休肝日

　「肝硬変にはなりたくないから、これからは週に二回の休肝日」

　俵万智を気取ってみたものの、イマイチのできで恥じ入るばかり・・。
　しかし、本当に土曜日と水曜日はビールを飲まないことに決めた。父に断酒させねばならない私としては、ある程度一緒になって酒量を減らすことから始めるべきだというのがそのきっかけであるが、たとえビール一缶であれ毎日飲み続けてきた私の肝臓も、そろそろケアしなければ、父の二の舞になってしまうかもしれないと危惧する気持ちも後押しした。
　何年か前にも妻に諭されて、週に一回休肝日を作ったことがあったが、いつの間にかそれもうやむやになってしまっていた。特に飲みたくない日でも惰性で飲んできたような気もするから、これもいいきっかけなのかもしれない、そう思って先週の土曜日、本当に久しぶりに缶ビールを干さないでベッドに入った。寝酒がないと寝付けないのでは・・、などと少しは心配したが、それもただの杞憂、すぐに寝入ってしまた。
　朝起きても格別爽快な気分でもなかったが、飲まずに眠ることができたこと自体は妙に誇らしい気持ちになれた。
「昨日の夜はビール飲まなかったぞ」
と威張って妻に報告したら、
「そう・・」
と素っ気ない答えしか返ってこなかったのは拍子抜けだったが、それでも自分に課したノルマを簡単にクリアできた喜びが減ることはなかった。
　そして今週の水曜日。この日はなんだかビールを飲みたくて仕方なかったが、風呂から出て、水をコップ一杯飲んでベッドに直行した。
「飲みたくなったら寝ちゃえ！」
そんなことがこれからの合言葉になるかもしれないほど、この作戦はうまく行った。少しばかり寝付きは悪かったが、いつの間にか夢の世界・・。ただ、いつもより朝早く目が覚めてしまったのはやはり眠りが浅かったせいなのだろうか。その辺りが少し気にかかるが、アルコールを摂取しな日が増えた方がいいに決まっている。

　この２日の休肝日を実行できたことで、「酒くらい飲まずに我慢できるでしょう」と父に向かって強く言える自信ができた。さすがに断酒までは付き合えないだろうが、酒量を今までの半分以下にすることくらいはへっちゃらな気がする。一年前ならとてもそんな気にはなれなかっただろうが、やはりこれもタイミングなんだろう・・。