(なんて平和なんだろう…)
勿論、エマージェンシーが入らない事も何よりだが、それ以上に他部署からのコール、とりわけ電話の内線番号1―――軍令部からの点灯が付かないことが、何よりの平和だ。
基本、重要かつ緊急の件であれば、直接私のところにコールが走るが、殆ど最初の内線は秘書官たちが出る。些細な件であれば、彼らが対処することになっている。
そう―――「あの件」でない限りは。
厄介なのは、緊急事態において一番連絡が来る頻度が高いのはその軍令部なのだが、もう一つ天然に(※あそこまでくると「天然」と言わずに何と言えばいいのか)やらかしてくれる「彼」がいるのもその軍令部なのだ。
(今日も鳴るなよ…)
今の今まで何度も説教してきたにもかかわらず、全くヤツは懲りない。大人しくペットロボットでも作ってくれていればいいものを、その情熱の向ける矛先がすっかり変わってしまった。
シンやルナマリアじゃないが「アンタがオーブにさえ行かなきゃ!(涙)」と叫びたくなるのも分かる気がする。
無論、幸せだぞ?その…表現方法に問題があるだけで。それ以外は本当に、誰もが羨むパーフェクト人間なのだから。頭脳も運動能力も。あと…特に女子たちにとっては顔も。
そんなヤツが、どうして私なんかをそこまで想ってくれるのか。以前の大戦で、彼が第3勢力の我々に加わって以来、共に行動することが多くなったのはごく自然の事だったが、あそこまで想われるとは全くと言っていいほど気づかなかった。
大体ヤツにも私にも婚約者がいたのだから、そんな感情に陥るなんて思ってもいなかった。
双方、父親が亡くなり、婚約の話は無くなって、後はそれを続けるか否かは本人たちの意志に委ねられたため、縛りが失われると、向けられる好意を自ずと意識するようになった。
そして2度目の大戦で、一旦は袂を別つことにはなったものの、それでも気持ちは離れなかった。
そして彼はこの地に残ってくれた。キラやラクスと共にプラントへ戻るかと思っていたが、その時は、少しだけ…ほんの少しだけだぞ!まだ、私のことを想ってくれているのかな…って、自惚れてしまったこともあった。
―――が。自惚れどころでは済まなかったんだ。ヤツは。
<プルルルル>
「ほら、やっぱり~~;つД`)💦」
涙ながらにやっぱり内線1番の赤ランプと共にけたたましく鳴る固定電話。
「はー」と一回大きく深呼吸をして、気を取り直して後受話器を取る。
「私だ。」
<お忙しいところ、申し訳ございません。新たなMS装備が到着しました。こちらで伺った通り、アストレイへの装着と模擬戦を行いますが、代表もご同席されるかと、エリカ・シモンズ開発長よりお尋ねがありましたので、ご報告がてら。>
「…。」
あれだけ心の中でストフリ片手に「第一級戦闘配備」を整えて受話器を取ったのに、あまりにも通常連絡過ぎて肩透かしを食らったように、ぼーっとしてしまった。
<…あの、代表?>
受話器の向こうから怪訝な表情が見て取れて、慌てて頭を振る。
「わかった。立ち会うのでハンガーに準備を。」
<了解しました。>
いつも通りキビキビ答えれば、相手もサッとそれに応える。
うん、平和だ。
強化はありがたいが、願わくばアストレイの装備も実戦投入する機会が無ければいいな。
そう思いながら席を立ち、秘書に車を回すよう手配する。
そしてそのままハンガーに向おうとした時、すれ違いざま一人の秘書官が入室しようとしていた。
「あ、代表、今日の郵便物なのですが―――」
「ありがとう。後で見る。机に置いておいてくれ。」
「あ、でも…いえ、分かりました。」
何だか珍しく歯切れが悪い秘書官に手を合わせて「ごめんな」のポーズ。
そして私は自席に戻るまで、すっかりその郵便物の事を忘れていた。
***
そのままあれこれと外出先での仕事が重なり、結局戻ってきたのは夜遅く。
「あぁ~疲れた。早く帰ってゆっくりとお風呂に入りたいな~」
執務室に一人なのをいいことに、思いっきり背伸びをし、心の中を吐露する。
すると
「…あ。」
ふと机上を見れば、郵便物の束。
基本、郵便物は秘書官たちが開封し、処理してくれるから、滅多に私のところに直通することはない。
あるとすれば、それこそ他国からの親書―――直接代表でないと開ける権限がないものをはじめとする重要書簡くらいである。
「え~っと、何々…予算編纂書類に、あ!プラントからのラクスの親書か。これは読まなきゃな。あとは―――ん?」
見慣れない封書がそこにあった。
「えっと『オノゴロ・クリーニングサービス。【親展】カガリ・ユラ・アスハ様』…は?」
何故にクリーニング店が私宛に?しかも【親展】ということは、私以外の誰が開けても行けません、代表が見てください、とわざわざお願いしてくること?クリーニング店に、そんな重要ミッションを与えたつもりもないが…
「誰か居ないか?」
執務室から隣の秘書官詰めの部屋に行くと、数人がまだ居残り残業中だった。
「いかがされましたか、カガリ様。」
「その…このクリーニング店って知っているか?」
中身は見せずに封書の表書きだけ見せる。するとベテラン秘書官が答えてくれた。
「あぁ、そこは家庭用クリーニング店ですね。」
「『家庭用』?」
「えぇ。ここ内閣府や、他ですと軍令部の官舎から出るクリーニングは、全て『カグヤ・クリーニング』という専門業者に任せているので、こちらの利用はないはずなので。」
ということは、もしかしてアスハ家に出入りしているクリーニング屋だろうか。執事やマーナに任せきりなので、出入りの商人とか私には分からない。もしかしたら、アスハ家宛に送るものが、間違って行政府に来てしまったものかもしれない。
「わかった。ありがとう。」
そう礼を言って、もう一度部屋に戻り、封を切る。
マーナに直接手渡ししてもいいのだが、律義なマーナだから
―――「【親展】とある以上、姫様への親書、このマーナが手を触れていいものではありません!(キッパリ)」
というに違いない。
なので、一度は私が「見たから大丈夫」ということにしておかねば。
「さてと…」
封書は表こそ業務用らしい茶封筒だが、中は驚いたことに、直筆の便箋だった。流石はクリーニング店。品の良い白さの便箋には、綺麗につづられた文字が躍っている。
「何だろう?普段ご愛用の感謝状、とか…?」
てっきり領収書かと思っていたので、多少なりともびっくりした。だが折角忙しい中、心を込めて文面を送ってくれたのだから、しっかりとこちらも受け止めなければ。
「カガリ様におかれましては、誠にご健勝のみぎり…ふんふん…」
挨拶が妙に丁寧過ぎる。いかな代表宛とはいえ、ここまで遜らなくても、と思いながら読み進めていくうちに
「つきまして、このようなお尋ねをするのは、誠に憚られるのやもしれませんが、この度…―――!」
そこまで文字を追って、私の視線が止まった。そして唇の代わりに全身が震えあがる。先ほどまでしていなかった<カサカサ>という便箋の音が耳についたと気づいた時、私は猛然と立ち上がった。
<バタン!>
「か、カガリ様、どちらへ!?!?」
乱暴なドアの開く音に秘書官たちがびっくりして立ち上がったが、私の形相を見て何かを悟ったらしい。
そのまま涙の敬礼に見送られ、私はそのまま文字通り、獲物を狙う獅子のごとく走り出していた。
数時間後―――
すっかり夜も更けた軍令部官舎。
一般兵より少しばかり広いその部屋は、一見殺風景だ。
生活に必要な備え付けの家具以外、ほとんど何も置かれていない。
いや―――置かれていないように見えているだけだ。
その部屋の主である彼はいつも通り、最短で必要な要件を済ませ、明日に備えるためにベッドに横になろうとしているところだった。
そこに
<♪ピンポン、ピンポン、ピンポン、>
けたたましいドアチャイムの連打。軍の緊急事態なら、専用のアラートが鳴るはずなので、「既に寝ている」姿勢を見せようと毛布に潜り込んでいたが―――
<ピンポン、ピン、ピンピンピピピピピ―――>
「全く、今何時だと思っているんだ!?」
流石に普段温厚な彼でも怒る。
大事な時間だ。この睡眠時間を少しでも長くするために、全ての事を最短最速で終わらせて、ようやくひと時の癒しの時間を得ようとしているのに!!
不満を顔じゅうに張り付けながら、いささか乱暴にドアのセキュリティーを外し、ドアを開ける。
「五月蠅いっ!軍人たるもの、少しは夜間のマナーぐらい守ったら―――」
怒り顔で開けたドアの向こうにあったのも、これまた怒り顔。
しかも今にも爆発しそうな恒星ぐらい赤く、膨れ上がっている。
その顔に、今度は彼の方は白色矮星のように青ざめていった。
「か、カガリ!?」
「入るぞ!!(# ゚Д゚)」
「何でこんな時間に!?―――って、そっちは!」
彼が焦る。彼女が向かったのは真っすぐ彼が今までぬくぬくと温まっていたベッドのある寝室。
女性がいきなり男性の寝室に入るなど、マーナが聴いたら卒倒するだろうが、それ以上に恥ずかしい現状がここにある。
ずかずかと彼の部屋に立ち入るのはこれで2度目。
前回は必死に隠れて作っていた「カガリぬいぐるみ♥(口がへの字の、曰く「凛と気合が入った表情♥」だとのこと)」の制作を阻止するため。そして今回は―――
<ガバッ!>
追いすがる彼の腕などもろともしない。何しろコーディネーターのキラでさえ敵わなかった腕っぷし(※『友君』より)。そのまま彼もろとも引きずるようにして部屋に入り、ベッドの毛布を剥がせば、
「これは一体どういうことだっ!?アスラァアアアアンっっ!!!///」
そう言って手にしたストフリ(※ザラ専用撃退ハリセン)をその凸に振り落とした。
私が引っ剥がしたベッドの毛布。そこにあったシーツは―――清潔な真っ白のまま。
いや、問題はその反対側…
「何で毛布に等身大の私の総刺繍なんてしているんだよっ!!!///-」
抱き枕なら私もよく知っている。よくキャラクターや動物がプリントされていて、それを抱きながら眠る者がいても、別段追及したりはしない。
それが何と、総刺繍!一針一針、心を込めて隙間なく縫い込まれたそれは、明らかに「米に字が書ける器用さ」の彼しか作れはしまい。さらに問題なのは
「この刺繡のモチーフはどっから取ってきた!?私が笑顔で正面から両手を広げているなんて、何処から持ってきたんだよ!?盗み撮りでもしたのかっ!!」
「というか、カガリ、この情報を一体どこから―――??」
既に正座待機済みのアスランが、悲しそうにグリーンの瞳をウルウルさせて見上げてくる。
私は無言で一枚の紙をアスランの目の前に突き付けた。受け取った彼が震える声で読み始める。
「カガリ様におかれましては、誠にご健勝のみぎり…って、これ…」
「お前が個人的にクリーニングを頼み込んだ、クリーニング屋からの報告だ!」
―――「カガリ様におかれましては、誠にご健勝のみぎり(中略) つきましては、先日そちらの軍令部の将校様より、個人的なクリーニングのご依頼をお受けさせていただきました。軍本部であれば他社の請負になりますが、もちろん個人的なものであれば、当店でも喜んで行わせていただきます。受け取らせていただきました際、お客様より「くれぐれも色落ち、傷、新たな染みなど無いように!」ときつくお願いを受けましたが、改めてお品物を拝見させていただきましたところ、総刺繍の、大変手の混んだものでございまして。こういった商品ですと、非常に手間がかかります。しかも上記の注意点を述べられておりましたので、「何時仕上がるか確約はできない」と正直に申し上げました。すると「また後日取りに来る」とおっしゃって、そのまま立ち去られてしまいまして。ともかくお品物のクリーニングは滞りなく終了しましたものの、仕上がりのご連絡を入れようとしましたが、連絡先が未記入でして、お名前だけ『アレックス・ディノ』と記載がありましたため、軍令部にお問い合わせしたところ、「そのような人物の在籍はない」とのお返事でして。困り果てていたところ、出入りの者から「昔、カガリ様付きの護衛に、そのような名前の人物がいた」との話を聞き、大変失礼をいたしますが、直接代表にお伺いした方がよいかと思い、こうして手紙でのご連絡となりまして――(以下略)」
「そんな!迂闊に個人情報を残さないようにしたはずなのに…」
突き付けられた手紙を読破したところで、アスランが悲鳴にも似た声を上げる。
「私も事実を確認したく、この店に今さっき赴いた。」
―――「え、先ほど引き取りに来たって?」
―――「はい。注文書をお持ちでしたので、そのままお渡ししましたが。」
―――「引き取りに来た人物は、この男か?」
そう言って写真を見せたところ
―――「はい、この方で間違いないです。」
確信をもって答えた店員の瞳は真っすぐで、疑う余地も無かった。
「―――っていうか、何で今度は総刺繍なんてもので、私を描いたんだよ!毛布じゃなくてタオルケットなら、公式(※プ○バンのアレ)のグッズは公認しただろうが!(←ここではそういうことにしておいてください<(_ _)>)」
「確かにアレも、実用と保存用と非常用の3セットは購入済みだ。」
「…(3つも買い込んだのかよ…(==;))」
そんな戦闘立案が通ったみたいに胸を張って言うことじゃないだろう。
呆れて顎が外れるかと思うくらいポカーンとしていたが、急に彼の表情が曇ってきた。
「だけどあれは思っていた以上に小さかったんだ。でも君は滅多なことで、自分のグッズが出るのは容認してはくれない。だからそれだけでも満足しようとは思っていたんだ。あの話を聞くまでは…」
「『あの話』?」
「先日、キラとの通信でたわいのない話をしていた時だった―――」
―――<僕ね、カガリに抱きしめてもらって「よしよし♥」ってしてもらったんだ♪」
―――「なっ!一体、何時!?どうして!?」
―――<ちょ、モニター持ちあげてまで睨みつけないでよ!…以前バルトフェルドさんを殺したくなかったのに、敵というだけで手にかけてしまったことを悔いていた時だったんだ。誰にも分ってもらえない苛立たしさに苦しんでいた時、カガリが僕を抱きしめてくれて「よしよし。大丈夫。大丈夫だから…」って。あれは不思議だったね。スゥーっと心の中の澱が消えていくんだもん。やっぱり僕らって双子だからなのかな~って…おーい、聞いてる?アスラン?>
「俺は君に抱きしめてもらったことも、「よしよし」してくれたことも一度もないじゃないか!」
何をこの男は「俺は諦めが悪い」と「だったらやるしかないじゃないか!」を足した様な必死な形相で訴えてくるんだ(==;)
「別にやりたくなかったわけじゃなくって、してやる状況が無かったじゃないか。それにその…ミネルバにいたとき、一回だけお前に抱き着いたことあっただろ?///」
「アレは先に俺の方が君を軽くハグしていたから、その流れで成っただけで、君自身からして貰ってはいない。(きっぱり)」
「だからって、それとこの等身大刺繍と何の関係が…」
「それは…抱き枕やシーツだと、君から抱きしめてもらっているとは言えないだろう?だけど毛布なら、こう…全身が君に包まれているようで、しかも両手を広げているから抱きしめてくれている疑似体験ができる、というか…♥(´∀`*)ポッ///」
「|||orz.」
(はぁ~~~~~~~~~(´Д`)ハァ…)
盛大にため息をつき、私は彼に向き合う。
「…要はさ。お前がここまでして私を傍に置きたいということで、間違いはないのか?」
「あぁ。」
「だったら何で、して欲しい事を直接私に言わないんだよ。」
「君は毎日忙しいだろうし、俺も一度何かあれば、暫く遠方に行ったままのこともあるから、こうして個人的なことで君の労を増やすことも無いだろうから、と…」
とにかく努力の方向性も常人のそれを軽く凌駕しているが、コイツはコイツなりに私を想っていてくれるのだけはよくわかった。
何度も何度も諦めることなく、手を変え、品を変え、どんなにダメ出ししようとめげない想いは本物なんだろう。
―――だったら…私も答えを出さなきゃいけないな――
「…だったらウチに来るか?」
「え?」
「つまりは、その…///結婚すれば、もうこういう徒労をしなくても済むんだから、一緒に暮らさないか、ってことだっ!//////」
「―――っ✨✨カガリ!」
叫んだと思ったら、思いっきりギュゥ~~~~っと抱きしめられ、苦しい…というか、これがコイツの愛情の重さなのかと、思わず感慨にふける。
これだけ想い続けてくれたのだから、ここは一つ、その愛情に応えるべきであろう。
背中に手を回し、思いっきり「よしよし」してやった。
散々私の頬を猫のようにスリスリしていた彼だが、落ち着くと抱きしめていた両手で私の両肩を掴んで、引き離された。そして真摯で、少し憂いるような表情で私を見つめる。
「でも、やっぱり今のは無しで頼む。」
「え…?」
心の中が急激に凍り付いていく。
まさか、断られるとは思わなかったから。
もしかして、こういうグッズも自作した数々の無駄(哀)も、ただの愛玩でしかなかったのか。だとすると、私の存在意義って…
するとアスランがもう一度私を引き寄せ、私の耳にその形の良い唇を寄せて、そっと囁いてくれた。
「やっぱりこういうものは、男の方からさせて欲しい。君の気持が俺にあることが分かって嬉しいよ。だから、改めてそれから言わせてくれ。…カガリ・ユラ・アスハ、俺と結婚してくれますか?」
頬を染め上げ、それでも優しく穏やかな翡翠の光に包まれると、あの時を思い出す。
初めて抱きしめられ、キスしたあの頃と同じ目だ。
不器用過ぎる愛情表現だったけど、精一杯の思いが込められていた物を思い出し、私は彼の首に腕を回す。
「もちろんだ。…これからもよろしくな、アスラン。でも―――」
私は身を引き離す。すると今度は彼の目が「え?」と訴えてくる。
不安になったのだろうか。ならこれで御相子だ。
「お前、今寝るところだったんだろ?その、アンダーの姿のままで一世一代のプロポーズというのは…」
すると慌てて自分の全身を見回した彼が赤面していく。
凛々しくて、頭脳明晰で、冷静沈着で、彼への賛辞は何処にいても耳にするけど、こんなアスランは私しか知らない。でも、それが凄く嬉しんだ。素のアスランでいられる場所を私が作ってやらなきゃな。
そんな彼は、すっかり緊張の解けていた私に対し、急に真顔になる。
「…だったら。」
私を一瞬で軽々抱き上げると、彼の体温がまだ残るベッドに沈められる。
「ちょ、お前、いきなり何を―――///」
「姿が気になるなら、何も身に着けていない方が、君も俺もイーブンだろ?」
「なっ、どんな理屈だよ!?///」
「理屈はともかく、抵抗しないじゃないか。君も。」
そう言って花笑む彼は、先ほどまでの彼と同一人物とは思えないほど大人で妖艶で。
本当に―――私の根負けだ。
「だったら一つだけ頼む。」
「何を?」
「その、私が私に抱きしめられるのは、その…いかがなものかと。」
私が指さした先には、私が両手を広げて待っている毛布。
すると彼はクスリと笑って、件の毛布をきっちりたたんで仕舞い込んだ。
「さっきので十分君のヨシヨシは堪能できたから、今度は俺からさせてもらうよ。」
「生身の私を抱きしめられるのは、お前だけの特権だぞ?ありがたく思えよ?」
「もちろんです、代表。…いや、俺のカガリ…」
落とされる唇に、抵抗を失くす。閉じた目に衣擦れの音だけが鼓膜に残って…
「そうだ。いつか渡そうと思っていたこれ―――」
そう言って彼がベッドサイドから取り出したのは、プラチナの指輪が二つ。
一糸まとわぬ私の薬指にそれが通される。もちろん彼の方は私が通す。
「もう一度言わせてくれ。カガリ・ユラ・アスハ、俺と結婚してください。」
「―――はい。///」
そのまま答え代わりに彼の首に手を回す。
このまま、これからもずっと、この手を離さないから
覚悟しておけよ?
・・・Fin.
***
―――はい。
山も落ちもない、ヘタレアスランの無駄な努力の日々を、無駄に書き連ねてきましたが、ようやく最後はめでたしめでたし♥にしてあげました(´∀`*)
先日ツイッターさんの方で、うっかり口滑らしたことを、とりあえず有言実行で書きなぐりましたが、「カッコいいアスラン✨」をお求めの方には、ここまでお目通しいただいて、さぞ罰ゲームのような無駄な時間を過ごさせてしまい申し訳ありません<(_ _)>
でも、これでもうこのシリーズはネタも尽きただろうし、
_|\○_ ヒャッ ε= \_○ノ ホーウ!!!
ってな感じで〆させていただきたいと思います。
ここまでよく頑張ったな、アスラン。
というか、ほぼ「かもしたの欲望🍖」をアスランにやってもらっていただけなんですけどねw あとはやっぱりフィギアかな~。どうしていつもラクスとミーアばっかで、姫様作ってくれないんだろう…ルナマリアも出るのに💧
というか、モデラ―さん曰く「髪の毛に特徴がある人は、動きが出るので表現しやすい」らしいですね。
ショートの子でも、アホ毛みたいな特徴があると、それが空気抵抗で流れができるので、躍動感が出るらしいです。なのでどうしてもロングヘアの女性とかは作りやすいらしい。
姫様は確かにあんまり特徴無いですもんね。でも(例え組○票だろうと)アンケートであれだけ姫様ぶっちぎったんですから、作っていただきたいなぁ~(*´Д`)ハァハァ♥
我が家にも数体いらっしゃいますが、やっぱり20年前と技術が全然違うので、最新の技術の推移を凝らした姫様に会いたいです♥
そうしたら…このアホな話の続編ネタが降臨するかもしれないのに。
まぁ、このシリーズ、読んで楽しんでいるのは息子くらいなので、心配いらないか!(笑)
ともかく、こんなところまでお読みくださった皆様、お疲れ様でした&ありがとうございました<(_ _)>
今度はカッコいいアスカガを書けるようになりたいです✨
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