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IMジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

SMaCレシピ

2012-12-14 08:42:48 | 日記
 科学力は現代に比べると格段に低かったにも関わらず、江戸時代は長期安定政権が国家を維持し、人々は階層化されてはいたが自分の位置づけでそれなりに楽しく幸福に暮らすことができた。その支えになっていたものの一つが、『道』とか『流派』というものであったろうと考えている。
 
 ちょっとした習い事であっても仕事そのものであっても、至る所に流派があり、その流派が遠く未来に続く道を示して、より良い生き方と絶え間ない努力を説いた。今風に言うとモチベーションを維持する工夫があったわけである。
 その中核にあったのが「伝書」という流派の道を正しく伝えるための極意説明書である。武術などでは段位がまた別に定められており、上位の段位に上がる毎により高い内容の伝書を伝授されるというようなことも行われていたようだ。書かれているのは、極めて具体的な内容で、それをわが国では「作法」とか「形」とか「所作」などと言った。
 
 流派に属す人々はその流派が目指す道をまっすぐに進むために伝書に記された奥義を何度も何度も繰り返し練習して師匠が伝えたかったことの意味を見つけようとする。形を磨くことによって、その向こうにある、言葉では表現できない極意、つまり意味とが概念とか深いところにある魂の真実については自分で掴み取らなければならなかった。その道を進むための日々の具体的な作法は示すがそれを超えた先にあるものは自分で考えろと突き放して見守る形。こういう仕組みを国中に広めることができたことが長期に安定して発展を続ける国家を作って来たように思える。
 
 最近の政党は単に選挙公約と言わず、マニフェストと英語で呼んで、これからの党の方向性をしっかり文字にしている。以前は選挙カーで手を振りながら、その場その場で相手が変われば約束する内容も変わるという不思議な公約が行われていたように思うが、今やマニフェストは紙に書かれて残り、その後誰でも読むことが出来る。昔と比べればずっと首尾一貫したやり方だ。ところが伝書などと違う所は、内容が実際的でなく政治の世界に住む人々が好む「玉虫色」の呼ぶ捉え方ができる理念のかたまりに最初からなっていることだ。また選挙それ自身と政争の道具になってしまっており、持続的継続的に何度もそこに立ち返って政治家も国民も襟を正せる内容になっているわけではない。
 
 『ビジョナリー・カンパニー4』(ジム・コリンズ著)の中で、長期に発展した企業がどのようなことをやってきたか分析が行われている。そこで紹介されているものの一つがSMaCレシピという造語で表現されるいわゆる「伝書」の存在だ。SMaCレシピをこの本の中ではSpecific Methodical and Consistent:具体的かつ整然とした一貫した考え方と呼んでいるが、内容としてはまさに、ある流派の奥義の形を伝える伝書そのものだ。著者のチームが調査したところ、偉大な企業に成長した企業は時代の変化に合わせて伝書の内容を頻繁に書き換えるようなことはせず、首尾一貫して昔から伝わる伝書にのっとって道を極める努力を惜しまなかったという。それに対し成長を途中で止めてしまったり別の会社に買収されて独立性を失ってしまった企業は、伝書が無かったか伝書の内容を無視して来たか、ないしは伝書の内容を時代に合わせてその時の自分たちの都合の良いように頻繁に書き換えてしまっていたという。
 
 選挙のたびに離合集散する政党と内容がコロコロ変わるマニフェストでは日本が安定して成長する政治を期待するのはかなり難しいだろう。となればせめて、今はまだちっぽけなわが社だが、強く大きく成長してこれまで以上に社会に貢献できるようになって行こう。不安定な政治の風の中でも揺るがぬように。そのためにもわが社流の形を伝える伝書はじっくり作って行かなければならないと考えている。(三)
 

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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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