思いも寄らない方が、僕がうすうす思っていたことを代弁してくれた。
2ヶ月ほど前だったろうか、TBSの日曜朝の番組でコメンテーターのテリー伊藤氏がこう発言した。
「今の日本のスポーツ・マスコミは、みんなロリコンじゃねえのか?」
これには、大笑いしてしまった。
テリー氏に対して、「機を見るに敏な風見鶏野郎」と、あまり好ましいイメージを持っていなかった(そうでないと、視聴率稼げるテレビ番組のプロデューサーは務まらないのだろうが)のだが、さすがにいいところを衝いてくるなと思った。
具体例は今更言わなくてもいいだろう。トリノ五輪の女子フィギアでも、当初マスコミの露出度が多かったのは、3人の代表の中で最年少の選手だったし、それ以上に年齢が若すぎるために五輪に出られなかった中学生(当時)だった。
彼女を五輪に出せ、などと殊更に騒ぎ立てるのには僕はうんざりだったが、結果として、ここで起こったスケート協会への不信感が、幹部役員の不正発覚につながったようにも思う。
他にも、女子ゴルフに卓球、テニスとティーン・エイジャーたちへの注目度が高い。
そんな風潮に、某新聞の世論調査においてはプロ野球の次に人気が高いマラソンが全く無縁なのが面白かった!今年の日本の女子マラソンは熟女ブーム、もとい、三十路ランナー(数え年も含めて)の活躍が目立った。
大阪での小幡佳代子、ボストンでの土佐礼子、そしてその両方に入賞した嶋原清子については先に書いたが、やはり、名古屋での弘山晴美は特筆すべきだろう。今年の「レース・オブ・ザ・イヤー」の最有力候補である。
ペース・メイカーを無視する「掟破り」の激走を見せた渋井陽子と、ひたすら彼女を追う弘山。現在の10000mの日本記録保持者と元記録保持者がマラソンで直接対決である。ラスト1kmでの弘山の逆転に息を飲んだ方も多かったろう。そして、6年前の大阪を思い出した方も。
リディア・シモンに逆転を喫し、シドニー五輪のマラソン代表の座を逃した弘山。彼女が6年後、10回目のマラソンにして初優勝を飾ろうとは、その時誰が想像しただろう。アテネ五輪の選考レースまで現役を継続できただけでも驚異だったのだが。彼女の「進化」は止まらなかったのだ。
思えば、黎明期の女子マラソンは、第1回の東京国際女子マラソン優勝のスミス夫人をはじめとして、グレテ・ワイツにクリスチャンセン、日本でも村本みのるさんに松田千枝さんらミセス(ママさん)ランナーたちの活躍が目立っていた。増田明美さんの台頭から流れが変わり、佐々木七恵さんに浅井えり子さん、宮原美佐子さんら男子の指導の実績のあるコーチに育てられた若いランナーたちが主役となった。'90年代には、若くしてブレイクする選手も多くなった分、早く競技の第一線から去る選手も多かったが時代がひとめぐりして、ミセス・ランナーの時代が訪れたみたいだ。
それにしても、名古屋は素晴らしかった。この数年、日本国内の大会で、海外のビッグ・ネームを招待できず、名古屋など「名ばかりの国際マラソン」と手厳しい批判も多いが、日本人ランナーだけで、これだけのレースが見せられるなら、海外選手抜きでも立派な「国際マラソン」だ。
若手(新人)の台頭が見られない、という点では、女子も男子と同様の悩みを抱えている。
特に、昨年の「新人賞」原裕美子の復帰が遅れ、マラソン2度目の小川清美、初マラソン日本最高記録の期待もかかった阿蘇品照美が失速、という事態には
「どうした?京セラ!」
と言いたくなってしまう。三井住友海上の大平美樹のマラソン・デビューもお預けになったし。
そんな中、5月になって朗報が入った。大阪で初マラソンで5位に入賞した森本友(天満屋)がウィーン・マラソンで優勝したというのだ。しかもタイムは2時間24分33秒。今年の世界ランク12位に相当する。(11位は土佐礼子。日本人トップは弘山の7位。)「世界で戦う」最低必要条件である「サブ25」も越えた。次のマラソンが楽しみな若手がやっと出現した。
とりあえず、女子の方は、北京まではなんとか乗りきれるだろう。それだけの戦力はある。
それにしても、10代のヒロインを作りたがるマスコミは、都道府県駅伝の1区で2年連続して区間賞獲得の社会人1年生ランナーに「Qちゃん2世」と名づけているが、どこがやねん?
全然タイプが違うような気がするが。まあ、そういう風に呼んだ方が「分かり易い」のだろうけど、去年の世界選手権代表も大事にしろよ!
さて、今年の下半期への展望だが、やはり来年の世界選手権の選考に関わるレース、特に東京国際女子、福岡国際への注目が高まるところだろう。しかし、アジア大会もお忘れなく!
入船、大崎の“ダブル・サトシ”(笑)に、小幡と嶋原の「平均年齢31歳カルテット」から、20年ぶりの男女アベック金メダルを獲得してもらいたいと願うのだが。
2ヶ月ほど前だったろうか、TBSの日曜朝の番組でコメンテーターのテリー伊藤氏がこう発言した。
「今の日本のスポーツ・マスコミは、みんなロリコンじゃねえのか?」
これには、大笑いしてしまった。
テリー氏に対して、「機を見るに敏な風見鶏野郎」と、あまり好ましいイメージを持っていなかった(そうでないと、視聴率稼げるテレビ番組のプロデューサーは務まらないのだろうが)のだが、さすがにいいところを衝いてくるなと思った。
具体例は今更言わなくてもいいだろう。トリノ五輪の女子フィギアでも、当初マスコミの露出度が多かったのは、3人の代表の中で最年少の選手だったし、それ以上に年齢が若すぎるために五輪に出られなかった中学生(当時)だった。
彼女を五輪に出せ、などと殊更に騒ぎ立てるのには僕はうんざりだったが、結果として、ここで起こったスケート協会への不信感が、幹部役員の不正発覚につながったようにも思う。
他にも、女子ゴルフに卓球、テニスとティーン・エイジャーたちへの注目度が高い。
そんな風潮に、某新聞の世論調査においてはプロ野球の次に人気が高いマラソンが全く無縁なのが面白かった!今年の日本の女子マラソンは熟女ブーム、もとい、三十路ランナー(数え年も含めて)の活躍が目立った。
大阪での小幡佳代子、ボストンでの土佐礼子、そしてその両方に入賞した嶋原清子については先に書いたが、やはり、名古屋での弘山晴美は特筆すべきだろう。今年の「レース・オブ・ザ・イヤー」の最有力候補である。
ペース・メイカーを無視する「掟破り」の激走を見せた渋井陽子と、ひたすら彼女を追う弘山。現在の10000mの日本記録保持者と元記録保持者がマラソンで直接対決である。ラスト1kmでの弘山の逆転に息を飲んだ方も多かったろう。そして、6年前の大阪を思い出した方も。
リディア・シモンに逆転を喫し、シドニー五輪のマラソン代表の座を逃した弘山。彼女が6年後、10回目のマラソンにして初優勝を飾ろうとは、その時誰が想像しただろう。アテネ五輪の選考レースまで現役を継続できただけでも驚異だったのだが。彼女の「進化」は止まらなかったのだ。
思えば、黎明期の女子マラソンは、第1回の東京国際女子マラソン優勝のスミス夫人をはじめとして、グレテ・ワイツにクリスチャンセン、日本でも村本みのるさんに松田千枝さんらミセス(ママさん)ランナーたちの活躍が目立っていた。増田明美さんの台頭から流れが変わり、佐々木七恵さんに浅井えり子さん、宮原美佐子さんら男子の指導の実績のあるコーチに育てられた若いランナーたちが主役となった。'90年代には、若くしてブレイクする選手も多くなった分、早く競技の第一線から去る選手も多かったが時代がひとめぐりして、ミセス・ランナーの時代が訪れたみたいだ。
それにしても、名古屋は素晴らしかった。この数年、日本国内の大会で、海外のビッグ・ネームを招待できず、名古屋など「名ばかりの国際マラソン」と手厳しい批判も多いが、日本人ランナーだけで、これだけのレースが見せられるなら、海外選手抜きでも立派な「国際マラソン」だ。
若手(新人)の台頭が見られない、という点では、女子も男子と同様の悩みを抱えている。
特に、昨年の「新人賞」原裕美子の復帰が遅れ、マラソン2度目の小川清美、初マラソン日本最高記録の期待もかかった阿蘇品照美が失速、という事態には
「どうした?京セラ!」
と言いたくなってしまう。三井住友海上の大平美樹のマラソン・デビューもお預けになったし。
そんな中、5月になって朗報が入った。大阪で初マラソンで5位に入賞した森本友(天満屋)がウィーン・マラソンで優勝したというのだ。しかもタイムは2時間24分33秒。今年の世界ランク12位に相当する。(11位は土佐礼子。日本人トップは弘山の7位。)「世界で戦う」最低必要条件である「サブ25」も越えた。次のマラソンが楽しみな若手がやっと出現した。
とりあえず、女子の方は、北京まではなんとか乗りきれるだろう。それだけの戦力はある。
それにしても、10代のヒロインを作りたがるマスコミは、都道府県駅伝の1区で2年連続して区間賞獲得の社会人1年生ランナーに「Qちゃん2世」と名づけているが、どこがやねん?
全然タイプが違うような気がするが。まあ、そういう風に呼んだ方が「分かり易い」のだろうけど、去年の世界選手権代表も大事にしろよ!
さて、今年の下半期への展望だが、やはり来年の世界選手権の選考に関わるレース、特に東京国際女子、福岡国際への注目が高まるところだろう。しかし、アジア大会もお忘れなく!
入船、大崎の“ダブル・サトシ”(笑)に、小幡と嶋原の「平均年齢31歳カルテット」から、20年ぶりの男女アベック金メダルを獲得してもらいたいと願うのだが。
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