うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

Nigella -不屈の花-(後編)

2023年05月18日 23時23分23秒 | ノベルズ

「カガリ、ここだよ。」

しばし彼らに触れた後、カガリが案内されたのは、既に非常用電源以外落とされたままのコンソールルーム。

「ここで僕はこの写真を見つけたんだ。」

キラが取り出したものは、見つけた、というよりクルーゼが投げてよこしたもの。カガリがウズミから渡されたものと同じ写真。母が自分たちを抱き、嬉しそうに微笑むその姿。

「じゃぁ、きっとここでお父様とお母様は…」

「襲撃を受けた現場かどうかは分からないけど、確実にここにはいた、とは思う。」

「そうか。じゃぁ」

そういってカガリは手持ちの花束を取り出す。

折紙で作られたそれをそっとデスクに乗せて。キラも写真たてをその場に添えた。

「本当は生花の方がいいかなって思ったんだけど、生花じゃ枯れちゃうだろ?だから枯れない花にしたんだ。」

以前AAが水の確保でユニウスセブンの残骸に立ち寄った際、手向けとして捧げた花。あれは―――

「フレイが教えてくれたんだ。折紙っていって、紙で作れる花。」

キラがそっと花の一つを懐かしそうに指で撫ぜる。

フレイ・アルスター。あの大戦で散ってしまった彼女。コーディネーターを忌み嫌いながら、それでも最期はコーディネーターではなく「キラ」という一人の人として心から受け入れた少女。

もうはるか遠い出来事のような日々が、つい昨日のように思い出された。

あの時は後悔と懺悔の日々だった。彼女を守れなかった苦悩が、今もこうしてどこかに燻っている。するとカガリがあの頃、キラに向けたのと同じ笑顔で応える。

「よかったな。」

「え?」

驚きカガリを見つめるキラ。あえてその視線を合わせず、カガリは優しく彼の心に触れる。

「フレイは亡くなってしまったけど、フレイが花に込めた思いは本物だったはずだ。だからお前はフレイが折っていたこの花を覚えていたんだろう?」

「…うん…」

「フレイの生きた証が今ここでこうして繋がっている。それを伝えてくれたお前もいい奴だ。」

「そうかな…?」

「そうだ。何せ私の弟だしな!」

「それついさっきまで「許さん!」って怒っていた人の台詞じゃないと思うけど・・」

「今は両親の前だ。仲良いとこ見せておかないと、安心して眠れないだろう?それに―――」

カガリも花のひと房を指先でそっと撫ぜる。

「枯れない花―――どんなに過酷な目に遭っても枯れない花は、私が目指したい平和の花と一緒だ。この平和を絶対枯らさない。今、こうして私たちが生まれた日に、両親への感謝と共に私は誓うために私はここに来たかったんだ。」

キラは目を細めてカガリを見やる。

かつて自分もあの少年に言った。オーブを愛していたのに、家族を戦争で亡くし、憎しみで必死に上書きし、生きる意味に変えていた赤い目の少年。

―――「何度流されても、僕らはまた、花を植えるよ。一緒に戦おう。」

―――「…はい…」

涙にくれたあの少年に誓った言葉。カガリも同じように誓ってくれている。

無事を祈った両親と、生まれて来られなかった子供たちに。

 

―――つづきはこちらから。

 

***

 

ということで、無事に後編も本日お届けすることができました!(≧▽≦)ノ
改めまして

「双子、お誕生日おめでとう!!生まれて来てくれてありがとう♥」

いや~いつ見ても、宇宙最強の双子は可愛いです♥
毎度毎度思うのですが、種無印の第一話、一番最初にキラと出会ったのはカガリだったので「この子がヒロインか!」(←既にOPはラクスがヒロインポジションなのはバリバリだったのですが)、と思わずにはいられませんでした^^;

その後2クール目のOPで、全く顔が同じ(哀)横顔なのを見て「あ~ガンダム世界お約束の兄妹設定か」と。その頃の情報網でも「二人は双子」がもう流れていましたしね。最初の設定は、カガリ(ホントはキトリという名前だった)は一個下の妹だったらしいですけど、あえて双子になったようです。その辺りは諸々のムックやロマンアルバムだったり、先日出ました設定資料集なんかにも抑えられてありますが。

でも双子でよかった気がします。
恋愛対象だったら、多分キラの精神が持たなかった(苦笑) 救える身内って大事ですよ。
まぁSS書いたりしていると、たまーに双子の一線を越えちゃう設定(爆!)書きたくなるんですがw 
しかしですよ。キラは遺伝子相当いじられているので、もしカガリと結ばれるエンドになったとしても、普通に結婚できると思う。戸籍も養子にはなっていないと思う。でなきゃハッキング野郎(笑)がもう自分の出生なんて暴いているでしょう。でもそれほど自分の出生に疑いを持たなかった、ということはヤマトさんちもアスハさんちも、本当にいい子育てしてきたんでしょうね。

そう言いながら、今回のSSはちょぉーーーーーーーーーーっとだけ、甘い雰囲気♥にして見せましたw でも全然そんな空気にならないのは、かもしたの実力不足か、それともやっぱり双子のパワーゆえか。
もしこれを本当にやったら、アスラクの逆襲が怖すぎるので、本当に「二人だけの秘密♥」ってやつで!(≧▽≦)ノ

しんみりしつつも、悩んだ分のお釣りはちゃんと戻ってくるものです。
この後は二人が皆にお祝いされて、さぞ賑やかに過ごしていることかと思います。
20年目の今年の誕生日はこんな感じで☆

毎年楽しませてくれてありがとう!劇場版でも双子の幸せを祈る!!

オマケで、これが「ニゲラ」です。

本当はもっといろんな色があるみたいですが、このニゲラはストフリっぽい色なので、イメージとしてこの色採用!
不毛の地に一杯咲き乱れるニゲラ…いいですよねぇ~( ̄▽ ̄)

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Nigella -不屈の花-(前編)

2023年05月18日 00時00分48秒 | ノベルズ

アスランは走った。ひたすら走った。

普段からストイックを押して知るべしの彼が、「緊急時以外、廊下を走るな」の規則もこの非常時にあったものではないとばかりに息を切らして。

彼の耳に届く遠くから響く「グォングォン」という駆動音。もちろん聞き慣れたMSが発しているものだ。

対するは噴射音も静かなこちらも良く知る機体。オーブの物ではないその青のラインが入った白の機体が空中で旋回を繰り返している。

息を切らせて駆け付けた先は軍港の突端。翡翠に映ったのはそこから1㎞は離れているだろうか海上で、大剣を振り回す紅の機体と、それをギリギリでかわす白の機体。

彼には一目でわかった―――明らかにこれは「怒っている」と。

<逃げるなっ!>

不機嫌極まりないハスキーボイスが外部スピーカーから漏れ聞こえてくる。すると

<だから、僕のせいじゃないじゃない!>

白のMSがヒラリとその剣をよけながら、こちらもよく知る声が、若干悲壮気味に懸命に弁明している。
<こんなになっちゃったのはお前のせいだろう!?開き直るな!>

<開き直ってなんかないよ!>

挙句

<避けるな!>

<避けるよ!当たったら機体が傷つくし、それに僕も痛いもん!>

「…」

一体あの二人は何をやっているんだと、呆れて声もあげられないアスランに、気づけば並んで既に二人の戦い(?)を見守っていた男が苦笑交じりに代弁した。

「まぁ気にするな。ちょっとした姉弟喧嘩ってやつだな。」

そういうキサカ一佐はまるで慌てた様子はない。

だがオーブ軍を預かる身としては、アスランはこの状況を静観できるわけがない。

「姉弟喧嘩って…なんでMSで戦うまでになってしまっているんですか!?」

「大丈夫よ。銃弾及びライフル無し。アサルトソードだけっていう条件でやっているんだから。」

アスランの糾弾にのんびりと答えるのは、同じくその模様をキサカと一緒に見守っていたエリカ・シモンズ部門長。

この状況を既に知っているような二人に、何も知らされていないアスランは、厳しい視線と共に少し苛立ち声を荒げる。

「演習なんて、私は聞いていませんよ!?」

「えぇ。だって演習じゃないもの。」

ケロリと答えるエリカ。

「じゃ、実戦ってことですか!?」

幾ら双子とはいえ、仮にも一国の代表と、方やZAFTの准将が、MSで戦っているとあっては国際問題に発展するのではないか。

それでなくとも友人であるキラ・ヤマトは自分と同等の力を持つパイロットだ。それが弟とは言えど、代表―――いや、個人的感情で掌中の珠ともいえるカガリに手を上げるのであれば、自分が彼を止めるしかない。

 

—――つづきはこちらから。

 

***

 

はい、毎年恒例、全力でこの日はお届けします!

「キラ&カガリ、誕生日おめでとう!!\(≧▽≦*)/」

毎年のこととはいえ、めっちゃ嬉しいですね♥
元々双子スキーから始まっているかもしたなので、この日は特別お祝いしたい気分です。
でも流石に20年も祝い続けていると、色々ネタもなのですが、何より時間が全然取れなくって💦
お陰様で、何とか通勤時間にプロット切りながら考えたのを、必死に2時間で書いてみたら、全然終わらなくって( ;∀;)
でも絶対当日に祝いたかった(←去年は遅刻したので💧)ので、とりあえず前編をお届け♪後編は明日、というか本日中にUPしたいです!(`・ω・´)ゞ(仕事の残業が無ければ!)

いつも真面目なほのぼのした話しか書かないのですが、今年はちょっと目覚めて(?)双子がイチャイチャするシーン(笑)もあったりして。

まぁいずれにしても、短編にしてはちょっと話が長くなりましたので、続きものにしました。
ちなみに世界感ですが、公式ではそこまではっきりとメンデルで起こったことは描かれていない(双子がどういう意図で、何時頃ヤマトさんちとアスハ家に引き取られたのか)ので、以前4年前に双子誕生日で書きました『Beautiful Days』というこちらも前後編のSSですが、このイメージをそのまま転用してます。
かもしたは滅多に自分のSSの推し(笑)は言わないのですが(何分、推すほどうまい作品はないので)、この「Beautiful Days」は自分の中で1,2争うくらいお気に入りの作品です。妄想で作ったメンデルの話ですけど、なんとなくストンと自分の中で腑に落ちる展開を書き上げたので。

—――本宅novelにありますので、よろしければ併せて読んでみていただければ幸いです♪

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