KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
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全日本実業団女子駅伝雑感vol.3

2004年12月19日 | 駅伝時評
かつて、僕は三井住友の鈴木秀夫監督の講演を聞いたことがあるのだが、そこで
「土佐がわたしの考え方を変えた。」
という話もしていた。もともと、鈴木監督は
「高卒の選手しか採用しない。」
という方針だったのだが、土佐の練習や生活態度を見て、
「高校から大学と7年間以上競技を続けてきて、なお、卒業後も競技を続けたいと考えて、実業団に入ってくるような選手は競技そのものに対する意識が高い。それは、高卒のチームメイトにも、よい影響を与える。」

そういう考えから、土佐に次いで、チーム二人目の大卒選手として三井住友入りしたのが、土佐からタスキを受け取った、アンカーの大山美樹。ただし、学生時代の実績は土佐よりも遥かに上だ。立命館大時代には北京ユニバーシアードのハーフマラソンで銀メダルを獲得している。ちなみに、金メダルは北朝鮮の、あのハン・ボンシルだった。

大山は入社以来、ずっとこの大会ではアンカーを走っている。スペシャリストと言っていいかもしれない。

土佐の区間順位は4位。「ブレーキ」と呼ぶのは酷な気もしなくもない、というのはあまりにも身内びいきが過ぎるだろうか?ともあれ、首位の座は守り抜いた。

大山は実に見事に、「アンカー」の務めを果たした。やはり「スペシャリスト」だ。

京セラのアンカー、小川清美。5000mのタイムは原を上回る。大山との差は十分射程圏内だ。

小川が追い上げる。差が縮まる。
「逃げろ!逃げろ!逃げろ!」

3位の資生堂のアンカーは、かつての「スーパー高校生」藤永佳子。1km3分を切るペースで上位を追う。諫早高校時代、あの千葉真子に「高校生に負けるなんてくやしいですぅ~。」
と言わしめた頃の力が戻ってきたようだ。

小川が大山に迫る。並んだ。並んだ。しかし、前には出られない。二人が並走する。無理に逃げずに、追いつかせて、スパートをかける、という作戦だったのか。長良川にかかる金華橋で大山が前に出る。小川が追いつけない。

これが駅伝だ!これがアンカーの走りだ!

三井住友の大応援団の「ミキ・コール」と、涙を浮べるチームメイトに迎えられ、昨年作った大会新記録をさらに21秒更新してゴール!!

土佐も笑顔を浮べた。

2位の京セラも昨年の三井住友の記録を上回った。3位の資生堂も、初の14分台。4位ワコールも、新体制になって(福士が入社して)以来最高の順位だ。5位は4年ぶりに一桁順位のスズキ。この2チームの健闘は、僕の予想外だった。それぞれ、福士にワゴイと、大エースがいるチームだが、他の選手がふんばったようだ。

6位は天満屋。7位のUFJ銀行のアンカーは松山商業出身の西山貴子。その後、廃部が発表され、これが最後の美濃路となった。

優勝争いに加わってくるかと思われた第一生命が10位に終わった。羽鳥智子の欠場が響いたのかもしれない。北海道代表のホクレンが過去最高の12位だが、九州勢は沖電気の14位が最高順位と、元気がない。デオデオも16位、旭化成も19位と、なんとか後半に順位を上げて来た。

「準愛媛代表」の四国電力が25位に沈んだのは残念。

実に楽しめた。やはり、スポーツは「ひいきのチーム」を持っていると楽しめますなあ。

そして、ここでの活躍がどのように個人のレースに反映されてくるか。大山や弘山晴美らがエントリーしている来春の大阪国際女子、原、藤永、坂本直子らの次のレースが楽しみである。





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