ロシアのプーチン大統領が、クリミア併合を表明したことに対し、世界各国から厳しい批判の声が上がっています。 日本共産党の志位和夫委員長は昨日、国会内で記者会見し、「ロシアはクリミア併合を撤回せよー世界の平和秩序を覆す覇権主義は許されない」との声明を発表しました。 ロシアのクリミア併合は、極めて重大な平和秩序への挑戦です。 ロシア自身が旧ソ連崩壊後に誓約した国際的合意からも完全に違反する覇権行為そのものであり、どんな口実を持ち出しても許されるものではありません。 志位さんの「声明」を紹介します。
1、ロシアのプーチン大統領は18日、上下両院の議員らを前に演説し、ウクライナの領土であるクリミア自治共和国とセバストポリ特別市をロシアに編入する方針を明らかにした。 ロシアは2月末のウクライナでの政変以来、クリミアとセバストポリでロシア軍を一方的に展開してきた。 軍事的圧力の下での両地域の「独立」承認とロシア併合は、国連加盟国の主権、独立、領土保全を尊重するという国連憲章、国際法の原則に反した侵略行為そのもであり、断じて許されない。
2、ロシアによる2地域は、ロシア政府自身が一連の国際的な条約で繰り返し、誓約してきたウクライナの主権、独立、領土保全、同国との国境の尊重にも反するものである。 旧ソ連を構成した諸国でつくられた「独立国家共同体」(CIS)発足の際の「アルマアタ宣言」(1991年12月)、ウクライナの核兵器放棄に関する「ブタペスト覚書」(1994年)、ロシア黒海艦隊のウクライナ駐留に関する協定(1997年)では、ウクライナの独立、主権、現国境の尊重、内政不干渉が明記されている。 これらの国際的誓約を投げ捨てることも、きびしく批判されなければならない。
3、ロシアは、クリミアとセバストポリの「独立」とロシア併合を両地域の住民の自由意思の平和的表明=民族自決権にそったものと強弁している。 しかし、両地域の編入の「意思表明」は、①ロシアの軍事的圧力を背景にした事実上の占領下で行われ、②「領土の変更問題は国民投票のみで議決できる」と明記したウクライナ憲法に明らかに違反している。 軍事的圧力のもとでの無法な併合を、「民族自決」の名で合理化することは許されない。
4、プーチン大統領は演説の中で、クリミアのロシアとの歴史的な結びつきを強調し、「ロシア世界、歴史的なロシアが統一を回復しようとしている」と述べた。 これは、自らの領土拡張を国際法の上におく、大国主義・覇権主義そのもである。 プーチン大統領がいう「ロシア世界」なるものが、旧ロシア帝国の版図を意味するものとすれば、その危険性はクリミア問題にとどまらないものになる。 日本共産党は世界の平和秩序を覆す覇権主義にきびしく反対する。 ロシア政府に対して、ウクライナ領内の二つの地域ィ対する「独立」承認とそのロシア併合の撤回、ロシア軍の介入と展開の中止、ウクライナの主権、独立、領土保全の厳格な尊重を求めるものである。
志位氏は、記者から、ロシアのクリミア併合をめぐる日本政府の態度について問われ、次のように指摘しました。
「『国際法、国連憲章に違反している』ときちんと批判する態度表明ができていないのが問題です」 安倍首相が「『非難』を口にしながら、『力を背景とする現状変更の試みを看過できない』とのべるにとどまったことにふれ、『(国際社会の)後ろをおずおずと目立たないように歩いているというのが、日本政府の対応です。 ロシアのやっていることは、首相の答弁のような生易しいものではない。 文字通りの侵略行為です』」
その上で、志位氏は、「首相は”『侵略』の定義は国際的の定まっていない”という答弁をした。 何をもって侵略かという基準がないから、ロシアが最悪の侵略である併合に踏み込んでも、なを、きっぱりした批判ができません。 だらしない態度です。 正面から批判をすべきです」と語りました。