大震災後のこの社会の<風景>を切り取った記事を3本紹介します。「なんだ、最近、転載ばかりじゃないか」とな、何とでも言いなさい。これらの記事は、蓋し、それぞれ地に足のついた所からこの国が今抱えている危うさを平明に描いている。と、そう私は思いました。そう思いここに紹介する次第。手抜きだけではないのです(笑)。
と、まずは、北関東にお住まいのブログ友、きつねのしっぽ姉さんの記事2本。
最初の記事はスペースの都合で一部割愛させていただきました。
野菜
2011/4/12(火) 午前 9:59
私の住んでいるところも、一番最初にほうれん草が出荷制限された。
当然近所のスーパーに地元の葉物野菜は消えたのだった。
最近になって出荷制限もなくなったから、今まで通り福島だろうが茨城だろうが栃木だろうが群馬だろうがどこでもいい、ここらへんの野菜を買って食べよう! と思っているのだが、店内にある野菜の大半が、北海道、東海、四国、九州などの産地のものばかりになっていた。
地元が支えあうべきだろうに、この有様だ。
何だか悲しくなってしまった。
地震から1ヶ月たってもいまだ余震がなくならず、
それどころかいっそう揺れてます。(後略)
http://blogs.yahoo.co.jp/kitunenoshippowind/36713619.html
停電の波紋は続く
2011/4/13(水) 午前 11:55
新学期が始まり、給食も始まった。
3学期の終わりの給食は停電のせいで弁当となり、どうなるかなあと案じていたら、
今までとは全く異なる給食献立表。当面の停電はなくなったにもかかわらず明らかに停電を意識した献立だ。私の住んでいる市の子供たちは、市から支給された箸セットを持って学校へ行く。
給食初日、子供は帰宅するなり、
「今日はね、箸セット使ってないから!!」
食いしん坊の次男の鼻息がえらく荒い。
どーいうこっちゃ?
聞くにその日の給食は、
黒コッペパン・小魚・チーズ・冷凍パイン・お茶
「ひどいよー!おやつじゃないんだからさー」
確かにね、こりゃいくらなんでもひどいわ・・・。
小魚はアーモンドフィッシュの魚だけで、
チーズもパインもほんのひとかけらずつ。
「お腹膨れた?」
「わけないじゃーんっ」
中坊の長男もそんな給食の後の部活で相当堪えたようだ。
今なんでも給食センターで働く人は、切ってある野菜などを最終調理するだけなんだそうで。それが停電となるとこんなどこかから買って配るだけになっちゃうのか。。。
その後の献立表を見る限り、ここまでひどいメニューの日はなさそうだけど、これで給食費取るんだから、もうちょっと考えて欲しいな。
ダメならダメで、だったらおにぎりくらい持たせたいわー。
今月はとりあえず停電がないのにもかかわらず、
給食センターは臨機応変に対応しないんだろうな。
こんなレストランだったら
とっくにつぶれちゃうだろうに、
やっぱり役所のやることは、
って言われても仕方ないよね。
http://blogs.yahoo.co.jp/kitunenoshippowind/36716979.html
◆参考新聞&雑誌記事
<東日本大震災>生活保護の申請緩和
東日本大震災の被災者の生活保護について厚生労働省は、自宅などが被害を受けていない場合も申請を受け付けるよう自治体に通知した。通常は資産があれば処分するよう自治体が申請者に指導するが、福島第1原発の事故で持ち家を残して避難せざるを得ない人が多数いることなどに配慮した。・・・
厚労省は、避難者が残してきた資産を処分できない資産とみなすこととした。申請時には将来処分してもらう可能性も説明することなどを自治体に求め、3月17日と29日に通知した。
ところが、毎日新聞の電話取材に応じた福島県いわき市の30代の男性は、避難先のさいたま市の福祉事務所で3月28日、車の処分が必要と言われ「その時点であきらめた」という。男性は沿岸部の自宅が全壊し、妻や小中学生の子供3人と車で避難。職場も操業不能で、弁護士に付き添われ保護を申請したが、担当者から「避難所なら寝るスペースはあり食事もできる。保護費をどう計算するか難しい」と言われたという。・・・
(毎日新聞 4月6日(水)21時38分配信)
米「タイム」が指摘 日本の支援は途上国以下
22日、米誌「タイム」(電子版)が・・・「官僚機構が救援を遅らせているのか?」というテーマで、「日本よりはるかにインフラ整備が遅れている開発途上国でさえ、災害発生から4日もたてば援助物資が被災民の手に届く。だが東北では10万人の自衛隊が救援活動を行っているにもかかわらず、援助物資が届くのに恐ろしいほど時間がかかっている」と指摘した。
同誌は・・・以下の実話を挙げている。
日本の船会社が湾岸地域に救援に向かうコンテナ船をヘリの着陸用に提供すると申し出たが、政府は船会社に正式な資格がないことからこの提案を断った。来日した外国人医師団が患者の診察を申し出ても、日本の医師免許がないという理由で門前払い。医師らは医療行為ともいえない最小限の援助活動をするしかなかった。政府は地震から6日後の17日になって外国人医師の医療行為を認める方針を打ち出したが、遅きに失したといわざるを得ない。・・・
寄付された物資は地震と津波の数時間後には東京に届いたのに、いまも倉庫に眠っているというからバカげた話だ。もちろん、政治家がその気になれば、こうした規制を取っ払うことができる。官僚機構と政治の怠慢が被災者を見殺しにしたといえそうだ。
(現代・3月24日)
テレビで連日流される避難所の映像が全てではない。そのウラには、もっとひどい厳しい現実がある。「道路がない」「配送車がない」と、食料や灯油が山積みされている役所の奥の方で、報道されない悲劇が進行中なのだ。手渡しだろうが、米軍のヘリに手助けしてもらおうが、どんな手を使ってでも、菅政権は、生き残った被災民への物資輸送と人命救助を最優先しなければいけないのだ。事件は、福島原発だけで起きているのではない。
(現代・3月25日)
自らが唱えた「政治主導」に自縄自縛になり脳死状態の政府を尻目に
文字通り「体を張って被災地支援」のために行動する自民党の丸川珠代議員
次に、ブログ同志のtotdjo女史の記事。
東北や北関東産の農産物や魚介類を食するべきか
2011/4/10(日) 午前 0:48
福島県、茨城県、栃木県などの農産物から、また、福島県沖や茨城県沖の海産物から放射性物質が検出されています。農業者や漁業者にとっては、踏んだり蹴ったりと言いますか、否、そんな軽々しい慣用句で片付けられるものではない、(生活基盤が根こそぎ奪い去られるような)極めて深刻な状況です。
ここで大きな問題、わたしたちは、東北や北関東の農業者や漁業者を助けるため、東北や北関東の野菜や魚を食するべきでしょうか。現実には、暫定規制値を超える野菜や魚は市場に出回らないため、暫定規制値以下の野菜や魚についてですが、暫定規制値「以下」の放射性物質がついています(このところ、関東の都県や福島県では、放射線量のほか、放射性物質の降下量、水道水中の放射性物質の量、各都県で採れた野菜に付着した放射性物質の量などをホームページ上で公開しています)。
この問題は、結論的に言えば、困っている東北や北関東の同胞を助けるという正義と自分や家族の健康を守るという正義のせめぎ合いです。仮定の話ですが、東北や北関東で採れた野菜を食べれば確実に死亡するのであれば、東北や北関東のお百姓さんには非常に酷ですが、農産物はすべて廃棄していただく以外ありません。反対に、東北や北関東の野菜が絶対に安全だと神様が保障してくれているのに東北や北関東の野菜を食べないなら、これは怯懦以外の何物でもないでしょう。
ただ、放射性物質が健康に及ぼす影響について、確定的なことは誰にも分からないという点に、この問題の難しさがあります。何ベクレル以上の放射性物質を取り込めば確実にガンになります、或いは、何ベクレル未満なら絶対に死にません、みたいな、確実な知見があれば別ですが、実際のところはよく分からないのが現状のようです。(現状の)暫定規制値は、基本的には、国際的な基準にのっとって誰が食べても問題はなさそうなところで定めているようなので、暫定規制値以下なら、一応、安全とは言えますが。
わたし的には、乳幼児や妊婦や子供など、放射線の影響を受けやすいとされている人々については、”念のため”、摂取を控えるよう呼びかけるべきではないかと思います。でも、放射性物質の影響をあまり考慮しなくてよい高齢者の方々には、この際ですから、いわゆる”善意の強要”を行ってもよさそうな気がします。
政府(具体名を挙げれば、枝野官房長官)も、「安全だ」とか、「直ちに影響がない」とか、バカみたいに同じ事を繰り返すだけではなく、野菜や魚などについて、付着している放射性物質の量を明示するよう体制を整えるべきでしょう。消費者は(少なくとも政府より)賢明ですから、放射性物質の量が分かれば、どの程度までなら食べても大丈夫か、判断ができるはずです。今の政府の対応は、チェルノブイリのソ連よりもひどいのではないかと思うのは、わたしだけではないと思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/totdjo/52051799.html
絶対に安全なものなどこの世にないのです。で、放射能は正露丸を飲んでいれば大丈夫。それに、ワンカップ大関を加えれば鉄壁。そう思っていれば大丈夫。Let it be.と、そう私は考えています。はい、気休めですがそれが何か? 気休めは大切ですよ、と。
とは流石に言えないとしても。
問題は、一応は、法的根拠もあり国が都道府県などに指示を出す「出荷制限」ではなく、(誰も責任を取りたくないからでしょうか、そのくせ権力の万能感から脱しきれておらず、何でも自分が采配しないと気が済まないからでしょうか)自治体が農協などに自粛を要請する、法的根拠のない「出荷自粛」が多用されているこの国の無責任な行政のあり方。
そして、最大の問題は、蓋し、絶対に大丈夫なことなどあるはずもない原発を「絶対に安全」と言い切ってきた当局や電力会社の姿勢。否、そのような発言を原発反対派も推進派も当局や電力会社に求めてきたことではないでしょうか。そして、その建て前に縛られていたためだつたのか、福島県浜通り地域での、避難指示等の拙劣さ。ここには、有限な人間が本来危険な原発と添い寝をしている現状を踏まえた現状に対する謙虚さなど微塵も感じられない。蓋し、原発の「反対派-賛成派」ともにある種の<権力の万能感>や<人間の万能感>を共有していたの、鴨。而して、正に、日本の行政は脳死している。と、そう私は考えます。