城台山日記

 城台山の麓で生まれ、毎日この山に登り、野菜・花づくり、読書、山登りをこよなく愛する年寄りの感動と失敗の生活日記です。

県図書館休館をどう乗り切るか 20.4.19

2020-04-19 19:26:38 | 面白い本はないか
 4月1日に岐阜県図書館で借りた本を数日前に読み終わった(難しいところや興味の無いところは端折って読んでいる)。ところが、3月には行われていたネット予約貸出すらも休止となったので、現在本を借りることはできない。退職後、読書+畑・花+山登りをバランス良く行うことで、快適な生活を送ってきた身にはちょっとした危機。アマゾンで少しは補充できるもののそれだけでは全然足りない。だが、購入した本で一度は読んでいても、内容はほとんど覚えていないものばかりなので、それを再読することにした。まずは、加藤陽子著「満州事変から二中戦争へーシリーズ日本近代史⑤」を読み始めた。


 この本棚(一部)から選書する

 図書館で借りて読んだ最後の本、ミレヤ・ソリース著「貿易国家のジレンマ」を少しばかり紹介する。経済について学ぶとき、必ずリカードの比較優位論が出てくる。もとは当時のイギリスの穀物輸入に関して、穀物に関税をかけるかどうかが議論された。リカードはイギリスは工業製品の生産が得意なのだから、穀物の関税をなくし安くなれば、労働者は恩恵をこうむる。一方で穀物を作るのに得意な国は、イギリスから工業製品を輸入する。これによってお互いが利益をこうむるという話(少し簡略化しすぎているが)で、貿易を考えるときかならず出てくる理屈である。しかし、現在トランプさんなどはこうした理屈が全くわからないか、無視している。素人にはトランプさんの理屈は大変わかりやすい。かつて結ばれたNAFTAや結ぼうとしていたTPPを否定する。これらの貿易協定はアメリカに不利で、アメリカの労働者から多くの仕事を奪い、失業をもたらしているのだと。失業をもたらしているのは、貿易の結果ではなくロボットやITの導入などの技術進歩にゆるものだというのが有力な反論であるが、失業をもたらしているという経済学者も存在する。この本の後半は日本の貿易政策をめぐるもの。曰く日本は貿易政策をめぐっては受け身的であったが、TPP以降では他国をリードするようになってきた。この態度の変化は日本の経済の不調によってもたらされたが、現在も農業問題に大きく制約されている。TPPにより、日本の生産性が向上すれば、経済の停滞を脱することが出来るかもしれないと。私には少し楽観的過ぎるような気がする。もちろん、不勉強でTPPにより何が変わるか知らないからかもしれないが。

 アマゾンで買い求めた佐伯啓思著「「保守」のゆくえ」にリカードとマルサス(食料生産は人口の伸びに追いつかないという)について述べた箇所「マルサスの悪夢は到来するのか」がある。マルサスは言う。農業と工業のバランスこそが望ましい。ひとつの産物に特化した国際分業論は適切でない。イギリスが工業に特化しても、他国も工業化するので、イギリスの比較優位が将来も続くとは限らない。穀物を輸入することは、供給を外国の手にゆだねることになり、食料事情をきわめて不安定にする。かりに戦争になれば(コロナも?)、穀物供給の途絶ということになる(このようにマルサスが言っていることを全く知らなかった)。この後イギリスは貿易を拡大し、軍配はリカードに上がった。しかし、大戦時ドイツによる食料封鎖にあった。将来耕作可能な土地は環境変化によって少なくなってくるかもしれないし、人口はいまだ増え続ける。

 上記の本で面白い箇所があるので紹介する。「教育のディレンマは超えられるか」から。政治や社会における権威喪失と、学校における権威喪失は相互に共鳴し合っている。社会の中で権威が喪失されれば、子ども達に伝達すべき確固たるものはなくなり、学校に権威がなくなれば、そもそも「教える」ことなど不可能になるのも当然である。(中略)大人達の権威から解放された子ども達の世界にあっては、個々の子どもは、仲間たちの多数派の暴力にさらされることになった。
 佐伯氏の本(安い新書本ばかりだが)もたくさん棚に眠っているので、もう少し保守論者の言うことに耳を傾けてみよう。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« タケノコ、夏野菜の苗 20.4.18 | トップ | 明神山に登る ◯年◯月◯日 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

面白い本はないか」カテゴリの最新記事