なまこ壁の補修工事をやっていたので、思わず写真を撮りました。なまこ壁の役目は何かと言うと、思わず黙ってしまう。手間のかかる仕事の割りには、役目と言うと、防水、デザインぐらいしか思いつかないからだ。漆喰が傷まないように、瓦で強度を取ったとか色々あるのだろうが、別に他の手間のかからない方法もあるからだ。一番は財力の誇示なのだろうが、未だになまこ壁の町並みを見ると、良いなーと感じるのは、財力の問題だけでもなさそうだ。車も軽自動車で間に合うが、あえて高い高級車や、スポーツカーを選ぶのと同じな物なのだと思う。あこがれの形、物を手に入れたいと思うのは自然な事だ。
良い物、好きな物は大切に使う。家も同じ。住むだけだったら建て売りの家でも十分だ。リホームして、壁紙を張りかえれば、何時でも一見新しくなるしそれで十分。しかし長く残る家には、それなりのこだわりがある。素材、工法、職人の技。創るにあたって物語りがあるのだ。私も結婚当時、船に乗っていた時には、なんのこだわりも無く、安い、セキス○ハウスの家で十分だと本気で考えていた。しかしログハウスに出会って、素材一つとっても、こだわりが出来た。工法でも、もっと良い方法は無いかと考えるようになった。職人の技の奥深さに興味を持つようになって来たのだ。何故か。良い家、気持ちの良い場所を作りたかった。嘘のない空間に身を置きたいと。建築の知識が身に着くにしたがい、ハウスメーカーの家は対象外になった。対象が不特定多数の建築は、及第点は取れるが、私にはどうしても満足出来る家にはなり得ない。パーツを色々取り替えれ選べる。一見豊だと思われるシステムだが、私には貧しく感じられる。オンリーワンの建築には、予算が厳しくても、一つの物語りがある。そのことが豊かだと思えるし、大切にしたい心を育む。人口減の日本には、メーカーハウスはもういらないのではとも、私は感じる。災害時の仮設等大量生産以外は必要無いとも。もう少し、地元の良い物、人材を育てて行く事が、地方が豊かになるきっかけになると確信している。