「アスハ代表、おはようございます。」
「あぁ、おはよう。」
早朝の軍令部。登庁すると、出迎えの士官たち皆が背筋をピンと正し、美しい隊列を成した後、揃って敬礼する。
一糸乱れぬその姿は、流石は世界に名を馳せるオーブ軍として恥じないものだと確信し、私は満足して頷く。護衛の士官を従えて私は廊下を進めば、軍人皆が、さっと壁や窓際に控えて敬礼。その花道を私は先に進む。
今度行われるプラントとの軍事協定を前に、最終起案を決議するために、ここ暫く足を運ぶことが無かったこの場に来たのだが、抜き打ち検査とまでは行かないが、こうして肌で緊張を味わうのもいいものだ。
そう、そう思っていたのだが…
「キャッ!ザラ准将よ。」
「凄い~こんな近くで見たの初めて♪」
「よくてテレビ、あとは遠くで見ることしかできなかったけど、やっぱり生で見ると益々かっこいいよねv」
すれ違ってからのコンマ数秒後、女性士官たちの心の弾みを抑えきれない歓喜を、見事に私の鼓膜にまで届けてくれる。
(えーっと…)
勿論、意中の相手は私の左斜め後ろを歩く彼。
意識しないようにしていたのに、かえって意識が集中してしまう。
コーディネーターじゃない私の耳にも黄色い囁き声が聞こえてくるのだから、私の斜め後ろを歩く彼の耳には間違いなく確実に届いているはずだ。
私のことを言われているわけではないのに、何故か妙にこそばゆい。
あ、まずい。頬まで赤くなってきた。
(~~っ!何で私が照れるんだよ!?///)
自分で自分に言い聞かせているが、当の本人はどう受け止めているのか気になって仕方なくなって、
<チラッ>
ちょっとだけ。ほん~~~~~~~のちょっとだけ斜め後ろに視線を見やる、
そこには
「…」
その引き締まった端正な顔を真っすぐ挙げたまま、視線を泳がせることもなく、口元もきりりと真一文字。
どこからどう見ても完璧な男が一人、周囲の自分への懸想など聴こえていないかのように無表情のまま、私に随行している。
だが
「?いかがされましたか?代表。」
(しまったっ///)
ほんのちょっとしか視線を送っていないはずなのに、この男、瞬時に私に視線を向けて問うた。
「い、いや。何でもない。」
慌てて視線を正面に向ければ、やっぱり鵯たちが
「見た!?今の准将のお顔!」
「ねぇ、微笑んでいたよね!?そうだよね!?見た!?」
「見れた~~vv」
お約束通り黄色い囁き声が、更に高周波の歓喜となってまき散らしてくれる。
(・・・(´Д`)ハァ…・・・)
コイツ、毎日こんな風に女子たちからキャッキャされまくっているのか。
そりゃそうだよな。
だって幾ら元ZAFT・REDと言えど、中立であるオーブ軍にはほかにもコーディネーターの将兵がいるのだが、その中でも飛びぬけて戦闘訓練時の技術力も体力も高くて。
作戦立案させれば、全くもって隙のない、しかも無駄のない計画を立て。
勿論MS操縦の技術だってピカイチで、「エンディミオンの鷹」という二つ名を持つフラガ一佐でも「俺、一抜けるわ~」と白旗を上げるほどだ。
加えてあの無駄のない緊線の取れた身体に、透き通った翡翠とよく通った鼻筋。サラリとした濃紺の髪の、まさに眉目秀麗を体現したような男だ。
加えて黄色い歓声を受けたところで、眉一つ動かさない冷静さ。
不愛想に見えると思うのだが、こういう時目が💛な者たちから見れば、それは「落ち着いている」だの「クール」という言葉で見事に肯定される。そしてその孤高さが余計に女子たちにはたまらないようで。
ストイックさが寧ろ「一途に一人の女性だけを愛し続けてくれる」という期待を高鳴らせるらしい。
射撃訓練は毎回パーフェクトなのは知っているが、女子のハートもパーフェクトに撃ち抜いていることには、本人は全く気付いてない。
誰もが憧れる非の打ち所の無い、『完璧な男』―――それが「アスラン・ザラ」だ。
―――つづきはこちらから。
***
お久しぶりにSSです。
運命その後から、劇場版の間(予想で)のアスカガをイメージしてみました。あの時一旦距離を置いた二人ですが、アスランがこのままオーブに残留し、そして劇場版のストーリーが始まるまでに、二人の関係がどうなっているのか、再構築の方向で妄想働かせた感じです。
元々8月に入るか入らないかくらいに書きかけていたんですが、それより先に劇場版のPV第2段が発表され、更にあのアスカガメイリンのムビチケデザインを見て、「ぬぉおおおおおおおおっ!!!」っと別の萌が発動し、そちらを先に仕上げて(勢いで)しまったため、ずっと放置されたままでした(哀)
すっかり存在を忘れていたので、今更ちょこちょこ書き足しております。
しかも、まだちゃんと終わっていない💦
なので、続きは後日UPします/)`;ω;´)
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