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IMジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

優しい人

2010-07-15 09:16:43 | 日記
 大崎善生という作家の「優しい子よ」という作品を読んだ。読んだ場所が悪かった。お客様への移動の途中で読んでしまったのだ。
 私は、本を読んで泣く、ということを、どこででもやってしまう人間だ。しかし、お客様に会いに行く前に読んだのは大失敗だった。まさかこんなに泣く事になろうとは。
 
 9歳の少年の父から、女流の将棋指しの元に息子のためにサインが欲しいとメールが来る。女流棋士は本人が手紙をくれるなら考えないでもない、と返事をする。話しはここから始まる。女流棋士の亭主が、この作者大崎善生である。
 少年は不治の病の床にあり、父が教えた将棋だけが唯一の楽しみだったのだが、テレビで将棋を教えている女流棋士を見てファンになったのだ。
 話しは、この少年と女流棋士の間で取り交わされる手紙のやり取りを中心に語られて行く。少年は末期の白血病である。自分の病気のことは十分に知っている。体中痛くて痛くて仕方がない中で、落ち着いて前を向いている。泣き言は言わない。その上、女流棋士が子供の頃、交通事故で大怪我をして足の大手術を行い、今も足が痛くなることがあると聞くと、必死になって女流棋士の足が痛くならないように祈る。優しく、強い。ベッドで苦しみながらも両親にせがんでベッドの上にボードを掲げてもらい、手紙を書く。「あしはいたくないですか。いたくならないようにおいのりしています」手紙に書かれた文字はゆがんで大きくなり小さくなりしている。
 
 読み進むうち、涙も鼻水も出る出る。京浜東北線の中である。品川に着くまでにハンカチがひどいありさまになってしまった。

 人は年齢や見かけじゃない。一生懸命に誰かの幸福を願う生き方は素晴らしい。
  

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モンゴロイドの5%

2010-07-14 09:27:45 | 日記
 アセトアルデヒドという物質がある。酒を飲むと体内でアルコールが分解され、生成される物質である。このアセトアルデヒド、シックハウス症候群の原因物質とされたり、内臓のがんの原因物質とされたり、かなり悪者である。
 このアセトアルデヒドを酢酸(つまり「酢」だ)に分解してくれる、ありがたい酵素がある。ALDH、アセトアルデヒド脱水素酵素という。

 このALDHが体内で働かないと、大変なことになるのだが、遺伝的に、たまーに体内で働かない人がいる。そういう遺伝体質を持っているのはモンゴロイドのみであるという。ほとんど世界中の人たちの体内ではALDHがバリバリ働いているが、モンゴロイドの何パーセントか、まったくALDHが働かないか働き方が弱い特殊な人達がいるという。つまりそういう人達は世界でも珍しい特殊な人達だと言える。その珍しい人達の一人に私は含まれる。ビールを舌先でちろりと舐めただけで、それはもう大変なことが起きる。

 「この世界で生きて行くなら酒が弱いのはダメ。お酒、飲めるようになりなさい」と私の顔を見るたびに言っていた韓国人のリーさんのことを思い出す。私がリーさんとお会いしたのは15年ほど前。私の上司とリーさんとの3人チームで韓国の大企業にシステム提案を行った時のことだ。3ヶ月ぐらいの間に、1週間韓国に行っては提案活動をしてお客様の要件を聞き、日本に戻って提案を練り直して、また韓国に行く、と言う様な生活を送った。競争相手はアメリカの最大手コンピュータメーカだった。

 リーさんは私達が韓国にいる間、通訳としてガイドとして、強力な営業マンとして、大活躍だった。普段は韓国の中堅コンピュータ会社の社長さんだ。本来多忙なはずのリーさんが、私達が韓国に滞在している間は、夕飯までずっと付き合ってくれた。リーさんは酒が強く、紹興酒が好きだった。流行の焼肉屋さんや、オンドルの家庭的な料理を出すお店や、たまには和食も食べたいだろうと寿司屋に連れて行ってくれたこともあった。行く先々で紹興酒を一本空け、こう言う。「この世界で生きて行くなら酒が弱いのはダメ。お酒、飲めるようになりなさい」。

 あの頃リーさんは今の私と同じ年頃だったのではないかと思う。大学受験を控えた息子さんがおり、何を話していても最後は息子さんの話しになった。あちこちの山を息子さんと一緒に登ってきた。息子は強い。息子は優しい。息子は頭がいい。何としても韓国で一番の大学に合格させたい。あなたにはわからないかもしれないが、韓国人は子供が大好き。韓国人が日本人に対して持つイメージや、これからの韓国のことなど話すことはたくさんあった。だが最後は息子さんをどうしても大学に合格させたい。合格したらまた一緒に山に登りたいと言う話しになった。

 「あなたは、コンピュータはあくまで人間の仕事の質を高めるためにあるべきで、本当は人間がやらなければならないことまでコンピュータにやらせようと言うのは間違っている、とお客様に言った。私も同じ考え。若い人が自分の考えをしっかり話すのを聞くのは気持ちがいいね。私はあなたを応援するよ。でも、この世界で生きて行くなら酒が弱いのはダメ。お酒、飲めるようになりなさい」リーさんはそう言って、私に紹興酒を勧めた。私はリーさんが大好きだったが、ALDHはいつまでたっても働かないままだった。


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2010-07-13 09:53:27 | 日記
 メキシコ湾に原油を流出し続けているBP社をアメリカの複数の企業が買収に向けて動き出したそうだ。BP内部ではアメリカ企業に買い取られるのを嫌ってUAEに資本参加を求める動きもあるらしい。こんな時、最近ではあたり前のように中国の名前も出る。中国資本もBP買収に動いているらしい。

 BPの第2四半期決算発表は7月27日だ。BPのように安定していた企業が突然傾くと英国経済にも大きな打撃となる。当然英国が打撃を受ければEUが打撃を受け、イギリス連邦が打撃を受ける。イギリス連邦にはオーストラリア、カナダ、ニュージーランドを含む14カ国(英国を除く)も加盟している。世界の多くの国々が経済的打撃を受ければ、当然アメリカも日本も打撃を受ける。
 だから世間が騒がないうちに外部の大資本が入って安定して生き残ってくれることを願っている経済人は世界中にいるだろう。しかし、アメリカも自動車業界は叩いたのに、石油業界は別と言うわけには行かない。司法省がBPの責任を問うために事情聴取に動き出したようだ。

 だが、BPがどうなるか、経済がどうなるか、という話しをすでに超えたところにこの事件の怖いところはある、と思う。日本にはチッソの水俣病事件や富山のイタイイタイ病などがある。メキシコ湾では、大量に流出した原油をドロッとしたかたまりのまま漂流・漂着させないために界面活性剤を含む分散剤というのが大量にまかれている、と言う話がある。飛行機で散布してきたらしいが、「大量」というだけで正確な数値はわからない。原油の流出量の正確な把握ができていないのと同じだ。

 この分散剤は発がん物質を含むのではないかと言われたり、直接吸入すると吐き気を起こすなどと言われたりしているが、周辺の生物にどのように作用するのか正確なことを知っている人は誰もいない。ただ、この地域が日本も輸入しているクロマグロの産卵地域であることや、マッコウクジラの生息域であることは確認済みだ。

 また、北上するメキシコ湾流があり、それがヨーロッパを経由して北極で冷やされて沈み込み高速な深層海流となって北極から南米を伝って南極まで、さらにはインド洋を冷やしオーストラリア近海から日本近海を冷やして太平洋で浮上していることなどが既に知られている。
 つまり、メキシコ湾で流出した原油は、大量の界面活性剤とともにヨーロッパへ表層海流として漂着し、その後、深層海流に乗って大西洋の深海を南下し、南米沿岸の深海を汚染し、南極沿岸の深海を汚染し、アフリカを汚染し、一部はインドに達する。また一部はオーストラリア南岸を汚染し、日本近海を黒潮に乗って汚染し、アメリカの太平洋沿岸を汚染した後、フィリピン沿岸を汚染しアフリカ南部から西部を汚染し、世界を一周してヨーロッパに戻る。
 この海の循環メカニズムがあるおかげで、地球の熱は大きく劇的に変化しないで、少しずつ変化してきた。
 原油と界面活性剤が大量にこの流れの中に放出された時、この循環サイクルがどうなるのか、どの研究機関もそのシミュレーション結果を今日現在では発表していない。ただ、前述したように世界が汚染されるなら、それはまだ良いほうなのかもしれない。熱を持った原油により水面温度が高くなり過ぎ、北極海で冷やされて沈降しない状況が発生すると、この循環サイクルは停止する。世界は原油と界面活性剤で汚染されないが、海流の循環が行われなくなることによって、地球は一気に暑い星に変わるだろう。それから何が起きるか、私にはわからない。
 
 ドロッとした油の塊のまま海面を漂わせると保温効果が高まってしまうのだとしたら分散剤にも大いに意味はある。原油の帯がヨーロッパに到達することを防ぐことによって海の循環メカニズムは持ちこたえるかもしれない。ただその場合、分散剤の毒性は海が浄化してくれると信じるしかない。

 熱い砂にパラソルを差し、シートに寝転がって楽しげな人の声や波の音を聞く。たまに海に入って向こうの浮きまで泳ぎ、海の中を覗くと魚の影が見えたりする。海の水は意外と冷たく気持ちがいい。砂浜を振り返ると多くの家族が波間で砂の城を作ったりしている。背景には緑の山が広がり、その向こうには青い空に白い入道雲が高く天に伸びている。穏やかな波の音に混じって蝉の声なども聞こえて来る。少し休憩したら、胸いっぱいに空気を吸って海にもぐり、砂浜を目指す。
 

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アカントアメーバ

2010-07-12 10:22:22 | 日記
 目は悪くなかった。中学2年生までは。視力も2.0あった。視力検査の時、1番小さなCの文字が当たり前に見えてしまうので、多少見えないようなフリをしなければいけないのではないかと気を使ったほどだ。

 ところが中学3年になるといきなり見えなくなった。黒板の文字がぼやける。目も細めたり、端を引っ張ってみたりして目のレンズを調整し、なんとか板書を読んでいたら先生に「お前見えないのか?」と聞かれた。
 座高が高くて、ずっと教室の一番後ろにしか座ったことが無かった私が、最前列に座らせれることになった。
 それまでは一番後ろでのんびり窓の向こうの田んぼや空や鳥をながめていたのに、急に黒板だけを見るようになって、よけいに視力は悪化した。

 しばらくほって置いたが、一番前の席からでも黒板の文字が見えにくくなるに至って、とうとうめがねを作ることになった。
 黒ぶちのがっちりしためがねを授業の時だけこっそりかける毎日だったが、やがて慣れてくると、かけたりはずしたりするのが面倒臭くなってきた。常用するようになると、視力はさらにどんどん落ち、レンズはどんどん厚くなって、めがねが無いと生活できない今がある。

 今のように使い捨てのソフトコンタクトレンズなどがどこでも手に入るという時代でなかった。コンタクトレンズを使おうなどと思ったことは一度もない。ずっとめがねをかけた生活をしている。

 冬、暖かい電車に乗ると目の前が真っ白になる。めがねが曇るのだ。両手がふさがっている時など、白いサングラスをかけたかのような顔で、じっとしていなければならない。
 夏、ゴルフの打ちっぱなしなどに行くと、ポタリとたれた汗がめがねに溜まる。水中でゴルフボールを打っているような感覚になりながらクラブを振りぬく。ボールをにらみつけるたびにポタリと来るのでそのたびに拭くのも面倒くさい。

 めがねは不便だ。
 だが、先日、アカントアメーバ角膜炎という最近流行の病気について聞いて、ま、めがねも悪くないか、と思うようになった。
 アカントアメーバはどこにでもいる微小生物らしい。それがコンタクトレンズ上で繁殖し、角膜に転移して広がる。コンタクトレンズで傷ができた角膜はたちどころにアカントアメーバの巣となり、角膜は白濁して最悪の場合、失明する。
 角膜上に棲みついてしまったアメーバを目に悪影響を与えずに撃退する薬品や手術は今のところ無いらしい。だから一度角膜に棲みつかれてしまうとなかなか厄介なことになる。

 これを防ぐためには、コンタクトレンズを毎日こまめに「こすり洗い」することだそうだ。本来コンタクトレンズとは、そういう面倒なメンテナンスが必要な代物なのだ。目が見えなくなるリスクを考えたら、面倒でもきっちり手入れをするか、めがねに変えるのがよかろう。
 めがねには不便なことも多いし、ファッションセンス的に考えても嫌がる若者は多かろう。しかしアメーバが目に棲みついている美男美女、というのは、いただけない。やはり美男美女は健康であって欲しい。

 根本的には、めがねもコンタクトレンズも不要な、目を悪くしないための教育が必要なのだろう。リアルな目も、心の目も、健康でよく見えるほうが良い。


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青い時間

2010-07-09 08:36:51 | 日記
 夕闇の青い色が街を染める頃、通り沿いの生垣に咲く青いあじさいが美しい。暑くなって窓を開けている家が増えたせいか、最寄り駅から帰宅するまでのあちこちに、これまで聞こえなかった生活の音が聞こえて来る。
 おばあちゃんが孫を呼ぶ声。おそらくその孫娘がおばあちゃんの言うことも聞かず、大声で何かのアニメ主題歌を歌っている声。水道の蛇口を閉めるキュと言う音。包丁が何かを切っている音。笛の練習の音。遠くの踏み切りの音。
 生きている人が立てる音が町に満ちて、なんとなく元気になる穏やかさがある。

 私の自宅は、駅からかなり急な坂を登っていかなければならない。くねくねと曲がった坂道の周囲にも暖かな光を窓から放つ家々が連なる。同じ地域に25年暮らしてきた。ここ数年、この地域の高齢化が進み、ご主人が亡くなって広い家を手放すところが増えた。この間まで高齢のご夫婦とやはり高齢の娘さんが住んでいたはずだったところが、急に更地になったかと思うまもなく、4軒の建売住宅に変わっている。4件の家には灯がともり、もう新しい家族が入居していることがわかる。家の前には子供のおもちゃが散らかっている。

 20年ほど前、私はここでたぬきに会っている。帰宅途中に2度会った。それからずっと見かけていない。少なくともそれまでは、たぬきも生きて行ける環境があったのだろう。たぬきは2度とも「何か用か?」と言う顔をして私の顔を覗き込み、何も用がないことがわかると、さっさと行ってしまった。落ち着いていた。
 今は、たまにリスを見かける。電線を伝ってすばやく移動する。こちらは落着きが無い。

 わが家から20メートルの所には、晴れた夜、必ずぐたぐたと道に体を伸ばしている猫がいる。のどを鳴らす音がかなり大きい。誰も見ていない場合は、しゃがみこんで数回なでる。のどの音が大きくなる。ベランダに出ている隣家の犬が私のその姿を見つけて吠える。すると、わが家の犬が気付いて吠える。夜に入った時間の穏かさは、帰宅と同時に吹き飛んでしまう。


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