「神奈川新聞」23日付、「社会面」に「慰安婦 軍の隠蔽示唆」「新資料専門家発見 河野談話裏付け」の見出しが目に止まりました。
日本共産党の志位委員長が発表した見解、「歴史の偽造は許されないー『河野談話』と日本軍『慰安婦』問題の真実」が注目を集めています。
こうした中での「新資料の発見」です。 同紙の記事を紹介させていただきます。
「旧日本軍の従軍慰安婦問題で、太平洋戦争中にインドネシアのバリ島に海軍兵曹長として駐屯していた男性が、1962年の法務省の調査に『終戦後(慰安所を戦争犯罪の対象に問われないよう)軍から資金をもらい、住民の懐柔工作をした』と供述していることが分かった。 元兵曹長は『(慰安婦として)現地人など約70人を連れてきた』『他にも約200人を部隊の命で連れ込んだ』などと連行の実態も説明していた」
「関東学院大の林博史教授(日本近現代史)の研究室が国立公文書館(東京)保管の資料で見つけた。 林教授は『河野洋平官房長官談話が認めた軍の関与を裏付けるもので重要だ』と評価している」
「法務省の資料によると、元兵曹長は47年8月、オランダ軍がBC級戦犯を裁いたインドネシア・バタビア(現在のジャカルタ)の軍法会議で、住民への暴行などに問われ、懲役12年(求刑懲役15年)の判決を受けた。 元兵曹長は62年8月の調査に、罪に問われた10件余りは『殴った蹴った程度の事件ばかり』と振り返り『(発覚を)一番恐れたのは慰安所事件だった』と告白した」
「強制売春は戦犯行為に問われる。 元兵曹長は、『軍需部などに強硬談判して約70万円をもらい、各村長を通じて住民の懐柔工作に使った』と述べ、組織的な隠蔽を示唆した。 『これが完全に功を奏したと見え(慰安婦関連では)1件も訴えが出なかった』と話した。 法務省は戦後、戦犯裁判に関する情報を収集する一環として元戦犯らから聞き取り調査した」
志位委員長の「見解」の中にも、日本占領下のインドネシアで、オランダ人女性を強制的に連行して「慰安婦」とした「スマラン事件」にかかわる公文書の存在が指摘されています。 しかし、今回、「発見」された「法務省の資料」は含まれていないように思います。
「林博史教授の研究室に所属する佐治講師は、法務省が戦後実施した聞き取り調査に元戦犯たちが当時の裏事情を率直に話した点に注目。 軍の資金を地元住民にばらまき、口止めしたとの供述を見つけ、『国家が深く慰安婦問題に関与していたと感じたという」(「神奈川新聞」23日付)
法政大学の田中優子教授は、次のように語っています。 「河野談話は反政府的言説でもなく、反司法的言説でもなく、まさに戦後の日本政府が人権を重視した民主主義国家、差別のない国家として幾度も生まれ変わる、その重要な節目でした。~ドイツ政府がナチを否定することで戦後ドイツに生まれ変わったように、日本政府は『旧日本軍』を否定することで戦後日本に生まれ変わったはずです。 河野談話は日本を否定しているのではなく旧日本軍のありかたを否定して日本を救った談話です」(「しんぶん赤旗」日曜版3月23日付)
志位委員長「見解」は、「『河野談話』が表明した『痛切な反省』と『心からのお詫び』にふさわしい行動ー事実の徹底した解明、被害者にたいする公式の謝罪、その誤りを償う補償、将来にわたって誤りを繰り返さないための歴史教育などーをとることを強く求めるものです」