KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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2007びわ湖毎日マラソン展望

2007年03月02日 | マラソン観戦記
以前、走友のK氏とジョギングをしながら、四方山話に花を咲かせていた時のこと、話題が郵政公社民営化からNHKの不祥事に移った際にK氏は、
「いっそ、NHKも民営化すりゃええんや。」
と語った。それに僕は異を唱えた。

「いやんいやんいやん。」
「お前はルーキー新一か?(古い!)」
「NHKが民営になったら、びわ湖をTBSが中継するんか?レース中継をスタート1時間前から始めて、『この後すぐスタート』とか言って、選手紹介ビデオを延々と見せられるぞ。それにスタジオからO田Y二が独演会するやろし。」

僕よりは「右寄り」のK氏も、僕の異論には納得したようだ。

「そうやのう。今の民放のマラソン中継はひどいしのう。『なんで、ここで?』いうタイミングでCM入れて、終わったらもう誰かがスパートしとるし。全く無意味に上空からの映像に切り替わるし。」
「ほうじゃろう?去年の東京国際女子みたいに、レースが一番盛上がってくるところの画面の3分の1下でドコモダケが転がるところは見とうないわい。」

「走りながら、会話なんかできるんですか?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれない。答えは「Yes」と言うよりも、逆なのだ。会話ができる程度のペースでの長時間のジョグが競技力の向上にも、体脂肪の燃焼を高めるダイエットのためにも有効なのだ。そろそろ、東京マラソンを見て、自分も来年は出ようと決意し、走り始めたものの、息を切らして走るのに疲れて3日坊主に終わる人が続出している頃だと思う。もう一度、「会話のできる程度のペース」でのジョギングを再開してみることをおすすめする。

話がずれたが、3月の第一日曜日恒例のびわ湖毎日マラソン、CMが入らない体制で中継されるのが有り難く思えるほど。この数年好レースが見られるのがいい。今年で62回を迎える「日本最古のマラソン大会」であり、かつては五輪代表選考において、最も重要なレースだったが、大会レコードが2時間10分を切ったのは、福岡国際よりも29年も遅い'96年。

それが、翌年、世界チャンピオンのマルティン・フィスを招待し、彼が自己ベスト記録で優勝してから大会の様相がガラリと変わり、21世紀にはコースレコードが7分台に突入した。2003年の世界選手権選考においては、びわ湖から、初マラソン日本最高記録をマークした藤原正和をはじめ3人が選ばれた。

駅伝のスケジュールとの兼ね合いから、びわ湖に一線級のランナーが集中するようになり、さらには「いい仕事」をするペースメイカーを揃え(モネゲッティ-にエスピノザら五輪代表ランナーらがペースメイカーというゴージャスぶり!)て、レベルの高いレースが堪能できるようになった。陸上競技記者の寺田辰朗氏のHPによると、びわ湖の20km~25kmの先頭集団の人数は世界最大なのだという。5km15分のハイペースで数十人ものランナーが駆けぬける集団は、実に壮観な眺めだ。

先の東京マラソン、3万人ものランナーが号砲とともに動き始める光景に驚いた方も多かったと思うが、ロンドンにベルリン、ニューヨークにパリなどの海外都市マラソンを見慣れている方には、決して珍しいものではなかったろう。これが東京で実現した、ということ自体はある意味快挙には違いないが、テレビで見ていて、
「欧米か?」
とツッコミを入れていたのは僕だけか?

ともあれ、東京とは対極に位置する、厳しい参加資格をクリアしたランナーたちの走りを、堪能したい。

レースの予想を試みたいところだが、先の東京、掲示板において、優勝者と、2位(日本人トップ)のランナーと優勝タイムが2時間9分台というところまで的中させたが、今回はなかなか予想が難しい。「本命不在」と言えそうだ。

今シーズンの国内メジャーマラソン、「北京に通じる」と言われる今年8月大阪で行われる世界選手権の選考レースであるが、ここまでのレースは男女ともに日本人の「優勝候補の本命」がことごとく敗れている。東京国際女子での高橋尚子、福岡国際での尾方剛&藤田敦史、大阪国際女子での渋井陽子、東京での油谷繁。別府大分では福岡の失敗から2ヶ月で再チャレンジした藤田が優勝したが前評判は佐藤敦之の方が高かったと思う。北海道も、記者会見での「引退宣言」が無ければ、千葉真子が優勝候補の筆頭だったろう。

かと言って、これらのレースで「本命」のランナーを破ったランナーたちが「伏兵」かと言えば、そうでもない。「番狂わせ」と言っては失礼と思える程度の実績はあるランナーたちだ。既に世界選手権の代表に内定した福岡4位の奥谷亘も大阪優勝の原裕美子、2人とも前回の世界選手権代表だし、内定は出ていないが有力候補とされている土佐礼子言うまでも無く、東京2位の佐藤智之も「大器」とは言われてきたランナーだ。

さて、今回のびわ湖のメンバーだが、海外からは前回優勝のホセ・リオス、さらにサムソン・ラマダーニ、アンベッセ・トロッサと、日本国内の大会で優勝歴のあるランナーが揃った。この中で一人選ぶとすると、トロッサを挙げたい。昨年の「最後の東京国際マラソン」の優勝者だ。

あのレース、日本の優勝候補、高岡寿成が、2時間4分台男のサミー・コリルをマークして、トロッサへの警戒心が希薄だったところに、虚をつかれたような敗北を喫したレースと、僕には見えたが、「マラソンの勝ち方」を知っている男だけに要注意だ。

日本勢の注目はニューイヤー駅伝優勝の中国電力から梅木蔵雄に、2位の旭化成から宗幸&忠幸の小島兄弟。小島宗幸は'98年の優勝者だし、忠幸は'04年にこのコースで自己ベストを出している。梅木も、今シーズン、チームメイトがことごとくマラソンで失敗しているだけに、悪い流れを断ち切りたいところだろう。

ベテランの復活に期待したいが、「新星」の誕生も待ち遠しい。ようやくマラソン・デビューを果たす坪田智夫。かつて、僕にとっては
「初マラソンで日本新記録も期待できる男」
だったのだが。(5年前の実業団ハーフが凄まじかった!)あるいは、コニカミノルタのチームメイトである太田崇。駅伝の強豪ではあるが、旭化成や中国電力に比べると30kmロードでは強いが、マラソンは今ひとつとのイメージがぬぐえない。ここらで、イメージを覆して欲しい。

'80年代生まれの若手で、飛躍を期待するのが、このコースで2年前に自己ベスト(2時間10分10秒)を出している徳永考志。彼自身にとっても、所属する三菱重工長崎マラソン部においても、ベストタイムだ。あとは、チーム初のサブテンと、チーム初のマラソン日本代表の座を掴み取れるか?

3年前にここでサブテンで走った渡邊真一、高塚和利に'80年代の名ランナー、喜多秀喜さんの甥にあたり、帝京大時代に彼から指導を受けた喜多健一も、記録更新を望みたい。特に喜多には29年と4ヶ月破られていない、佐々木精一郎さんの九電工陸上部最高記録である2時間11分17秒切りに挑んで欲しい。

あと、もう一つ、びわ湖は学生ランナーにとっては登龍門でもあった。藤田敦史、佐藤敦之、藤原正和がこのコースで、学生マラソン最高記録を初マラソンで塗り変えていった。今回は昨年の箱根で、亜細亜大の初優勝に貢献した山下拓郎が初マラソンに挑む。

注目しているランナーが多すぎて、誰が勝てるか、誰を勝たせたいか、なかなか絞り込めない。本命トロッサ、対抗徳永、万馬券取れそうな大穴として、今年39歳になる実井謙二郎、と言ったところか。

それにしても、一般的な注目度は低そうだなあ。
「金メダリストが出ない世界選手権なんて。」
というのが多数派意見なのだろうか?




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