In an interview with the Sankei Shimbun newspaper, Mr. Abe, a right-wing nationalist, was quoted by Reuters on Monday as saying he wants to replace the 1995 apology with an unspecified “forward looking statement.” He said that his previous administration, in 2006-7, had found no evidence that the women who served as sex slaves to Japan’s wartime military had, in fact, been coerced. However, at a news conference last week, the chief cabinet secretary, Yoshihide Suga, said that Mr. Abe would uphold the 1995 apology but hinted he may revise the 1993 statement.
It is not clear how Mr. Abe, the leader of the Liberal Democratic Party of Japan, might modify the apologies, but he has previously made no secret of his desire to rewrite his country’s wartime history. Any attempt to deny the crimes and dilute the apologies will outrage South Korea, as well as China and the Philippines, which suffered under Japan’s brutal wartime rule.
Mr. Abe’s shameful impulses could threaten critical cooperation in the region on issues like North Korea’s nuclear weapons program. Such revisionism is an embarrassment to a country that should be focused on improving its long-stagnant economy, not whitewashing the past.
月曜日【2012年12月31日】付のロイターの引用によれば、しかし、安倍首相は--彼は右翼の民族主義者なのだけれども--産経新聞のインタビューに答えて、1995年の謝罪を、その具体的な内容は明らかにしなかったものの、なんらかの「未来志向の声明」と置き換えたいと述べたとのことだ。更に、安倍首相は、第1次安倍内閣(2006年-2007年)の際に行った調査でも、戦争中に日本軍のための性奴隷であった女性達が、実際の所、【性奴隷になる/性奴隷であることを】強制されていたという証拠は何一つ発見されなかったとも述べたとのこと。しかし、菅義偉官房長官は先週の記者会見で、1995年の謝罪の立場を安倍首相も引き継ぐ考えではないかと述べつつ、安倍首相が1993年の声明【河野談話】を変更する可能性を示唆した。
これら二つの謝罪を、自由民主党総裁でもある安倍首相がどのようなものに改変しようと考えているのかはよくわからない。けれども、前々から、自分が日本の戦争中の歴史の書き換えに意欲を燃やしていることをなんら隠すことなく安倍首相は表明してきた。戦争犯罪を否定したり【河野・村山の領談話の】謝罪を薄め目減りさせるようないかなる試みも、しかし、韓国はもちろん支那やフィリピンを激怒させることは間違いない。これらの国々は戦争中に日本の残忍な支配を経験したのだから。
畢竟、安倍首相の恥ずべき衝動は、例えば、北朝鮮の核兵器開発計画などに対処する上で、東アジア地域において重要この上ない各国の協力体制に悪い影響を与えかねないものだ。そして、ある国とその政府が、過去を美化したり糊塗したりするのではなく、長引く経済の低迷を改善することに焦点を当てて全力投球すべき状況にあるのならば、そして、その国にとって日本の安倍首相が掲げるような歴史修正主義は余計なお荷物でしかない(★)。
★註:thousands of women
あるブログのこの社説の翻訳には「thousands は「何千」単位から「何十万」単位までをカバーする」という訳者のコメントがありました。私にはこのコメントは意味不明です。thousandsはthousandsだろう、と。しかし、他方、「thousands」がきっちり明確な数値ではなく漠然とした大きな数値を表すことは間違いない。例えば、OEDにはこう書いてる。
thousands:
the numbers from one thousand to 9,999
(informal)an unspecified large number
要は、日常の場面では普通「thousands」は「その数値が特定されてはいないものの、とにかく、なにがしかの大きな数」を意味するということ。けれども、「なにがしかとにかく大きな数:an unspecified large number」という場合にも、thousandsがthousandsである限り、その「なにがしかとにかく大きな数」の意味のストライクゾーンも(話者の想定と現実との間に結果的にずれがあったという場合は別論として)「thousands」の中核的の意味である「1000~9,999」を上限下限ともそう大きくはみだすことはない。
つまり、沖縄のある反日集会の参加者が、主催者側および朝日新聞の発表では11万人、同集会を撮影した航空写真から全数をカウントした結果が18,179人(よって、建物・木陰・写真画像外等に参加者がいる可能性を加味しても集会参加者数は最大でも20,000人未満)というような大きな数値のずれは、まして、「何十万の単位までをカバーする」などはinformalな用法としても「thousands」にはないのです。
蓋し、「thousands は「何千」単位から「何十万」単位までをカバーする」という根拠として考えられるのは、「thousands」を含む、ならびに、不特定ながら有限かつより具体的な数を表現する単語が「thousands:tens of thousands:hundreds of thousands」の3個であることなのかもしれません(本当は、「thousands」が含まれる単語は、自身も含めれば「thousands:tens of thousands:hundreds of thousands:thousands of thousands」の4個です。しかし、「thousands of thousands」は数値としては「millions:何百万もの」と一致するからか、普通、「thousands of thousands」は「数えられないほど多い/無数の」という意味であって「何百万もの」という「有限かつ不特定の、しかし、とにかく大きな数」の語義はありません)。
けれども、それら「thousands:tens of thousands:hundreds of thousands」は、あくまでも「何千もの:何万もの:何十万もの」であり、個別「thousands」が単独で「tens of thousands」や「hundreds of thousands」の代役もするということはない。逆に言えば、だからこそ世の中には「thousands」だけでなく「tens of thousands」や「hundreds of thousands」という語句が存在するのです。
他方、災害や戦争などの被害者数を、その記事が書かれた段階で作者も、到底「数千人」規模などではなく「数十万」の規模であることを知っていた/思い込んでいたと思われるケースで、「thousands」と記した例は、記事の字数制限がいかに厳しいにせよ皆無だと思います。実際、本稿で紹介した(2)「Japan must face the past」の最終パラグラフには「the hundreds of thousands of girls and women」と書かれていますから。
そしてなにより、このNYTの社説は安倍首相を批判するものだから、政治的にもわざわざ、米英の普通の読者が「何千もの」と誤解(笑)しかねない「thousands」を「何万もの/何十万もの」の意味で用いたとも考えずらいでしょう。よって、本稿では、本文の「thousands」は「何千人もの」と訳しました。もちろん、本当はその「何千人もの」という理解も<歴史の事実>としては空中楼閣や蜃気楼の類にすぎないことは言うまでもないのですけれども。
★註:本社説を俎上に載せた日本国内の報道紹介
NYタイムズ、安倍首相を酷評
河野談話見直し「重大な過ち」
米紙ニューヨーク・タイムズは3日付朝刊の社説で、「歴史を否定する新たな試み」と題し、旧日本軍による慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」に関して、有識者による再検討の必要性に言及した安倍晋三首相を「重大な過ち」と強く批判した。
社説は、12月31日付産経新聞1面などに掲載された安倍首相へのインタビュー記事を引用し、安倍首相について、「右翼の民族主義者」と決めつけ、「朝鮮などの女性を強姦、性奴隷にし、第2次世界大戦で侵略したことへの謝罪の見直しを示唆した」と非難した。また、「戦争犯罪を否定し、謝罪のトーンを弱めるどのような試みも、韓国や中国、フィリピンなど、戦時中の日本の野蛮な行為で苦痛を受けた国々を激怒させるだろう」とした。最後に、「安倍首相の恥ずべき衝動は北朝鮮の核開発など地域の重要な協力態勢を脅かす恐れがある。こうした修正主義は、日本にとって恥ずべき愚かなことだ」としている。
ブッシュ前政権の国家安全保障会議(NSC)でアジア上級部長を務めたマイケル・グリーン氏は、ニューヨーク・タイムズなど一部米メディアによる「安倍たたき」について、「安倍氏を危険な右翼だと憎む朝日新聞や一部毎日新聞の見立てを輸入したものだ」との見解を示している。
安倍首相は産経新聞とのインタビューで、河野談話について、菅義偉官房長官の下で有識者へのヒアリングなどを通じて検討する考えを示している。河野談話は平成5年、宮沢政権総辞職前日に閣議決定しないまま公表された経緯があり、第1次安倍政権は慰安婦問題について「政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見あたらなかった」との答弁書を閣議決定した。インタビューにおける安倍首相の見解はこうした経緯を踏まえたものだが、ニューヨーク・タイムズ社説は物証を挙げないまま、強制性を前提に見直しの動きを批判している。
一方、戦後50年の節目に当たる平成7年8月、村山富市首相が、「植民地支配と侵略」への「心からのお詫びの気持ち」を表明した村山談話。安倍首相はこれに代わり、歴史問題への立場を示す未来志向の「安倍談話」を新たに出す考えを示している。これについても社説は、村山談話を不明確な未来志向の談話に置き換えたがっている、などと否定的に伝えている。
(産経新聞・2013年1月4日)
<続く>