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一夜明けて

 日曜の午後から降り始めた大雪は、月曜の朝にも降り続いていた。日曜ならバスの運転をする必要がないため、のんびり雪景色を眺めることもできたが、月曜まで降っていると悠長なことは言っていられない。凍結の心配のある夜に備えての準備に一日中慌ただしかった。
 まずは、ノーマルタイヤのままの一番大きなバスにチェーンをはめなければならなかった。雪を恨めしげに眺めながら、車庫の屋根の下で作業を始めた。


 このチェーンは毎年一回ははめているので手慣れたもの、十分もかからずに後ろのタイヤ2本に装着できた。だが、問題はこれからだった。
 もう一台のバスはスタッドレスに変えてあるため、大丈夫だろうと思っていたが、念のため雪道を走ってみることにした。ところが車庫のすぐ前に積った大量の雪にスリップしてしまい、試運転どころか車庫からも出られなかった・・。
 「もうスタッドレスが古いのかな・・」
だが、このままでは危険だ。チェーンをはめなければならない。確かこのバスにもチェーンを巻いた記憶があるから、簡単に済むだろう、と思いながら作業を始めたのだが、どういうわけかチェーンが短い。いくら引っ張っても10cm以上足りない。
 「おかしいいなあ・・。記憶違いかな・・」
と思いながらも、短いものにいつまでも固執していても仕方がない。すぐに車屋に電話して馴染みのセールスマンに、すぐにこのバスに合うチェーンをもってきてもらえるかどうか尋ねた。
 「在庫確認してみますね」
と言って電話を切ったものの、すぐに返事が来た。相変わらず仕事が速い。
 「うちの店にはなかったんですが、イエローハットにあったので買っていきます」
 「わざわざ買って来てくれるの?悪いねえ・・。ついでにはめてくれたりする?」
と図々しいお願いをしたら、
 「いいですよ」
と気持ちよく引き受けてくれた。何ていい人!!

 一時間ほどしたら、メカニックの人を連れて来てくれた。ゴム製で中央に鉄のビスが幾つも並んだタイプのチェーンをもって。
 「じゃあ、やっておきますから」
と、塾の授業が始まった私を気遣ってくれたのも申し訳なく思った。

 さすがにプロ、手際よくささっと仕上げて帰っていったが、本当に助かった。また今年もよろしく!!

 結局、昼過ぎには雪も止んで、道路の積雪はあらかた溶けてしまったため、チェーンも宝の持ち腐れ状態になってしまったが、夜遅くにまた降り始めるという予報もあったので、外さずにチェーンを付けたまま生徒の送迎をした。乗り心地はかなり悪かったが「安全第一!」と唱えながら我慢した。

 しかし、もう雪はいい。
 これ以上降らないでくれ!!
 
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