ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

自然の要塞を越えて(ストラスブール)

2006-05-11 00:32:42 | フランス物語
むかし、ヨーロッパが森でいっぱいだった頃
旅をするには命がけ
追いはぎ、強盗、人殺し
野獣もうようよ森の中

そんななか
街は砂漠の中のオアシスのごとし
外敵から自分の集落守るため
堀や門を整備して
ほとんど城塞のよう
いざ戦いの際は
レンブラントの「夜警」のごとく
気合を入れて街とひとびとを守る

ここストラスブールは
イル川の中州、自然の要塞に囲まれた街
はるばるラインから流れが、街を守り、人を守る
そんな名残をとどめる街

今となっては、
謎の旅人、川にかかる橋を越えて
街に侵入しても
門番に止められることもなく
ただ古い街並みが
彼を迎えるのみ

(写真は観光パンフレットに掲載されていた、ストラスブールのイラストマップ)

ストラスブールの駅前にて

2006-05-08 21:58:04 | フランス物語
4時間にわたるフランスの記録映画。
BGMは列車の音のみ。
さりげない風景にひそむ、歴史と地理の融合体。
いよいよ映画の幕は下がり、
人々の住む、現実の街へ入り込む。

ストラスブール駅に着く。
荷物と一緒に、未知の街への不安と期待をしょいこんで、
プラットフォームへ降りる。
小さいスーツケースをころころころがし、駅の外に出る。
眼前に広がる大きな広場。

東洋人の若い男に、現地の老いた女性が話し掛ける。
ホームステイ先だろうか、そのまま彼はついて行く。
そんな出会いを横目に、
ぼくは広場の向こうをめざす。
ふと振り返るストラスブール駅
おしゃれなデザイン
よくみると時計台は工事中
そんな姿を見せないために
わざわざ巨大なイラストで隠す
お茶目な仕掛けに微笑みながら
小さな河に囲まれた
旧市街を目指す

アルザス フランスとドイツのあいだで

2006-05-06 22:29:48 | フランス物語
ヴォージュの緑を抜け
特急はいよいよアルザスの大地に入る

フランスとアルザスを分かつ
ヴォージュ山脈の標高
ドイツをアルザスと分かつ
ライン河の水深
みんなの「不寛容と憎しみ」により
見た目は同じはずなのに
こころの標高と水深は
あるときはエベレストのように
またあるときは深い深い海溝のように
その姿を変えてしまう

そんな数奇な歴史を超えて
何事もなかったかのように
広がるアルザスの夏の青空

左手に街並みが見えてくる
特急はストラスブール駅に到着間近

フランスの運河と河と緩い山

2006-05-05 00:31:27 | フランス物語
ナンシーを過ぎ、アルザス行き特急は更に東へ
線路と並んで運河は水をたたえてる
水面上には緑が反射されている

フランスの大地を分かつ大河たち
セーヌ ロワール ローヌ河
端っこにはラインが流れる

大河は人々を分け、境をなす
しかし人々、河を使って水運をなす
みんなもっともっとつながりたくて、
河と河の間を
えっちらおっちら掘っていき
フランスの大地いっぱいに
はりめぐらされた運河

そろそろ山々見えてきた
フランスとアルザスを分かつかのように
そびえるヴォージュの緩い山
線路はカーブを描き
ストラスブールを目指す

ローマ人の物語Ⅳ

2006-05-04 00:54:51 | ヨーロッパあれこれ
ローマ人の物語Ⅳ
ユリウス・カエサル ルビコン以前
塩野七生著
新潮社 

「ローマ人の物語」の第4巻。ユリウス・カエサルの、誕生から幼年・青年期、そしてルビコン川を渡るまでの人生を描いた巻。
塩野先生の本は「イタリア人の手紙」「マキャベリ語録」「ルネッサンスとは何であったか」など何冊か拝読していた。
さらに以前、先生のサッカーについての解説及びインタビューも読んだ。以外とお詳しいのに驚いたが、イタリア遊学中、イタリア男から身の安全を守るためには、サッカーの知識が有効だったとのこと。
「ローマ人の物語」シリーズは、今回初めて読ませていただく。
若き日の武勇伝、元老院との権力闘争、から、おしゃれで借金大王、モテモテでなおかつどの女性からも嫌われないカエサル、などなどを叙述している。
そしてガリア戦記についての詳細な解説。
岩波のそれは通読したものの、簡潔な文章ゆえ、2000年後の東洋人にはわかりにくい(単に自分の読解力及び想像力がないだけか?)点もあったが、今回この本を読ませていただいたおかげで、状況がよく理解でき、すっきりした。
ガリア戦記の叙述が、今に至るまで、フランス人やドイツ人などのメンタリティに影響を与えているのだ。
それにしても、塩野先生がカエサルについて叙述するときは特に、冷徹な筆致の奥に熱い思いを感じるのは気のせいだろうか?

(写真はフランスの子供向けの歴史BDに描かれていた、ウェルキンゲトリクス(ヴェルチンジェトリックス)がカエサルに降伏する時の様子)