KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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北京国際マラソン2006雑感vol.1~サプライズがいっぱい

2006年10月22日 | マラソン観戦記
今年の北京マラソンのテレビ中継も、「サプライズ」の連続だった。2年前からTBSでの全国中継が復活し、'80年代のような盛上がりに期待したのだが、予想GUY(某携帯電話のCMに出てくるこの言葉、流行語にはなってないか。)のシーンがやたらと見られる、「スリリング」なマラソンとなっている。

この「サプライズ」が、スポーツ本来の「何が起こるか分からぬ面白さ」とはかけ離れているのが、問題なのであるが・・・。

昨年も、先頭ランナーがコースを間違え、2時間3分台(!)でゴールするは、本来は失格になるべきそのランナーが「優勝」になってしまうという、亀〇兄弟もビックリの「疑惑の裁定」が飛び出すは、激しいレースを制した中国の女子ランナーがドーピング検査でひっかかるは、今ひとつの結果に終わった日本男子勢について、強化本部長が、
「筋トレを忘れてました。」
などと、脱力するようなコメントを発するは、と頭を抱えたくなるようなレースであった。

今回は、「普通のレース」でありますようにと思い、秋祭りの慌しさの最中にテレビを観戦したのであるが・・・。

男子のペースメイカーを務めるのは、今年の東京国際マラソン優勝の、アンベッセ・トロッサ。彼が引っ張る1km3分のペースに、今回13人も出場していた日本人ランナーは皆、10kmもたずに離れていった。今夜放映のテレビドラマに出演するという櫛部静二、'84年優勝の喜多秀喜さんの甥である喜多健一、「マラソン最強集団」中国電力の沖野剛久、尾崎輝人など注目のランナーたちは皆、先頭集団につけなかった。

皆、持ちタイムで言えば、2時間11~15分レベルのランナーで、サブテン(2時間10分以内)が今回の目標とすれば、やむを得ないことだ。問題は、国際映像を制作する中国のテレビ局が、日本人ランナーたちをほとんど映さなかったことだ。反日感情の根強さか?と時節柄早合点しそうになったが、日本のマラソン中継と違って、後方集団を映すカメラを用意していなかっただけだろう。

トロッサに引っ張られる集団にいるのはケニア人と中国人のみ。なかなか世界レベルで活躍できる男子ランナーが台頭しない中国から、いよいよ「期待の星」が出現かと思わせたが、彼らは皆、20kmまでもたなかった。「世界のトップのペース」の洗礼を浴びた結果となった。

忘れていた。本来なら、ここにマラソン日本最高記録保持者の高岡寿成が出てくるはずだったのだ。好調時の高岡ならこのペースには楽についていくだろう。あるいは、自らレースを作ろうとしていたのに違いない。

野口みずきが欠場したことで、ベルリンマラソンの地上波生中継を取り止めた、フジテレビの姿勢を前回、批判的に書いた。ベルリンは、エチオピアのハイレ・ゲブレセラシエが圧倒的な強さを見せつけるレースとなり、女子のレースも優勝タイムが2時間21分台と、かなりハイレベルのレースとなったようだった。それならば、見てみたかったという気になるが、高岡の欠場が今回の北京マラソンにもたらしたマイナスは、野口の欠場によってベルリンが受けたそれよりも大きかったかもしれない。

本命不在」のレースと言われた女子だが、一般参加のランナーたちと同時スタート、というのはどうにかならぬかと思う。今回では、一部の不心得な男子ランナーがフライングする中で始まってしまった。

レースはまるでジョギングのようなスローペースとなった。せっかくなら男子のペースメイカーをつけても良かったのにと思ったが。何やら中途半端な扱いとなっている。

今回、女子の話題は、小出義雄監督が初めて指導している外国人ランナー、ジュリア・モンビのマラソン・デビューだった。ケニア人留学生ランナーとして、青森山田高校時代からインターハイや高校駅伝では活躍していた。仙台育英高校から日立に入り、シドニー五輪のマラソンで4位に入賞したエスタ・ワンジロのようになれるだろうか?

余談だが、エスタたちにとって「日本のお父さん」だった、仙台育英の前監督(故人)は青森山田の現監督の実兄である。

先頭を引っ張るのが、北朝鮮のランナー、キム・クンオクだったことに驚いた。前回のアジア大会の女子マラソンで金メダルを取っている「アジアの強豪国」ではあるが、今、世界から孤立無援の状態となっているこの国からよくぞ、との驚きが先に立った。2ヶ月後のアジア大会に選手を派遣してくるのだろうか?

女子の集団を見ていると、その周囲のランナーたちが様々である。ヘッドホンを耳にあてて走るランナー(はっきり言って、ルール違反である。)、誰かのコーチだろうか、走りながらウインド・ブレイカーを脱いでいるランナー、やたらと身体の大きな白人ランナー、突然トップを独走したかと思ったら、すぐに止めてしまった、ロング・スパッツ(ジャージではありません。)の女子ランナー(美人!)。北海道マラソンの女子の先頭集団を取り囲む男子ランナーたちが一様に、シリアスな印象(だからこそ、「のり子大好き」さんが際立つのだ。)なのとは対照的だ。

しかし、中国の女子ランナーたちにとって、この大会での優勝は大きなステイタスなのであろう。記録よりも順位を意識したスローペースに、モンビはとまどい、苦しんでいるようだ。

男子の先頭は2人のケニア人、小柄なジェームス・キプサングと大柄なデビッド・キプコリルの並走を映すのみで変化の無い映像が続く。沖野や木庭啓らが先頭との差を縮めていると伝えているが。

(つづく)




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