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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

視線の先

2011-11-18 11:47:05 | 日記
 小学校に上がったばかりと思われる少年が手に持ったゲーム機に夢中になりながらこちらに向かって歩いてくる。後ろから「お兄ちゃん、ぼくもやりたいから使わせて」と大きな声がかかる。3歳ぐらいの少年がちょこちょこと追いかけてくる。さらにその後ろを彼らの母親だろうと思われる女性が携帯電話を凝視して高速に指を動かしながらやってくる。
 駅に向かう私がじっと3人を観察しても彼らは気に止めない。ゲームや携帯に気を取られて、誰かに見られているという感覚が無いのだろう。
 彼らの脇を駅前のコンビニから出てきた女子高生がすり抜ける。手にはスマートフォンを持ち画面をこすっている。後ろから出てきた女子高生も同じようにスマートフォンを操作しながら先を行く女の子に声をかける。「わかった?」先を行く女の子は振り向きもせず「まだ」と言う。
 駅の改札に続く階段を降りてくるスーツ姿の男性もスマートフォンを握っている。手元に没頭しているために進みが遅い。階段の後ろに列が出来てしまっている。が、後ろの人々も携帯を見つめていて焦る様子もない。階段を降りてくる数人の人々の中で携帯を見ていないのは老婦人一人だけ。杖をつきながらゆっくり降りて来る。
 ある日の午後の風景だ。
 
 今や子供から大人まで生活のあちこちで画面を見て暮らしている。目の前で起きる自分とは関係ない何かより、自分に関係する何かが画面の中で点滅するのが気にかかる。広い世界で生きているように見えて人の世界は案外狭い。広い視野を持って広い世界で生きたいと願っても好奇心が旺盛であればあるほど、人間らしい義理と人情があればあるほど、関係してしまったしがらみが視野を狭めて視線は画面に向かっていく。ネットを通して関係者によって注釈が付けられた「現実」だけが「現実」だと認識される世の中が、もうそこまで来ているのかもしれない。
 
 目の前に大勢人がいるのに誰一人目撃者がいない事件が起こり得る。そこにいるのは誰も彼も義理人情にあつい、前向きで一生懸命生きている人々であるにもかかわらず、だ。誰にも何にもしがらみを持たない誰かの突発的な行動や、かなり計画的な行動が、誰も視線を向けないすぐそこで多くの人の未来を壊してしまうかもしれないし、それをそっと阻止する誰かが通り過ぎるかもしれない。事件が起きれば「平和」や「豊かさ」はネットの中で再検証され、改めて画面に配信されるだろう。(三)


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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
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