ポトマック自然観察日記

アメリカ東部の自然紹介をきかっけに、日本や世界の自然観察を共有。

Cape May, New Jersey

2014年01月03日 | 日記
ここはアメリカのバードウォッチャーにとって聖地の一つと言えるでしょう。ニュージャージー州の南端、大西洋に突き出すような地形の先端にケープ・メイという町があります。アメリカ最古のリゾートタウンとも呼ばれ、かわいいビクトリアン調の建物が並びます。有名チェーンホテルやマクドナルドの無い街。ここは大西洋沿いの鳥の渡りのルート上にあり、特に対岸のデラウェア州との間で海を渡る鳥たちにとって重要な通過点です。





町中やビーチ沿いを観光した翌日、地元のAudubon Societyの主催するバードウォーク(観察会)に加わりました。時は8月中旬、場所はCape May State Park、名前を忘れてしまいましたが、リーダーはイギリス人のベテラン・バードウォッチャーでした。立派な観察デッキの前で集合し、ツアーが始まる前からその場でウォッチング開始です。それにしてもとっても印象的な灯台があります。後で灯台に登って分かったのですが、先の大戦でドイツの潜水艦の東海岸地域侵入を恐れて作られたものの一つでした。なかなか歴史的。ドイツの潜水艦が東海岸沖そして南はパナマに至るまでの広大な地域で戦闘していたとは全く知りませんでした。





砂浜の海岸に出ると、うわあーっと言う感じで鳥がたくさんいます。これでもこの時期渡りのピークでは無いので、数・種類ともに少ない方だとか。最初の写真にある黒い帽子を被った鳥はアジサシ。この日は4種類のアジサシが確認されました。



沢山のアジサシやカモメに混じって、何だか顔というか嘴の長い鳥がいます。嘴の色が黒とオレンジのツートン。右の二羽です。これはBlack Skimmerといって、以前フロリダで観察したことがありますが、下の嘴の方が上よりも長く、それを水面下に差し込んで水面すれすれを飛ぶ。そしてその下嘴に当たった魚を瞬時に捕まえる、というユニークな鳥です。



一通り海岸沿いを観察した後は、そのすぐ背後に控える湿地帯へ。淡水の池やクリーク、ちょっとした茂みが広がります。ここはもう、正に鳥の楽園。目の前の海峡をデラウェア側に亘る前、必ずと言って良いほど、鳥たちはこの辺りで休息したり、捕食したりするのでしょう。











因みに最後のMute Swanは人間が導入したもので、湿地の環境を荒らすから嫌われ者だ、でも、一般の観光客には受けるとか、そんな会話もバードウォークの参加者から聞こえてきました。この日は、実に34種を確認!バードウォークのリーダーや多くの参加者の目に救われての立派な数字ですが、やはり2-3時間で34種も確認できるとは、とっても凄いフィールドです。

ケープメイの可愛い街並みでも観に行ってみようかと考えられる方々には、是非、この鳥見の方もご検討あれ。鳥の渡り、ということを考え合わせると、4-5月および9-10月がお勧めです。帰りは、この町から出ているフェリーに乗ってデラウェア側に移動し、メリーランド・ポトマックに帰宅しました。フェリーのデッキから周りの風景を見渡せば、ここを飛んで渡っていく鳥たちの気分が少しは分かるような気がしました。



コメント (3)
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