<ポーン、ポポーン>
雲一つない秋空に、花火の音が木霊する。
その下の校庭ではでは、歓声に沸く生徒で溢れかえっている。
今日はSEED学園の体育祭。
普通の学校とは違い、この学園は中等部と高等部が一緒になって実施される。学年別対抗戦もあるが、チーム戦は学年問わず奇数クラスは赤、偶数クラスは白の、チーム真っ二つになって行われる。
正直、今までこうした行事に積極的になることもなく、関心も低かった。だが―――今年は違う。
<体育祭実行委員、並びに生徒会役員はテントに集まってください>
広報&放送委員会のミリアリアのよく通る声がマイクに乗って校庭中に響き渡ると、俺の目は早速、緑の役員腕章をつけたカガリを捕らえた。
決済版を片手に、進行や得点などの最後の確認を行っているらしい。
彼女のためにも、この体育祭を成功させなければ!そう思っていたのもつかの間、
「ハッハッハ!今年こそ貴様の息の根を止めてやるからな!首を洗って待っていろよ、アスラン!」
赤のハチマキ…つまりは白の俺とは敵チームとなったイザークが、ざわざわ敵陣の観戦場所までやってきて宣戦布告していった。ご苦労様なことだ。いや、寧ろ律義というべきだろうか?
「張り切っているな、イザーク。まぁ俺も精々頑張るよ。」
そう微笑んで見せれば
「だから貴様のその余裕そうなツラが許せんのだ!いいか、100m走、スウェーデンリレー、騎馬戦、そして障害物競走、全てこの俺が貴様から1位を悉く奪ってやる!首を洗って待っているんだな!」
ふんぞり返って宣戦布告してくるその勇気に拍手を贈りたい。でもこれ以上賛辞をすると、何故か彼は馬鹿にされたと、とにかく素直に受け取ってくれないのが厄介だ。そしてさらに面倒くさいのが―――
「見つけましたよ!今年こそ、俺が学年別での記録を塗り替えてやりますから、覚悟しておくんですね!」
「…シン…」
こっちもわざわざ紅組からやってきて、宣戦布告してきたのは、中等部のシン・アスカ。
学年は違うが、一応面識はあり、キラに頼まれて無理矢理「電子工学部」に入部させられた同志なのである。だが負けん気がイザーク並みな彼は、体力測定では小学生時代全ての種目で1位を収めていたものの、この学園の中等部に入学してから、俺が築き上げた記録の数々に追い付くことができず、それが原因で一方的に恨まれているらしい。
普段は校舎も離れているので、部活も大した活動実績がない故に、顔を合わせることは殆どないが、イザークが2倍に増えた様なこの現状に流石に頭が痛くなって、思わず額に手を当てた。すると
「いや~相変わらず人気者だね、アスランは。」
そう言って背後からポンと肩を叩いてくれたのはキラ。
「…何でお前までここにいるんだ。お前は紅組だろう。」
「うん、でも丁度一緒の競技に出場だし、迎えに来たら面白いことになっていたからさ♪」
「面白いもんか。」
全く、この気苦労が更に後で何倍にもなるのに。
―――つづきはこちらから。
***
―――ということで、無事完走しました(`・ω・´)ゞ
元ネタはご報告の通り、ガンダムSEED20周年記念アスカガアンソロジー『Always with You!』にご寄稿いただきました、さびぃ様の作品でございます。
この最終話がさびい様の描かれた作品(P69)の部分です。ついでに申せば「サークルインフォ」の部分(P77)のアスカガもいただいております(笑)
こちらの原稿を受け取らせていただいた時に「平和な世界だったら、二人はこんな風な学園生活送っていたんだなぁ~」とほのぼの(*^^*)してしまいまして。そして一枚の中に物凄く一杯のドラマが詰め込まれていることに圧倒されまして。「可愛いなぁ(*´Д`)ハァハァ♥」と愛でているうちに、こんな風に妄想が激しくなりまして、さびぃ様にご一報報告させていただた所「どうぞ♪」と快くご了承をいただきまして、ならば、と遠慮なく詰め込ませていただきました<(_ _)>
さびぃ様ご本人様やアンソロジーを読んでくださった方々も、多分色んな意図を持ってご覧になられたと思いますので、個々のオリジナリティーがあるとは思いますが、かもした的にはこんな感じで青春✨を味わってくれていたらなぁ~と思っております。
ともかく、素敵な作品のご寄稿と、小説の掲載を受けてくださいましたさびぃ様に心から感謝を✨(ー人ー*)
そして、最後までお目通しくださいました方々も、本当にありがとうございました<(_ _)>
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