さくら

東京、神奈川では桜が満開になっている。東京近郊にお住まいの方は先週末に花見だったという方も多いのではないだろうか。Facebookやmixiで花見の写真をUPしている方も非常に多そうだ。

日本人のDNAがそうさせるのだろうか、桜が咲いているとつい目がいってしまう。ここの桜がどうだとか、あっちの桜が見事だとか、プチ桜品評も全国各地で催されていることだろう。また、今週は学校の入学式が行われるので、その日晴れていれば、桜がちらほら舞う中に登校してくる初々しい新入生が見られるだろう。

そんな桜だが、我が家の近所の交番横にそれは見事な桜の大木が私が子供の時分からずーっとある。子供の時には交番がある交差点の角々に桜の大木が植えられていて、その交差点の真ん中から見るとどちらを向いても桜が見える様になっている。桜が満開の時期になるとブルーシートを抱えて近所の人達が集まって、交差点の道を隔てた四隅全てで花見が繰り広げられていた。その様子が子供心にも圧巻だったのを憶えている。

その桜も交差点の整備に伴って交番の隣のひときわ大きな大木だけが残され、他の木達は撤去されてしまった。もうそれも20年以上前の大昔のことだ。それから毎年、残された大木だけが見事な桜を咲かし続け、この時期の交番訪問者を増やしていたのだが、先週末、車でその交差点を通りすぎたら、なんと悲しいその姿。

大きく手を広げていた様な枝の大部分が剪定されてしまっていて、幹だけが大木、枝はしょぼぼーん。えっ、と思わずブレーキを踏みながら上を確認しても、今年の交番横の桜はしょぼぼぼーん。

枝が大きく育ちすぎたので交番の「XXX交番」と書かれている文字が見えづらかったり、散った桜の花びらが近所の方々の迷惑だ、とか色々な理由があるのだろうが、あまりにも無粋。

邪魔だから切る。迷惑を掛けそうならこちらから折れる。なんて現代的なんだ。良いじゃないか邪魔でも迷惑でも。年に一回、その咲き誇る雄姿を見せてくれるだけで。十分にその価値はあるだろう。責任者出てこい。2時間位、日本人の粋について説教してやる。と、桜一本でこんなに怒れるなんて、やっぱり日本人のDNAがそうさせるのだろうか。

近所の桜はちんまりしてしまったので、別の場所に桜見物にでも出かけようかと思う。当然、酒は持参して。（野）


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