これがマラソンだ!そう叫びたくなるようなレースを久しぶりに見た。1996年に南アフリカのゲルト・タイスが独走して作ったコースレコードが、日本人によって更新された。それも、ケニアとエチオピアからの招待選手のいないレースにおいて。
中間点を1時間4分8秒のペースで通過した集団の中から、27km過ぎて川内優輝が飛び出し、それを中本健太郎が追った。以後、2人は、けん制し合ってペースを落とすことなく、ゴールまで駆け続けた。川内自身がレース前に、
「醜いレースはしたくない。」
と語っていた通りのレースとなった。中本だからこそ、川内の想いに応えることが出来た。
2人の走りは、中継アナや解説の宗茂さんからは「駅伝のようだ。」と評された。まるで残り15km地点から襷を受け取って走り始めたランナーのような走りだった。
苦痛に顔を歪めながらも決してペースを落とさない川内と、ポーカーフェイスの中本。あまりにも対照的な2人の走りが見事なくらい「絵になって」いた。仕掛けるのは川内。しかし、難なく追いつく中本。主導権は中本が握り、川内が度重なるスパートに疲れて終盤に失速するのではないかと見えた。
40km過ぎて、勝負を決めたのは川内の五度目のスパートだった。舞鶴橋の坂道の前での抜け出した川内に中本が追いつけない!体力を消耗していたのは中本の方だった。
川内の優勝タイムはタイスの大会記録を14秒上回る2時間8分16秒。2年の前の東京でマークした自己ベストも更新した。2位の中本も自己ベストを更新。レース後のインタビューでは全く笑顔を見せなかった。しかしながら「五輪入賞者」の実力は発揮出来たのではないか。もし、ここで川内に勝てるくらいなら、ロンドンでケフレジキやドス・サントスをかわして4位でゴールしていたはずである。(ロンドンで中本と並走していたケフレジキは、10000mの元アメリカ記録保持者であり、10000mで世界選手権代表になったことがある。)
当初はびわ湖の練習としての出場かと思えた川内の別大出場だが、びわ湖の出場を取り止めると発表した。標準タイムには届かなかったものの、世界選手権代表はほぼ決定的だ。中本も五輪での実績を加味すれば代表入りの可能性は高い。
このまま、「実業団ランナーに刺激を与える存在」で終わるのかと思えた川内が今回の勝利で、「マラソン日本のエース」という地位を確立したと言えるだろう。これまでのように、「川内に負ける実業団ランナーの不甲斐なさ」を責める論調の記事も減り、川内の強さそのものを賞賛する記事が目についた。中本も、川内に敗れたとはいえ、「五輪入賞者」という栄光に傷をつけることはないレースをしたと言える。2ヶ月前に危惧した欠点が克服できた。
新しい課題は、今回の別大のようなレースを、ケニアやエチオピアの強豪相手に出来るかどうか。来月の東亜ソウルマラソンで、早くもその答えを確認できる。
川内の「成長過程」を追うことが出来た、ということはマラソンを愛好する者としては、後の世代から羨まれる体験となるかもしれない。
中間点を1時間4分8秒のペースで通過した集団の中から、27km過ぎて川内優輝が飛び出し、それを中本健太郎が追った。以後、2人は、けん制し合ってペースを落とすことなく、ゴールまで駆け続けた。川内自身がレース前に、
「醜いレースはしたくない。」
と語っていた通りのレースとなった。中本だからこそ、川内の想いに応えることが出来た。
2人の走りは、中継アナや解説の宗茂さんからは「駅伝のようだ。」と評された。まるで残り15km地点から襷を受け取って走り始めたランナーのような走りだった。
苦痛に顔を歪めながらも決してペースを落とさない川内と、ポーカーフェイスの中本。あまりにも対照的な2人の走りが見事なくらい「絵になって」いた。仕掛けるのは川内。しかし、難なく追いつく中本。主導権は中本が握り、川内が度重なるスパートに疲れて終盤に失速するのではないかと見えた。
40km過ぎて、勝負を決めたのは川内の五度目のスパートだった。舞鶴橋の坂道の前での抜け出した川内に中本が追いつけない!体力を消耗していたのは中本の方だった。
川内の優勝タイムはタイスの大会記録を14秒上回る2時間8分16秒。2年の前の東京でマークした自己ベストも更新した。2位の中本も自己ベストを更新。レース後のインタビューでは全く笑顔を見せなかった。しかしながら「五輪入賞者」の実力は発揮出来たのではないか。もし、ここで川内に勝てるくらいなら、ロンドンでケフレジキやドス・サントスをかわして4位でゴールしていたはずである。(ロンドンで中本と並走していたケフレジキは、10000mの元アメリカ記録保持者であり、10000mで世界選手権代表になったことがある。)
当初はびわ湖の練習としての出場かと思えた川内の別大出場だが、びわ湖の出場を取り止めると発表した。標準タイムには届かなかったものの、世界選手権代表はほぼ決定的だ。中本も五輪での実績を加味すれば代表入りの可能性は高い。
このまま、「実業団ランナーに刺激を与える存在」で終わるのかと思えた川内が今回の勝利で、「マラソン日本のエース」という地位を確立したと言えるだろう。これまでのように、「川内に負ける実業団ランナーの不甲斐なさ」を責める論調の記事も減り、川内の強さそのものを賞賛する記事が目についた。中本も、川内に敗れたとはいえ、「五輪入賞者」という栄光に傷をつけることはないレースをしたと言える。2ヶ月前に危惧した欠点が克服できた。
新しい課題は、今回の別大のようなレースを、ケニアやエチオピアの強豪相手に出来るかどうか。来月の東亜ソウルマラソンで、早くもその答えを確認できる。
川内の「成長過程」を追うことが出来た、ということはマラソンを愛好する者としては、後の世代から羨まれる体験となるかもしれない。
いま日本男子では30キロまでだったら宇賀地選手と宮脇選手が一・二を争う存在だと思ってましたから。
一方で同じ日に行われた青梅の30キロは、将来のマラソン挑戦を期待を抱かせる選手たちが上位を占めましたね。
今度の名古屋ウイメンズマラソンでは、その青梅をきっかけに飛躍した大久保絵里選手に期待・注目したいです。
http://green.ap.teacup.com/sittaka-rikujo/746.html
熊日の結果はある意味衝撃的でしたね。おそらくは、5km
14分58秒くらいのペースをどこまで維持できるかを確認するための出場と思っていましたのに、まさかサブ90で優勝してしまうとは。ソウルが楽しみになってきました。
青梅優勝の伊藤選手も、柏原選手と同学年だったとは。伝統的にコニカは青梅に強い、というかチームの重要レースと位置づけられているようですね。
大久保選手には、嶋原清子さんの後継者になって欲しいですね。どんな条件のレースでも必ず上位でゴールする。世界選手権や五輪こは欠かせませんが、今の日本女子には必要です。
びわ湖が終わって、選考レースでは2時間8分台が5人出たので、世界陸上男子マラソン代表は、その5人に落ち着きそうでしょうか。
前回大会では5人全員が代表初選出でフレッシュな顔ぶれと言われましたが、今回は5人全員が代表経験者ということになりそうですね。