中国四国歴史学地理学協会に投稿していた標記の論説を掲載する『年報』第19号(査読なし)が完成し東広島市の自宅に配達されました。掲載は21~36ページで、奥付に刻まれた発行の日付は2024年3月31日です。
この《論説》は、専門の研究テーマとは別途、趣味で取り組み平成30年(2018)より論文発表を始めているテーマ「自治体史論」につき、蓄積中のデータを順次公表していく仕事の一環です。具体的には、香川県をフィールドとしつつ近世史用語「異国船」を検索のキーワードに定めながら、県域で発行された自治体史誌のうち近世通史編を含む冊すべてを読んだ成果を一覧表にまとめました。そうして、当該県域における史誌近世編の編さん傾向を見とおす道筋をつけようとしています。
ただ、本稿の場合は、テーマ設定の段階から問題点がありました。香川が、海に面する県であるにもかかわらず「鎖国」期に外国船ないし外国人と直接応接した記録は見られず、専門家が県域の史誌で論じたくてもなかなか論じようがないからです。すなわち、そもそもキーワードの設定自体が適当といえません。ゆえに、昨秋協会に投稿を申し込むときは、徳島も併せて東四国2県域を分析対象とし、一気に四国4県の史誌編さん傾向を総括するタイトルにしておりました。
ところが、実際に執筆してみれば香川は、県の規模の割に発行件数が多く、また特徴的な編さん傾向を認めたため、この分析を述べるだけで規定の原稿用紙枚数に達してしまいます。よって、四国4県の総括は徳島県域の史誌を分析する次回作でおこなうとして先送りにし、今回は香川県域の分析まででとどめました。