麻生副総理が先月29日、都内でのシンポジウムで「憲法はある日気づいたら、ワイマール憲法がかわって、ナチス憲法にかわっていたんですよ。だれも気づかないでかわった。あの手口に学んだらどうかね」(「朝日」1日付)と発言していたことが、1日付の新聞各紙やテレビが大きく報道しました。歴史的事実を踏まえないものですがが、「(ナチスの)あの手口に学んだらどうかね」という発言に、麻生氏の真意を強く感じました。麻生氏は内外の批判が高まる中で昨日、「ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」という談話を発表しました。
麻生副総理の「ナチス肯定発言」を知って、自民党が「憲法改正」で狙っている「戦争する国・日本ー9条改定と民主主義の破壊」とそのための「野蛮で暴力的なプロセス」を平然と考えている事実を改めて知らされた思いです。志位委員長の「見解」にあるように、ドイツにおけるナチス独裁政権の誕生とワイマール憲法の機能停止は、「誰もきづかいで」おこなわれたものではありません。「1933年1月に首相に就任したヒトラーは、就任直後に国会議事堂放火事件をおこし、それを機に、共産党、労働組合、社民党などを次々に非合法化し、最後には政党の結成まで禁止して、一党独裁体制をしいた。その過程で、ヒトラーはいわゆる「授権法」(全権委任法)を成立させワイマール憲法を機能停止に追い込んだ」(「志位委員長の見解」)のが歴史の事実です。
自民党の憲法改正(案)が、徹底した戦後政治の原点を踏みにじる立場に貫かれてれていることは、多くの方々が指摘しています。この「改正」(案)を参院選後の新たな国会で「成立」をめざして本格的に活動を強化しつつあるのが、自民党などの院内外の改憲勢力です。世界と日本の戦後政治の原点とは何か、この議論こそ、本格的に行われなければならないのではないでしょうか。戦後結成された国際連合憲章は、「われらの一生のうち二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救(う)」ために活動することを明記しています。
志位委員長は、麻生氏の発言に対する「見解」の中で、「戦後の国際秩序は、日独伊のファシズムと侵略戦争への断罪を共通の土台としてつくられているものである。その土台を否定するものに、国際政治に参加する資格も、日本の政治に参加する資格もない」と厳しく批判しました。今月は日本の侵略戦争が敗北して、68年になります。憲法を守り、生かして戦争を起こさせない日本を、核兵器のない世界をつくる世論と運動の広がりのために新たな気持ちで活動したいと思います。