うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

告白。

2019年06月04日 20時24分07秒 | ノベルズ
初夏の日差しが眩しく降り注ぐ、午後のカフェテラス。
音一つ立てず上品に紅茶を一口含んで、それをゆっくりと喉に滑らせながら、柔らかな笑みの彼女は言った。
「・・・それで、アスランとは上手くいっておりますの?」
「ん~・・・まぁ、無難に行っているとは思うけど。お互い忙しいからな。なかなか二人きりになって会う時間が取れなくて…そういうラクスは?」
目の前の彼女に負けず劣らず、優雅な手つきでカップを取る仕草で、答えた彼女も名門の育ちであることがうかがえる。
男装の麗人にも似た彼女の、おそらく無意識であろうが、その華麗な指先の所作に、最初に問うた彼女は見惚れながら答えた。
「はい。私もカガリさんと同じかと。…キラはZAFTでは士官の地位ではありますけれど、カガリさんもご存知の通りお優しい方ですので、気を張っていらっしゃるようで。」
彼女はため息をつく。
そんな彼女の様子をみて、向かいの彼女も頷く。判っているのだ。ここで彼を助けてあげたいが、手を出せば必ず「最高権力者が恋人を贔屓している」と言い出す輩が必ずいる。いや、そうでなくても彼女は優しいが自他ともに甘えは許さない。
思わず、呟きが漏れた。
「・・・凄いな、ラクスは・・・」
「え…?」
カップにはまだ半分以上残された紅のそこに、彼女はミルクを注ぐ。
白い霧のような泡沫が一瞬白いカップの底に積乱雲のように漂い、そして直ぐに透き通っていた夕焼け空の様なそれに暗雲に様に白い濁りが広がっていく。
「ちゃんと公私の区別をつけて、それでもちゃんとキラの事を見て居てくれる。・・・アイツは結構甘えるほうだから、ZAFTに行ったら精神的に辛くなると思っていたのに、弱音一つ吐かない。それってちゃんとラクスがフォローして、支えてくれているからだと思う。でも私はダメだな。…忙しさにかまけて、アスランのこと、癒してあげることもできていない…」
「そんなことありませんわ!」
普段穏やかな彼女が、意外にも強い口調で否定した。驚いた彼女の金眼が見開く。
「カガリさんはお強く、そして素晴らしい方です。私ではアスランの心を開くことはできませんでしたのに。一度違えても、それでもカガリさんの傍に在り続けるのは、やはりカガリさんが大事だから。そしてそれだけ引き付ける力がカガリさんにあるからですわ。」
「ラクス・・・ありがとう。やっぱりラクスは凄いな。先を見、人を見て、心の内側も救ってあげられて。そういう人が指導者だと、プラントも、ううん、地球圏全ての人達が安心して任せられる。私にはとても真似できない。」
「いいえ、カガリさん。私もカガリさんが羨ましいです。」
そういってシミ一つない、白魚のような手をそっと差し伸べ、いつの間にか握られていた彼女の拳をそっと包み込む。
「カガリさんは、自ら戦線に立ち、戦える強さをお持ちです。戦前に立つことで見えてくる景色もあることでしょう。そしてカガリさんが旗を振ることで、オーブ、いえ、地球圏の皆さんが付いて行こうと思えるのです。そのような力は私にはありません。とても羨ましいです・・・」
「いや、あの/// そんな褒めても何も出てこないぞ?」
「いえ、こうしてカガリさんの手を取れるだけで、私にも勇気が沸いてきますの。心強い友がこうしていてくださるだけで・・・」
「私も、私にできないことをさりげなくフォローして支えてくれるラクスがいてくれて、幸せだ。」
「カガリさん・・・」
「ラクス・・・」








カガリ「アスラン。」
ラクス「キラ。」
アスラン「ん?何だ?」
キラ「何かいいことあった?」

カガリ・ラクス「「私たち、結婚することにしました」」
アスラン・キラ「「えぇーーーーーーーーーーーーーっ!?!?Σ( ̄口 ̄|||)」」





***





―――という夢を見たんだ。今朝。

・・以上。

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