前の東京オリンピックの時、私は幼稚園児だった。わが家には当時まだ珍しかったテレビがあった。4本の細い足に支えられて立つテレビの姿が蘇る。私はそのテレビの足の間をズルズルすり抜けて遊んでいたそうだが、後日そんな話しを父母から聞いても全く思い出せなかった。
2016年の今、あなたの欲しいものは何かと聞かれて多くの人が同じものを回答するとは思えない。100人に聞けば100通りの答えが返って来ても不思議ではない。ところが前のオリンピックの頃(1964年頃)なら、多くの人が声を揃えてテレビとか洗濯機とか似たような回答をしただろう。
母は当時を思い出して「氷が作れる冷蔵庫がほんとに欲しかった」と何度も言っていた。私がよく熱を出していたからだ。だがわが家では冷蔵庫でなくテレビを買った。その経緯は知らないが、時代の流れがそういう順番で家電を揃えるものだったのかもしれないし、オリンピックをテレビで見るということが何にも勝る夢の実現だったのかもしれない。
欲しいものが「物」であった時代を振り返ると妙に懐かしい。国じゅうが同じ方向を向いて笑ったり泣いたりしていたような気さえする。それに比べて今はどうか。欲しいものは「物」ではなく人々の共通の認識に立脚する仮想のイメージである「何か」だ。例えばお金などはまさに仮想のイメージそのものだ。実体は無い。世界を変えて欲しい、今置かれている場所から抜け出させて欲しい、この世界を覆っている重い暗い雲をはらって欲しい、「物」ではなく、そんなイメージで描かれる「変化(change)」を欲しがっている人々が大勢いることを米国の選挙を通して知ることになった。気持ちはよくわかる。おそらくその思いに共感する人は日本にも多いだろう。ほんの1%の人が富を吸収する構図を喜ぶのはその1%のお仲間だけだ。だがその思いを託した相手に共感できる人が日本にどれだけいるか。
欲しいものが「物」であれば誰の目にも結果は明らかだ。夢がかなったのかそうでないのか一目でわかる。だがイメージである何かを欲しがっている場合、多くの人々が共通の認識として実現できたと共感し合わない限り夢がかなったとは言えない。
さて「変化」を欲しがった人たちはいつまで待つことが出来るだろうか。待つことが出来る時間のうちに期待通り「変化」を実現することはできるのだろうか。その期待が裏切られてしまった時のことを考えると心配ではある。自分が自分がと出て行かない欠点を指摘される私たち日本人ではあるが、絆やおもてなしや断捨離などという言葉を生み出して来たほんのりとしてしかも芯のある和のイメージにこそ世界が共感したくなる「変化」の未来があるような気もする。
足の付いたテレビを買って、若い夫婦と子供2人の家族はワクワクしながらオリンピックを応援する機会を得た。共感する場を物の購入によって手に入れたのだ。父の思い切った作戦は大成功だった。(三)
monipet
動物病院の犬猫の見守りをサポート
病院を離れる夜間でも安心
ASSE/CORPA
センサー、IoT、ビッグデータを活用して新たな価値を創造
「できたらいいな」を「できる」に
OSGi対応 ECHONET Lite ミドルウェア
短納期HEMS開発をサポート!
GuruPlug
カードサイズ スマートサーバ
株式会社ジェイエスピー
横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
2016年の今、あなたの欲しいものは何かと聞かれて多くの人が同じものを回答するとは思えない。100人に聞けば100通りの答えが返って来ても不思議ではない。ところが前のオリンピックの頃(1964年頃)なら、多くの人が声を揃えてテレビとか洗濯機とか似たような回答をしただろう。
母は当時を思い出して「氷が作れる冷蔵庫がほんとに欲しかった」と何度も言っていた。私がよく熱を出していたからだ。だがわが家では冷蔵庫でなくテレビを買った。その経緯は知らないが、時代の流れがそういう順番で家電を揃えるものだったのかもしれないし、オリンピックをテレビで見るということが何にも勝る夢の実現だったのかもしれない。
欲しいものが「物」であった時代を振り返ると妙に懐かしい。国じゅうが同じ方向を向いて笑ったり泣いたりしていたような気さえする。それに比べて今はどうか。欲しいものは「物」ではなく人々の共通の認識に立脚する仮想のイメージである「何か」だ。例えばお金などはまさに仮想のイメージそのものだ。実体は無い。世界を変えて欲しい、今置かれている場所から抜け出させて欲しい、この世界を覆っている重い暗い雲をはらって欲しい、「物」ではなく、そんなイメージで描かれる「変化(change)」を欲しがっている人々が大勢いることを米国の選挙を通して知ることになった。気持ちはよくわかる。おそらくその思いに共感する人は日本にも多いだろう。ほんの1%の人が富を吸収する構図を喜ぶのはその1%のお仲間だけだ。だがその思いを託した相手に共感できる人が日本にどれだけいるか。
欲しいものが「物」であれば誰の目にも結果は明らかだ。夢がかなったのかそうでないのか一目でわかる。だがイメージである何かを欲しがっている場合、多くの人々が共通の認識として実現できたと共感し合わない限り夢がかなったとは言えない。
さて「変化」を欲しがった人たちはいつまで待つことが出来るだろうか。待つことが出来る時間のうちに期待通り「変化」を実現することはできるのだろうか。その期待が裏切られてしまった時のことを考えると心配ではある。自分が自分がと出て行かない欠点を指摘される私たち日本人ではあるが、絆やおもてなしや断捨離などという言葉を生み出して来たほんのりとしてしかも芯のある和のイメージにこそ世界が共感したくなる「変化」の未来があるような気もする。
足の付いたテレビを買って、若い夫婦と子供2人の家族はワクワクしながらオリンピックを応援する機会を得た。共感する場を物の購入によって手に入れたのだ。父の思い切った作戦は大成功だった。(三)
monipet
動物病院の犬猫の見守りをサポート
病院を離れる夜間でも安心
ASSE/CORPA
センサー、IoT、ビッグデータを活用して新たな価値を創造
「できたらいいな」を「できる」に
OSGi対応 ECHONET Lite ミドルウェア
短納期HEMS開発をサポート!
GuruPlug
カードサイズ スマートサーバ
株式会社ジェイエスピー
横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業