★ 虐待を受けて亡くなる子どもが年間60人に及ぶという。虐待の連鎖も指摘されている。
★ 孤立したシングルマザーがネグレクト(育児放棄)の結果、幼い子どもが亡くなった事件。2010年に大阪で起こった事件を題材にした映画「子宮に沈める」を観た。あどけない子どもたちの姿とその結末に言葉を失う。母親を責めることは容易いが、それだけでは悲劇が繰り返されそうだ。今この瞬間にも孤立に苦しんでいる人がいるかも知れない。
★ さて、読書は梅崎春生さんの「赤い駱駝」(浅田次郎編「心に残る物語」日本文学秀作選 文春文庫)を読んだ。
★ 終戦間近の軍隊の話。主人公が属する部隊に二見という士官がいた。全く士官に不向きな男で、運動はできないし動作も不自然。同僚からは失笑をかっていた。
★ その日は突然やって来た。終戦。部隊の兵士は、あるも者は悲嘆に暮れ、ある者は当惑するばかりだったが、三日もすると解放感に心も緩んだ様子。ところが二見だけは異様な行動をするようになった。
★ 睡眠をとらずに徘徊を重ね、理由を聞くと「赤い駱駝」を見たという。軍医から鎮静剤を貰うが甲斐泣く、二見は自刃する。
★ 物語は冒頭で、潜水艦の風景を描写している。長時間の潜水で淀んだ空気にうんざりしていた乗組員。いよいよ浮上し、待ちに待った外気を吸うと、最初はそれを受け付けないという。
★ この比喩の通り、急激な環境の変化に二見という男は耐えられなかったのかも知れない。
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