じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

村上春樹「彼女の町と、彼女の緬羊」

2025-03-20 17:33:08 | Weblog

★ 天気の移り変わりが速くなった。温暖の差も大きい。寒さ暑さも彼岸までというが、さてどうやら。そもそもがこの「彼岸」は旧暦かな。

★ 高校の合格発表が終わり、大学、高校ともに全員、進学先が決まった。昨日は小学校の卒業式。年々派手になるのが気がかりだが、女の子たちの袴姿が美しい。入学から6年。あの小さかった子どもたちが成長した姿に、親御さんたちの感激も一入だったらしい。

★ さて今日は短い作品。村上春樹さんの「カンガルー日和」(講談社文庫)から「彼女の町、彼女の緬羊」を読んだ。

★ かつて中学、高校と神戸で共に過ごした同級生。今は東京、北海道と別れ、職業も作家、旅行代理店と違っている。物語は作家の主人公がその友人を北海道に訪ねた話。

★ 旅先のホテルで観たテレビ番組。それはローカル局のローカル番組。町の広報のような番組だ。減反政策が進む中、町は畜産に力を入れているという。エッセイのような小説だった。

☆ 昨今はコメ不足。一時は新米が出れば価格が下がると楽観されていたが、コメもまた投機の対象になる資本主義社会。生産高は増えているのに、出荷高は減っているとか。消えた21万トンとも24万トンとも言われている。

☆ 外国資本が青田買いをしているとか、JA以外の集荷会社がため込んでいるとか。どうもはっきりしない。

☆ この飽食の時代でなければ、かつてのような「米騒動」(暴動)が起こりそうだ。ここ数十年、コメを大切にしてこなかった反動が来ているのかも知れない。

 

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中村文則「ゴミ屋敷」

2025-03-15 15:49:18 | Weblog

★ 決まった予定がなく、久々にのんびりとした週末。

★ 今日は、中村文則さんの「世界の果て」(文春文庫)から「ゴミ屋敷」を読んだ。

★ 妻が不慮の事故で亡くなった30代の男性。あまりのショックでか意識を失い、動けなくなった。回復の兆候を見せない患者に病院は困り、各科をたらい回しした後、たった一人の身よりである、彼の弟に引き取ってもらうことにした。弟も兄の世話に困り、親の遺産を使ってヘルパーの女性を雇うことにした。

★ そんな男性がある日目覚める。訳の分からない言葉を発し、鉄くずを集めては何かオブジェのようなものを作り始めた。困惑する近隣住民たち。

★ そのオブジェもやがては崩れ・・・という話。

★ ある日突然、予期もしない状況に陥るといったカフカの「変身」のような始まり。その後は、安倍公房作品のような不条理感が漂う。

★ 男は何を作ろうとしていたのか。いや、それを問うこと自体、意味のあることなのか。日常と非日常が入り混じった作品だった。

☆ ところで国政は政局の動きか。予算案が成立後、内閣総辞職。新政権の下で、都議選、参院選という流れか。自民党は高市支持(旧安倍)派対反高市派(麻生、岸田、茂木)の構図か。反高市派は誰を担ぐか。茂木氏か林氏か。なんてことを考えた。

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夏樹静子「二つの炎」ほか

2025-03-14 20:49:12 | Weblog

★ 近隣の中学校は今日が卒業式。好天に恵まれて良かった。感動的な式典だったらしい。

★ さて今日は、夏樹静子さんの「いえない時間」(光文社文庫)から「熱い骸」と「二つの炎」を読んだ。どちらも10ページ程度の掌編小説。

★ 「熱い骸」は、51歳の夫が寝室で亡くなっているのを妻が発見する。司法解剖の結果、致死量の睡眠薬が検出された。果たして、間違って大量に服薬したことによる事故死なのか、それとも・・・、という話。

★ 「二つの炎」は、同じベッドの上で、夫は妻が亡くなっているのを発見する。喘息の発作が起こったらしい。夫には他に愛人がおり、多額の借金もしていた。そこで夫はあるトリックを使う。

★ 年間の婚姻件数は約49万件。そして離婚件数は、約19万件だという。籍を残したままの別居や家庭内別居を含めれば、この数はさらに増えるだろう。

★ 選択的夫婦別姓の問題も話題になっているが、そもそも婚姻というシステムが揺らいでいるのかも知れない。

☆ ところで、アメリカ、ヨーロッパそれぞれで政治が流動化してきた。日本も石破政権への批判が高まっている。特に右寄りの人々からの退陣要求が強まっているようだ。次は高市政権なのか。論客の中には日本の核武装の話さえ聞かれるようになった。きな臭い時代になってしまったのか。 

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南木佳士「長い影」

2025-03-13 19:44:51 | Weblog

★ 南木佳士さんの「ダイヤモンドダスト」(文春文庫)から「長い影」を読んだ。

★ タイ国境地帯、クメール人の難民キャンプから帰国した医療スタッフの忘年会の様子。

★ たぶん、どこの難民キャンプもそうであるように、劣悪な環境に人々は置かれている。外国から医療スタッフが送られてはいるものの、ヒトもモノも不足している。野戦病院に近い。それに、熱帯の気候は温暖化地方からのスタッフには厳しすぎる環境だ。

★ 何はともあれ、彼らは無事に任期を終え帰国した。

★ 主人公の医師もその一人。一次会が終わった後、スナックで飲んでいると、医療スタッフだった一人の女性が隣に座り、絡みだした。彼女は現地での医療について不満を述べる。酒も回りだしもはや泥酔。何とか寝室まで送り届け、自らは大浴場につかっていたのだが、そのとき・・・という話。

★ 短篇だけれど、読みごたえがあった。

 

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永井龍男「名刺」

2025-03-12 13:57:17 | Weblog

★ 確定申告書を提出。今年もe-Taxは挫折した。税務署は意外と空いていた。これもe-Taxの恩恵か。

★ 定額減税の記入欄を見過ごしていたので指摘され、書き直した。ともかく減税はありがたい。(いつか増税になるだろうが。いや物価が上がった分、消費税として支払っているということか)

★ さて今日は、永井龍男さんの「青梅雨」(新潮文庫)から「名刺」を読んだ。短い作品。

★ 印刷所を経営する男。資金繰りに窮している。そんな折、かつて商業学校の同級生が金融機関を紹介してくれるという。

★ あまりにうまい話。金融機関の支店長にも会い、融資はしてもらえそうだが、どうやら不正融資のからくりがあるようだ。

★ 気は進まないが、支払いが苦しい。主人公が思い悩んでいる時、警察署から知らせがあり、仲介してくれている同級生が死んだと知らされる。

★ どうやら事故死のようだが。

☆ 確定申告が終わって気が抜ける。17日には公立高校中期入試の合格発表。大阪では伝統校の定員割れがニュースになっていた。高校授業料無償化の拡大(授業料以外にもカネはかかるが)で公私のバランスが崩れそう。公立高校は統廃合の季節を迎えそうだ。

☆ 25日からは春期講座。また新しい年度が始まる。

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重松清「キャッチボール日和」

2025-03-10 18:26:42 | Weblog

★ 確定申告の資料が全部そろった。あとは申告用紙に記入するだけ。

★ さて今日は、重松清さんの「ナイフ」(新潮文庫)から「キャッチボール日和」を読んだ。

★ 元甲子園をめざした2人。地方大会ベスト4まで進んだ。高校卒業後はそれぞれの道に進んだ。それが団地に住むようになって再会。家族ぐるみの交流が始まった。

★ 二人には、同い年の子どもが生まれた。1人は男の子で、一人は女の子。不慮の事故で女の子の父親は亡くなり、男の子の父親が父親代わりを努める。父親は息子にも野球を勧めるが、息子は運動が苦手。性格も内気なためか、学校でもいじめられる存在に。

★ あまりのいじめに、心を病み、学校へも行けなくなった。父親は「キアイとコンジョウ」だと諭すが、それだけではどうにもならない。いつしか父と息子の関係は冷えるばかり。

★ 物語は女の子の語りで進む。いじめの現実を目にするが、積極的に止めることはできない。いわゆる傍観者。そんな自分に疑問も感じている。

★ 遂に男の子は転校することになった。父と息子の関係は冷え切ったままだ。そこで女の子は一肌脱ぐことに。

★ プロ野球で活躍した荒木大輔選手を織り交ぜながら、心に響く作品だった。晴れた日、気の合った者同士(あるいは少々気にいらなくても)キャッチボールをすれば、戦争も格差もなくなるかもという女の子の願いが心に残る。

☆ 誰が作ったのか、YouTobeに各国首脳が「We Are The World」を歌う映像がアップされている。トランプ氏もプーチン氏も周氏もキム氏もユン氏も、ゼレンスキーもイスラエルの首脳もアラブの師も仲良く合掌していた。こんな時代が来れば良いのになぁ。(日本の代表はいたかなぁ。日本は影が薄くなったなぁ)

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月村了衛「虚の伽藍」

2025-03-08 18:40:41 | Weblog

★ 大学入試は全員合格。高校入試は試験が終わって結果待ち。半年続いた「土日特訓」も終わり、一応のんびとした週末になった。(心の隅で「確定申告」が気になっているが)

★ 今日は、月村了衛さんの「虚の伽藍」(新潮社)を読み終えた。直木賞候補にもなった大作だ。

★ 時代はバブル期前後。舞台は京都。京都駅周辺の再開発をめぐり、さまざまな利権が牙をむいている。

★ 主人公は、日本を代表する仏教宗派に属する若い僧侶。裏社会と手を組んだ教団の体質を変えるため、自ら教団内の権力を握ろうとする。位が上がるにつれて、自らも裏社会とのつながりを深くする。そして遂に頂点に達するのだが、その時初めて自らの過ちに気づく。

★ 政官財の癒着。それに群がる裏社会の面々。この辺りはいつもながらのことだが、これに宗教界が組しているというのが京都らしい。架空の名称を使いフィクションではあるが、ある程度もモデルは想定できる。

★ 渦中の教団は、たぶん、J宗だ。うちの菩提寺はJ宗の一本山であるが、住職がこの作品を読めば、いかに思うやら気になった。

★ それにしても、仏に仕える者、それも位でいえば高僧に至る者が、やっていることはヤクザ同様、あるいはそれ以上というのには呆れる。「俗に非ず聖に非ず」というのは近隣する他宗の教えだが、主人公が仏教の教えを自分に都合よく解釈しているのは、敬虔な信者からすると許しがたかろう。

★ 利権にまつわり、かなりリアルの構造が描かれている。ただ描かれていないものもある。それはいわばタブーなのだろう。

★ 面白かったが、宗教界の堕落には辟易とする。

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中上健次「隆男と美津子」

2025-03-06 19:48:56 | Weblog

★ 京都府公立高校中期入試がいよいよ明日に迫った。今年も1年が終わる。いろいろあったけれど、あっという間の1年だった。うちの塾生、今年は15人が高校入試に挑んでいる。すでに11人が決まっているので、残る4人が明日受験する。みんな、頑張れ!

★ さて今日は、中上健次さんの「十八歳、海へ」(集英社文庫)から「隆男と美津子」を読んだ。隆男と美津子と話者である男性(ミックネームはボス)は、みんな18歳。ボスは予備校生。隆男と美津子は何をしているのかわからない。ただ薬に溺れているようだ。

★ そんな隆男と美津子が考えた新しい仕事。それは「心中未遂業」というものだ。形の変わった美人局というところか。二人は過去の成功例を上げ、とらぬ狸の皮算用。

★ ある日、ボスのところに病院から連絡が入る。病院に行くと、隆男と美津子が致死量の薬を飲んで死んだことを告げられる。

★ 物語は「何を二人は考えていたのか分からない」で締めくくられている。読者もまた、同じ思いに引き入れられる。混沌とした時代の一風景なのか。

★ 現代も「オーバードーズ」が話題になっている。混沌とした時代は、変わっていないのか。

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山田宗樹「黒い春」

2025-03-05 20:43:53 | Weblog

★ 京都府公立高校中期入試の志願状況がやっと発表された。一見して公立離れの深刻さを感じる。特に、偏差値で中の上レベルの高校と底辺層の高校が不人気だ。中位層はそのレベル(オール3レベル)に属する生徒が多いから、何とか競争率1倍を保っている。

★ 中の上位層の公立高校は私立との競争に苦戦し、下位層はそのイメージ(不良が多いとか、教員の面倒見が悪いとか)で、どうせなら私立高校へと行く生徒が目につく。

★ 高校無償化が実現され、私学志向は更に強まりそうだ。公立高校はどこに生き残りの道を見つけるのか。

★ さて今日は、山田宗樹さんの「黒い春」(幻冬舎文庫)を読み終えた。単行本が刊行されたのが2000年。当時だったらフィクションに過ぎなかったが、コロナ禍を経験しているだけに、リアルに読めた。

★ ある日、何の予兆もなく、大量の黒い胞子を吐いて急死する人が続いた。新たな感染症なのか。「黒手病」と名づけられたこの病。関心を持った研究者が検討を重ねるが、感染経路も原因菌の特定できない。原因がわからないので検査法も治療法もわからない。

★ 研究班では発症した人々の共通点を探り、感染のメカニズムを解明しようとするのだが・・・。

★ 感染爆発によるパンデミック、それに巻き込まれる人々。愛と別れといった人間模様にも重点が置かれていた。

★ 果たして人々はこの感染症を封じ込めることができるのか。結論は読者の想像力に委ねられている。

★ 1918年のインフルエンザ(スペインかぜ)のパンデミック、主に2020年からの新型コロナパンデミック。かつての天然痘やペストの大流行もある。ウイルスと人との戦いは終わることがなさそうだ。

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沢木耕太郎「紙のライオン」

2025-03-04 19:43:06 | Weblog

★ 私は若い頃、ジャーナリストにあこがれていた。私は書くことが好きだった。中学生の頃、何本かのSF小説を書いた。成長するにつれてフィクションよりもノンフィクション(ルポルタージュ)に興味を持った。そんな折、沢木耕太郎さんの「テロルの決算」を読んだ。

★ 沢木さんは、当時、「ニュージャーナリズムの旗手」と呼ばれていたような。

★ そんな時代に読んだのが。「紙のライオン」(文春文庫)。1987年に一度読んでいる。

★ 「ジャーナリズム」「書くこと」について述べている。前半では、「さまざまな『金閣』」が面白かった。水上勉の「金閣炎上」「五番町夕霧楼」、三島由紀夫の「金閣寺」を読み比べている。主人公である金閣に火を放った僧の捉え方から、虚構と非虚構が考察されていた。

★ 後半では、「匂いと挿話」が面白かった。レッドパージで諸先輩が公職追放になったがために、池田隼人は大蔵省のトップに上り詰めた。誰も予想だにしなかったことだという。やがて政界に転じ、首相となり所得倍増計画を推進する。日本の高度経済成長を実現した。

★ 「寵児」と題された「井上陽水論」も面白かった。

☆ さて、トランプ大統領の動きが世界は振り回している。関税の話は世界経済の影響を与えそうだ。トランプ氏といえば自国中心主義だが、保護貿易、重商主義の時代に帰るのだろうか。

☆ 異常なまでの富の偏在、格差社会は資本主義社会終焉のプロセスなのか。

 

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