うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

just the two of us

2024年03月08日 00時04分08秒 | ノベルズ

キラは1人、海岸通りの道を黒いリアウィングの車を走らせていた。

 

数日前、カガリが提唱した世界平和監視機構、通称『コンパス』の、その創設メンバーに自分の名を見つけた。

(―――「嫌ならいいんだぞ。無理しなくて。」)

そう言ってくれた双子の片割れ。つい数か月前まで戦火に焼かれる祖国を見つめ、なすすべなく泣き叫んでいた彼女はもうそこにはいなかった。

(―――「いや、僕も戦うよ。この混乱した世界から、少しでも戦いの火種を消したい。」)

一人で行くつもりだった。

だが、こんな自分にラクスも共に戦うと言ってくれた。

たった一人で戦うことの、例えようもない孤独と辛さをずっと味わい続けてきた自分に、ラクスは側にいて支えてくれるという。

これだけで、どれだけ自分の心は支えられただろう。

 

(早速カガリに報告しよう。借りた車も返さなきゃ。)

キラはラクスを送った後、一人アスハ邸に急いだ。門の開閉をセキュリティーに頼めば、玄関では既に顔見知りの侍従が待ち構えていた。

「これはキラ様。」

「こんばんは。カガリに伝えたいことがあって来たんですけど・・・もしかしてまだ仕事中ですか?」

もうすっかり日は沈んでいる。だけどカガリは寸暇を惜しんで奔走している。キラがこうして考えている間にも、片割れは皆を支える術を必死に探し出して。

(カガリのためにも、僕らも頑張らないと。)

その決意を直接伝えようと思ったが、

「いえ、御戻りではあるのですが・・・その・・・」

何故か侍従は歯に物の挟まったかのように言いよどむ。平常心を保とうと表情は落ち着いて見えるが、言葉の端に困惑が聞いて取れた。

「その、ご迷惑でしょうか?」

「まさか、そのような!ですが・・・ゴホン。少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか?」

「はい・・・」

侍従が恭しく礼を取って、一度奥に消える。

どうしたのだろう。もしかして根を詰め過ぎて体調が悪いとか?

最近通信で会話しても、カガリの顔色が悪かった。少し痩せたように見えたし。

MSで戦うだけの自分と違って、世界を相手にしているカガリのことを思うと、改めてこの道を選ぼうと心に刻んだんだ。少しでも彼女を安心させてあげたい。

すると奥から侍従が足早に戻ってきた。

「お待たせいたしました。その・・・直接お話になれるかはわかりませんが、とりあえず招いて良いとのことでしたので。」

「直接話せない?なのに、招いて良い?」

文脈がおかしい。キラは小首をかしげつつも、その意図を問おうとしたが、侍従はすぐに背を向け歩き出している。慌てて先を行く侍従の後を追った。だがその行く先がどうにも見慣れない。

「今日は応接室じゃないんですか?」

いつもだったら概ねカガリは例えキラやラクスだろうと、来客は応接室で対応するのに。

だが、すでに間接照明だけに抑えられた広々としたダイニングを通りぬけ、案内されたのはその先にある広いリビング。

大理石のローテーブルを挟んで、ゆったりと大きなソファーが対面している。その背もたれの向こうに、濃紺の髪をした見慣れた後頭を見つけた。

「もしかして、アスラン?」

その声に反応して、彼は首だけ振り向きキラの方を見やる。

アスランはブルーコスモスの動向を探るため、自分たちよりも早く「ターミナル」への出向となったと聞いていた。

その彼がここに居るなんて。久しぶりに話ができると思い、キラは弾む心持で声をかける。

「君も何かの報告で―――」

「シーッ」

キラの言葉を途中で遮り、アスランは唇の上に人差し指を立てた。しかも友人との再会を喜ぶでもなく、明らかに不機嫌だ。口を開かずとも「邪魔するな!」と言わんばかりの『あっち行けオーラ』がキラに向けて発散され続けている。

アスランから露骨にこんな態度をされたことがないキラは戸惑い佇む。そんなキラを見てか、アスランは視線でキラを促す。促した先は、対面するソファー。そこに座れ、ということだろう。

気圧されながらも、キラがソロソロとその場に向かう。だが次の瞬間、紫の瞳が捉えたのは、とんでもない絵図だった。

「ちょっと!君、何やってるのさ!!」

 

―――続きはこちらから。

 

***

 

2024年3月8日

毎度恒例。今年も来ました「アスカガ運命の出会い記念日」SSをお届けします!

上の写真と中身は全く関係ございません(笑)
21回目となる記念日の今年は、珍しくキラ視点でキラが絡むストーリーに仕立ててみました。
今まで大体アスカガ二人きりの話ばかり作ってきた気がしますが、今回はちょっと視点を変えてみようと思いまして。
割といつもならシリアスで、自然な絡みが多いアスカガ傾向ですけれど、劇場版でもう公式があそこまで「アスラン、カガリに一直線!!(笑)」としてくれたのなら、もはや遠慮はいりません!(笑)
なので、めちゃくちゃイチャイチャさせました♥(/ω\)イヤン
Rは付きませんしセクシーでもないのですが、アスランには思う存分、カガリ様にイチャイチャ&スリスリ♥としてもらおうと。でなきゃあんな妄想を突然できないだろう(爆!)

カガリは寝ちゃってますが、この無防備な顔をじ~~~~~~~~~~~っくりと眺めて、キス待ち顔とか妄想のイメトレしているんだと思いますよ?
キラじゃないけど「あの後、二人はどうなったんだろう?」と書いてて自分も思ったw どうなったかは、皆様のご想像にお任せしつつ♪

あとなんでいきなりキラを絡ませたか、といえば、今月の「HJ」で監督のインタビューが掲載されていましたが、「キラが今回動いた(コンパスに所属して鎮圧活動に助力した)のはカガリが動いたから。カガリが動かなければキラも動かず、キラが動かなければラクスも動かない」というのを見まして。
「なんだよ!結局カガリを守りたいんじゃないか!この弟君は♥」って双子スキーが萌えました♥(*´Д`)ハァハァ
何のかんの言って、無印の時も、運命の時も、キラが動き出す(というか動かざるを得なくなった)きっかけって、全部カガリが始点なんですよね。無印は地下のドッグまでカガリを追いかけて(避難させようとして)いったところでストライク&アスランと出会ってしまい。
運命の時は一番はラクスが狙われたからですけど、カガリを結婚式から奪取したのもキラの判断で、そこからAAが動き出す始点になった。
そうして今回の劇場版も、カガリが発起人となってコンパスを創設し、その創設メンバーとして助力することとなった(多分コンパスが創設されなければ、ザフトでしたね)。
いつも思うのですが、この双子がきっかけで種の世界は動き出すという。双子尊い✨双子様様<(_ _)>平伏~。
そんなキラ君にライバル出現!というか、アスカガの二人のことは、もうすでに恋仲だと認めてはいると思います。でも多分「清い関係✨」ならば許せるけど、そこから先に手を出そうものならちょっと…(#・∀・) って感じはあるんじゃないかなって。
いつも姉ちゃんの後を追っかけてますから(笑)、ここに別の男が(たとえ親友だろうと)割り込んでくるのはちょっとイラっと来るというか。そんなんじゃないかなって。「失恋」って書きましたけど、姉や妹が結婚するときって、一抹の寂しさみたいなものがあるんじゃないかな。特に双子の場合、全く知らない同士で出会い(再会?)、つらい時に寄り添ってくれて、ピンポイントで慰めてくれて。そんなカガリが別の男に取られてしまう、というのは、たとえラクスがいるとしても、それはそれ。心中穏やかに、というわけにはいかないかな、というのも込めて書き込んでみました。

こうなると、今年の双子誕生日はどうなるんだろう…?
もちろん「それはそれ。これはこれ。」で行こうと思います(笑)

 


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