「しんどい時こそ、頑張らなあかんねん!」
それは、息子がばあばと携帯電話で話をしている時に話していた言葉です。
サッカーチームに入部した息子は、これまで3回の練習に参加しました。
日によってコーチも違い、練習内容も違うようです。
先週の土曜日の練習は、息子にとって相当きつかったようでした。
その日、予定表には1時から4時と書いてありましたが、かなり延長したようで、息子は6時頃帰って来ました。
帰ってくるなり洗面所に向かった息子の頬には、乾いて白くなった涙の痕が何本も残っていました。
その日の練習では、タイム走があり、ダッシュで行って戻ってくるのですが、制限時間が25秒。
25秒以内に戻って来なければ、何度も何度も走らされるのだそうです。
息子は、何度走っても25秒以内に戻ってくることが出来ず、最後は、30秒以内に時間を延ばしてもらって、練習を終えたようでした。
帰って来た息子は、へろへろに疲れすぎて、食事もなかなか進みません。
その晩は、セレッソ大阪の試合がある日だったので、スカパーの録画を観てから眠りました。
翌朝、10時間近く眠ったはずの息子は、起きてからもまだへろへろのままでした。
朝食を食べるのも、服を着替えるのも、だらだらとしてなかなか進みません。
「だいじょうぶかなぁ? 25秒までに走れるかなぁ?」
と、不安そうに何度もつぶやき、私に何度もハグしにくるのでした。
150センチ以上もある大きな息子にハグされると、苦しいし、戸惑いもあるのですが、息子の凸凹成長の凹の部分は、3分の2だとまだ7歳ぐらいなのかなぁ…と、思うと納得できます。
ただ、いつもは1~2回、学校から帰って来たときなどにハグしにくるぐらいなので、明らかに息子の変調を感じました。
その日は、午後2時からの練習だったので、午前中は、4年生の算数のテストのお直しをする予定でした。
けれど、書いた文字までへろへろで、何を書いているのか分かりません。
それに、間違えている問題の解き方を説明をしても、全く頭に入っていないようで、考えようとしないのです。
だらだらだらだらと、しゃきっとせえへんなぁ!
いつまで甘えてんねん!!
そう思って、息子を分かっているつもりの私ですら、イライラしてしまいます。
きっと、学校生活やサッカーしている中でもそう思われることがあるでしょう。
「やる気出して、頑張らんな~!」と、私が言っても、
「あかんねん。気持ちが切り替えられへんねん。」と、息子は言います。
「今、〇〇の頭の中には、どんなことがあるの?」と、聞くと、
「何もない。真っ白やねん。」と、答えました。
そうです。フリーズ状態なのです。
心も体も、自分で動かそうと思っていても、スイッチが入らないのです。
おそらく、息子にとっての不安や緊張は、私が自分に当てはめて想像出来るようなものとは違うようです。
体中の色んなセンサーやスイッチをOFFにしてしまうようです。
「お直しは、また今度にしょうか! もうちょっとゆっくりしとき。」
勉強をやめて、息子に言いました。
「25秒までに走れんでも、いいんやで。
〇〇は、まだ練習始めたばっかりやもん。
一生懸命走ってたら、今は無理でも、3か月後には走れるようになると思うで。
何度も走らされてしんどいけど、そのための練習や。」
「走れんでもいいの~?」
「一生懸命走る以上のことは、誰にも出来へんやん!
コーチも、最後は30秒でいいって言ってたんやろ。」
頷く息子に、
「それに、調子が悪いときは、練習休んだっていいんやで。」
と、伝えました。
息子は、いつも通りに練習に出発しました。
そして、帰ってくるなり、明るい声で、
「今日は、タイム走なかった。違う練習やったわ~!」
と、言いました。
そういう出来事があったので、頑張りすぎる息子を心配して、ばあばが電話をくれたのだと思います。
きっと、「しんどい時は、練習お休みしてもいいんやで。」と、言ってくれたのでしょう。
その答えが、
「しんどい時こそ、頑張らなあかんねん!」
だらだらとして、何も手に付かなくなる時がある息子ですが、本当は、甘えたでも怠け者でもありません。
手を抜くことが出来ない子だから、限界に気付かず頑張り過ぎないように心配してしまいます。
息子の「頑張ろう」という気持ちと努力の芽を摘まないよう、無理をさせ過ぎないよう、これからも見守っていきたいと思います。