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鯨肉輸入に許可☆商業捕鯨再開に向けて大きな意味を持つ「65トン」かも

2008年12月10日 09時37分17秒 | 日々感じたこととか


鯨肉の輸入を経済産業省が許可。嬉しいニュースがありました。而して、これは「65トンの小さな荷物だけれど、商業捕鯨の再開を呼び寄せるノルウェーとアイスランドからのクリスマスプレゼント」になるかも、です。蓋し、ここに紹介した記事を見るだけでも反捕鯨国に与えたこのニュースの衝撃は小さくないようです。

捕鯨を巡る論議は日本の国内的には「終了」している。「鯨を殺すのは残酷で、カンガルーや牛を殺すのは残酷ではないと言うのはダブルスタンダードじゃないのか!」「何を食べていいか悪いかとかを他国に指示される筋合いはない!」等々、所謂「反・反捕鯨論」も含め日本では捕鯨推進論が圧倒的だからです。実際、このイシューでは原則、共産党から自民党まで全政党が調査捕鯨維持推進派なのですから。

よって、「商業捕鯨再開」の鍵は紹介した記事にも触れてある通り、鯨肉・鯨食マーケットが維持拡大できるかどうかに懸かっている。ならば、安定供給の可能性と価格が問題。蓋し、その意味でも今回の「鯨肉輸入許可」は商業捕鯨再開に向けて小さな一歩だけれども大きな意味を持つ「65トン」になるかもしれません。

畢竟、ポイントは「市場の再開発の可能性」でしょう。蓋し、日本における鯨肉マーケットは、商業捕鯨の一時停止体制に起因する高値不安定供給の事態が続く中で、いわば「限られた固定客」を相手にする需要の価格弾力性の低いものになっているのではないか(下記画像参照:右手のDemand is Inelastic)。



而して、輸入による鯨肉の安定供給体制の具現と外部参入の道が開かれることにより鯨肉の価格引下げが実現すれば、そのマーケット規模も一般の国民を巻き込んで拡大して、更には、市場も価格弾力性の高いもの(上掲画像参照:左手のDemand is Elastic)に変容するかもしれない。そうなれば、ほんの少しの価格低下が膨大な鯨肉需要を引き起こし(上掲画像参照:左手の[P1→P0]⇒[Q1→Q0])、捕鯨産業のビジネス基盤も安定する。そこから「世界的な商業捕鯨再開」まではほんの一歩でしょう。そうなればいいな、と思っています。

そして、日本における鯨食文化の存在、反・反捕鯨論の圧倒的優位(捕鯨産業に対するgood willの存在/グリーンピースやシーシェパード等の環境テロ集団への反感の昂進)、支那製食材への危惧と裏腹なヘルシー志向の昂進等々を鑑みればこの想定は満更私の「夢想」ではないかもしれない。

以下、この「鯨肉輸入再開」を報じたBBCの記事。出典は、"Japan approves whalemeat import,"18 November 2008「日本、鯨肉の輸入を許可」。尚、この問題を巡る私の基本的な考えについては下記拙稿をご一読いただければ嬉しいです。


・鯨と日本の再生
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-306.html

・反捕鯨論の文化帝国主義的で傲慢な謬論を逐条撃破する
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-313.html

・書評☆星川淳GPJ事務局長『日本人はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-318.html





Japan appears likely to approve the importation of a consignment of whalemeat from Iceland and Norway. A senior official from Japan's Ministry of Economy, Trade and Industry told BBC News that an import licence has been granted.

The consignment, of about 65 tonnes, was sent to Japan in June but has been held in customs since its arrival. The whalemeat trade is banned under UN rules but the three countries involved hold opt-outs, making it legal.・・・

Norwegian and Icelandic whalers see access to the Japanese market as key to expanding and maintaining their businesses.


日本はアイスランドとノルウェーから持ち込まれた鯨肉の輸入を許可する見込みである。日本の経済産業省のある高官は輸入許可が与えられたとBBCニュースに語った。

約65トンのその荷は6月に日本に送られたが到着以来税関に止め置かれていた。鯨肉の貿易は国連の規則に違反するものだけれども、【今回の鯨肉貿易に】関係する三ヵ国はその規則に加入していないため、これら三ヵ国間の鯨肉の輸出入は合法的なものである。(中略)

ノルウェーとアイスランドの捕鯨業者は、日本のマーケットへの参入は両国の捕鯨業を拡大させ維持する上で必須のものと見ている。


Open market

The international whalemeat trade is banned under the Convention on International Trade in Endangered Species (CITES), but Norway, Iceland and Japan have all registered reservations to exempt themselves, as the treaty permits.

"It's a legal import and a legal export, and in future might give access to a market that's really big for both Norwegian and Icelandic whalers," said Laila Jusnes from the High North Alliance, which represents whalers, sealers and fishermen around the Arctic.

In response to the contention that the Japanese market is shrinking, as environment groups maintain, she said: "We don't know just how big the market is before we start, but I'm sure it can be re-developed."


公開市場【自由競争市場】

鯨肉の国際的な取引はワシントン条約(CITES :Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)によって禁止されている。しかし、同条約自体が許容する手続きに従い【条約の一部を】留保することにより、ノルウェーとアイスランド、および、日本はいずれもこの条約の適用を免除される仕掛けになっている。

「今回の鯨肉の輸送は合法的な輸入であり輸出なのです。而して、今回の貿易が将来的にはある市場への参入、蓋し、ノルウェーとアイスランド双方の捕鯨業者にとって本当に巨大な市場への参入につながることを期待しています」とthe High North Alliance のLaila Jusnes女史は語ってくれた。尚、同Allianceは北極海領域で活動する捕鯨業者・猟師船乗組員・漁師達を代表する組織。

日本市場は縮小しつつあるという環境保護グループがよく口にする主張に対してJusnes女史は、「貿易を始める前でもあり、我々は日本市場が本当のところどれほどの規模のものかは分かりません。けれども、日本の市場は再開発可能であると私は確信しています」と応じた。


The potential importance of the export trade is precisely the reason why anti-whaling organisations are keen that it does not resume.

"Japan is sticking two fingers up at the International Whaling Commission (IWC) and at CITES," said Claire Bass, marine mammal programme manager with the World Society for the Protection of Animals (WSPA).

"It really shows that none of the whaling nations have any commitment to the process on the IWC's future, nor any intention to honour obligations under CITES, (where) reservations to trade banned species are fairly frowned upon," said Ms Bass.

"Clearly Iceland has no market for this meat, but neither has Japan - they currently have about 2,000 tonnes in cold storage, so it's hard to imagine why they're importing any more."・・・


輸出が潜在的に重要であればこそ、捕鯨反対団体は鯨肉貿易が再開しないことを切望している。 

「国際捕鯨委員会(IWC)とワシントン条約を日本はせせら笑い恫喝をかけている」と、世界動物保護協会(WSPA)の海棲哺乳類プログラムマネージャーのClaire Bass女史は述べる。

而して、Bass女史の言うところでは「捕鯨国は国際捕鯨委員会の将来がどうなるのかに関していかなる約束も関与も行うつもりはなく、また、ワシントン条約上の義務を果たすつもりもさらさらないと言わざるをえない。【国際的に】取引が禁止されている種に関する【捕鯨国による条約の】留保は凄まじい顰蹙をかっている」。

「アイスランドに鯨肉の市場がないことは自明ですが、日本にも鯨肉市場など存在しません。日本では2,000トンもの鯨肉が冷凍庫で眠っているのですから。よって、日本がこれ以上の鯨肉を輸入することなど想像できないことなのです」とのことである。(後略)


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