★ 2032年、1.3%の確率で小惑星が地球に衝突するという。1.3%といえばおよそ77分の1。だだっ広い宇宙空間にあってはかなりの確率だろう。
★ そんなこんなで、今日は伊坂幸太郎さんの「終末のフール」(集英社文庫)から「籠城のビール」を読んだ。
★ 8年後に小惑星が地球に衝突するとわかって、すでに5年が過ぎた。当初起こったパニックは一段落した。ある者はわずかな希望を求めて逃げて去り、ある者は決められた運命に耐え切れず自ら命を絶ち、ある者は略奪や殺人など反社会的な行動で警察に捕まったり射殺されたりした。
★ もはや警察も人権を守った流暢な対応をしない。むしろ犯罪者をいたぶることにせめてもの終末の喜びを感じているようだ。
★ そんなある日、元ニュースキャスターの家に二人の男が押し入った。二人は兄弟で、不幸な事件で妹と母を失っている。彼らはその原因を「面白ければよい」とするマスメディアや面白おかしく伝えるキャスターだとし、小惑星が人類を一掃する前に自らの手でキャスターを裁こうとしているのだ。
★ 物語は一転、思いもかけない方向へと進むのだが。
☆ 作品の中で主張されるマスメディア批判が心地よい。「面白くなければテレビじゃない」などという時代があった。年を経て、自らの不祥事を記者会見し、それが高視聴率を獲得するとは、何とも皮肉だ。
☆ 現実に戻って、小惑星衝突まであと7年(1.3%の確率だが)。陰謀論、終末論が盛んになるのか。「ノストラダムスの大予言」や「ヨハネの黙示録」がブームとなるのか。
☆ そもそもそれまで生きられるやら。自分の歳を指折り数える。
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