夏の始まりではなく、春を終わらせる花だと思う。
春の始まりはいつも、冬と混じっている。
春の終わりは夏と重なっている。
3月の終わりに雪が降ったのは寒かった冬として記憶される。
4月の終わりに25℃を超えるとそれはもう夏の始まりとして思い出されることだろう。
春は、あっけない。
気が付けば終わっている。
その盛りは短いというより、ほとんどないのではないだろうか。
暑い夏が続くと言うし、寒い冬が続くとも言う。
もうすっかり秋ですねと言う。
しかし、気持ちの良い春が続いているという表現にはお目にかかからない。
そのさりげなさ、そっけないほどの繊細さこそが美しいのだと思う。
もうしばらくつつじが咲いていてほしい。