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【再掲】懐かしい英語教材(1) 『NHK続基礎英語 英語の文型と文法』&『よくわかる英文法』

2021年06月12日 16時08分00秒 | 英語教材の話題

 

2005年06月11日 21時20分03秒

 

🌹『NHK続基礎英語 英語の文型と文法』&『よくわかる英文法』

ここ10年ほどの英語教材のレヴェルアップと品揃えの充実はめざましいですよね。もちろん、「金返せ」もんの駄作や際物:羊頭狗肉や竜頭蛇尾の作品も少なくないけれど、とにかく現在では、留学しなくとも学校に通わなくとも、読み・聞き・書き・話すの4技能の全てで、自習でかなりのレヴェルまでいける状況だと思います。

例えば、発話や聞き取りに関して英語の音韻や音節の特徴を網羅した一般向けの参考書は、『英語リスニングのお医者さん』(西蔭浩子・The Japan Times、2002年8月)、『知っている英語なのになぜ聞き取れない?』(藤田英時・ナツメ社、2003年4月)までそう多くはなかったでしょう? 

今は自習だけでもTOEIC最高点=990点だって夢じゃないです。もちろん、会話は経験値の積み重ねですから文字通りの自習だけでは難しいでしょうが発話だけなら大丈夫でしょう(ただし、100%自習で頑張るにしても、学習計画のチェックと教材選定、それに、教材の使い方をアドヴァイスしてくれる先輩や指導者が大部分の方の場合には不可欠でしょうけどね)。英語学習者にとってはいい世の中になったなあ? うみゅ、英語教育でご飯たべているこちら英語教師サイドとしてはこれ死活問題かな(笑)。

さて、英語教材の充実とは逆に、一世を風靡した名著が人知れず書店から消えていると思いませんか? 実際、「今でも、この本があれば人に薦めたいのにな」と思う書籍が結構絶版になっている。そんな経験は、私の場合一度や二度ではないです。そこで、そんな一世を風靡した名著や個人的に思い入れのある教材をこれから紹介していきたいと思います。今日は下記の2冊。



◆『NHK続基礎英語 英語の文型と文法』 (品切れ?)
:安田一郎&Max E. Lash・日本放送出版協会、1970年5月 

これは、10歳以上歳の離れた長兄がまだ大学生の頃、大学のESS仲間の間で評判だからとわざ帰省の折に東京で買ってきてくれたもの。全60レッスンでカセットテープ2本付き。書き込みが多かったりテープが擦り切れたため(本当は、扱いが乱暴だったから?)、手元にあるのは3冊目。

小学校高学年だった私にはこの教材は少し難しかったのですが、兄が東京で買ってきてくれたのが嬉しくてわけもわからずその夏休みに1回やり通しました。

頑張ったについては、箱カバーにあしらってあるアメリカの街角の風景写真(8枚)がアメリカへの憧れを刺激したのも大きい。それから幾星霜、それから20年くらいたって仕事で頻繁にアメリカとかイギリスに行くようになった頃、ふとその写真を見ると・・・、「ダセー」でした。そう、その20年間でアメリカと日本の距離(何の距離? まあ社会的な豊かさの距離ですかね)は確実に縮まったのと、私自身、アメリカの嫌な所もてんこ盛りで実体験として知ったから「ダセー」と感じたのだと思います。

さて、『NHK続基礎英語 英語の文型と文法』の内容。それは、文法や語法の面ではそう多くの事項をカバーしてはいないのですけれど、平叙文→一般疑問文(Yes/No question)→特殊疑問文(疑問詞付きの疑問文)→平叙文の変換を愚長に繰り返す教材。4レッスンも続けてやると「パブロフの犬」になった気分が味わえる優れものでした(笑)。

冗談はさておき、「プラクティカルでナチュラルなビジネスの会話表現を集めた」とのたまう、しかし、インプットの面でもアウトプットの面でも訓練のボリュームに配慮が足りない中途半端な英会話教材より、ビジネスパーソンにとっては遥かに実践的な名教材でした。これはオフレコですが、ある総合商社では英語圏の赴任前には、この『NHK続基礎英語 英語の文型と文法』を10回やれという先輩後輩の申し送りがあったといいます(事実です)。

それくらいこれはビジネス界でも定評のあったものなのに、何で絶版になったのかな? 確かにCDではなく、今どき、カセットテープというのが拙かったのか(そんなん音源さえあればCDなんぞ何時でも作れますよね。それに、厳密な聞き取りにはせいぜいトラックナンバー単位でしか聞き返せないCDより音節や音韻まで聞き取れるカセットテープの方が優れていますよね)、それとも文例が少し古いのと、こんな「パブロフの犬」を目指す教材なんか今どきの中高生には受けず、さりとて、英語力の短期間でのアップを命じられ尻に火のついている社会人にとっては学校現場に題材をとった文例はなんともやるきをそぐ。著作権の問題とかいろいろ背景にあるのかもしれないですが、教材自体の問題としては、例文と潜在的購買者のミスマッチ、これが原因でしょうか? 



◆『よくわかる英文法』 (絶版)
:小川芳男&赤尾好夫&J.B.ハリス&吉住元廣・旺文社、1966年3月 

旺文社の創設者・赤尾好夫先生の自信作と聞いています。『豆単』も凄いがこの参考書もLoーーーーングセラー。いまでは珍しく、文型ではなく品詞に基づいて章立てしているもの(だから、目次だけ見れば退屈な文法書)です。実際、本文450頁の本で、五文型が紹介されるのは193頁めからなんですから;要は、名詞→代名詞→形容詞の説明が終わって初めて動詞が登場する! 

この『よくわかる英文法』はもともと旺文社の初級・中級用の高校学習参考書のラインナップ『よくわかる』シリーズの一冊でした。しかし、そのラインナップが『よくわかる』シリーズから、現在の『基礎からよくわかる』シリーズに替わる中でも最後まで単独で販売されていました。このことでもわかる通り、本書はロングセラーであるだけでなく間違いなくベストセラーでした。ただし、本書の主な購入者は、高校生ではなく大学生や社会人だったと思います。

もちろん、本書はもともと<初級・中級用の学習参考書>ですから、その内容も『総解英文法』(高梨健吉・美誠社)のように詳しくありませんし、『実例英文法』( A.J. トムソン&A.V. マーティネット、江川 泰一郎訳・オックスフォード大学出版局)や『英文法解説』(江川 泰一郎・金子書房)のような専門的なものでもありません。実際、例えば、7文型論なりの最近の文型論を踏まえ、コーパスを駆使した語用論の蓄積や文法と発音との関係も視野に入れた(ある意味)感動的な学習参考書:『ロイヤル英文法』(綿貫陽他・旺文社)とその初級・中級版『基礎からよくわかる英文法』(綿貫陽・旺文社)と比べても、『よくわかる英文法』の文法理解のコンシステンシーは劣ります。だから「老兵が消えた」のもわかる。でもね。

でもしかし、かってある程度英語を勉強したことのある学習者が、短期間に(『ロイヤル英文法』『英文法解説』を2回通読しなさいと言われたら、それだけで大部分の方は英語勉強する気がなくなりますよね)、冠詞や名詞、比較表現という日本人学習者にとっての躓きの石をきちんとおさらいする目的では本書は、その後継機種の『基礎からよくわかる英文法』よりも優れていたのじゃないか、そう私は思っています。

特に、何度TOEICを受けても山のような問題集をこなしても(Listeningでは470点くらいコンスタントに取れるのに、)Readingがネックになって930点に届かない方とか、国内・海外を問わず大学院進学希望者の方にはこの教材は優れていると思います。そんな方々は鬼のようにボキャブラリーというかイデオムを増やすのでなければ、厳密にかつ素早く英文が読めない限りブレークスルーはないですからね。実際、大学院留学準備者にはこの『よくわかる英文法』と『基礎からよくわかる英文法』はお薦めして好評でした。ふみゅー。

いずれにせよ、30年前の学習参考書は、単に受験対策ではなく、日本人の英語でのコミュニケーション能力開発に貢献するぞという、なんか志とか心意気みたいなものがあったと思うのは私だけだろうか? そんなこと考える初夏の休日の朝。

 

鳥飼玖美子『TOEFL・TOEICと日本人の英語力』

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【再録】私家版・海外修学旅行「お薦め行先」ランキング

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そして、

NHK基礎英語2021: 第一週を聴いてみての評価と感想

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黙示録:NHK――中高生のための――基礎英語in English は「戦艦大和」の特攻↗撃沈必至?

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英単語は2000語も覚えれば充分?⬅そんなわけないだろう❗ (*^o^)/\(^-^*)

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NHK 基礎英語2021年度への期待と2020年度の感想みたいな記事🐙

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おまけ❤

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