幼稚園の頃の息子
息子が通っていた幼稚園は、園庭にアンパンマンの遊具が並ぶ、のびのびとした明るい雰囲気の幼稚園でした。
幼稚園を選ぶ前に、5つの園の体験入園やプレスクールに参加しました。
唯一、息子が自ら先生と笑顔で会話をし、また、遊具目当てに、園に行く日を楽しみにしていたことが決め手となり、その園に通うことになりました。
園生活では、何をする時間なのかなかなか理解できずに、慣れるのに時間がかかりましたが、先生方が温かく声をかけ続けて下さり、3年という月日の中で、息子は、元気にのびのびと、自信を持って生活出来るようになっていました。
私が父の介護に通っていたため、延長保育を利用し、多くの先生にお世話になっていたこともあり、どの先生も、息子とすれ違う度に笑顔で声をかけてくださっていたことが印象に残っています。
折に触れ、保健センターと三者連携出来たことも良かったと思っています。
そんな順調な園生活とは裏腹に、ご近所のお友達とは相変わらずトラブルが続き、ご近所のママさんから、「危ないので、目を離さないでほしい」と、ご注意を受けることもありました。
我が家を含む住宅地には、子供が30人くらい住んでいて、複数の子供達が、グループを作って、それぞれ遊んでいます。
その頃の息子は、外で遊ばせると、あっちのグループ、こっちのグループと、中に入ってはトラブルを起こしていました。
同年代の、またはそれより上のお友達の遊びにはついていけず、年下の子供達は、息子の声や動きが大きくて、怖がってしまいます。自分の思うようにならないと癇癪を起こして、邪魔をしたり・・・、かと思うと、違うお友達が遊んでいるのが目に入って、そっちに走っていってしまうのです。
保健センターの医師からは
・複数の選択肢があると、目移りして、何をしていいのか分からなくなってしまう。
・テンションが上がると自制がきかなくなってしまう。
・衝動的に動いてしまう。
・距離感をつかみにくい。
それは、「多動・注意欠陥による行動障害」だと言われ、
・トラブルが起こった時には、息子の遊びたい気持ちを代弁して仲介してあげるのが一番だけれど、そうもいかない時は、親が謝って、ひとまずその場を離れ、1対1の落ち着いた状況を作って、息子に話をするように。
・複数のお友達との遊びは幼稚園にお任せして、家庭では、家、もしくは公園などで、1対1~3人ぐらいの落ち着いた環境で遊ばせる。
・話をする時は、一度に色々な事を言わずに、一つずつ確認しながら話をする。
・物によって力の加減を変えないといけないことが分かるように、紙風船を壊さないようにそーっと遊ぶなどの経験をさせる。
・遊びでもなんでも、守らないといけないルールがあることを教え、それが出来た時には、どんな小さなことでも褒めてあげる。
などのアドバイスをいただきました。
その頃受けた発達検査でも、「成長している面は多くあるものの、落ち着き・注意力・集中力は、さらに差が大きくなっている」と言われ、さらに、就学前相談では、「支援学級に在籍したほうが良いのでは・・・」と勧められました。
「少し成長がゆっくりな、やんちゃでわがままな息子」だと思っていただけの私は、「まさか本当に、通常学級では難しいほどの困難を抱えているのだろうか?」と、信じられない気持ちでした。
発達の遅れは、単に成長の遅れではなく、「障害」と呼ぶべきものなの?
「発達障害」という言葉を意識し、ネットや本で調べるようになったのもこの頃です。
発達障害が、脳の機能障害であることを知り、父の高次脳機能障害と戦っている最中の私は、彼の将来に不安を感じました。
それでも、父の介護に疲れた私にとって、彼の屈託のない笑顔は、間違いなく最大の癒しであり、希望でした。
それは、混乱の中にいた父にとっても同じだったと思います。