うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

Half & Half

2025年02月14日 20時45分22秒 | ノベルズ
彼―――アスラン・ザラは途方に暮れていた。

(一体どうしたらいいんだ・・・)

その手には、今の彼の表情には不釣り合いなほど、かわいらしい包装紙とリボンで丁寧にラッピングされた、小箱の入った手提げの紙袋が一つ。
それを見てはため息をつき、彼は今、行政府庁舎の前で立ち尽くしている。



彼がそうなるまで、時を遡ること1週間―――
キャバリア―の中で半減休息とした矢先、メイリンが嬉しそうに、鼻歌交じりに何やらネットで検索を始めていたのだ。
「何か重要な情報でもヒットしたのか?」
アスランがそう言って背後から声をかければ、メイリンは振り向くことなく、寧ろ、ややからかい気味な声を返した。
「そうですねぇ~確かに最重要情報と言っても過言ではありませんね~女の子にとっては。」
「は?」
意味が分からず、アスランの疑問詞が飛び出たところで、メイリンが座っていたシートごと振り返り、アスランの前で「チッチッチ」と指を横に振った。
「来週は2月14日ですよ。女の子としましては、相手に対し自分が一番!と思われる一品を用意しようと思わずにいられないじゃないですか。」
「あ…あぁ、バレンタインか。」
言われてようやくアスランも気づく。
正直イベントごとには積極的ではない、というか疎い。あまり興味がないのは、社交的ではない性格に加えて、幼少時より両親が多忙だったせいで、悉くそうしたイベント事をしてこなかったせいもあるのかもしれない。
だが最近は、イベントに対し、少しずつだが興味を持っている。
全てはそう―――彼女『カガリ・ユラ・アスハ』のおかげだ。
実際、彼女もこうしたイベントごとにはあまり関心がない方だ。しかし、カガリという存在のおかげで、アスラン自身が「カガリを喜ばせたい」と心が湧き立ち、また多忙な彼女に会う理由にもなるため、最近はこうしたイベントも注視するようになった。

しかし、だ・・・

カガリは今までアスランに、チョコレートをくれたことは無い。
代わりにいつも、この日はどんなに忙しかろうと、花束を携えて、オーブの海が眼前に広がるあの慰霊碑に祈りを捧げてくれていた。

(―――<本来ならプラントにある墓碑に直接、というほうがいいんだろうけれど、ユニウスセブンが落とされただろう? その殆どは海に落ちたらしい。もしかしたらお前のお母様もその中にいたかもしれない。でもそうだったとしたら、海は地球のどこにも繋がっているんだ。だからここに花を手向けても、きっと届くんじゃないかと思って・・・>)

通信モニターの向こうの彼女らしい気遣いに、いつしかこの日を迎えるアスランの心は癒されていた。
だから

(―――「いつも済まない。でもカガリも忙しいだろう?無理に「2月14日には必ず」と自分に課さなくてもいいんだ。カガリの言う通り、この海で母が眠っているのであれば、会いたいときにこうして海に来ればいい。」)
(―――<アスラン・・・。>)
カガリは一度ゆっくりと目を伏せると、思い出すように呟いた。
(―――<そうだな。思い出してあげることが、一番の手向けだしな。>)
彼女の言葉にアスランは頷いて応える。
(―――「あぁ。だから、今度母に花を供える時は、連絡をくれないか?俺も一緒にいさせてくれ。」)
(―――<わかった。でもそれって…>)
どういう意味だ?と続くであろう彼女の言葉を遮り、アスランは「緊急通信が入ったみたいだ。それじゃぁ」と回線をオフにした。
勿論、通信など入っていない。今の自分の照れた顔を見せたくないからだ。
(―――そんなことは決まっている。母に「これから彼女と一生を共にする」と報告するためじゃないか。///)

カガリのスケジュールをこっそりと確認すれば、今年の2月14日は一人自由な時間すら取れないほど、いつも通りの過密スケジュールだ。花を手向けに行くなら連絡する、と約束をした。その連絡が入っていない以上、カガリは14日は、仕事以外の特別なスケジュールは入っていない。
バレンタインという日は毎年、気にかけてくれているから、今年も当然意識はしているはず。
だとしたら・・・

(カガリは俺に、くれるのだろうか、その・・・チョコレートを・・・///)

脳裏に浮かんだ彼女は、背中をこちらに向けつつ、チラチラとその金眼でこちらを伺っている。

(―――「アスラン、これ、その・・・ば、ば、バレンタインのチョコだ。お前、甘いもの好きじゃないし、食べないなら誰かにやってもいいから、とりあえず、その・・・ほら、気持ちってやつだ///」)

そっぽを向きながら、それでも頬を染め上げて、胸元に美しいラッピングのチョコレートを押し付けてくる彼女。
勿論、誰かにあげることなんてするわけないじゃないか!食べずに全て真空パックにして永久保存するつもりだ!


―――続きはこちらから。


***


本日はバレンタインデー、ということもあり、ちょろっとアスカガ小話を書いてpixivにUPしてみました。

この時期はどちらかというと、来月に控えております「運命の出会いの日」を記念したSSのネタを考え、プロット落としているのが恒例なのですが、なんか珍しく浮かんできたので形にしてみました。プロットは多分1分間くらいで考えたので、上手く話のつじつまが合っているかは定かではありません(苦笑)

毎年、SEED世界では、2月14日は『血のバレンタイン』で、ユニウスセブンが核攻撃に合って、レノアさんが亡くなられた日でもありますから、アスランにとっては浮かれるような気分の日ではない(※そもそも浮かれるような性格でもないですしね)かと思います。
今までのバレンタイン小話も、オリジナルの世界軸であれば書きましたが(※高校生シリーズみたいな)、本編沿いでは書かなかった気がします。
今年になって書く気になれたのは、やはり劇場版を見て、辛い思いをしてきたアスカガが、FREEDOMでは揺るがぬ絆でもって繋がっているのを見て、安心したからかな。
今のアスカガなら、チョコレートのやり取りしても心苦しくはないでしょう♥
カガリが手づくりしてくれるなら、アスランはどんな出来栄えだろうと、絶対喜ぶはず。
でもアスハ家御用達のショコラティエさんがいて、特注で作ってもらったチョコレートが”ン万円”しそうなものを贈りそうだなw アスランは驚きはしても大丈夫だろうけれど、庶民のキラが受け取ったら、多分頭の中真っ白で、味なんてわからなくなりそうな気が^^; ←そしてラクスからの特大ハート形チョコレートで意識を取り戻す(笑)

アスランにとっては辛い思い出の日ではありますが、これを幸せで塗り替えてくれる方が、きっとレノアさんも喜びそうなので、遠慮せずに食べながらイチャコラしてください♥( ̄▽ ̄*)


あ、ちなみに昨日のブログで書きました、「ミスド・ショコラティエ」のノワゼットの方は今日食べました!
昨日のオールドファッションと違って、生地はふわふわ♪ ガナッシュクリームがとても柔らかいので、全体的に口当たり滑らかな感じで食べられました。
キャラメリーゼしてあるヘーゼルナッツ(かな?)がアクセントで硬いですが、これ以外なら歯の悪い人でも食べられますね。しっかりチョコの香りがして、チョコレート好きには溜まりませんでした🍩
そして昨日美味しくいただきましたムーファッションですが、やっぱりあとから胃にきて、結構な重さであることが判明💦 ちょっと胃もたれ気味になってしまいましたが、食後ではなく、本当にオヤツとして食べれば無問題。食べた時間が悪かった。今度はちゃんと時間も気にして口にします(`・ω・´)ゞ

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