そして翌日、彼の指定した待ち合わせ場所に向かった。
余り街中で目立つようなことはできない。まだ戦後の後処理が片付いていない最中にあって、国の代表が浮ついていると知られでもしたら、国民の心象を悪くするだけだ。
それを知ってか、彼も人目に付くようなところに連れ出すことはしなかった。
これもまた完璧だ。
それでも私だって自分の身の警戒ぐらい怠らない。これもまた代表としての責務だ。
そう思って視線を張り巡らせていると、アスランがクスクスと笑う。
「何がおかしいんだよ?」
不服申し立てすれば、彼はまだ表情を緩ませながら隣で歩く私を見やる。
「俺の傍なら一番安心だろう?」
「…」
確かに。私の身に何かあれば、SP5人分の働きを見せるからな。だけど
「いや、違うな…」
今度は怪訝な顔をする彼。
「何が?」
「俺が心配だから、君の傍に居たいんだ。それに変な虫に近づかれても嫌だし。」
花の乙女がこの言葉をコイツの口から聴いた瞬間、卒倒する方に100万ドルかけてもいい。
え?私か?顔が赤くなるのを必死に誤魔化すために、手にしていたアイスカフェラテをストローで全力吸引していたさ。
全く…要は「君は弱いから、俺が守る」と言いたいんだろう。でも私のプライドを少しでも傷つけないように、わざと自分のせいにする。しかもずっと自分を下げまくって。そこまでしなくてもいいのに、こういう相手を気遣いすぎるところもやっぱり完璧―――になるんだろうなぁ。
だが、それには及ばん。
「心配には及ばん。私とて軍事教練を受けている身だ。護身術相応の動きはできるぞ?しかも普通の女性と違って虫は全然平気だからな。」
初めてあの無人島で出会った時は、最後は押し負けたけど、それでもリアルで私の武術を受けたのは、後にも先にもコイツだけだ。多少は私もできることぐらい、実感していると思うのだが、この話をすると先ほどまで弛んでいたアスランの視線が厳しくなる。
「虫、というのはそういう意味じゃなくって…それはともかく、確かに、君は一般の女性に比べれば格段に生身での攻防術は得ていると思う。だが一国の代表が悪漢とはいえ国民を手にかけたら、君だっていい気はしないだろう?それに…」
アスランが足元の小石を拾い上げて、そのままサイドスローで30m程離れているであろう街路樹の植え込みに投げ込んだ。たちまち
<カン!>
と硬質の音がして植込みのドウダンツツジの枝がガサガサと揺れた。
「ひぃっ!」
男がレンズの壊れたカメラを抱えて逃げ出していった。あんなところにパパラッチが潜んでいたのか。
「俺の目や耳は、君では捕え切れない者も追える。あんな輩に君を汚されるのは嫌だから…」
今度は哀願するように見つめられた。
あそこにいた女性士官たちがこの場にいたら、きっと腰抜かすだろうな~
ヘタレの時を知っているが故に、今のアスランの完璧さがなんとなくモヤッとする。
何でだろう…? 散々傷ついて、泣いて、足掻いて。それを乗り越えた彼は成長して、あっという間に完璧な存在になってしまったことが、どうしても受け入れられない。
(そんな風に考える、私が成長していないんだろうな…)
お父様のように早く一人前の為政者になりたいのに、ちっとも追いつかない。次から次へと追い立てられるたびに「ウズミ様ならこのようなご決断は、慎重かつ迅速でしたものを…」なんて声がどこからともなく聞こえてきて、正直焦る。
比較すべきじゃないと分かっている。でもふと思ってしまうんだ。ラクスはもうあんな風にプラントを支えているのに、私は…
―――つづきはこちらから。
***
てことで、一昨日の続きの後編です。
結局何が言いたかったかと言えば、劇場版までの空白の一年で、あの二人が元さやに納まるとしたら、こんな感じが無難っぽいのかなって(笑)
何しろ二人とも国の中枢(アスランはそれに近い位置)にいますから、大人の付き合いで…というのも考えましたけど、二人とも背伸びばっかりしていて、見ていて辛そうだったんですよ、運命の時💧
だからこそ、寧ろフツーの友人+α、そして「一から~」とか言ってましたけど、アスカガは好意を示されたのがいきなりキス(#48)だったので(#43のハグはまだそこまで感情が追い付いていないと思う)、一からスタートは既にもう「キスから始めよう(byケミストリー)」でいいんじゃないかと(笑)
途中経過すっ飛ばしている気がしなくもありませんが、この二人はキスまでならまだできますが、ここから先への発展が長~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~くかかるはず(苦笑)なので、最初だけショートカットしちゃっていいじゃん!(笑)
そんな感じをカキカキしたかっただけです。
劇場版の新たなPV投下で胃痛起こす前に、妄想で平和に胃壁を和ませようと思います( ̄▽ ̄)
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