昨年の箱根駅伝、5区山登りで驚異的な走りを見せ、「山の神」の異名をとった今井正人。一般誌にも大きく紹介され、もしかしたら昨夏の世界選手権男子マラソン代表選手よりも知名度は上回っていたかもしれない。
「なんで今井クンは世陸に出ないの?」
と思った人もいるだろうか。
今回のニューイヤー駅伝、テレビ局は
「山の神、上州路に降臨!」
と盛り上げていたが、その事自体は悪いことではない。2年前、50回大会という大きな節目の大会を、あのボクサー3兄弟のPRに利用したことに比べれば、遥かに真っ当なことだ。ランナーたちそっちのけで、あの敬語の使い方も知らない連中がもちをついたり、屋台の焼きそばをかきこんだり、桂浜にシャコタンの車で初日の出を見に行くアンちゃんたちのようなファッションで、沿道に立っている姿にばかりカメラを向けていた2年前の放送は、今となってはこの大会の中継史上の汚点だ。それと、視聴者より募集した俳句を紹介するコーナーが無くなったのも良かった。あれは、東京マラソンや長野マラソンのような市民マラソンか、我が地元の愛媛マラソンにこそふさわしい企画だ。一体、誰の発案だったのだろう?
今井正人が、中学時代にひろしま男子駅伝でタスキを渡したことのある中国電力の佐藤敦之と同じ5区を走るということで色めき立ったファンも多かったろう。今井もトヨタ九州入り後も、九州一周駅伝では10日で4回出走し、全て区間賞を獲得し、納戸賞(MVP)と新人賞を獲得、九州実業団駅伝でもアンカーで区間賞の走りを見せて優勝のゴールテープを切った。
4区の梅木蔵雄がふんばり、区間賞の走りで中国電力は3位に浮上し、2位のトヨタ九州とは10秒差!今井と佐藤の直接対決が実現した。駅伝ファンには何よりのお年玉だ。
スタート前には今井と握手をする姿を見せた佐藤。やはりこれは解説の瀬古利彦さんが言うように「余裕」のパフォーマンスだったのか。
1kmの入りが2分42秒で今井の前にさっと出る。ここから並走して、トップを独走するコニカミノルタの坪田智夫との差を縮めていくのかと思ったが、両者の対決は実にあっさりと終わった。3kmも行かないうちに佐藤は今井を引き離していった。
今井は確かに強い。ただし、日本では2番目だということだったのか。佐藤が「格の違い」を見せつけた。先月の福岡国際マラソンで自己ベストを大幅に更新した疲れは全く見せなかった。例の3兄弟のように、テレビ局が今井の実力を過大評価してPRしたわけでもない。僕ももっと今井が粘るものと思っていたので正直言って拍子抜けした。去年の「箱根のスター」がそのまま区間賞を取れるほど、今のニューイヤー駅伝は低レベルではない、ということか。
しかし、同じ区間で今井を上回ったのが、日本体育大出身の日清食品のルーキー、保科光作だった。6人抜きの走りでチームを7位に押し上げた。6区では安川電機の東洋大出身のルーキー、北島寿典が5位に順位を上げた。やはり、駅伝は順位を上げてナンボである。
とは言え、今井正人、自らの役割はきちんと果たしたと言える。区間賞を獲得した佐藤より1分26秒差をつけられたとはいえ、区間5位である。もし、10km以上佐藤と並走していたら、もっと終盤にペースを落としていたかもしれない。4位のホンダと2秒差でも3位でタスキをつないだのは、
「おのれの実力よりもかけ離れた相手に無理して勝負を挑んではいけない。」
という駅伝の鉄則を守った結果だと思う。しかし、「駅伝男」にはとどまって欲しくない。チームメイトのワンジルや三津谷らとともに、「世界」へチャレンジして欲しい。
(つづく)
「なんで今井クンは世陸に出ないの?」
と思った人もいるだろうか。
今回のニューイヤー駅伝、テレビ局は
「山の神、上州路に降臨!」
と盛り上げていたが、その事自体は悪いことではない。2年前、50回大会という大きな節目の大会を、あのボクサー3兄弟のPRに利用したことに比べれば、遥かに真っ当なことだ。ランナーたちそっちのけで、あの敬語の使い方も知らない連中がもちをついたり、屋台の焼きそばをかきこんだり、桂浜にシャコタンの車で初日の出を見に行くアンちゃんたちのようなファッションで、沿道に立っている姿にばかりカメラを向けていた2年前の放送は、今となってはこの大会の中継史上の汚点だ。それと、視聴者より募集した俳句を紹介するコーナーが無くなったのも良かった。あれは、東京マラソンや長野マラソンのような市民マラソンか、我が地元の愛媛マラソンにこそふさわしい企画だ。一体、誰の発案だったのだろう?
今井正人が、中学時代にひろしま男子駅伝でタスキを渡したことのある中国電力の佐藤敦之と同じ5区を走るということで色めき立ったファンも多かったろう。今井もトヨタ九州入り後も、九州一周駅伝では10日で4回出走し、全て区間賞を獲得し、納戸賞(MVP)と新人賞を獲得、九州実業団駅伝でもアンカーで区間賞の走りを見せて優勝のゴールテープを切った。
4区の梅木蔵雄がふんばり、区間賞の走りで中国電力は3位に浮上し、2位のトヨタ九州とは10秒差!今井と佐藤の直接対決が実現した。駅伝ファンには何よりのお年玉だ。
スタート前には今井と握手をする姿を見せた佐藤。やはりこれは解説の瀬古利彦さんが言うように「余裕」のパフォーマンスだったのか。
1kmの入りが2分42秒で今井の前にさっと出る。ここから並走して、トップを独走するコニカミノルタの坪田智夫との差を縮めていくのかと思ったが、両者の対決は実にあっさりと終わった。3kmも行かないうちに佐藤は今井を引き離していった。
今井は確かに強い。ただし、日本では2番目だということだったのか。佐藤が「格の違い」を見せつけた。先月の福岡国際マラソンで自己ベストを大幅に更新した疲れは全く見せなかった。例の3兄弟のように、テレビ局が今井の実力を過大評価してPRしたわけでもない。僕ももっと今井が粘るものと思っていたので正直言って拍子抜けした。去年の「箱根のスター」がそのまま区間賞を取れるほど、今のニューイヤー駅伝は低レベルではない、ということか。
しかし、同じ区間で今井を上回ったのが、日本体育大出身の日清食品のルーキー、保科光作だった。6人抜きの走りでチームを7位に押し上げた。6区では安川電機の東洋大出身のルーキー、北島寿典が5位に順位を上げた。やはり、駅伝は順位を上げてナンボである。
とは言え、今井正人、自らの役割はきちんと果たしたと言える。区間賞を獲得した佐藤より1分26秒差をつけられたとはいえ、区間5位である。もし、10km以上佐藤と並走していたら、もっと終盤にペースを落としていたかもしれない。4位のホンダと2秒差でも3位でタスキをつないだのは、
「おのれの実力よりもかけ離れた相手に無理して勝負を挑んではいけない。」
という駅伝の鉄則を守った結果だと思う。しかし、「駅伝男」にはとどまって欲しくない。チームメイトのワンジルや三津谷らとともに、「世界」へチャレンジして欲しい。
(つづく)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます