%、SPDが7.3(-0.4)%、緑の党が5.1(-3.5)%、FDPが0.9(-3.6)%である。
与党連合の劣勢が目立つ。
<>
移民・難民受け入れの「大きな代償」
Photo by GettyImages
今のヨーロッパ、そしてドイツの最大の問題は移民・難民問題である。シリアなどから大量に流入した移民や難民は、欧州社会に溶け込めず、自分たちのみで固まり、夜遅くまで騒いだり、犯罪やテロに走る者も出てきたりして、社会の不安定要因になっている。
EUは人権擁護の観点から移民や難民に手厚い保護を与えているが、とくにドイツは、ナチス時代に650万人ものユダヤ人を虐殺したことに原罪意識を抱いており、その贖罪として移民や難民に寛容な態度を維持してきた。そして、日本を抜いてGDPで世界3位という豊かな国だけに、移民や難民を受け入れる経済的余裕もある。
そのため、中東、アフリカなどから脱出した難民は、最終目的地としてドイツを選択するのである。
しかし、「不幸な人々」に開かれたドイツ社会も、その負担や代償に辟易としつつある。それを象徴する事件が、8月に、ドイツ西部のゾーリンゲンで起こった。
8月23日夜、市の創立650周年を祝う祭典「多様性フェスティバル」が開催されている中、男が刃物で来場者を襲い、3人が死亡し、8人が負傷した。犯人は26歳のシリア人で、IS(イスラム国)が「ISの戦士が実行した」とする犯行声明を出した。
この事件にドイツ国民は大きな衝撃を受けている。そして、AfDのヘッケ支部長は、「こんなことは許されない」と声を上げたのである。
この男は、2022年12月にドイツに来て難民申請をしたが、EUのダブリン規約では、最初のEU入域国で審査することになっている。この男の場合、それはブルガリアである。そこで、ドイツ当局はブルガリアに送還することにしたが、彼は逃亡してしまった。
強制送還執行期間の6ヵ月が過ぎると、ドイツが責任国となって、難民に準じる形で「補完的保護」をしなければならなくなる。この制度を悪用する者が後を絶たず、EUでは入域国への送還が出来てない難民は全体の9割、約5万人に上っている。
シュルツ首相は、ゾーリンゲンを訪れ、「ドイツにいられない人、いてはならない人を確実に強制送還させる」ために政府は全力を尽くすと述べた。
このゾーリンゲン事件がドイツ国民を憤激させ、AfDの躍進につながったことは確かである。
Photo by GettyImages
今のヨーロッパ、そしてドイツの最大の問題は移民・難民問題である。シリアなどから大量に流入した移民や難民は、欧州社会に溶け込めず、自分たちのみで固まり、夜遅くまで騒いだり、犯罪やテロに走る者も出てきたりして、社会の不安定要因になっている。
EUは人権擁護の観点から移民や難民に手厚い保護を与えているが、とくにドイツは、ナチス時代に650万人ものユダヤ人を虐殺したことに原罪意識を抱いており、その贖罪として移民や難民に寛容な態度を維持してきた。そして、日本を抜いてGDPで世界3位という豊かな国だけに、移民や難民を受け入れる経済的余裕もある。
そのため、中東、アフリカなどから脱出した難民は、最終目的地としてドイツを選択するのである。
しかし、「不幸な人々」に開かれたドイツ社会も、その負担や代償に辟易としつつある。それを象徴する事件が、8月に、ドイツ西部のゾーリンゲンで起こった。
8月23日夜、市の創立650周年を祝う祭典「多様性フェスティバル」が開催されている中、男が刃物で来場者を襲い、3人が死亡し、8人が負傷した。犯人は26歳のシリア人で、IS(イスラム国)が「ISの戦士が実行した」とする犯行声明を出した。
この事件にドイツ国民は大きな衝撃を受けている。そして、AfDのヘッケ支部長は、「こんなことは許されない」と声を上げたのである。
この男は、2022年12月にドイツに来て難民申請をしたが、EUのダブリン規約では、最初のEU入域国で審査することになっている。この男の場合、それはブルガリアである。そこで、ドイツ当局はブルガリアに送還することにしたが、彼は逃亡してしまった。
強制送還執行期間の6ヵ月が過ぎると、ドイツが責任国となって、難民に準じる形で「補完的保護」をしなければならなくなる。この制度を悪用する者が後を絶たず、EUでは入域国への送還が出来てない難民は全体の9割、約5万人に上っている。
シュルツ首相は、ゾーリンゲンを訪れ、「ドイツにいられない人、いてはならない人を確実に強制送還させる」ために政府は全力を尽くすと述べた。
このゾーリンゲン事件がドイツ国民を憤激させ、AfDの躍進につながったことは確かである。
国政でも快進撃は続くのか
Photo by GettyImages
9月1日と言えば、85年前の1939年のこの日に、ヒトラーがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった日である。その記念すべき日、ナチスの蛮行を反省すべき日に行われた選挙で、ナチスに親近感を持つAfDが大躍進したことは大きな皮肉である。アウシュビッツも遠い歴史の彼方に追いやられたような感じである。
チューリンゲン州でもザクソン州でもAfDが政権に参加することはなさそうであるが、どのような連立政権が出来るかは注目すべきである。
チューリンゲン州では、定数88の州議会でAfDは32議席を獲得した。そのため、3分の2の賛成が必要な案件(たとえば憲法裁判所判事の任命)では、AfDが拒否権を持つことになる。
9月22日には、ブランデンブルク州でも州議会選挙が行われるが、AfDが躍進する結果となる可能性が高い。ドイツ東部に位置するこの州もまた、旧東ドイツであり、ドイツ再統一後の不満が募っている。
来年秋には総選挙が行われる。AfDやBSWの快進撃は続くのであろうか。
舛添 要一(国際政治学者)
Photo by GettyImages
9月1日と言えば、85年前の1939年のこの日に、ヒトラーがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった日である。その記念すべき日、ナチスの蛮行を反省すべき日に行われた選挙で、ナチスに親近感を持つAfDが大躍進したことは大きな皮肉である。アウシュビッツも遠い歴史の彼方に追いやられたような感じである。
チューリンゲン州でもザクソン州でもAfDが政権に参加することはなさそうであるが、どのような連立政権が出来るかは注目すべきである。
チューリンゲン州では、定数88の州議会でAfDは32議席を獲得した。そのため、3分の2の賛成が必要な案件(たとえば憲法裁判所判事の任命)では、AfDが拒否権を持つことになる。
9月22日には、ブランデンブルク州でも州議会選挙が行われるが、AfDが躍進する結果となる可能性が高い。ドイツ東部に位置するこの州もまた、旧東ドイツであり、ドイツ再統一後の不満が募っている。
来年秋には総選挙が行われる。AfDやBSWの快進撃は続くのであろうか。
舛添 要一(国際政治学者)
ビジネス特集 今やひっぱりだこ!? 武器になるのは「数学」です
スマホに話しかけると答えてくれるアレや、コンビニでの天候や客足などに応じた商品発注の最適化など、すでに暮らしの至るところにAI=人工知能が活用されています。そうしたAI時代に、求められる人材とは?ーーーシステムエンジニアやデータサイエンティストがそうかもしれませんが、実はいま求められているのは「数学ができる人」なのです。(経済部記者 木村隆介)
4/12/2020
数学専攻が大人気! アメリカ
日本では「就職先がない」「何の役に立つか分からない」と敬遠されがちな数学。私自身、高校時代に深入りすることをやめてしまった文系人間ですが、数学に苦手意識を持つ人は多いのではと思います。
一方、AIの分野でリードするアメリカでは今、日本とは事情が全く異なっています。アメリカでは、よい待遇や仕事環境が得られる職種のランキングに「数学者」が常に上位に入ります。
カリフォルニアのある有力大学では、この10年で数学を主な専攻とする学生の数が5倍に増えたといいます。
日本では「就職先がない」「何の役に立つか分からない」と敬遠されがちな数学。私自身、高校時代に深入りすることをやめてしまった文系人間ですが、数学に苦手意識を持つ人は多いのではと思います。
一方、AIの分野でリードするアメリカでは今、日本とは事情が全く異なっています。アメリカでは、よい待遇や仕事環境が得られる職種のランキングに「数学者」が常に上位に入ります。
カリフォルニアのある有力大学では、この10年で数学を主な専攻とする学生の数が5倍に増えたといいます。

グーグルやアップル、フェイスブックなどの巨大IT企業が今、数学専攻の学生を積極的に採用していることが背景にあります。
AIの基礎は数学にあり
なぜ数学なのか?AIには、課題を解くための計算や処理の手順を示した“アルゴリズム”が必要ですが、そのアルゴリズムを効率的に組み立てるために必要になるのが、高度な数学なのです。
足し算やかけ算などの四則演算をもとにした単純なプログラミングでは膨大な時間がかかってしまう作業が、アルゴリズムに最適な数式を組み込むことで、劇的に時間を短縮できます。
囲碁ソフトや画像認識などで使われる“ディープラーニング”のアルゴリズムは、微分積分や行列、ベクトルといった私たちが高校時代に学ぶ数学が土台にあります。
巨大IT企業がビジネスの糧にしている大量のデータを瞬時に分析し正確な結果を導き出す画期的なアルゴリズムを開発できるのは、高度な数式を理解し活用できる人材だとされているのです。
急成長 東大発の数学ベンチャーが
日本にも数学系人材を集めて注目されているベンチャー企業があります。2016年に東京大学大学院の特任教授が立ち上げた「Arithmer」です。110人の社員のうち、半数以上が数学や物理の博士号や修士号を持っていて、現代数学をAIに応用することを主な事業としています。
以下ソース