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家事関連時間をめぐる統計から考えたこと

2021-10-07 15:20:14 | ダイバーシティ

残暑の陽ざしが射し始める前の早朝、これ以上放っておくことはできなくなった庭の雑草とひとり、黙々と格闘しながら考えていました。私は、あるいは私のママ友は、女性は、一体どのくらいの時間を家事に費やしているのだろう。

 

日本の女性の就業率は、およそ60%だった20年前と比べて、現在は70%を超えるまでに増えています。

 

長期的な傾向として男女ともに非正規雇用の割合が増えていますが、殊に女性の働き方の傾向を見ると、30代半ばで一度大きく非正規雇用の割合が高くなって5割を超え、その後も年齢層が上がるごとに非正規雇用の割合は高くなっていきます。一方、男性では20代半ば以降、非正規雇用の割合は年齢層が上がるごとに順に低くなっていきます。このトレンドは長期にわたって変わっていません。

 

これをどう解釈すればよいのでしょうか。

 

よく知られているように、女性の労働力率はM字カーブを描きます。結婚・出産期に女性の労働力率が低下し,育児が落ち着いた頃に再び上昇するトレンドはずっと変わりませんが、近年ではM字の谷間が20代後半から30代へと移動し、谷間の落ち込みがかなり浅くなってきているのが観測されています。意識調査からは、男女ともに、子供ができても働き続けた方がよいと思う人の割合が増えていることが確認されています。とすると、仮説として、育児休暇から復帰した正規雇用で働く30代半ばの女性達は、仕事を辞めないけれども、子供が2歳(育児休業の延長終了)や小学生になるタイミングで勤務時間を柔軟に調整するために、非正規雇用の働き方を選んでいるのかもしれません。

 

【グラフ】女性の年齢階級別労働力率の推移  

(出典)『男女共同参画白書 令和2年版』本編

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-03.html  

 

次に、就業をめぐる統計と合わせて、家事・育児と仕事のバランスをめぐる統計を見てみることにします。

 

子供のいる共働き世帯の女性のうち、家事関連に費やす時間が最も長い年齢層は30~39歳で、週全体を平均して1日あたり4時間33分です。どの年齢層もほぼ横ばいに推移していますが、25~29歳の層だけはこの20年で大きく減り2時間36分となっています。一方の男性は年齢層による違いはさほどなく、おおよそ40分程度です。

 

詳細に見れば、女性は子供の成長に伴って費やす家事関連時間を増加させ、その内訳としての家事時間、育児時間、介護時間の割合も大きく変化させていることが分かりますが、男性が費やす家事関連時間の変化は乏しいままです。

 

【グラフ】男女別に見た家事・育児・介護時間と仕事等時間の推移(週全体平均)(年齢階級別,昭和51年→平成28年)  

(出典)『男女共同参画白書 令和2年版』本編

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-01.html

 

この統計からは、男性の家事・育児時間は遅々として増えておらず、働く女性がますます増えていくのに、労働環境も家庭もその変化に対応できていない状況が見えてきます。育児介護休業法の改正を受けて、2022年度からは男性の育児休業取得も増えていくのだと思います。けれども、育休を取得した夫が自分事として家事・育児に関わってくれるのかどうか、新制度がそれを解決してくれるとは思えません。

 

しかし希望はあります。時代は移り行き、今、結婚、出産、育休、子育てのライフステージにいる男性達は、個体差があるとはいえ男女共同参画社会の概念やイクメンの概念に触れながら育った時代効果の影響もきっと受けているから、20年前の男性達とは異なる感性を持って進んでいってくれると思うのです。

 

それにしても、女性が費やしてきた家事関連時間の推移グラフを見ると、かつての私が同士であるママ友達と共に、どんな気持ちを抱えながらどんな風に、仕事と子育てをしてきたのかを辿る気がします。

 

私は35歳で第2子を出産し、離職。折しも旦那の転勤のタイミングでもあり、旦那について家族4人で引っ越しました。ちょうどM字カーブの谷間にあたる年齢だったんだなあ、と今更気付きます。結婚する前は、家事関連に費やす時間は男性と同程度だったのではないかと思います。それが結婚を機に少し増え(グラフの、女性、1996年時に25~29歳)、出産して子育てと仕事の両方に立ち向かった時期はもう本当にてんてこまいでした(2001年時に30~39歳)。それから10年間ほど、専業主婦となって子育てと地域活動に勤しんでいたので就業者を対象とするこのグラフからドロップアウトしますが、再びパートタイムの働き方で、このグラフの中に戻ってきました(2016年時に40~49歳)。

 

私の場合、以前よりだいぶ手抜きをするようになったとはいえ、末子が高校生になった今でも週全体で平均すると一日4時間半ほど家事に費やしています。我が家の男子達、本当によく食べるのです。料理好き男子に育ちましたが(しかし料理の後片付けは滞りがち)、食べ物を振舞うことは私にとっては愛なので、手は離れたけれど、一緒に過ごしている間くらいは食事を提供したいのです。

ところで私の旦那さまは、にこにこしながら私が働くことを応援してくれますが、ずっと変わらず家事関連に費やす時間は毎日20分以下。自分の食器や取り入れた洗濯物は片付けるので、本人としては家事、結構やっているつもりなのだと思います。

 

(データは『令和2年版 男女共同参画白書』から参照しています。)

 


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