愛知県春日井市、JR高蔵寺駅から歩いて5分、カフェ花音という店がある
高蔵寺といえば、ニュータウン計画発祥の地で、昨今は映画「人生フルーツ」
の舞台として全国にその名を馳せている。
喫茶店であり、夜は不定期にライブもやっている。
マスターはベーシストであり、ガットギターで弾き語りもする音楽家でもある。
かつて大阪のライブハウスでブッキングマネージャーを務めた手腕を生かし、
有名無名のミュージシャンによる質の高いライブをリリースし続けている。
高蔵寺は、名古屋のベッドタウンである。
夜の街ではない。
どんなに質の高いライブでも、名古屋からの客の足は遠い。
実は名古屋の中心地からJRで一本、20分、決して遠くはない。
マスターは、夢追い人だ。
花音の経営は3年目で傾いている。
口の悪い仲間たちには、甘いのだ、と叩かれているらしい。
クラウドファンディングで最後の賭け、12/28までに設定した300万円が
達成できなければ、店をたたむとのこと。
努力もしないで、300万円という大金を調達するつもりか、と言われることも
あるらしい。
花音で見るライブが好きだ。
ステージの無いフロア、至近距離での演奏は、そう、見る、聞くというより
アーティストと音楽を共有するというのがふさわしいと思う。
名古屋の大きなライブハウスでは感じることができない、素晴らしい経験ができる。
ライブチャージ、2,000円、映画館とあまり変わらない。
映画って、もうすでに完成して、完結してしまったものを再生するのだが、
ライブは、この場所、この空間、この時間から始まり、徐々に組み立てていくもの。
演者と観客が、これから起こることのすべてを、はじめから終わりまで作り上げる、
ただ一度きりの儚い創造を共有するのだ。
花音は商売としては負けている。
負け続けている。
しかし、強いヤツばかりが跋扈する世界になんか住みたくない。
そんなつまらない社会など願い下げだ。
マスターは、音楽マニアで、優しい純粋な人だ。
いいヤツだからこそ、ダメなヤツなのかもしれない。
ダメなヤツがダメなまま暮らしていける町が高蔵寺だったらいいなと思う。
今の世の中には、寛容や、優しさが足りない。
そんな町が愛知県の郊外にぽつんとあって、小さな喫茶店がひっそりとあって、
夜には、知る人ぞ知る素敵なライブをやってたら、おもしろいじゃないかと思う。
まるで空想みたいな素敵な夢のような話。
今日が雨のクリスマスイブならなおのこと。
クラウドファンディングの期限は12月28日。