【 8月5日投稿分】
本日の法話は、一昨日、『X(元名はツイッター)』に投稿した話に、不足分を追加。
今年は初盆の檀家さんが例年よりも多いので、お盆三ヶ日(正月三ヶ日もお盆と同義)は、そこの家々を優先してお盆参りをさせてもらいます。よって、他の檀家さんのお盆(仏壇)参りは、8月に入ったらすぐに始めます。なるべく、お盆三ヶ日を超えない様に。
ある檀家さんの仏壇参りに伺うと、小学生の男の子が家にいて、拙僧の対応を。「何や、今日、学校はどうした」と聞くと「住職、アホか。今、夏休みやんか。自分が子供だった頃の事を、大人になったら、何もかんも忘れるんか。だから大人は、何でもかんでも上から目線で、子供を叱るんだよ。住職なんて、度々そんな法話を話してるだろ。『子供叱るな、来た道じゃ。年寄り笑うな、行く道じゃ』と檀家さん達に」「あっ、そうか、そうだよな。すまん、すまん。そう怒るな」「ところで、住職。今からクイズを出すから、チャ、チャと答えてみ」と、この50歳差の子供から。「おう、答えてやるわい」「人がすれ違う時、ほぼ同時に『暑っ、涼し』の声が、1日に何度も聞ける場所って、どこと思うや」と。拙僧「〇〇じゃろ」と即答すると、じっと拙僧を睨みつけ「おもろない人間やで。ほんと、大人気ないわ。少しは悩む振りぐらい、したらどうや。子供が相手やで」と。
対し、拙僧「そりゃ、悪かったな。ところでな、君が出したクイズの答え『立場が変われば、捉え方が違う』だが、それと同様の意味の道歌があるんだが」「どんなのよ」「こんな歌だよ。『手を打てば、ハイと答える、鳥逃げる、鯉は集まる、猿沢の池』というもの。奈良県にある猿沢の池の周囲には、宿屋さんが沢山あってな、お客さんが手を打てば、宿の人は呼ばれたと思い、はい、と答える。が、鳥は、手を打つ音を聞き、鉄砲と思い、驚いて飛び立っていく。鯉は、手の音を聞いて、いつもの様に餌がもらえる、と集まってくる。手を打つ音で、受け取り方がこうも違ってくる。これは、この世の中『これ、正解』はない、という教えだよ。なれば、自分の意見と違うからといって、相手を否定する事はならん、という事だわな」「なるほど。このクイズ、もらった。どこかで使うわ」と。「ところで、君のクイズだが、あれ、君のオリジナルだろ。どこで考え付いたの」「イオンの出入口で、お母さんを30分くらいかな、待ってた時だよ」「そうか、イオンだったか。不特定多数が利用する、どこかの出入口じゃないかな、とは思ったが。だが、君はいつ如何なる時でも、色んな事を見逃さないよな」と拙僧、この小学生の男の子に。
わが寺の檀家さんには、こんな面白い、機転の利く、利発な子供達が、その時代、その
時代に、結構におりますね。お寺との関わりも深いので、年に何度も、親と一緒に納骨堂参りや法要に。その時、拙僧がお寺に居れば、この子供達と色々、様々、萬の対話を。「家庭や学校では聞けない、レア(珍しい)な話がいっぱい聞ける」と、子供達は大変喜んでお寺に。このレアな話というが、投稿すれば炎上必至の話にて。各々が、わが心と折り合いを付けて、文句言わずに黙って、判断をしてくれるのなら、SNS にも載せられるのですが。まあ、難しいでしょうな。どこにでも、いつの時代にも、文句言いは一定数おられるし、それに釣られる人も沢山おられますから、世を騒がせる事になりますもんね。よって拙僧、その様な炎上必至話(間違いなく面白い話)は、講演会などで披露を。活字に残らないので、後から後から、文句言いが現れる事がないですからね。人間の泥臭い、自分にも当てはまる様な話ですので、講演参加者は皆、興味津々で、その話を聞き入っておりますよね。
さて、話を元に戻しましょうかね。その檀家の子供達がもう、30歳、40歳になっている人もいて、今度はその子らがわが子を連れて、定期的にお寺に参拝を。で、来られたら、彼らが子供時代の様に、わが子達を交えて、拙僧と馬鹿話を。順送り(代々の繋がり)ほど、心和む事はないですよね。
【追伸】
数年前、お盆で仏壇参りに伺った時の話だが、檀家小学生に「1番の親孝行は、何かな」と問うと「親より先に死なない事」と。「ほう」「病気で弟が死んだ時、父さんと母さんは何年も悲しみ続けていたもんね、僕もだけど。それと、爺ちゃんと婆ちゃんに優しくする事かな。大事にすると、父さんも母さんも、嬉しそうな顔をするから」と。
次回の投稿法話は、8月10日になります。投稿写真は、猿沢の池と興福寺五重塔。