英語と書評 de 海馬之玄関

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安倍総理靖国神社参拝を批判するニューヨークタイムズ社説紹介(1)

2014年01月13日 23時16分17秒 | 英字新聞 de 政治経済



2013年12月26日、安倍晋三総理が現職の首相としては7年振りに九段の社に参拝されました。安倍総理の靖国神社参拝を巡る私の基本的な認識と評価--ならびに、「首相の靖国神社参拝」を巡る憲法論--に関しては下記拙稿をご参照いただくとして、本稿はこの「事件」(this incident)を俎上に載せたニューヨークタイムズの社説(editorial of NYT)およびこの社説に--the editorial boardに--「予備知識」を供給した情報源の一つと思しき同紙Tabuchi記者の記事を紹介するものです。リリースはいずれも2013年12月26日付け。



・戦略的参拝反対論:靖国神社・2013秋の例大祭
 --安倍総理の判断は<正解>だった--  
 http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11643022706.html


・高橋哲哉『靖国問題』を批判する(上)(下)
 http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11141603697.html





・国家神道は政教分離原則に言う<宗教>ではない
 http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11637953341.html

・首相の靖国神社参拝を巡る憲法解釈論と憲法基礎論(1)~(5)
 http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11144005619.html






実は、元旦以来、私自身が風邪をこじらせていたというだけではなくこの翻訳はそう楽しい作業ではありませんでした。なぜならば、「同工異曲」いう域を遥かに超えてセンテンスを構成する単語列の一字一句について、これらのテクストの少なくないセンテンスは少なくともこの1年半程、NYTの記事の翻訳紹介で読んだものだったから。尚、その<同工異曲>の趣を楽しみたいという向きには下記拙稿をご一読いただければ嬉しい、鴨です。


・靖国<不戦勝>の安倍総理の作戦勝ちに歯ぎしりする海外報道紹介(1)~(6)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/dab27cdf13bb78600196fda8291e190c


・安倍総理の歴史認識を批判する海外報道紹介(1)~(12)+後記(上)(下)
(「後記(下)」に所謂「従軍慰安婦」なるものを巡る現下の論点をまとめています)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/dab27cdf13bb78600196fda8291e190c
 http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11528780014.html


・安倍総理の逆襲-「従軍慰安婦」という空中楼閣に依拠した
 New York Timesの自民党新総裁紹介記事(上)~(下)
http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11397816233.html






最早、言わずもがなのこと。蓋し、「NYTからの批判」は特に大した事柄ではありません。例えば、例のスノーデン容疑者に恩赦を与えるべきだと主張した、今年2014年1月1日の社説「Edward Snowden, whistle-blower」(公益実現のための内部告発者としてのエドワード・スノーデン)はアメリカでは圧倒的かつ激しい批判の十字砲火を受けたものね。要は、NYTが批判したからといって--朝日新聞や赤旗の主張が日本の有権者国民の世論、就中、サイレントマジョリティーの意見とは限らないこととパラレルに--それがアメリカの国民世論の所在ではないということ。

而して、英語。NYTではありませんが、若気の至りと言うべきでしょうか、私は高校生の頃--もちろん、九州の当時の普通の高校生の英語力で読めるのは毎週よくて1本か2本の記事でしたけれど--Newsweekを2年程講読していました。それから数年、忘れもしない今から28年前の睦月正月。1986年1月23日号から日本版Newsweekが出版されたときの衝撃を私はクッキリ覚えています。ふにゃー、こーんな下らない記事を毎号一種憧憬の眼差しでもって自分は読んでいたのか、と(愕然)

б(≧◇≦)ノ ・・・なーんだぁ!
б(≧◇≦)ノ ・・・私の青春を返せ!


要は、英語やドイツ語で書かれているからといってその記事の内容が素晴らしいという保証は全くないということ。実際、おフランスのルモンドなどは、喩えるならば、フランス共産党の<第二機関誌>。ならば、その内容など--もちろん、朝日新聞よりはマシでしょうけれど--1989-1991年に社会主義が壊滅して以降、左右を問わず大人が真面目に読めるような代物ではないの、鴨。と、そう私は思います。英語やドイツ語が論理的で日本語が非論理的な言語ということはなく、英語でもドイツ語でもどんな阿呆げな戯言や妄想も語れるし、日本語でも論理的に語ろうとすればそれは可能であるということ(and vice versa)。逆に言えば、英語力は保守派にとってこそ使い勝手のよい<武器>なの、鴨。

大急ぎで真逆なことを付言。弊ブログで再々述べていることの繰り返しになりますが、朝日新聞の<詩的言辞>を多用した無内容で非論理的な社説や記事とは異なり、その社説や記事が依拠している情報がいかに荒唐無稽なものであり、かつ、リベラルのバイアスが濃厚な際物としても、NYTやワシントンポスト、英国のガ-ディアンやBBCの論説や記事は遥かにロジカル。而して、ここで紹介する社説や記事の情報源は、おそらく、朝日新聞や日本国内のリベラル派なのでしょう。しかし、その<同じ素材を使って>、例えば、NYTのeditorial boardはこう主張していますものね。

Paradoxically, it is Chinese and South Korean pressure on these fronts
that has allowed Mr. Abe to think a visit to Yasukuni is a good idea.


逆説的な理解に聞こえるかもしれないけれど、靖国神社参拝は悪くない一手と安倍首相に思わせたのは、
これら領土や従軍慰安婦を巡る支那と韓国の圧力だったかもしれない。


Chinese and South Korean leaders ・・・should meet Mr. Abe.
Their refusal to meet will only give Mr. Abe license to do what he wants.


支那および韓国の指導者は安倍首相と・・・会談すべきではないか。
会談拒否の姿勢を貫く支那と韓国の行動は、安倍首相が自身の目標と目的を達成するべく行動する上での免罪符、
すなわち、フリーハンドを進呈しているようなものなのだから。







Editorial:Risky Nationalism in Japan
On Thursday, one year after coming to power, Prime Minister Shinzo Abe visited Yasukuni, the controversial Shinto shrine that honors Japan’s war dead, including war criminals from World War II. China and South Korea swiftly criticized the move, as did the United States. Mr. Abe’s visit will worsen Japan’s already tense relations with China and South Korea, which see the shrine as a symbol of imperial Japan’s wars of aggression and colonialism. The United States Embassy said America was “disappointed that Japan’s leadership has taken an action that will exacerbate tensions with Japan’s neighbors.”

The question is why Mr. Abe decided to visit Yasukuni now. It had been seven years since a Japanese prime minister visited the shrine, a recognition at the highest levels that the site is symbolically repugnant to China and South Korea and that such a visit is detrimental to relations with them. Japan’s relations with those two nations are worse now than during the mid-2000s. Both Chinese and South Korean leaders have refused to meet with Mr. Abe since he became prime minister in 2012 (his first stint as prime minister was 2006-7), in part because of issues over territory in the East China Sea and Korean comfort women, who were forced into sexual slavery by Japanese soldiers during World War II.


日本の危ういナショナリズム
木曜日【2013年12月26日】、首相に復帰して1年後、安倍晋三首相は靖国に参拝した。靖国神社とは第二次世界大戦の戦犯を含む戦死者を祀るいわく付きの神道の神社なのだけれども。支那と韓国は直ちに首相のこの行動を批判する。そして、支那・韓国と同様、アメリカもまた迅速に批判を表明した。安倍首相の靖国神社参拝は、支那および韓国と日本との現在においても緊張している関係を一層悪化させるになるにちがいない。なぜならば、これら両国は靖国神社を日本帝国の侵略戦争および植民地支配の象徴と看做しているのだから。而して、駐日アメリカ大使館は、アメリカ政府は「日本の指導者層が、日本とその近隣諸国との緊張関係を悪化させることが必至の行動を取ったことに失望している」と述べた。

考慮されるべきポイントは、しかし、なぜ今のこの時点で靖国神社への参拝を安倍首相が決断したかである。実際、今般の安倍首相の参拝以前、靖国神社を日本の首相が最後に参拝したのは7年前のことであり、それはこの間、日本の歴代の首相が、靖国神社は支那と韓国を不愉快にさせないではおかない象徴に他ならないこと、そして、首相の靖国神社参拝は支那および韓国と日本との関係を毀損する有害な行動であることを熟知していた結果なのだ。現在、日本とこれら両国との関係は2000年代半ばに比べて悪化している。2012年に安倍首相が首相に就任して以来(安倍首相の最初の首相在任期間は2006年-2007年だったのだけれども)支那と韓国の指導者は、安倍首相との会談を拒否している。而して、会談拒否の理由は一方では、東シナ海における領土紛争であり、他方、韓国の従軍慰安婦を巡る問題。ちなみに、従軍慰安婦とは第二次世界大戦中に日本軍兵士によって性奴隷の境遇に入ることを強いられた女性達のことなのだけれども。








<続く>










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